2014年都議会予算特別委員会 総括質疑 3月14日

松村友昭(練馬区選出)

練馬区の医療過疎問題について

〇松村委員 舛添知事は、選挙公約、東京世界一実行宣言で、安心と希望の医療確保をうたい、必要な医師、看護師の確保、救急医療体制の整備、救急車搬送時間の短縮、周産期医療体制の充実を掲げましたが、知事は、東京の医療の実態をどのように認識し、どのように取り組んでいくのですか、知事の見解を伺います。

〇舛添知事 東京には、高度専門医療を提供している医療機関が数多くございます。この強みを生かしまして、都は、救急、小児、周産期、がん医療など疾病別、事業別にネットワークを構築し、医療資源の集約化を図りながら、高度な医療を集中的に提供しております。
 また、地域の病院、診療所と高度専門医療機関とが医療機能に応じた医療連携を推進し、地域の医療基盤を支えております。
 今後とも、必要な医師、看護師の確保を図りながら、限られた医療資源を最大限に活用し、医療提供体制の充実を図ってまいります。

〇松村委員 今、知事は、東京の医療体制に余り問題がないような認識ですが、人口十万人当たりの東京の一般病床数は何床で、全国都道府県の順位は何位ですか。また、二十三区における人口十万人当たりの一般病床数は何床か、お答えください。

〇川澄福祉保健局長 平成二十四年十月一日現在において、東京都の人口十万人当たりの一般病床数は六百十五・八床であり、全国では四十一番目となっております。また、二十三区については六百六十一・四床でございます。

〇松村委員 今お答えにあったとおり、一般病床数で東京は全国四十一位なんです。東京は、都心部などには確かに高度専門医療集積しているものの、病床数でいえば、全国と比較しても極めて少ないんです。つまり地域医療体制は、全国と比べても極めて低い水準なのです。知事、そういう認識はありますか。

〇川澄福祉保健局長 今、人口十万人当たりの一般病床数ということで全国と比較しておりますけれども、まず一つ目は、非常に人口の規模が違う。東京と、例えば鳥取、島根、二桁ぐらい人口が違いますよね。そういうところで比べるというのは、なかなか正確な比較にはできない。
 それからもう一点、基準病床数が入ったのは平成元年からです。その前は、そういった考え方はございません。そういう意味では、基準病床数は人口がかなり大きな要素を占めておりますけれども、人口が減っているところは、相対的に人口十万人当たりの病床数はふえます。というのは、既存の病床は強制的に減らすわけではありませんので、残ってしまいます。そういうようなことから考えますと、必ずしもこういった比較が正確な状況を反映しているとは思えません。

〇松村委員 やはり病床が、どれだけ地域の方々の医療や、または介護も含めて役に立っているかと、ここがやはり大事なんです。
 ちょっとパネルをごらんください。資料も今お配りいたしました。人口当たりの病床数が、練馬の人口十万人当たりの一般病床及び療養病床は二百七十五床で、二十三区平均の三分の一以下ですから、練馬の病床数は非常に少ないんです。これを見ていただければおわかりです。先ほど東京都と全国の数字、全国は九百六十二、東京はそれを下回って八百十三というのが、はっきり数字であらわれている。さらにその中でも、練馬は二百七十五と、二十三区平均の三分の一以下なんです。
 また、練馬区内の病院数は十七病院で、同じ人口規模の大田区は二十八病院、岡山市は五十七病院あります。医師の数も少なく、人口十万人に対する医療機関従事の医師数は、練馬は百三十二人で、区部平均の四九%です。
 救急医療では、区内で二次救急告示の医療機関は十施設、うち東京都指定医療機関は七施設にすぎません。このため、約六割が区外搬送になっております。
 周産期医療の状況は、区内の医療機関で分娩できる施設は七施設、施設内助産ができる助産所は二施設で、これもまた区民の六割以上が区外の医療機関で出産しています。区民の出産数は年間約六千人ですから、NICU、これは十八床必要と思うのですが、施設基準を満たすNICUは一床も練馬にはありません。
 知事、東京二十三区の中に、人口十万人当たり二百床以上の病院が〇・四で、二十三区平均一・一の約三分の一、さらに医師数も、人口十万人に対する医療従事機関の医師数が二十三区平均の四九%となっている。こういう区があることはご存じでしたか。
 そのため、救急、周産期、小児、外科、心臓血管外科、放射線科など多くの医療の機能が低く、区民の中にさまざまな不安を呼び起こしています。これが私の住む練馬の現状です。練馬区の医療過疎ともいえる状況を、知事、どう思われますか。

