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文書質問趣意書

2008年12月15日
植木こうじ(中野区選出)

1、認証保育所制度の改善について

 株式会社日本保育支援協会の「じゃんぐる保育園」(荒川区)、小田急グループの「小田急ムック成城園」(世田谷区)の職員水増しなどの虚偽申請につづき、株式会社エムケイグループの「ハッピースマイル東中野駅前園」(中野区)についても同様の虚偽申請疑惑が、日本共産党都議団の調査で明らかになりました。
 「じゃんぐる保育園」は虚偽申請で初の認証取り消し処分となりましたが、わずか8ヶ月後に「ハッピースマイル東中野駅前園」が、事業者側の一方的な都合で、突然、閉園したことを理由に、2例目の認証取り消し処分となりました。
 子どもたちの給食の食材費を、一食あたりわずか数十円におさえていた認証保育所も明らかになっています。
 これらの問題は、営利企業の参入を促進し、保育から利益をあげることを公然と認めている認証保育所制度の構造的欠陥が表面化した、氷山の一角にすぎません。この立場から、日本共産党都議団はつぎの7点について、都に申し入れをおこないました。

@営利企業による認証保育所の全面的な実態調査を、緊急におこなうこと。
A虚偽申請などの不正が明らかになった場合、介護保険と同様、その企業が運営する系列園全部に同じ処分を適用する「連座制」を、認証保育所にも導入すること。
B認証審査や指導検査を、書類審査だけでなく実効性があるものへ、抜本的に改善すること。
C認証保育所の施設・設備、園庭の代替公園、職員配置などの設置・運営基準を拡充・強化すること。
D補助金と保育料による運営費の使途基準を、認可保育所と同じ基準で明確に定め、株式配当などに使うことや、借金の担保にすることは禁止すること。
E今後、認証保育所、認可保育所を問わず営利企業の保育への参入は中止し、非営利原則を明確にすること。
F待機児解消は公立・私立の認可保育所の増設を基本にすえ、用地助成の創設をはじめ、施設整備費、運営費への財政支援を拡充・強化すること。

 さらに、第4回定例会の日本共産党都議団の代表質問で、使途基準の明確化を中心に質問しました。
 被害者は子どもたちであり、絶対に見過ごしにすることはできない問題です。ここでは、都として明らかにすべきこと、緊急に改善すべきことにしぼって、質問します。

Q1 初の認証取り消しになった、株式会社日本保育支援協会の「じゃんぐる保育園」について、都としておこなった調査の内容と、その結果の全容を明らかにするよう日本共産党都議団は求めてきましたが、いまだに全容は公表されていません。第三者機関などによる徹底調査をおこない、調査結果の全容を公表し、教訓を明らかにすることは、不正や不祥事への対応の基本です。「じゃんぐる保育園」に対する調査内容と調査結果の全容を公表することを求めるものです。

Q2 2例目の認証取り消しになった「ハッピースマイル東中野駅前園」は、開設からわずか2ヶ月で突然の閉園にいたった理由も、株式会社エムケイグループの経営・財務の実態も、いまだ明確になっていません。日本共産党都議団が明らかにした虚偽申請疑惑についても、都は調査中と答えています。「じゃんぐる保育園」の前例を見ると、このままでは、エムケイグループが経営難におちいった本当の理由や、虚偽申請の実態について、詳細が公表されないままになることを危ぐせざるをえません。株式会社エムケイグループに対する調査内容と調査結果についても、すみやかに全容を公表すべきと考えますが、どうですか。

Q3 認証保育所の認証審査会は、メンバーも、開催日時も、審議内容も非公開です。「じゃんぐる保育園」や「ハッピースマイル東中野駅前園」を認証した審査会自らの責任についても、何ひとつ明らかにされていません。少なくとも、これらの園について認証の時に、どういう審査結果だったのか、認証取り消し処分について、どういう審査をして決定したのかなど、できるかぎり情報公開するよう改善することを提案しますが、どうですか。

Q4 エムケイグループの虚偽申請疑惑を調査する中で、中野区は、開設申請時の職員名簿について、事業者が都に提出するものであり区は所持していないと回答しています。これが事実なら、申請が正しいかどうか、区は認証保育所事業の実施主体であるにもかかわらず確認しようがありません。事業者から都に提出された申請書類、および都が認証審査会に提出した申請書類と同じものを、区市町村が所持できるようにする必要があると思いますが、どうですか。

Q5 開設後の東京都への変更届は、施設長の変更は届出が義務づけられていますが、保育従事職員の変更は届出の必要がありません。これでは、認証保育所の開設後、実際の職員配置が基準を満たしているかどうかのチェックは区市町村まかせで、都は1〜2年に1度おこなう定例の立ち入り検査で把握するしかありません。都が認証した責任をはたすためには、保育従事職員の変更についても都に届出を義務づける必要があると思いますが、どうですか。

