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文書質問

一、「横田基地の全面返還」と「首都における防災訓練のあり方」について

2006年12月13日
古館 和憲(板橋区選出)

1 いま、アメリカがおこす戦争に自衛隊を世界のどこにでも参加させる体制づくりが「米軍再編」の名のもとですすめられています。この「米軍再編」は、「朝鮮戦争以来の大規模な再編」といわれ、日本の自衛隊を米軍勢力の一員として、その指揮下に組み込んでいく。そのために全国135カ所の米軍基地を自衛隊も取り込んで、再編強化するというものです。今回の日米合意で、横田基地については、米軍が引き続き居座り続けるとともに、自衛隊も居座らせて共同使用するーーすなわち、基地の永久化・固定化が具体化されようとしています。
 この米軍再編計画にたいして、石原知事は「軍軍共用化はやむをえない」として、いち早く横田基地の再編計画を容認する態度を取りました。
 しかし、石原知事は七年前、知事選の立候補に当たって「横田基地の返還」を公約にかかげ、00年の第一回定例会で、知事は「横田基地についての都の最終目標は、あくまで返還であり・・・国に対して返還を求めていく」と、明確に答えています。

Q1、いま石原知事に問われていることは、知事の公約に照らして、基地の返還にむけて努力することではありませんか。はっきりとお答えください。また、横田空域の返還については都民の世論の中で、一部返還が可能になることが明らかにされましたが、横田空域についても全面返還にむけてさらに働きかけを強めることを求めます。

 平穏な生活と安全が脅かされ続けているのは、地域の住民です。しかもいま、基地騒音ばかりか、航空機事故などの危険要因として基地周辺の住民を不安にさせているのが、日本などに飛来している米軍機に劣化ウランなど放射性物質が使用されているとのマスコミによる報道です。それによると「いずれの物質も人体への被曝があれば放射線障害がおきる」とされています。04年には、沖縄国際大学で起きた米軍ヘリ墜落事故でも放射線物質が燃え、住民の健康不安を招いたことは記憶に新しいことです。

Q2、劣化ウランの軍用機での使用について、都としても米軍に使用実態の公開を求めるとともに、使用が明らかになった場合の乗り入れの規制などについて、国への働きかけを行うなど、安全性についての調査を求めます。

 また、日本経済新聞10月29日の一面で、在日米軍がミサイル防衛の中核をなす地対空誘導弾パトリオット3ミサイルを首都圏の米軍基地に配備する検討を始めたとする記事を配信しました。「日本政府への非公式な連絡」としつつも、その候補地に横田基地、横須賀基地があがっているとのことです。

Q3、これらの報道について、先の決算委員会の場では、防衛庁として「承知していない」とのことでしたが、地対空ミサイルの配備についてはその後、どのような状況になっているかを改めてただしていただきたい。また都として、パトリオット3ミサイルについて、その配備に反対である旨を関係機関に申し入れすべきです。

2 次に、二00六年九月一日におこなわれた「東京都・足立区合同総合防災訓練」についてです。

 この防災訓練は、首都圏の八都県市(東京・神奈川・千葉・埼玉の各都県、横浜・川崎・千葉・埼玉の各市)合同での防災訓練であり、第27回目を数えました。

 今回の「防災訓練」では「帰宅困難者」対策が大きな目玉として実施され、とりわけ突出した形で行なわれたのが自衛隊護衛艦とともに、米第7艦隊所属のフリゲート艦「ゲイリー」が出動したことです。
 この出動にかかわって、8月4日の記者会見で石原知事は「米軍は今までもやっているが、海軍も来いと言ったんです」「ぼくは空母艦もってこいと言ったが、そうはいかないらしいが」と述べました。

Q4、この発言は、いつ、誰にたいしておこなったものか。また、防災訓練に米軍艦船を参加させることについて、誰が、いつ考えたのか明らかにされたい。

 防災訓練当日、驚きだったのは米軍艦船が、足立会場から移動してきた「帰宅困難者」を運ばず、晴海に待機していた帰宅困難者に見立てた都職員であったことです。

Q5、これは、明らかに知事の行程を最優先してのことではなかったのか。明らかにされたい。

Q6、また、米軍のヘリコプターが医薬品の輸送をおこなったが、医薬品の輸送にあたる仕事は本来、消防などの災害対策用ヘリコプターではないのか。さらに、横田基地を全国からの終結基地としていましたが、緊急事態を想定した場合、立川防災基地や調布飛行場、羽田、成田などの空港を活用することがなぜできなかったのか、あわせてお答えいただきたい。

Q7、東京都地域防災計画(震災編)、また「東京都震災対策事業計画」(17年〜19年度)でも、「図上訓練の実施」は、「国、警察、消防、自衛隊などの防災機関の協力をえて取り組む必要がある」としており、米軍の出動などは一切想定されていないではないか。

