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認可保育園待機児調査結果の概要

認可保育園待機児調査結果の概要


2009年5月11日
日本共産党東京都議会議員団



 
 日本共産党都議団は、去る3月3日、都内全区市町村調査の結果、今年1月末時点での認可保育所の入所申し込み者が、都全体で前年にくらべ6,028人も増えている実態を明らかにしました。
 その後、年度当初の4月1日時点で、認可保育所への入所を希望したにもかかわらず入れなかった待機児数がどのようになったかを把握するため、4月中旬から28日にかけて、あらためて都内全区市町村を対象に、待機児数(旧定義、新定義)、定員数、入所児童数などの調査をおこないました。結果の概要は、以下のとおりです。

 
【回答自治体】
  • 待機児数について旧定義・新定義とも回答があったのは、区部9区、多摩22市町村、島しょ8町村、あわせて9区30市町村(自治体数で63%、定員数で45%)です。

  • そのほか、千代田区と杉並区は新定義のみ、日野市は旧定義のみ回答がありましたが、集計結果を単純化するため、待機児数の集計には入れていません。

  • 定員数、入所児童数は、練馬区をのぞく区市町村から回答がありました。

  • 未回答の理由は、ほとんどが集計中・未確定のため回答できない、というものです。

  • 各自治体の4月1日の待機児数は、都と厚生労働省が集約し、例年7月中旬〜下旬に正式に発表されます。今回の調査は、いち早く状況を把握するため、その集計途中に行ったものであり、速報値として回答している自治体もあります。

  • このため、今後、都と厚生労働省から発表される確定値と若干異なる場合があります。

【待機児数の旧定義・新定義について】
  • 「旧定義」は、認可保育所入所を申し込んで、入れなかった人数。「新定義」は、その中から認証保育所、保育室、家庭福祉員などを利用できた人をのぞいた人数です。

  • 厚生労働省は、待機児数をできるだけ少なくみせるため、2001年度頃から「新定義」をもって待機児数としており、都と区市町村も同じ対応をしています。

  • しかし「新定義」では、認可保育所が増えなくても、認証保育所などが増えれば待機児は減ることになってしまうため、日本共産党都議団は、「旧定義」の待機児数を重視し、認可保育所の増設による待機児解消を基本にすえる必要があると考えています。

1、認可保育所の待機児の状況について
○回答があった9区30市町村で待機児は08年4月の1.5倍に急増している
  旧定義 新定義
区部9区 1,252人増(1.6倍) 630人増(1.6倍)
多摩22市町村 892人増(1.4倍) 552人増(1.4倍)
島しょ8町村 08年、09年とも待機児0人
合 計 2,144人増(1.4倍) 1,182人増(1.5倍)

*このほか千代田区は新定義の待機児0人、杉並区は新定義で49人増(1.6倍)、日野市は旧定義で70人増(1.4倍)となっています。
○都全体の待機児数は、旧定義16,000人、新定義8,000人と推計される
 昨年4月1日の都内全区市町村の待機児数は、旧定義10,863人、新定義5,479人です。これが区部1.6倍、市町村1.4倍に増加していることをもとに計算すると、09年4月1日の都内全区市町村の待機児数は、旧定義で16,000人(約5,000人増)、新定義で約8,000人(約2,500人増)と推計されます。
○待機児数の増加率が高いところ (旧定義順)
  旧定義 新定義   旧定義 新定義
渋谷区 1.8倍 2.7倍 日の出町 5.5倍 0→18人
中央区 1.8倍 2.7倍 羽村市 1.8倍 4.5倍
豊島区 1.7倍 2.1倍 稲城市 1.8倍 2.2倍
港区 1.7倍 1.6倍 東大和市 1.8倍 1.9倍
北区 1.6倍 1.8倍 福生市 1.8倍 2.0倍
世田谷区 1.6倍 1.8倍 町田市 1.8倍 1.8倍

○待機児の増加人数が多いところ (旧定義順)
  旧定義 新定義   旧定義 新定義
世田谷区 480人 278人 町田市 258人 183人
港区 318人 95人 八王子市 150人 122人
中央区 136人 83人 多摩市 68人 64人
北区 82人 39人 稲城市 66人 54人

○0〜2歳の増加率が高い
  旧定義 新定義
0歳 337人(1.4倍) 206人(1.6倍)
1歳 1,084人(1.5倍) 634人(1.5倍)
2歳 613人(1.6倍) 330人(1.6倍)
0〜2歳合計 2,034人 1,170人
待機児にしめる割合 95% 99%

○認可保育所の定員は1年間で3,163人、入所児童は3,589人増えている
 認可保育所の09年4月1日の定員数は、前年比で3,163人増えています(練馬区をのぞく)。石原都政のもとで、認可保育所の定員増は毎年平均1,500人でしたが、都が08年からの3年間に認可保育所を6,500人分増設する計画を明らかにしたこともうけ、増設が進みはじめたことがうかがえます。
 そのうえ、定員増を超える3,589人(練馬区をのぞく)の児童を受け入れましたが、それでも待機児数は急増する結果になっており、さらに認可保育所整備のスピードをあげる必要があります。
○今年10月の待機児は旧定義25,000人、新定義14,000人におよぶ見込み
 年度当初から保育園が満杯という事態は深刻です。今後、年度途中の入所申し込みにより、待機児はさらに増えていきます。昨年10月1日の都内全区市町村の待機児数は旧定義で16,448人、新定義で9,306人です。これをもとに推計すれば、今年10月1日の待機児は、このままでは旧新定義25,000人、新定義14,000人におよぶと思われます。

