2014年予算特別委員会  討論  3月26日

清水ひで子(八王子市選出)

 日本共産党都議団を代表して、第1号議案、平成26年度東京都一般会計予算外13議案に反対し、第18号議案、平成26年度東京都中央卸売市場会計予算に対する修正案及び第1号議案外3議案の編成替えを求める動議に賛成する立場から討論を行います。

 はじめに知事提案の予算案についてです。
 雇用の破壊と社会保障の切捨て、負担増によって、都民のくらしはますます困難になっています。その上、4月1日からは消費税の大増税、国保料や後期高齢者医療保険料の値上げなど、負担増がくらしを直撃します。このため、東京都が、都民生活を守る防波堤となって、あらゆる手立てをつくすかどうかが問われています。
 また、舛添知事就任後初めての定例会であるだけに、「世界一の福祉都市」にするという知事の公約をどう具体化するのか、とりわけ少子高齢社会対策として重要であり、都民の強い要求である保育園の待機児や特養ホームの待機者解消、在宅ケアの拡充対策などが問われました。
 ところが舛添知事が提案した予算案は、基本的に石原・猪瀬都政を継承し、福祉・くらしにつめたく、雇用対策などを軽視する一方、大型開発、不要不急の事業にばく大な予算を計上しているものでした。

 福祉保健局予算は来年度ようやく1兆円を超えます。しかし、増えたおもな要因は、法律で定められた義務的負担や国の施策によるものです。都税収入が約3900億円のびているなかで、福祉・くらしの予算はきわめて不十分です。これでどうして世界一の福祉都市をめざせるのでしょうか。
 安倍政権のすすめる消費税増税や社会保障切り下げについても、知事は本会議におけるわが党の質問に対し基本的に問題ないとの立場をとり、都民生活の困難に手をさしのべる立場をとりませんでした。これでは、医者にもかかれない、介護も受けられない、あるいは生活が成り立たない都民をさらに増やすことになり、世界一の福祉都市どころか世界に恥ずべき低福祉都市から脱却できません。
 わが党は、本予算特別委員会では、保育園の待機児を4年間でゼロにするという知事の公約をどう実現するのか、そして特養ホームやショートステイの増設と介護士の処遇改善、特別支援学校の教室不足問題、区部の擁壁対策、周産期等をはじめとした医療体制の充実などを求めました。

 わが党が、保育園の待機児解消について、目標を明確にして取り組むよう求めたのに対し、都は「4年間で待機児をゼロにするための工程表をつくる」と答え、園庭の役割についてただしたのに対し「園庭の確保が望ましい」と答えたのは重要です。ぜひ、認可保育園を中心に園庭もあり、質の良い保育園の大増設に取り組んでいただきたいと思います。
 また、特養ホームについて質したのに対し、知事が「特養など介護施設の定員は増やしていく必要がある」「そのため、来年度は特養ホームの整備費補助の単価を増額し、さらなる促進策も検討するよう指示した」と答えたことも重要です。待機者を絞り込むのではなく、入所を必要とする全ての方を対象に整備計画をつくるよう重ねて申し述べておくものです。
 また、お泊りデイサービスにおける男女が同じ部屋でプライバシーが保護されないなどの実態を質したのに対し、知事が「都独自の指導をさらに行っていく」と答えたことも重要です。都としてお泊りデイサービスの実態をより深くつかみ対策をとるとともに、ショートステイの大幅整備のために、補助単価をさらに大幅に増やすなどの対策を進めるよう強く求めておくものです。
 保育園や特養ホーム等を増設するために、都有地・国有地・民有地等の活用について、局を横断する検討チームをつくり、第一回の検討会をただちに開いたことも重要です。知恵を出し合い、活用可能性がある都有地を各局が協力して将来の見込みも含めて洗い出すことが必要です。都有地・国有地・監理団体の土地を最大限活用できるよう、無償もしくはそれに近い値段での提供などを、改めて求めておきます。
 一方、介護士や保育士の不足について、知事が当選した翌日、NHKの番組で保育士や介護士の賃金が低いことを指摘し、「国に上乗せして」賃上げできるようにすると発言しているにもかかわらず、本委員会では「国がやることだ」と答弁したことは、多くの都民の失望を呼んでいます。国の政策に反映していくことは重要ですが、都としてもかつてやっていたような実効性のある補助制度をつくり、保育や介護の現在の人員不足を解消することを強く求めておくものです。
 都立特別支援学校の教室不足による教育環境の悪化はますます深刻であり、第3次計画でも教室不足が解消されないことが、本委員会におけるわが党の質疑で明らかになりました。町田の丘学園は、来年度仮設校舎を建設すると答弁があったことは重要ですが、全体として普通教室という最低限の教育環境さえ保障しない東京都の責任は重大です。パラリンピック理念の実現にむけ、特別支援学校の劣悪な教育条件を2020年までに解消すべきことを申し述べておくものです。
 医療、とりわけ周産期医療体制、救急医療体制の充実については、医療機関の地域的な偏在を明らかにし、二次医療圏の見直しを求めました。練馬区の医療過疎の深刻な実態をリアルに示したにもかかわらず、見直す考えを示さなかったことは、医療に関する都の見識を疑わざるを得ません。しかし、知事が在宅医療の提供や急変時の在宅患者受け入れなど有床診療所の役割を認めたことは重要であり、小児医療、周産期医療の地域での拡充、そして有床診療所への都の大幅な支援をあらためて求めておきます。
 わが党は、首都直下地震の被害想定と対策についての中央防災会議報告が建築物の耐震化の重要性を強調していることを指摘し、耐震化助成の対象を全ての未耐震の木造住宅に広げるとともに、都の助成額を大幅に引き上げるよう求めました。ところが都は、区や市がやっているとして、都の耐震化助成の対象と助成額の拡充に踏み切ろうとしませんでした。しかし、わが党も指摘したように、広大な木造住宅密集地域の多くの部分が、都からの助成を1円も受けられず、耐震化が大幅に遅れているのです。区も都の助成を求めています。都が大幅な助成をすれば、住民の命と財産が守れるのです。そしてこのことは、住宅が倒壊した後の復興にかかる巨額な投資に比べて格段に安上がりなのです。知事は、こうした効果的、効率的な税金の使い方を行うべきです。

   知事は、「税金をいかに優先順位をつけて、いかに無駄にしないで使うかということがなければ、納税者に対する説明ができません」「金は天から降ってこない」などと述べましたが、お金は使い方を変えれば生みだせます。なによりも、地方自治体として最優先すべきものは、都民のいのちと財産、暮らしを守ることです。税金の使い方もこの立場から、大型開発を抑制し、認可保育園や特養ホームなどの増設、特別支援学校の整備をはじめ、都民のくらし、福祉、教育施策こそ優先して財政投入すべきであり、投資的経費については、維持更新、耐震化及び住宅の耐震化助成などにこそ優先すべきです。
 最後に、豊洲新市場建設計画については、土壌汚染の安全確保ができない上、物流効率が悪く、施設計画は関係者の合意もできていないものであり、建設を進めることは許されません。

 以上の立場から、知事提案の来年度一般会計予算に反対し、同会計の編成替えを求める動議及び中央卸売市場会計予算修正案に賛成するものです。

 以上で日本共産党都議団を代表しての討論を終わります。