 いうまでもなく、在日米軍の任務は、朝鮮半島から中東に及ぶ「不安定な弧」にむけて侵攻戦争をおこなうための軍隊であって、本来、日本政府や自治体の管理に服する必要などないものです。自治体と住民主体の防災訓練にとって、このような侵攻戦争の任務をもった米軍の出動は、もっともなじまないものであることを厳しく指摘しておきます。

 自衛隊が装甲自動車の渡航訓練や、自衛隊テントで中学生が「ボランティア」の腕章をつけてカレーライス配りなどをしていたことに少なくない参加者から疑問や批判の声があがっていました。

Q8、首都における防災訓練は、あくまでもその中心に住民と自治体をすえること。そのための都としての第一義的任務は、東京都が有しているさまざまな能力をフルに活用することです。首都警察としての警視庁はもとより、「21世紀 新たなる前進 首都東京の防災」を行政目標に掲げている東京消防庁などの役割に正当な光を当てることだと考えるがどうか。

二、都職員を増やし働きやすい環境を

1 都はこれまでも職員定数を削減し続けてきましたが、石原都政のもとで二次にわたって都職員の人員削減をしつづけてきました。削減対象は正規職員だけでなく、定数には含まれていない非常勤職員、臨時職員なども対象として容赦なく減らしつづけてきました。その結果、この三年間で4000人の定数削減目標を大幅に超過達成させ、いままた「行財政改革実行プログラム」によって、これから三年間でさらに4000人もの定数削減計画をうちだしています。

 こうしたなかで、多くの職場で慢性的な超過勤務が強いられ、業務体制、業務計画も残業を前提としたものにならざるをえないなどの実態が広がっています。欠員が補充されないままの勤務が連続的に続くことによる加重負担などで、たとえば長期病欠に追い込まれている職員は、01年、1208人でしたが、05年度は2099人と年をおって多くなっています。

Q9、今後、団塊の世代などによる大幅な退職時期を迎える中で、さらに職員を削減していく計画は、都民生活をまもるという都政としての基本的な使命からみても逆行としか言いようがありません。4000人の定数削減計画は撤回し、増員することを求めます。

2 さらに、いま職場から共通してあげられている声の一つが、超過勤務状態が慢性化している事態を是正してほしいということです。しかも重視しなければならないことは、それにともなってサービス残業が横行していることです。これは職員組合などからも「サービス残業の根絶」が強い要求としてだされています。

Q10、働いた対価としての賃金が払ってもらえないという、いわゆるサービス残業は法律違反ではありませんか。

Q11、ただちに、是正措置をとるとともに、超過勤務の実態把握を全庁的に実施し、その結果を明らかにすること。また、超過勤務のカード入力の導入を直ちにおこなうことを求めます。

また、都が採用している一般事務の臨時職員などの賃金については、ここ数年間時給で785円に据え置かれており、増額が求められています。この785円という金額は、東京労働局が決めた最低賃金の719円を上回ってはいますが、それにしても低すぎます。東京23区の自治体では、平均額が一時間当たり880円台で、三多摩でも830円台です。都が785円では、あまりにも低すぎるのではありませんか。

Q12、一般事務の臨時職の賃金を少なくとも23区平均の880円相当に引き上げることを求めます。

Q13、また、都として委託業者に雇用された賃金について、どのような水準になっているかもあわせて調査し、引き上げることを求めます。

三,都施設の改善について

 都民と直結した建物や施設の改築、改善などは待ったなしの課題です。
 都営住宅について現在の管理戸数の6割強が旧耐震基準のままになっています。これらの住宅は耐震化されているかどうかについて、これから調査するとしています。

Q14、この計画については08年度から始める予定ですが、オリンピック事業に毎年1000億円も積み立てる計画よりも都営住宅などの耐震化調査を速やかに実施し、必要な補修・補強をただちに実施することを求めます。

Q15、また、同時に、老朽施設や使わなくなった建物などについては廃止するのではなく、耐震補強など必要な改修などの対策をとり、大いにいかしていくことを求めます。

 さらに動物愛護相談センターの老朽化に加えて収容動物多種類の品質や年齢、性別に対応できていないこと。松沢病院をはじめとする老朽病棟の改修と建替え、駒込病院の脱衣場の床、シャワー・浴槽の改善をはじめ、多くの改築、改修・改善の声が現場から上がっています。都税事務所の出先の各庁舎、とりわけ建築年数が旧い中央、立川、足立をはじめとする少なくないところで、この間に天井が落下したり、漏水、停電などの事故が発生するなど深刻です。老朽化とともに、地震対策、騒音対策をすすめ、事務・書庫や休憩室の狭隘化。今後のIT化への対応など、職員の健康確保だけでなく来庁者にたいする接遇の点でも改修や改善が急がれているところが少なくありません。

Q16、都はこれまで、財政難を理由にこれまで耐震や補修改善を先送りしてきましたが、今そのツケけが回ってきています。庁舎をはじめとする諸施設の改築や改修については、そこで働く職員が一番熟知しています。職員の声を聞くシステムを確立して、適切に対応することを求ます。

