2014年都議会第2回定例会一般質問 6月18日

徳留 道信(板橋谷区選出)

住宅・福祉政策について(団地再生)
自転車政策について
【答弁】
【再質問】
【再質問答弁】

一、住宅・福祉政策について(団地再生)

 はじめに、団地再生について質問いたします。
 いま、都内でも全国でも、少子高齢化の進行の中で、建設から数十年たち、老朽化した団地の再生が課題となっています。私の地元、板橋区にも都営、公社、URの団地が数多くあります。

@ 知事が所信表明で、「古い住宅の建て替えにより、高層化して創出したスペースに、子育て支援施設や高齢者支援施設、あるいはサービス付高齢者住宅などを整備し、街を再生していく。そして、若い人々や子供が街に戻ってきて、高齢者と一緒に多世代交流できる環境、個々人の状況に応じて、様々な福祉サービスを選択できる環境をつくっていきたい」と述べたことは、重要だと思います。
 そのためには、地域ごとに住まいと福祉の充実を一体にした総合的な施策の展開が必要だと思いますが、知事の見解をうかがいます。

A 公社住宅などを例に知事が所信表明で述べた団地再生の考え方は、都営住宅の建て替えや大規模改修においては、どのように進めるのですか。お答えください。
 私は、団地再生での先進的とりくみとして全国から注目されている千葉県柏市豊四季台団地を視察しました。豊四季台団地では、急速に進む高齢化に対応するため、URと柏市と東京大学が連携し、少子高齢化社会に対応した街づくりを進めています。団地の建て替えに合わせ、特別養護老人ホームの整備、高齢者の社会参加と多世代交流のためのコミュニティ食堂の設置、在宅医療連携の推進とそのための拠点施設の整備などを進めています。こうした取り組みは、都営住宅でも有効だと思います。

B 知事発言の具体化の一つとして、都営住宅の建て替えや大規模改修などの機会もとらえ、都営住宅を、少子高齢化に対応する「地域包括ケアのモデル地域」として再生させる、福祉型の団地再生の方針を、明確にすることが重要だと思いますが、いかがですか。

C 板橋区内のUR高島平団地は、高齢化率が5割、1人暮らしは高齢者中心に5割以上の中で、3年前から板橋区、URを中心に関係者を集めた「検討会」を立ち上げ、「安心して住み続けられる団地再生」をめざしてきました。この中で空店舗や空部屋を活用して、介護センターの開設、30戸のサービス付高齢者住宅や大学と連携した学生の入居推進、子育て世代むけの空室リニューアルなどに取り組んでいます。
 都営住宅の建て替えや団地再生に向けて、都と地元自治体、まちづくりの専門家、地域の福祉団体、自治会や住民との協議会などを設置し、知恵を出し合う必要があると思いますが、見解をうかがいます。

D 「東京都がおこなう公共住宅建設に関する地域開発要綱」に基づく取り組みは、団地の建て替えに合わせた団地再生に役立つ重要なものです。この要綱をより積極的に活用していくことが重要だと思いますが、見解をうかがいます。

E 1人暮らしの高齢者や子育て家庭が、都営住宅やUR団地などに安心して住み続ける上で、1人ひとりの生活課題に寄り添って、地域と行政をつないで支援する地域福祉コーディネーターの役割が重要です。
 都内の地域福祉コーディネーターの配置に取り組んでいるのは、墨田区、世田谷区、豊島区、練馬区、文京区、調布市、立川市、西東京市の8つの区市にとどまっています。都の支援も強化し、都内すべての地域に広げていく必要があると思いますが。いかがですか。

F 住民主導で、NPOやボランティアなどが、おこなう配食サービスや家事援助などのきめ細かい生活支援サービスは、地域の支えあいを進めるうえで重要です。こうした活動を、都と区市町村とが連携して、強化・拡充すべきと思いますが、都の見解をうかがいます。

