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文書質問趣意書

2006年6月19日     
松村友昭(練馬区選出)

外郭環状道路計画について

 石原知事が4月21日に「外かん道路」について、記者会見で、「凍結解除にこぎつけた」などと発言し、5月22日の、外環関係区市担当者会議で都市計画変更案と環境影響評価準備書を6月初旬から広告縦覧を行うことを指示し、6月1日には都市整備委員会で報告、同6日から練馬区の外環大泉インター付近の小学校を皮切りに地元説明会を強行するなど、矢継ぎ早にその具体化を開始した。
 こうした都の理不尽なやり方に、これまで協力してきたPI協議会の委員から抗議の声明が出され、計画の中止を求める住民の声も巻き起こっている。
 国が公式に凍結を解除してもいない、高速道路計画をきめる「国幹会議」で検討もされていない、費用負担もはっきりしていない、住民も合意していない、こんな異常なやり方はかってなかった。
わが党は、第2回定例会で、都市計画手続きを停止することを求めたが、この間の、委員会質疑、住民説明会などで出された質問、意見、疑問などをふまえ、以下、5点について質問する。

一、都市計画のすすめ方について
Q,石原知事の4/21の記者会見「凍結解除にこぎつけた」とは、どういう具体的事実があっての言明か。国会での根本建設大臣(当時)の凍結宣言は、国会での発言であり、凍結を解除するというなら、国会での表明があってはじめて凍結解除になるのではないか。

Q,都は、国に国会での取扱などについて、正式に問い合わせたのか。やった場合には、国からはどういう返事があったのか。

Q,4/17の沿線区市長意見交換会で、杉並区長(代理:助役)は、「今後の進め方については、区民が安心できるように丁寧におこなっていただきたい」、武蔵野市長は、「地元との対話を重視し、より一層住民との対話を継続し、・・・、計画案の公表に際しては、突然計画案を出すことのないようにしてほしい」、三鷹市長は、「引き続き慎重な検討をお願いしたい」などとの意見が出されていた。
このどこに、おおむねの理解が得られたとするのか。

Q,計画の中身についても、意見が分かれている段階だ。青梅街道インターチェンジについて、杉並区は反対している。インター予定地の練馬区関町の町会は91%の住民が反対し、1万1000筆の反対署名が練馬区長に提出され、「外かん説明会」の中で、練馬区の担当者は、これから検討すると答弁している。
 こういう状況のもとで、変更案は、提案できる段階ではないではないと思うがどうか。

Q,4/21知事記者会見以降、8名のPI協議会委員、外環道路反対連盟から、抗議文が出されているが、これについては、どのように扱ったのか、PI協議会や関係団体との話し合いや合意づくりがどのようにおこなわれてきたのか。

Q,練馬区で開かれた「外かん説明会」では、「本線の変更のみの説明」として、地上部街路などについて質疑を受け付けない態度をとった。変更案は、地上部街路が残り、立ち退きなどの重大な影響がでる、そのことを質問するのに、なぜ受けつけないのか。

Q,「外かん説明会」で、「意見を聞く会などで、8割以上の方が反対の意見を出していたのに、それがまったく無視されている。どうしたらわれわれの声が届くのか」との批判が相次いだ。いま必要なのは住民との合意形成を図ることではないのか。住民との合意と理解を得ることなく、都計審に図るべきではないと思うがどうか。

二、都市計画変更案、環境影響評価準備書の問題点について
Q,環境影響評価準備書で、事業年度を2007年度から2020年度としているが、その設定の根拠、また、この事業期間は、国との合意で決めたのか。

Q,いったん事業完成年度を、2020年度としながら、都は、オリンピックに間に合わせて、2016年の完成を目指すなどとしている。期間を4年も短縮するとなれば、あらたな立杭をつくるなど、作業工程も変わり、現在出している環境影響評価準備書も当然変わってこざるを得ないと考えるがどうか。