〇川澄福祉保健局長 一般の入院医療は、医療法に基づく二次保健医療圏を単位に確保することとなっており、国が示す算定式に基づき、東京都保健医療計画で圏域ごとに病床整備の基準となる基準病床数を定めております。
 練馬区の属する区西北部二次保健医療圏の基準病床数は一万四千二百十八床であり、これに対し、平成二十五年十月一日現在、既存病床数は同数の一万四千二百十八床となっております。

〇松村委員 確かに、二次医療圏では基準を満たしていても、広い医療圏の中では非常に偏在しているといっているんです。なぜこういう事態が生まれ、続いているのかといえば、国が基準病床数を決めて、都道府県に配分、都は複数の自治体をまとめて二次医療圏を指定し、病床の過不足を決めるという制度になっているからですが、都が二次医療圏の中で偏在をなくすという立場に立っていないからです。
 二枚目のパネルをごらんいただきたいと思うんですけども、これは練馬区の地域医療計画に掲載されているものをパネルにしたものです。区西北部、これが練馬、板橋、北区、そして豊島区、この四つの行政区が二次医療圏ですが、しかし皆さん、ごらんください。この地図を見ると、同じ医療圏でも病床の偏在が激しく、練馬区は大きく医療過疎的な状況が一目でわかります。
 それでも、日常生活圏としてのまとまりがあり、便利ならまだよいのですが、そうではありません。練馬区の多くの地域は、北区や板橋区の病院に通うのはかなり不便なんです。私は、大泉というところに住んでいるんですけれども、交通空白地域というのが練馬には、区が指定するようにあちこちにあるんです。
 例えば、これが西武池袋線です。ここに出るまで、バス停に出るのすら大変。バスが出て大泉に行くまで二十分、三十分かかる。それから西武池袋まで出る。そして、池袋で利用できる病院があればいい。さらにそれが板橋、北区などには行ける話でもないと、こういう状況がやはり生まれているんです。知事、この事実をしっかり認識していただきたいと思います。
 こうした首都の中の医療過疎ともいうべき状況が長年続いている中で、練馬区、医療関係者、区民挙げて、この事態を打開しようと必死になって努力しています。練馬区などが行う区民医療供給の区民アンケートで、病床増が断然トップなんです。だからこそ、練馬区自身も区地域医療計画で五病院構想を明らかにし、救急医療や高度医療を行える五百床規模の病院整備と、一般救急、回復リハビリ、療養型を兼ね備えた二百床以上の病院整備をすると区民に約束しているんです。
 ところが、昨年四月に改定された東京都保健医療計画の五次改定で、区西北部医療圏は三百八十一床の病床不足地域とされたものの、練馬区に配分されたのは、わずか六十七床でした。区の計画の実現には、国が基準数を大幅に引き上げるか、都が二次医療圏の圏域の設定を見直すことが必要なんです。
 伺いますけれども、東京都保健医療計画の第五次改定で、区西北部医療圏についてどういう議論が行われましたか。

〇川澄福祉保健局長 東京都保健医療計画の改定に当たりましては、学識経験者、医療関係団体、区市町村、保険者及び公募都民等で構成する保健医療計画推進協議会において、二次保健医療圏の設定について検討いただきました。
 協議会からは、人口状況や患者の流出、流入状況等には、圏域を変更するだけの大きな変化は見られないこと、これまで二次保健医療圏を単位としてさまざまな施策を推進しており、圏域を基本単位とした保健医療サービスを提供する広範な仕組みづくりが進んでいること、東京都高齢者保健福祉計画において、介護保険施設等の適正配置の目安となる老人保健福祉圏域を二次保健医療圏に設定しており、引き続き保健医療及び福祉が連携をとって施策を推進する体制を維持する必要があることなどから、現行の圏域を維持するべきとされました。