Q6 認証保育所A型には、社会福祉事業について知識経験を有する者や、保護者などによる運営委員会の設置を義務づけていますが、ほとんど機能していません。運営委員会は、なぜ設置を義務づけているのですか。

Q7 運営委員会を毎月ひらいているのが何園あるのかなど、開催状況を明らかにしていただきたい。

Q8 運営委員会の開催状況とその内容の要旨がわかる記録を、都に提出するようにすべきではありませんか。

Q9 都は、東京都認証保育所事業実施要綱で、補助金の対象は運営費とされているので、補助金を運営費いがいに使うことは認められないと言いますが、要綱の「19 費用の補助」に規定されている「運営費」の範囲と具体的内容、およびその根拠規定を明らかにしていただきたい。

Q10 フランチャイズ事業者が認証保育所に参入していますが、フランチャイズの本部(フランチャイザー)に支払うロイヤルティは、保育所の運営費に含まれるのですか。

Q11 補助金は運営費にしか使えないが、保育料もあわせた運営費から生まれた利益は自由に使ってよい、使途は制限しないと福祉保健局長は第4回定例会で答弁しましたが、それでは保育料は、株式配当や他の事業分野に使ってよいということですか。

Q12 運営費から利益を生むことを公然と認め、その利益の使途を制限しないということは、職員の人件費、給食の食材費、おもちゃ・絵本・食器などに使う経費を、できるかぎり削減しようということにつながるのではありませんか。現にそういうことが起きているのです。その心配はないというなら、根拠を明確にしめしていただきたい。

Q13 各認証保育所の決算書類、できるだけ社会福祉施設会計原則にもとづくものを、毎年度、東京都に提出するよう求める必要があると思いますが、どうですか。

以上、答弁を求めるものです。

2.西武新宿線、開かずの踏切渋滞解消について

 西武新宿線沿線の中野通り、中杉通りなど交差する踏み切りはひどい時は1時間のうち4〜50分もしまっている状況は依然として改善されていません。特に朝のラッシュ時には昇りと降りの電車が多い時には8本も通過する間閉まっていることもあります。通学する児童や通勤者、関東バスや仕事の自動者などがイライラしながら待たされて、踏切が開くわずか時間に人も車もごった返して危険な状況です。6月10日には、路線バスと電車の接触事故も発生しました。

 中野区民は、西武新宿線の一刻も早い踏切の渋滞解消を願っているのです。
 昨年度、連続立体交差事業の新規着工準備箇所として中井駅から野方駅間が正式に決定され、現在、都として課題の整理や具体案についての検討が行われていると聞いている。また、野方駅以西についても渋滞解消の「事業候補区間」に位置づけることが示され、都が独自に課題の整理など調査・検討することになっています。

Q1、中井駅から野方駅間の新規着工準備箇所についての検討状況についてですが、どのような課題を検討しているか、また、いつまでに具体案を出す予定か。

Q2、今後、地元区民や中野区、国との調整が必要と思いますがいつごろ、どのように調整を進めていくのか。

Q3、中野区民から提出された、西武新宿線の中野区内全線地下化を求める請願が二〇〇三年に都議会で採択されました。さらに、中野区内の各団体、区民、区議会、区が一体となって2004年1月に、踏切の渋滞解消に向け、中野区内全線地下化促進を求めて、「西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟」を結成しました。
このことについて現在の連続立体交差事業についての調査・検討の中でどのように位置づけているのか。

Q4、中野区民は地下化を望んでいるが野方以西の事業候補区間についても、中井―野方間との連続性を持たせる必要があると思うがどのように考えているか。また、野方以西の事業候補区間について、現在どのような課題の整理を行っているか。
中井―野方間については西武鉄道株式会社に委託して調査・検討をおこなっているが、野方以西の事業候補区間は局内での調査の範囲と聞いているが、具体化に向けて今後はどのように進めていくつもりか。

Q5、連続立体交差事業と地域のまちづくりとの関係ですが、これまで街づくりとセットで事業が行われるために周辺開発などで住民合意が不十分なまますすめられる場合があります。まちづくりは住民の住環境も含めて生活がかかる問題もあるのでセットで行うかどうかについても住民合意を尊重すべきです。見解を伺います。

Q6、また、連続立体交差事業が完成するまで多くの時間を要する。しかし、住民はその間渋滞に悩み続けなければならない。この間にダイヤ改正などもあり、住民からは「最近、踏切が閉まっている時間が長くなっているのではないか」という声が起きている。
 西武新宿線について、安全を確保しつつの踏み切り閉鎖時間の改善が必要だと思うが、都として西武鉄道株式会社に踏み切り閉鎖時間の改善状況がどうなっているか指導すべきと思うがどうか。

以上