2013年度第2回定例会 本会議討論 6月7日

あぜ上三和子(江東区選出)

 日本共産党都議団を代表し、知事提出の第145号議案ほか1議案に反対の立場から討論します。
 第145号議案一般会計補正予算では、わが党が申し入れた保育士の待遇改善や都単独事業をふくめた保育・子育て支援、緊急雇用創出の予算をはじめ、個人立をふくめた私立幼稚園などの遊具整備への補助が計上されました。これについては、不十分ですが賛成です。さらなる拡充、待遇改善の対象を都加算配置の保育士にもひろげることなどを求めるものです。
 同時に、不要不急の大型開発である環状2号線整備のため、築地市場の移転を前提に道路用地を買収する50億円などが計上されており、これには反対です。地域の元気臨時交付金は、緊急性の高い、既存施設の老朽化対策や耐震化、福祉・生活密着型の公共事業にこそあてるべきです。

 今定例会では、保育園の待機児解消が大きな焦点になりました。  認可保育園を希望したのに入れなかった、いわゆる旧定義の待機児童が2万1千人におよぶことを示し、都の認識と対応をただしました。  ところが答弁は、認証保育所などに入れたら待機児童に含まないという、国の新定義を代弁するものでした。新定義は厚生労働省が、認可保育所を極力つくらずにすまそうという立場から、待機児童を少なく見せるために変えたものです。  心とからだの発達の基礎をつくる大切な乳幼児期に、一日の大半をすごす保育園の環境はきわめて大事なものです。園庭はもちろん、雨の日でも遊べるホール、保育士と子どもの安定した関係をつくることができる、そういう質を備えた保育園の整備は、多くの方々の願いです。  ところが都は、認可保育園についても低い国の最低基準をさらに引き下げ、保育条件を低下させてきました。認証保育所など認可外保育では、なおのことです。  施設の設置基準や職員配置、有資格者の割合などの引き下げは、子どもたちの命と安全を守る条件を切り下げることになります。子どもたちの運動能力の向上や、情操をはぐくむことも大事な課題となっています。都が待機児解消の名で、保育の質を軽視して安上がりの保育ですまそうとするのは、百年の計を誤ることをきびしく指摘しておきます。  日本共産党都議団は、認可保育園も、認証保育所も、小規模保育も、質の底上げをはかるために、施設の充実と職員の待遇および配置の充実を進めることを、強く求めるものです。  なかでも認可保育園の整備は、緊急課題です。  認可保育園に申し込んで入れなかった待機児童は、昨年より2千人も増え、この6年間に倍増しています。猪瀬知事は、少子高齢社会の都市モデルを構築して世界に範を示すと表明し、少子化が進むことに危機感をもっていると表明しました。そうであるなら、東京でこそ全国の模範となる認可保育園増設の緊急計画をつくるべきです。  お金がかかると言いますが、認可保育園の増設は、地域経済をあたため、保育士などの新たな雇用を創出し、女性の就業率を引き上げることで、労働力不足をおぎない、GDPを押し上げ、税収も増やす、一石三鳥、四鳥の効果がある政策であることも、指摘しておくものです。

 高齢社会対策の後退も深刻です。  東京都の高齢者一人あたりの老人福祉費は、十二年間で13万5千円から10万4千円へ23%も減らされ、全国1位から29位に転落しました。他の道府県は平均53%増やし、一人当たりの額で後退したのは東京都だけです。  知事は、福祉と保健の予算が1兆円を超えたという答弁を、またくりかえしましたが、増額の主な内容は、高齢化の進展などにともなう社会保障費の当然増に過ぎません。  介護保険制度の導入など制度が変わったという弁解もしましたが、それは全国どこも同じで、東京都だけ減らした理由にはなりません。高齢者の医療費助成、寝たきり高齢者への老人福祉手当の廃止、シルバーパス全面有料化など、都独自事業をつぎつぎ廃止、後退させた結果にほかならないのです。  しかも、特別養護老人ホームの待機者は4万3千人におよびます。  地価の高い東京では、特別養護老人ホームなど施設整備をするにも、事業費がかさみます。介護職員などの待遇を充実させる特別の手立てもとるべきです。東京の高齢者が受け取る国民年金の平均額は月5万4千円で、全国平均以下です。家賃や物価の高い東京で人間らしい生活ができるようにするには、在宅高齢者への経済的支援の拡充も欠かせません。  スウェーデンの国家予算に匹敵する財政力をもつ東京都が、全国の平均程度でよいはずがありません。高齢者福祉をはじめ都独自の福祉事業を立て直し、全国一の福祉都市東京を取り戻すことを、改めて強く求めるものです。

 大型開発優先、福祉・くらしに冷たい猪瀬都政の姿勢は、「アクションプログラム2013」にあらわれています。総事業費の31%が大型開発で、少子化対策、医療対策はそれぞれ2%、高齢者対策は3%にすぎません。  なかでも外環道は、関越・東名間の本線の事業費が1兆2800億円、地上部道路をあわせると約2兆円、1メートル1億円もかかる巨大開発です。外環3キロ分の事業費で、3万人分の認可保育園、2万人分の特養ホームが整備できるのです。  わが国はすでに人口減少社会に突入しており、いまこそ外環道など不要不急の大型開発にメスを入れるべきです。

 都議会議員選挙が目前です。日本共産党は、認可保育園や特別養護老人ホームの増設、国民健康保険料の負担軽減をはじめ切実な都民要求の実現をかかげ、働く人や中小企業が元気な東京、原発ゼロ、防災都市東京、憲法をまもり基地のない東京実現のため全力をつくす決意をのべ、討論を終わります。