G UR高島平団地では、数カ所のコミュニティカフェなどを通して、高齢者をはじめ、地元の学生・留学生などを含めて、趣味や特技を生かした自然な世代間交流や国際交流が生まれ、コミュニティの輪が広がっています。板橋区内の向原公社住宅でも、コミュニティの場として地域開放型カフェテリアが交流の拠点となっています。都が一昨年、策定した「多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドライン」でも、「創出用地や空室、空き教室を活用したコミュニティ活動の場を検討」と位置づけられています。
 都営住宅や公社住宅でのふれあい、交流をすすめるコミュティ活動の場の重要性について、都として、どのように認識していますか。

二、自転車政策について

 次に自転車政策について質問します。知事は、就任以来、自転車の活用推進を強調しています。1定では、東京オリンピック・パラリンピックとも結んで、「2020年にむけて自転車レーンの整備を加速させる」と述べ、今回の所信表明でも「自転車も、もっと活用できる」と述べました。私も、16年間、往復20キロを通勤してきた自転車愛好者として、歓迎するものです。
 自転車の活用をすすめるうえで、大切なのは、これまでのように歩道の一部を自転車が走るというやり方を改めることです。自転車が歩道を走るのでは、歩行者は安心して歩くことはできません。自転車も自転車らしく快適に走行することが難しいです。都内における自転車が関係する事故は、発生件数では、ここ数年、減少傾向にあるものの、交通事故全体が大幅にへるなかで、その中で占める割合はふえており、2011年度には全体の3分の1強を占めています。

@ 3年前の警察庁の通達「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進」と、2年前の国土交通省と警察庁の「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、「自転車は『車両』」「車道左側走行が原則」「歩道の走行は例外」となっています。
 世界では、これが自転車走行の本来のあり方であり、車道に自転車レーンのネットワークが広がっています。そこでまず自転車レーンについてお聞きします。世界の自転車先進都市では、自転車レーンの総延長距離は、ロンドン900`、ニューヨーク1500`、パリ600`です。ところが、東京の自転車レーンは、2011年度末時点で、わずか9`です。2000`を越える都道に占める割合は、0・5%以下にとどまっています。知事はこうした東京の自転車レーンの実態について、どのように認識していますか。
 自転車活用推進のためにも、安全走行のためにも、ロンドン、パリ、ニューヨークのように、都内の自転車レーンの抜本的な延長が不可欠です。こうした立場を「長期ビジョン」の中で明らかにして、具体化することが重要ですが、知事の見解をうかがいます。

A 道路への色つき路面表示などの増設によって、歩道、自転車レーン、自動車道の3つへの分離と併設が広がれば、だれにでも、道路利用のルールを視覚的、実感的に徹底することができて、自転車の活用と安全な環境を広げることになります。どうやって、歩道、自転車レーン、車道の3つへの分離・併設を実現するのですか。見解をうかがいます。

B さらに、くるま優先の道路のあり方を抜本的に見直し、都心部などへの乗り入れ規制やロード・プライシング、公共交通への乗換えを進めるパークアンドライド、交通需要マネジメント・TDMの推進など、自動車利用を抑制する方向への転換が必要です。環境局は、これまでの取り組みをどのように総括しているのですか。そして、今後、交通需要マネジメント・TDMをはじめとした自動車抑制政策にどうとりくむのですか。お答えください。
 放置自転車の解決ためには、駅前などへの駐輪場の設置とともに、新宿区が新宿駅周辺で取り組んで効果をあげているような、幅員に余裕のある道路の活用などによって、ラック式を含む多様な駐輪場の拡充が求められています。

C 都道でも、区市町村が整備主体として進めている駐輪場の拡充に協力すべきと考えますがいかがですか。

D 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律では、鉄道事業者は、駐輪場の整備に積極的に協力しなければならないとされています。東京都は都営地下鉄の運営者として、駐輪場の整備に対する責任を、どう認識し、どう取り組んでいくのですか。

E いま、江東区や港区、千代田区などで、自転車シェアリングの取り組みが広がっています。本格的促進にとって、利用地域の拡大とシステムの一体化が、不可欠になります。オリンピック・パラリンピック会場周辺などでの活用も展望し、地域を越えて、統一的ルールで利用できるよう、都がイニシアチブを発揮して、各自治体と連携・協議し、自転車シェアリングの拡充をはかる必要があると思いますが、いかがですか。

 最後に、イギリスがロンドン五輪を契機に自転車先進都市に生まれ変わったように、知事の決断で首都東京から、自転車の安全走行と活用推進の新しい環境が広がるよう求め、再質問を留保して質問を終わります。