〇松村委員 私は、会議録を全部読ませていただきました。実際、ほとんど議論していないではありませんか。二次医療圏について議論したといえるのは、第三回東京都保健医療計画推進協議会改定部会の一回のみです。それもわずかですね。全体会議が一時間半ぐらいでしたけれども、ほんのわずかです。検討したといっても、東京都が東京全体の圏域を変更するほどの大きな変化は見られないこと、今答弁されたとおりです。それから現行の圏域を単位とした保健医療サービスを提供する広範な仕組みづくりが進んでいることから、現状のままで行くという一方的な結論を報告して、それで了承されたものです。ましてや、練馬区を含む区西北部医療圏の話題など、何一つ提起されておりません。
 伺いますけれども、この間、練馬区からの要請書、区議会全会一致の意見書が東京都と国に提出されています。要望書の事項には、練馬区民の受療動向や人口増加の状況、交通事情等も踏まえ、医療圏のあり方について再検討されたい、二次保健医療圏内の病床の配置状況を踏まえた配分方法について検討されたいなどということが書かれています。この要請書、意見書をどう扱ったんですか。都は、なぜ区西北部医療圏の見直しを提起しないのですか、お答えください。

〇川澄福祉保健局長 基準病床数は、二次保健医療圏ごとに定められております。そのため都は、圏域内で病院の新規開設や増床を希望する医療機関に対し、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分しており、特定の区市町村における優先的な配分を行う考えはございません。

〇松村委員 なぜ二次医療圏の見直しを再検討しないかといったんです。今全然、ピント外れな答弁ではありませんか。全く無視したといわれても仕方がないですよ。
 今回の医療計画の改定に当たり、国が行った医療計画の見直し等に関する検討会では、医療計画の見直しにおいては、まず第一に、適切な医療圏を設定することが重要だと強調されています。そして、二次医療圏が昭和六十年に始まって以降、医療環境や社会状況が変わっているのに一度も変更されていない地域があることを問題点として指摘されています。東京都はその一つです。
 この間、全国の二十三府県は何らかの見直しをしています。今回の五次改定では、五つの県が見直しています。栃木県では医療圏内の地域偏在を是正するため、一つの医療圏を県東と宇都宮に分割しました。愛知県でも、人口百万人の病床過剰圏域を六十万と四十万人に分け、分割後はそれぞれ病床過少地域にしました。横浜市でも、病床の地域偏在や必要医療施設の配置から、医療圏の分割を市が提案した事例があります。
 ところが、東京都は、国や区議会からの見直しを求める要請や意見書が上がっていたにもかかわらず、そのことすら審議会に報告しない、検討することすらしなかったのは、本当に許されません。
 知事、この二次医療圏は、このまま三十年間全く見直しされていません。このままでよいのですか。今後も指一本触れないのですか。元厚生労働大臣たる新知事として、まずは練馬にかかわる医療圏の見直しを早急に開始するよう求めます。いかがですか。知事、お答えください。私は、練馬の七十一万の区民を代表して、知事、あなたにお聞きしたいんです。

   〔発言する者多し〕

〇宇田川委員長 ご静粛に願います。

〇川澄福祉保健局長 二次保健医療圏は、住民の日常生活行動の状況、交通事情、医療資源の分布等、必要な要素を総合的に勘案の上、定めております。保健医療計画の第五次改定に当たり、保健医療計画推進協議会からは、先ほどご答弁したとおりの内容で了承をいただいております。その結果、現行の圏域を維持すべきというふうなことで改定計画を作成いたしました。

〇松村委員 この課題は、練馬区、練馬区議会も全会一致。多くの区民、この問題に反対する医療保険者を含めていません。私が、そういう区民の願いを代弁するというか、本当に伝えたい、そういう立場です。知事に聞いたのに、知事は答弁も立つことができないのですね。
 さらに納得できないは、この間、練馬でも二病院が廃止されたことなどによって、区西北部医療圏は、基準病床数が既存病床数を上回る過少圏域にあるにもかかわらず、この配分が全く現実を無視したものとなったことです。
 先ほどいいましたが、第五次改定で区西北部は三百八十一床の病床過少地域となりました。これは練馬から、一般救急、回復リハビリなどの二百床の病院計画が、ですから申請されたんですよ。ところが、配分された病床はわずか六十七床でした。病床配分は、行政間で著しく格差が生まれていることなどを考慮することが、医療圏を定める東京都の責務ではありませんか。
 同じ医療圏でも、これをごらんくださいよ。ここで医療圏で手が挙がったからといって、どうしてそれを考慮することがなかったんですか、ないんですか。考慮されるんでしょう。お答えください。

〇川澄福祉保健局長 先ほどもご答弁したとおり、基準病床数は二次保健医療圏ごとに定められております。基準病床数の範囲内で公平に病床を配分しておりまして、特定の区市町村における優先的な配分を行う考えはございません。

