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第4回定例会 討論 二〇〇八年一二月一七日

村松みえ子(日野市選出)

 日本共産党都議団を代表して、第二百二十七号議案「都立老人医療センター条例を廃止する条例」ほか二十一議案に反対し、議員提出議案の「高齢者の医療費の助成に関する条例」ほか二議案に賛成する立場から討論を行います。

 今定例会では、アメリカ発の金融危機からはじまった景気後退と、大企業による雇用破壊に苦しむ都民のくらしを、都が全力でささえることが強く求められました。
 知事提出の補正予算は、公的雇用の創出、離職者への無利子融資、信用保証料の半額助成など、わが党がくりかえし求めても都がやろうとしなかった都民要望が盛りこまれました。さらに、中小企業向けの道路補修などの前倒し発注、連鎖倒産防止対策、福祉施設の耐震化助成や経営支援など、全体としては都民要望の実現に一歩ふみ出すものであり、賛成です。
 同時に補正予算には、住民の反対が強い大型道路の用地買収費がふくまれており、年度内の中小企業への発注にもつながりません。日本共産党は、この部分を地元要望も強く中小企業発注の多い市町村土木補助と公園整備への予算組み替えを提案しましたが、賛同が得られなかったのは残念です。
 同時に、一歩前進とはいえ、補正金額や内容は、都民のくらしや営業の深刻さに比べ極めて不十分です。日本共産党は今後より本格的なくらし・雇用・中小企業対策の前進のために力をつくすものです。

 今議会で、小中学生の医療費無料化に向けて、市町村財政に支障をきたさないよう必要な措置を取ることが表明されたことは重要です。市町村の負担増なしに、入院、通院とも無料化を早急に実施することをつよく求めるものです。
 また、都営住宅の家賃引き上げの一年延期、公社住宅の継続家賃引き上げの延期が示されたことも重要です。東京都は都営住宅等の新規建設をかたくなに拒否する態度をあらためるとともに、入居基準改悪の撤回を国に要求するなど、都民の居住権を保障することに力をそそぐべきです。

 大企業による雇用破壊は今議会中にも異常なスピードで広がり、採用内定取り消しも大学生にとどまらず都立高校生にまで及んでいます。知事はわが党の質問に、非正規労働者の解雇は「企業があらゆる手立てを講じたあとにおこなうべき」と答え、内定取り消しも「社会全体にとっても大きな損失となることから企業として軽々に行うべきではない」と答えました。
 ソニーが一万六千人の解雇を打ち出すなど事態はますます深刻化しています。いま、実効性のある対策を講じなければ、将来にわたる悔いを残すことは明白です。いまこそ、大企業の雇用破壊に対し、知事自ら行動を起こし、リストラ撤回と安定雇用を強力に働きかけるようあらためて求めるものです。

 日本共産党は、都民の福祉とくらしを守るため、三つの条例案を提案しました。
 都立高校授業料条例の一部改正は、勤労世帯の平均収入が二〇年前の水準まで低下していることに対応して、都立高校授業料を引き下げるものです。高齢者医療費助成条例は医療費が家計を圧迫している高齢者の医療費の負担軽減を図るものです。
 心身障害者医療費助成条例の改正は、石原知事が停止した六五歳以上の新規申請を再開するものです。各会派のご賛同を求めるものです。
 福祉保健局長は、七五歳以上の医療費無料化に踏みきった日の出町にたいし、あえて「違和感を覚えざるを得ない」と発言しました。これは自治体独自の医療費助成を否定する偏っ(かたよつ)た立場から、自治体に干渉する暴言であり、発言を撤回し、謝罪すべきです。

 日本共産党は、都民のくらしを守り、福祉を充実させる提案をおこないました。都税収入はバブル崩壊後の落ち込んだ時期より一兆円規模でうわ回っています。オリンピック基金をはじめ一兆六千億円におよぶため込みや、無利子貸付金の返済金などもあります。さらにバブル前の二倍に及ぶ投資型経費、オリンピックを口実にした過剰なインフラ整備などメスをいれれば、必要な財源は十分確保できることを申し述べておくものです。

 石原知事が都政に持ち込んだ都政版「構造改革」による民間手法の導入やアウトソーシングの失敗があいついで明らかになりました。営利企業の認証保育所で虚偽申請があいつぎ、開設わずか二ヶ月で閉園し、認証がとり消しになる事態も生まれています。知事が「不正行為はごく一部」として小手先の対応ですまそうとしていることは、許されません。被害者は子どもたちです。今回、明らかになったのは、保育から利益をあげることを公然と認めた認証保育所制度の構造的欠陥であり、営利企業の参入中止と制度の抜本的改善を求めるものです。
 都立病院改革の失敗もはっきりしました。墨東病院だけでなく、都立病院や公社病院で、産科をはじめ診療休止、病棟閉鎖がつづいています。国の医師養成抑制政策の責任と同時に都立病院の医師の給与を全国最低水準に落とし、小児・産科の病院を次々廃止するなど、コスト最優先に都立病院のリストラをすすめてきた石原知事の責任もまぬがれません。
 今こそ立ち止まって、コスト削減最優先のやり方を見直すべきにもかかわらず、知事は新たに、老人医療センターなどの独立行政法人化を提案しました。これは、世界的な実績を誇る医療・福祉・研究一体の体制を解体させ、病院経営本部さえ足を踏みだせないでいる独立行政法人化をまともな検討もなくもちこむものです。病床を大きく減らし、運営交付金の削減、職員の非公務員化をすすめることは、都民サービスの大後退につながるものです。
 東京都が、「構造改革」路線を撤回し、自治体の公共サービスを守り抜く本来の姿に立ち戻るべきことを、つよく求めるものです。

 新銀行の問題では、日本共産党はブリーフィング会議の内容をもとに、知事と東京都によるマスタープランおしつけこそ経営破たんの最大の原因であることを明らかにしてきました。今議会でわが党は、ブリーフィング会議記録による都と銀行側の具体的やりとり、すなわち都の幹部が、金融庁が禁止しているにもかかわらず、自己破産した者に時期をおかずに融資すること、これに対し銀行側が株主代表訴訟に訴えられると拒否しても、都は訴えないから、とまでいってせまったことをただしました。都は発言の事実を否定するどころか「マスタープランを尊重するよう要望するのは当然」とこれを当然視する答弁までおこなったのです。設立者としての都の発言は絶対的なものであり、銀行経営に素人の東京都が、ここまで口を出してゆがんだ方針をおしつけたことが、新銀行破綻の大元にあったことは疑いないではありませんか。
 都議会議員の口利きに問題がないかのような答弁も、根拠も示せない、ごまかしであったことが浮きぼりになりました。
知事が乱発した「零細企業の支援のため」という言い訳も、九月期中間決算で中小企業融資が四割に過ぎず、零細企業への融資実績も示せなかったことで、ごまかしだったことがあらわになりました。知事は、自らの責任を認め、口利き、乱脈融資の実態を明らかにするとともに、新銀行からの速やかな撤退を決断すべきです。
 また、わが党が提案した、新銀行の早期破たん処理を求める決議案に、自民、公明、民主の各党が反対したことは、都民の批判をうけることを指摘しておくものです。

 日本共産党都議団は、国政も都政も大きな変革を求める国民・都民の世論と運動とかたく連携し、都民要求実現と、都民本位の都政への一日も早い転換をめざす決意を申し上げて、討論を終わります。

以上