Q,外かんは、国土開発幹線自動車道の予定路線で、国がその責任において整備すべき路線であるが、国交省は、2016年を想定した作業工程を出してはいないという。事業者が計画を明示していないのに、事業をすすめるのは間違いだと思うがどうか。

三、地上部道路、青梅インター問題について
Q,東八道路から大泉インター間の地上部街路、外環その2は変更ないということは、既存の計画がそのまま提案されたということか。

Q,地上部街路について、3つの案について、地元の意見を聞いて、検討しているというが、誰が、どこで、どう言う検討をし、何時までに、どう言う手順で結論が出されるのか。

Q,立ち退きの影響を伺う。提案されている変更案ではどうなるか。青梅街道インター予定地ではどうか。40メートルの地上部街路によってはどうか。また、公共施設など立ち退きの対象となるのは。それぞれ伺う。

四、事業費などについて
Q,外環の本体の事業費はいくらか。青梅街道ハーフインターなしの場合では。また、地上部街路を事業化した場合は、さらにいくらかかるか。それぞれの場合の都の負担はどうなるか。

Q,事業者はどこか。2016年供用開始となればいつまでに決定されなければならないか、どういう手順で決まるのか。

五、環境への影響について
Q,大深度地下高速道路の地下水脈などに対する影響は少ないというが、専門家を含め、多くの疑問視する意見が上がっている。圏央道では、予測と違って、八王子城跡で、水枯れ、出水が起きているが、外環も同じコンサルだと聞くが事実か。事実とすれば、公平を期すためにも再度事業者を変え、検証すべきではないか。
 また、「説明会」で、予測した本データーの公表を求める声があったが、拒否しているのはおかしい。データーを完全公開すべきだ。

Q,八の釜憩いの森は消失するとしながら、今後地元と話し合って、可能な限り復元をするという。どんな復元か、具体的に計画段階で明らかにすべきだ。

 以上、この間の、委員会質疑、住民説明会などで出されながら、住民の納得が得られない問題にしぼって質問したが、いずれにしても、1回の都議会への報告、それぞれの地域での1回の説明会で、あとは、都市計画審議会に持ち込むなどということは絶対にしてはならない。手続きを白紙に戻し、住民との話し合いをただちに再開することを強く求める。

回答

A1 いわゆる凍結発言は、昭和45年の参議院建設委員会において当時の建設大臣が、「いま私がこの地位にある限りにおいでは、地元と話し得る条件の整うまでは、強行すペきではない。だからその間においては、しばらく凍結せざるを得ない。」と答弁したことを指しており、その後、地元住民との話し合いができない状況が続きました。
 平成11年の石原知事の現地視察以降、地元等と約350 回の話し合いを重ねるとともに、大深度地下へ構造を変更するなど、当時の状況とは異なっていると認識しています。

A2 平成13年5月の参議院国土交通委員会において、扇国土交通大臣が、30年以上計画が放置されたことについて遺憾の意を表明しています。その上で、「外環について、計画のたたき台をもとに住民の皆様のご意見を聞いて、これを計画の中に取り入れていきたい」と発言しています。

A3 平成18年4月17日に開催された東京外かく環状道路(関越道〜東名高速)沿線区市長意見交換会では、外環道の必要性について、「大深度地下方式により早く安くつくることが重要」、「首都圏の道路交通機能面において、都市計画上の必要性は認識」、「必要性については一定の理解」などの意見が、出席した区市長から出されました。
 国と都は、地域の意見、区市長の意見等を踏まえて、総合的な検討を行い、外環道整備の必要性についての概ねの理解は得られたものと判断しました。

A4 青梅街道インターチェンジを設置することにより、10分以内にアクセスできる地域住民が21万人増加すること、高速道路利用者の旅行時間が短縮されることなど利便性の向上や、環八 、吉祥寺通り等一般道路の交通量が減少するなどの効果があることから、地元の意向も踏まえたうえで、国と都が必要と判断し、提案しています。

