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文書質問趣意書

東京外かく環状道路について

2006年12月13日
松村友昭(練馬区選出)

 石原知事は、所信表明で、「10年後のオリンピックに備え、首都圏を巡る幹線道路をモータリーゼーションの時代にふさわしい形で完成させる必要」をぶち上げて、持続可能な社会のため、脱車社会をめざす世界の流れとまったく逆立ちした方向に踏み出そうとしています。
 とくに、外かく環状道路について、国の"凍結宣言"もないがしろにし、国土開発幹線自動車道建設会議の審議もないまま、早期事業家を図るとして、アセス準備書や計画変更案の公告縦覧から半年もたたない11月16日には、環境影響評価書案を国に提出、都市計画変更案についての関係区市長からの意見照会の回答期日を来年1月12日までとしています。
 その上、来年早々、国から外環の「環境影響評価書」が提出され次第、次回の都都市計画審議会にかけて結論をだそうなどという異常な形で都市計画手続きを進めています。
 沿線区市長共同声明は、「外環の都市計画の変更は事業着手に道を開くものである以上、現段階での充分な検討と地元住民からの理解を得ることが不可欠である。沿線各区市にとって外環計画は単なる道路計画ではなく、外環整備の結果としてまちづくり全般への大きな影響が予想され、この点から充分な検討なくして沿線住民からの理解は得られない」としています。

Q1 地元自治体と十分協議し、沿線地域住民に十分な説明と最大限の情報提供、理解を求めるべきです。見解を伺います。

 アセスと都市計画変更案が公告縦覧されて以来この半年間、都民からの意見が2、483件、「環境影響評価準備書」にかかわる都民の意見を聴く会では、27名の意見口述がありました。
 これらの意見の中には、「外環の目的をもっぱら交通渋滞の解消としますが、国土交通省の道路交通センサスを使って詳細に調べてみたところ、3環状道路、圏央道、外環、中央環状線の既存区間において、周辺道路で交通量の減少効果が見なられないうえ、道路新設部分で、さらに交通量が増加しています。事業を進める前に過去の事例を検証するべきだ」「八王子城跡のトンネル工事が計画どおりにいくであろうというふうに技術的に評価されても、現実的にはあれだけの水に対する影響、完全な環境破壊を起こしてしまった。そういうことが現実に起こるわけなので、流動保全工法にしても、十分に実証された段階で今度のような大工事に適用すべきではないか」など、いくつもの計画の基本にかかわる問題が質されています。

Q2 手続きをすすめる前に、これらの都民の意見に対する見解を明らかにすべきです。

Q3 また、すでに国に提出されている「環境影響評価書案」に、準備書の記載事項にどのように検討が加えられ、「環境影響評価書案」が修正されたか都民に明らかにすべきです。

Q4 法アセスでは、事業者が「環境影響評価書案」を提出してから90日以内に国から回答されるとなっていますが、国の「環境影響評価書」が示されたら、ただちに都民に公開して、都民の意見を求めるべきだと考えますが、それぞれ見解を求めます。

 外環の現計画が多くの立ち退きなど、あまりにも住民生活を犠牲にするもので、事業化不可能であることは明らかな中、大深度地下利用による地下式への構造を見直す案が出されたが、この時点で、外環上部道路の「外環その2」も今後検討するなどという都の見解にだまし討ちだとの大きな怒りの声が湧き起こっています。
 外環計画に関する沿線区市長共同声明でも、「外環の2の扱いについては、現時点では今回の(外環本線の都市計画変更を是とするかどうか)の検討と切り離して考えることが出来ない課題となっている。」としています。

Q5 外環その二の都市計画をただちに廃止し、その上で外環本体の必要性の可否について、都民とともに検討すべきであると考えるが、見解を求めます。
 外環の都市計画変更案が、環境を破壊する計画となることの象徴とも言えるのが、「八の釜憩いの森」の消失です。
 私の家から歩いて5分程度に位置するこの湧水地を、近隣の子ども達は、地獄谷と呼んで、その神秘的な自然を宝物のように畏敬していました。その規模も当時よりだいぶ縮小されましたが、五十年間昏々と湧水が湧き続けているこの場所を区も保存し続けています。

Q6 ここが消滅するなどということがあってはならないと考えますが、代償措置をとるとはどういうものか、具体的に都民に提示し、その是非を問うべきです。

 以上、いくつかの点を質しましたが、いずれも住民、及び自治体の理解も合意も取れていません。

Q7 こうした状況の下で、次回都計審に「外かく環状道路」案件を付議するなどという拙速は断じて許されないと思いますが、見解を伺います。

【答弁】

A1 平成18年10月25日に出された沿線区市長共同声明では「首都圏における環状道路について、幹線道路の渋滞緩和等の観点から、その必要性を認識するものである。また、現在外環計画の中で検討されている地下方式を基本とする計画案についても、一定の評価を行うものである。」とされています。
 その上で「外環計画については、引き続き沿線地域住民に十分な説明を行うとともに、最大限の情報提供を行い、理解を求めること。」としています。
 都はこれまで、地元と380 回以上の話し合いを重ねるとともに、沿線区長・市長との意見交換も行ってきました。
 今後とも、共同声明を踏まえ、国や沿線区市とともに情報提供、説明に努め、住民の理解と協力を得て、外環道の早期整備を目指していきます。

A2 外環道の環境影響評価準備書に対する意見書の概要及び都市計画決定権者の見解については、平成18年8月9日に東京都知事(環境局)及び沿線7 区市長へ送付するとともに、記者発表やホームページなどにより公表しています。
 また、都市計画変更案に対する意見書の要旨及び見解については、都市計画法の規定に基づき、東京都都市計画審議会に提出します。

A3 環境影響評価書は、準備書からの修正内容も含め作成した後、法の規定に基づき、東京都都市計画審議会に都市計画変更案と合わせて付議し、答申を得た後に1 か月間縦覧します。

A4 外環道の環境影響評価書は、今後、法の規定に基づき、東京都都市計画審議会に都市計画変更案と合わせて付議し、答申を得た後に1 か月間縦覧します。

A5 外環ノ2 については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示したパンフレットなどを作成し、地元の意見を聴いている段階です。今後、国や沿線自治体などと早期に結論が得られるよう検討を進めていきます。
 また、外環本線については、これまでの地元との話し合いや沿線区長・市長との意見交換などの取組を踏まえ、外環道整備の必要性や地下化について、概ねの理解が得られたと判断し、平成18 年6 月から都市計画変更及び環境影響評価の手続を進めています。

A6 八の釜憩いの森については、外環道の設計を基に、練馬区の教育委員会、公園管理者などの意見を聴きながら、その代償措置を検討していくことになります。
 なお、外環道の設計については、現在、手続中の都市計画変更が決定された後、事業予定者である国土交通省が具体的に行うことになります。

A7 外環道は首都圏の交通混雑の緩和や、環境改善のみならず、都市再生にとっても不可欠な道路です。
 これまで外環沿線協議会及び同会議や意見を聴く会など幅広く地元との話し合いを行うとともに、沿線区長・市長からも意見を聴いてきました。
 こうした取組を重ねた結果、外環道整備の必要性や地下化について、概ねの理解が得られたと判断し、平成18 年6 月から都市計画変更及び環境影響評価の手続を進めてきました。
 今後、都市計画審議会へ付議するとともに、地元の理解と協力を得ながら、外環道の早期事業化に向け取り組んでいきます。

以上