〇松村委員 知事もよく現実を見ていただきたいんですけれども(パネルを示す)この医療圏という、国が都道府県に定めなさいと、国は基準病床数を決めます。それをどう配分するかは都道府県、東京都なんですよね。
 ところが、この医療偏在がこれだけあって、長年続いている。だから、全国ほかの県でもそれを見直している。それすらやらない。ましてや、今度三百八十一ベッドがふやせることになったんですよ。そうしたら、当然こちらのない方の地域で病院をつくるということで、練馬区挙げて手を挙げたところに、なぜそれを配分しないのか。同じ医療圏内で公平に−−それが公平なんですか。
 受療動向ができないから、こちらにつくりたいという病院の方が手を挙げたことに、それを無視して公平だと。そういうのは公平というんじゃないんですよ。住民、区民がひとしく医療を受けられるように、そのことをやるのが東京都の責務ではないんですか。知事、もう一回お答えください。

〇川澄福祉保健局長 繰り返しになりますけれども、基準病床数は二次保健医療圏ごとに定められているものでございます。したがいまして、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分しており、特定の区市町における優先的な配分を行う考えはございません。

〇松村委員 こういう練馬の医療過疎ともいえる状態の中で、どういうことが起こっているのかを示したいと思います。
 舛添知事が厚労大臣の二〇〇八年に大きな問題となった墨東病院の事例をよくご存じだと思います。都内在住の三十六歳の妊婦の方が、八つの大学病院から断られ、受け入れまでに一時間二十分かかり、結局三日後に亡くなられた事例です。
 舛添大臣は、やはり医師不足、看護師不足、こういうことにきちっと対応しないといけないので、NICUがない、そしてお医者さんも看護師さんも足りない、そしてお母さんの方のベッドもあいていないというようなことを理由として拒否するということになりますから、こういうこと全てを今精力的に改善していこう、今のような状況が二度と起こらないように努力をしてまいりたいと思っておりますと、これが二〇〇八年十一月の厚生労働委員会での、現在舛添知事の答弁でした。大臣とは、今現在違う立場でしょうけれども、二度とこうした不幸な事例を引き起こしてはいけないという立場は同じだと思います。事態の改善には、まだまだ多くの課題が残されています。
 私、昨年一通のメールを受け取りました。少し紹介させていただきます。
 突然のメールで済みません。練馬に住む実の妹の話です。三十七歳になろうとする妹は、二人目を妊娠中で三十週目でした。ところが、四月三十日、徒歩で近所の保育園に子供を送りに行く道中、突然破水してしまい、辛うじてたどり着いた保育園の職員の方に救急車を呼んでもらいました。しかし、救急車が到着しても受け入れ先が約一時間見つかりませんでした。やっと見つかった先は、荒川区西尾久の東京女子医大で、移動にさらに時間を要しました。妹は輸血、手術などにより一命を取りとめましたが、おなかの赤ちゃんは助かりませんでした。霊安室で会った赤ちゃんは、かわいい服を着せてもらい、今にも動き出しそうな感じでした。なぜもっと近所で、もっと早く搬送すべき病院が見つからなかったのか。もっと早く医療行為を受けることができていれば、赤ちゃんは死なずに済んだはずなのにと考えると、いたたまれません。今後、妹と同じようなことが起こらないようにインフラ整備をしてもらえないでしょうかと結ばれていました。本当に保育園の方、また救急隊の方々や東京女子医大の職員の方々には大変よくしてもらった、ありがとうございましたと、そのように結ばれておりました。
 知事、この切実な訴えを聞いて、どう受けとめますか。

〇川澄福祉保健局長 NICUにつきましては、東京都周産期医療協議会の意見を踏まえ、平成二十二年に東京都周産期医療体制整備計画を策定し、都全体を一つの圏域として整備を進めております。都全体を一つの圏域としておりますけれども、二次保健医療圏で見れば、区西北部には三つの総合周産期がございます。

〇松村委員 関係者の話では、知事、墨東病院の例では八病院断られたということですけれども、このケースでは十三病院に当たり、最後が、練馬から本当に遠い荒川の西尾久の東京女子医大で受けてもらえたんです。
 妊娠三十週目というのは、私、専門家に聞きましたけど、十分助かる命だったということであります。練馬の周産期は、NICUがある清瀬小児病院がよりどころだったんですが廃止され、豊島医療公社病院も休止のままで、本当に痛手となった。それでも日大光が丘病院が救急を受け取ってくれ、必要なら日大板橋病院に送ってくれたが、その病院も引き揚げてしまったと、本当に医療関係者は憤慨しています。
 練馬区は、出産数が年間六千です。千人に対し三床必要とされるNICUは、施設基準を満たすものが一床もありません。そこで、NICUの整備を支える順天堂病院が早急に整備できるように援助することを求めますけれども、いかがでしょうか。