A5 外環道に対し、関連する団体から様々な御意見を頂いていますが、それぞれ適切に対処しました。
 話し合いや合意づくりについては、都は国とともに、計画め具体化に向け、外環沿線協議会・会議のみならず、オープンハウス、意見を聴く会等を開催し、あらゆる機会をとらえて行ってきました。

A6 平成18年6月6日から27日にかけて行った説明会では、都市高速道路外郭環状線の都市計画案と環境影響評価準備書について説明しました。説明会参加者から地上部街路に係わる質問に対しても、誠意をもってお答えしました。

A7 外環道について、これまで外環沿線協議会・会議や意見を聴く会など幅広く地元との話し合いを行うとともに、沿線区市長からも意見を伺ってきました。今般、外環道整備の必要性や地下化について、慨ねの理解が得られたと判断し、都市計画変更案を提案しました。引き続き、地元の理解と協力が得られるよう努めていきます。

A8 都市計画と合わせて行う環境影響評価は、環境影響評価法に基づき、事業予定者である国土交通省関東地方整備局と協力してとりまとめました。
 環境影響評価準備書では、事業予定者の考え方を踏まえ、外環道の供用を平成32年度としています。

A9 外環道は、首都圏の交通混雑緩和、環境改善、東京の再生に必要な道路であり、早期整備が不可欠です。
 環境影響評価準備書では、工事中の予測・評価も行うため14か年の作業工程表を表示し、外環道の供用を平成32年度としています。

A10 外環道は、国上開発幹線自動車道の予定路線であり、国土交通省が事業予定者となっています。
 なお、都市計画と合わせて行う環境影響評価準備書は、環境影響評価法に基づき、事業予定者である国土交通省関東地方整備局と協力してとりまとめました。

A11 いわゆる地上部として計画されている都市計画道路外環ノ2については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示し、地元の意見を聴いている段階であり、都市計画案として提案したものではありません。
 今後、国や沿線自治体などと早期に結論が得られるよう検討を進め、必要に応じて都市計画変更等の手続を行っていきます。

A12 外環ノ2 については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示したパンフレットなどを作成し、説明会などの機会に説明し、地元の意見を聴いている段階です。
 出来る限り早期に国や沿線自治体などと検討を進め、結論が得られるよう努めていきます。

A13 国土交通省は外環本線の立ち退き戸数を約1,000棟と公表しています。一方、外環ノ2については、現在、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を地元に示している段階であり、立ち退き戸数は推計していません。

A14 国土交通省は類似の道路整備事例を参考に外環本線の事業費を約1兆2,500億円と推計してしています。このうち、青梅街道インターチュンジの事業費は約1,000億円と推計しています。×
 外環道は国土開発幹線自動車道め予定路線であり、国がその責任において整備すペき路線と考えていますが、整備手法などについては現段階で決まっていません。
 また、地上部街路については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示し、地元の意見を聴いでいるところです。

A15 外環道は、国上開発幹線自動車道の予定路線であり、国上交通省が事業予定者となっています。
 国土開発幹線自動車道の建設主体等については、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、国土交通大臣が決定することになります。

A16 外環道の環境影響評価の委託は、事業予定者である国土交通省が行っています。大気質などの環境影響の調査、予測・評価については、項目別に複数のコンサルタントに委託されていますが、このうち地形・地質のみが圏央道と同じコンサルタントになっています。
 外環道の環境影響評価準備書の妥当性等については、住民からの意見書及び区長、市長の意見を踏まえたうえで、東京都環境影響評価審議会において審議されることになります。
 また、環境影響評価準備書などのデータについては、東京都のホームページ及び国土交通省東京外かく環状道路調査事務所のホームページで公表しています。

A17 外環道については、現在、手続中の都市計画変更が決定された後、事業予定者である国土交通省が、具体的な設計を行うことになります。
 八の釜憩いの森の代償措置は、外環道の設計を基に、練馬区の教育委員会、公園管理者などの意見を聴きながら検討していくことになります。

以上