2、区市町村の待機児解消対策、急増への緊急対策について
 「待機児童の解消対策およびび急増している場合の緊急対策の概要を記入してください」の回答から、区市町村でさまざまな積極的取り組みが始まりつつあることがわかりました。認可保育所整備にかかわる内容を中心に、その一部を紹介します。
○分園の活用
  • 公立保育園の分園を設置(墨田区)
  • 旧小学校の教室を利用した認可保育所の分園を設置(新宿区)
  • 区有地等に公立保育所の分園設置をすすめる(文京区)

○緊急事業を実施
  • 廃校や民間用地を活用した緊急暫定保育事業を実施(港区)
  • 再任用保育士による区立のグループ保育室を設置(文京区)
  • 区独自の臨時保育室を設置(杉並区)
  • 保育所緊急整備を検討中(北区)
  • 緊急の待機児童対策を近日中に策定予定(板橋区)
  • 急増する保育園申込者に対する緊急対策として、小学校空き教室を利用し、待機児の多い0〜3歳児の保育園を急きょ開園(日野市)

○整備計画を前倒しで実施
  • 認可保育園の開設を前倒しで実施(足立区)
  • 待機児解消緊急3ヵ年計画を前倒しで実施(墨田区)

○公立・私立園の改築・改修
  • 認可保育所の施設改修により定員を拡充(新宿区)
  • 区立保育園の新設や改築にあわせて定員増(中央区)
  • 区立保育園の改築・改修時に定員増を実施(大田区)
  • 市内私立保育園3園の園舎建て替えを実施し、定員拡大を図る(立川市)
  • 0・1歳児の待機児が増加しているので、既存保育所の増改築時に低年齢児の定員を多く設定していく(青梅市)
  • 認可保育園の施設改修による定員増(小平市)
  • 民間保育所の新設・分園設置や増改築による定員増を実施していく(府中市)
  • 私立保育園の建て替えにあたり定員増を図る(あきる野市)

○公有地の活用
  • 区有地を活用して認可保育所3園を設置予定(板橋区)
  • 今後の公有地利用にあたっては認可保育所誘致を積極的に位置づける(文京区)

3、認可保育所増設や待機児解消対策に関する都への要望・意見について
 「認可保育所増設や待機児童解消対策に関する都への要望・意見を記入してください」の回答で、多くの要望・意見がよせられました。認可保育所整備にかかわる内容を中心に、その一部を紹介します。
○用地費補助など土地確保への支援
  • 認可保育所開設にあたって、用地取得経費等の負担軽減に向けた財政的な枠組みを検討されたい(練馬区)
  • 保育所の設置促進策として土地取得費に対する補助制度の創設を願いたい(町田市)
  • 土地確保への支援制度の創設(小金井市)

○都有地の無償提供などの活用促進
  • 都有地や施設を保育所開設用に提供していただけるよう要望する(墨田区)
  • 遊休都有地の区への積極的な売却や譲渡(江東区)
  • 保育所に適した都有地の提供があると新設が行いやすくなる(大田区)
  • 都有地の活用により民間保育所開設誘致をすすめていきたい(板橋区)
  • 都有地の有効活用による認可保育園開設等を検討されたい(練馬区)
  • 都有地の提供を要望する(三鷹市)
  • 都有地の無償貸付などの施策を積極的に行ってもらいたい(府中市)

○公立保育所の施設整備補助の実施
  • 公設の保育所に対する補助について、一般財源化されていると予算確保が困難。特定財源として取り扱える補助制度の創設を要望する(台東区)
  • 公立保育所の整備に要した経費に対する補助制度を創設してほしい(北区)
  • 公立保育園の定員拡充を目的とした施設整備に対する支援制度の創設(小金井市)
  • 公立保育園を含む施設整備費補助の拡充(小平市)
  • 公立保育所に対する施設整備補助の実施を希望します(東久留米市)
  • 国・都の施設整備補助金については、ほとんどが民間保育園対象となっており、公立園の建て替え、改修についての補助はありません。ぜひ公立保育園の施設整備に対する補助をお願いします(西東京市)

○認可保育所整備補助の拡充
  • 整備費補助の拡大(千代田区)
  • 安心こども基金により市の負担は軽減されましたが、増改築の改築部分は軽減の対象外となっています。老朽化した建物の建て替えを機に定員拡大を行うのが最も効率的な待機児解消策ですので、この場合の負担軽減を望みます(東大和市)

○運営費補助の拡充
  • 運営費補助の増額(目黒区)
  • 開設時の費用に対する補助は拡充されてきているが、その後の運営費に負担がかかっている。これを軽減するため、補助制度の抜本的な改善が必要と考えています(日野市)
  • 保育所運営負担金等の補助率アップ(東村山市)
  • 保育所運営費、施設整備費の助成など(国立市)

○保育士などの人材確保・養成対策
 
  • 施設の増加にともない、保育士・看護師・栄養士の確保が課題となります。人材養成に対する方策を充実されたい(練馬区)
  • 各市区町村における取り組みも重要ですが、都における全市区町村を対象とした支援を希望します。例−安定した職員雇用のための財政的支援(稲城市)
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      以 上


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