【答弁】

A1 都の米軍基地に対する基本姿勢は、「整理・縮小・返還の促進」であり、横田基地については、返還までの対策として軍民共用化を目指すものです。また、横田空域の返還については、2006 年5 月に合意された米軍再編のロードマップにおいて、一部空域を2008 年9 月までに返還することとされ、2006 年10 月に返還空域が特定されたところです。さらに、全面返還についても、必要な条件の検討を2009 年度に完了することとされています。都としては、一部返還が着実に実行されるよう注視していくとともに、早期全面返還の実現に向け、引き続き国に対し積極的な取組を求めていきます。

A2 米軍における航空機の劣化ウランの使用実態について、国に照会しましたが、国では、米軍から「航空機の安全面については、周辺住民に影響を与えないよう製造している」と回答を得ているとのことでした。なお、劣化ウランの人体及び環境への影響については、世界保健機構などで調査が行われていますが、人体及び環境への影響に関して確定的な結論が出ているとは言えない状況です。

A3 地対空誘導弾パトリオット3ミサイル(PAC3 )配備について、国に照会していますが、首都圏の米軍基地に配備するよう申し入れた事実はないとの回答を得ています。
 また、平成18年11月3日付の米軍機関紙「スターズ・アンド・ストライプス」によるとライト在日米軍司令官が「PAC3 のミサイル防衛について、東京への配備計画はない。」と明言しています。

A4 都は、これまで横田基地や赤坂プレスセンターを活用した訓練を実施してきましたが、今回の訓練では、在日米軍の参加を検討し、平成18年6月15日に知事から在日米軍司令官及び米海軍第7 艦隊司令官に対し、要請しました。

A5 今回が、在日米軍にとっては、はじめてのケースであったことから、混乱を避けるため、乗船する帰宅困難者は都職員としました。

A6 災害時には、あらゆる手立てを講じて、被災者の救援に当たることが重要です。
このため、災害時の救援活動に必要となる人員、資機材、輸送能力などを有する在日米軍に対し、へリコプターによる物資の輸送を要請しました。
 また、立川防災基地や調布飛行場では、大量輸送が可能な大型航空機の離着陸が不可能なため、横田基地を輸送拠,点とした訓練を実施しました。

A7 地域防災計画には、国外からの支援について明記していませんが、災害時における国際人道支援は世界の共通認識となっており、大規模災害では、国内のみならず国外からの支援活動が実施されています。
 このため、今回の訓練では、在日米軍及びソウル特別市災害レスキュー隊による国外支援を想定した訓練を実施しました。

A8 都は、これまで、住民による自助・共助と、これを支える防災機関による公助を基本とし、総合的な災害対応能力を高めることを目的に、防災訓練を実施しています。
 今回の訓練においても、257 機関、27,400 人の参加を得て、避難誘導、初期消火など、住民による自助・共助の訓練を行うとともに、都が各防災機関と共に、相互に連携した救助活動訓練などを実施しました。

A9 職員の大量退職や少子化による労働市場の縮小などの現実を考えると、より少ない人材で、都民サービスの一層の充実を図る組織体制を築いていかなければなりません。
 そのため、全庁を挙げて、簡素で効率的な執行体制の整備や事務事業の見直しを行うとともに、多様な経営改革手法の積極的な導入、公営企業の抜本的な改革などの取組を進め、さらなる職員定数の削減に取り組みます。

A10 都における職員の超過勤務は、管理職による事前命令、事後確認に基づき超過勤務命令簿により適正に管理しており、随時、各局に対して通知し、指導を徹底しています。
 超過勤務の縮減についても、今後とも、管理職による超過勤務時間の管理を徹底していくとともに、全庁一斉定時退庁日やノー超勤ウィークの効果的な実施など、具体的に取り組んでいきます。

A11 超過勤務は、超過勤務命令簿により事前命令、事後確認を行っており、適正に管理されています。今後ともその徹底を図っていきます。

A12 一般事務補助に従事する臨時職員の賃金については、予算の範囲内で各局において決定することとされています。
 なお、財務局では予算上の参考単価として、国や他団体の賃金状況や都人事委員会勧告内容などを総合的に勘案して適切に定めており、平成19 年度で日額6 , 310 円としています。

A13 従業員の賃金の額は、会社の経営上の意思決定の結果であり、受託会社の問題です。
 受託会社にはそれぞれの会社の給与規定があり、それに基づいた給与が支払われているものと考えています。

A14 旧耐震基準で設計された都営住宅については、建替え対象を除く約3,200 棟の耐震診断を平成24 年度を目途に行うとともに、耐震改修についても必要に応じ、順次、実施することとしています。

A15 事業の見直しにより不要となった施設は、新たな用途に転用するなど有効活用を図っています。
 また、老朽化した施設を使用する場合は、設備の更新や耐震性能の向上などの改修を図っています。

A16 これまでも施設管理者などからヒアリングを行い、施設の利用状況などを把握した上、改築・改修を行っています。

以上