〇川澄福祉保健局長 お話の順天堂大学医学部附属練馬病院につきましては、都は、二十四時間体制でミドルリスクの妊産婦に対応する周産期連携病院に指定をしております。これらの周産期連携病院がNICUを増床する場合など、施設及び設備整備を行う場合には既に財政支援を行っており、今後とも支援は行ってまいります。

〇松村委員 救急も大変なんです。人口七十一万を超える練馬区の重症、重篤な救急患者は都内平均よりも高く、しかも増加傾向にあるにもかかわらず、区内で受け入れられるのは順天堂練馬病院一カ所しかありません。地域バランスからいっても、なお、救命救急センターの練馬への整備は緊急課題ですが、いかがですか。

〇川澄福祉保健局長 救命救急センターは、二次救急医療機関では対応困難な複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者に対し、高度な医療を総合的に提供する医療機関であり、都では、都内全域を一つの圏域として整備を進め、これまでに二十六カ所を指定しております。

〇松村委員 有床診療所の活用も重要です。
 知事は、医療と介護、地域が連携した地域包括ケアの推進を公約しています。そのためには、身近な地域における有床診療所の役割が重要だと思いますが、知事、いかがですか。

〇舛添知事 高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、住まいや医療、介護、生活支援サービスなどが切れ目なく提供できる地域包括ケアシステムを構築していく必要がございます。
 このシステムの中で、有床診療所は、在宅医療の提供、急変時の在宅患者受け入れ、介護サービスの提供など、多くの役割を担うものであります。

〇松村委員 病床過剰の二次医療圏でも、診療所における在宅医療、小児医療、周産期医療の病床設置は、届け出のみで開設が可能だと思いますが、どうですか。

〇川澄福祉保健局長 有床診療所の病床につきましては、二次保健医療圏ごとの基準病床数の範囲内で、都が設置を許可いたします。平成十九年度より、特例として居宅等における医療、僻地医療、産科医療、小児医療の提供の推進のために必要な診療所の病床で、法令等で定める基準を満たす場合に限り、医療機関からの届け出によって設置することが可能でございます。

〇松村委員 舛添知事は、有床診療所について、厚労相のとき、小規模多機能医療施設として、行政の位置づけをやはりきちっとしていただきたいとの質問に、各地域でそういう有床の診療所があってくれるということが、地域全体の医療ネットワークを補完する意味で非常に重要だと思っておりますので、有床診療所の位置づけ、そしてこれの再生、復活、こういうことを図れたらと思って努力したいと思いますと答弁しております。
 私は、医療過疎ともいえる練馬の状況を打開する鍵は、有床診療所にあると確信していますが、それは、崩壊しつつある有床診療所を守ろうという狭義の考えではなく、医療、介護の地域包括ケアシステムの構築が求められているときに、そのかなめの役割を果たすことができるからであります。
 有床診療所で緩和ケアをやっているすばらしい実践例が全国に生まれています。私も、それを知って感動しました。練馬でも、有床診療所が救急告示病院として地域医療を支える重要な役割を果たしています。
 ところが、有床診療所は、どう考えても入院診療単価が余りにも低いので、今の制度では運営が非常に困難になっているのが実態です。
 知事、有床診療所に思い切って支援し、東京の地域医療を再生することのみならず、先進的な地域包括システムを東京からつくり出し、国を変えようではありませんか。いかがですか。

〇川澄福祉保健局長 先ほど知事が答弁しましたように、地域包括ケアシステムの中で、有床診療所は在宅医療の提供、急変時の在宅患者受け入れなど、多くの役割を担うものと認識しておりますが、有床診療所を含め、医療機関の運営に係る経費は診療報酬で賄うことが基本でございます。

〇松村委員 現状の施設整備費補助や運営費補助だけでは厳しい現状に立たされているのが有床診療所です。しかし、今後ますます地域医療や介護を支える重要な役割が期待されている有床診療所の活用促進に向け、都有地による医療インフラの活用などをやっていただきたいことを要望して、質問を終わります。(拍手)

〇宇田川委員長 松村友昭副委員長の発言は終わりました。