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2005年第3回定例会文書質問趣意書

古館 和憲(板橋区選出)

耐震補強工事への助成をただち

 震災対策の強化について趣意書を提出いたします。
 迫りくる東京直下型地震に対して、その被害をいかに最小限にくい止めるか。そのためには、予防を重点とした『減災』の立場に立った災害対策への転換が強く求められています。その要の第一が、木造個人住宅の耐震診断と耐震工事への補助制度の創設です。木造住宅の耐震補強工事の助成では、すでに、全国で静岡、宮城など15県5政令市が、また都内でも数区で足をふみだしています。墨田区では、「昭和56年5月31日以前に着工された区内に存する木造家屋を所有し、かつ居住する個人」にたいして、耐震改修工事で最高限度額が最高で一般は50万円、高齢者等には70万円の「木造家屋の倒壊防止助成」事業を、来年1月から実施することを明らかにするなど、独自の懸命な努力がはじまっています。

 日本共産党都議団は、阪神・淡路大震災の教訓に学び、1995年の第4回定例会での代表質問で「東京都独自での耐震補助」の創設を求めて以来、その後、いっかんしてとりあげ、2003年の第3回定例会では、知事も言及した静岡県の事例も紹介し制度化をくり返し求めてきました。こうしたなかで、先の都議会第二回定例会では、全会一致で「木造個人住宅の耐震助成を求める決議」が採択され、そして本定例会では、「避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度もふくめ都民負担の軽減策を検討している」と答えるなど、個人住宅の耐震診断、耐震助成などにふみだしていく意向がしめされたことは重要です。

 ただちに具体化されることをつよく要望するものですが、同時に、施策の対象が「避難の安全を確保するなど公共性の高い地域」、すなわちや木造住宅密集地域に限られたり、今年度からスタートした国の「地域住宅交付金」および「住宅・建築物の耐震改修等の支援事業」の活用の範囲に限定されるならば、耐震化が必要とされている木造住宅が33万戸も存在する東京の施策としてはきわめて不十分なものになりかねません。

 例えば、「地域住宅交付金」は、その交付対象事業が「既存の補助対象事業」すなわち、公営住宅・高齢者向け住宅の整備、既存公営住宅の改善、密集市街地住宅整備などと、民間住宅の耐震改修・建替えや公営住宅等と社会福祉施設等の一体的整備など「地方公共団体の提案による地域の住宅政策に必要な事業等」とされ、一般の個人の木造住宅は対象とされていません。また、「住宅・建築物耐震改修等事業」は、「地震の際の住宅・建築物の倒壊等による被害の軽減をはかるため、住宅・建築物の耐震性の向上に資する事業について、地方公共団体に対し、国が必要な助成をおこなうもの」としていながら、2005年度の予算額は、わずか20億円に過ぎません。

Q1 そこで、まず、都として、国制度では救済されない一般個人の木造住宅の耐震補強、耐震診断の助成にのりだすべきと考えますが、どうか。

Q2 また、高知県は、2003年度から県独自で耐震診断を実施していましたが、くわえて今年度からは耐震改修事業の補助をはじめる計画をうちだしました。県の話では、国の「住宅・建築物の耐震改修等の支援事業」を取り入れることを前提に、5年間で1000件の耐震改修工事をすすめたとのことです。この事例からも明らかなように、この支援事業は「適用地域」が限られているとはいえ、全国の自治体に耐震診断と耐震改修事業を施策の中に取り入れる契機となっていることは重要です。都として、国制度を積極的に活用すること、あわせて同制度を活用する区市町村に対して、都としての上乗せ補助などを行うことを求めますが、どうか。

 今年の第一回定例会の文書質問で私は、「マンションの震災対策」について質しましたが、その後、東京都には、この問題の解決に真正面から挑むという姿勢はみられません。

 あらためて言うまでもなく、阪神・淡路大震災の特徴の一つが、マンションが受けた大きな被害でした。その際の教訓として、建築家などの専門家が、被害をうけたマンションについて、「事前にほんの少し補強されていたならば、被害をかなり少なくできたはずだ」とか、「耐震補強によってマンションの耐震性は大幅に改善できる」ことを強調しています。東京都内には100万戸をこすマンションがあるといわれ、このうち築30年以上たつマンションが30万戸以上もあると考えられています。マンションの耐震診断、耐震補強がきわめて重要であることは、いくら強調しても強調しすぎることはありません。
 また、横浜市では、マンション診断などでも大きな成果をあげていることは、文書質問でも紹介しましたが、これに比べ、東京都のマンション対策は、「管理組合などを基本に」との態度を崩さず、相談業務なども区や市の仕事だとして、区や市に事実上おまかせにするなど、大きく立ち遅れています。こうした姿勢を急いで転換することが求められています。

Q3 今回の国の「住宅・建築物の耐震改修等の支援事業」のメニューにもマンションへの耐震診断と耐震化の両面で補助をすることがかかげられていますが、地域の要件として、地震防災対策強化地域内等とされているなど、適用範囲、対象がせばまれています。この要件を拡充するように働きかけること、あわせて、都としての相談窓口の設置や耐震補強工事への助成など、マンションの耐震対策の支援にふみだすことなどを提案するものです。それぞれ、答弁を求めます。

以上