【答弁】

〇知事 徳留道信議員の一般質問にお答えいたします。
 住まいと福祉を一体にした施策展開についてでございますが、私はかねてより、東京を世界一の福祉先進都市にすることを目指し、これを所信表明等において明らかにしてまいりました。四月以降、現場にも足を運びまして、住宅と福祉の施策が連携することで、多世代が交流できる町として再生された姿をこの目で見て、その意義を改めて認識した次第であります。
 引き続き、ハードとソフトの施策を効果的に連携させ、世界一の福祉先進都市の実現に向け取り組んでいく所存でございます。

 続きまして、自転車レーンの整備についてご質問がございました。誰もが自転車を安全で快適に利用するためには、指定された車道上を自転車が走行する自転車レーンだけではなく、現実の東京の道路事情に応じ、自転車の走行しやすい空間を連続させて整備することが重要でございます。
 また、先般設置しました東京の総合的な交通政策のあり方検討会におきまして、自転車利用の促進について議論を深め、その上で、自転車推奨ルートを都内全域に広げるための検討を進めることにしております。東京都長期ビジョンにおきましても、先生のご指摘をまつまでもなく、適切に対処してまいります。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長に答弁させます。

〇東京都技監 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の建てかえ等についてでございますが、都営住宅におきましては、老朽化した住宅の建てかえに当たって、世帯構成に応じた間取りの住戸を整備しながら、さまざまな世帯が入居できるよう取り組んでおります。また、建てかえを推進する中で、地元区市町と協議し、子育て支援施設や高齢者福祉施設の整備などを促進しております。
 今後とも、地域の福祉サービスの向上や多様な世代が暮らす住環境の整備にも配慮しながら、都営住宅の建てかえを進めてまいります。

 次に、少子高齢化への都営住宅における対応についてでございますが、高齢化が進行する中で、都は都営住宅の管理者として、これまでも巡回管理人による高齢者世帯への支援などを行っております。また、都営住宅の建てかえに当たりましては、地元区市町と協議し、高齢者福祉施設の整備促進などに取り組んでおります。
 地域包括ケアにつきましては、地域における福祉施策を担う地元区市町が中心となって対応しており、都は、これら地元区市町の取り組みを支援することとしております。

 次に、都営住宅の建てかえに向けた地元自治体等との協議の場についてでございますが、都営住宅の建てかえに際しましては、建てかえに関連する公共公益施設の整備に関して、地元住民などからさまざまな意見、要望が地域における福祉施策を担う地元区市町に寄せられております。
 このため、これまでも都は、地元区市町と協議を行いながら、その取り組みを適切に支援してまいりました。
 こうしたことから、都としては、関係者との協議等の場を新たに設けることは考えてございません。

 次に、東京都が行う公共住宅建設に関する地域開発要綱の活用についてでございますが、都は、都営住宅の建てかえに際しては、必要な住宅を整備することを基本とした上で、当該要綱に基づき、地元区市町と協議を行うこととしております。こうした協議を踏まえ、地域特性も勘案しながら、関係局とも連携し、保育所や高齢者福祉施設、公民館などの公共公益施設整備の促進を既に行っており、今後とも同様に取り組んでまいります。

 最後に、都営住宅、公社住宅におけるコミュニティ活動の場についてでございますが、都営住宅や公社住宅におきましては、それぞれの根拠法令等に基づき、既に集会所などを整備しており、これらの施設は入居者の共同の福祉に必要な役割を果たしていると認識してございます。

〇福祉保健局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域福祉コーディネーターの配置についてですが、国は、地域福祉コーディネーターについて、関係機関やボランティア等と連携して、専門的な対応が必要な問題を抱えた方に対する総合的な支援や、地域におけるネットワーク形成などを行う住民の地域福祉活動を推進するための基盤の一つと位置づけております。
 区市町村は、地域の実情に応じて主体的に地域福祉コーディネーターを配置しており、都は引き続き、こうした取り組みを包括補助により支援してまいります。

 次に、NPO等が行う生活支援サービスについてですが、地域住民のさまざまなニーズに応えるためには、住民に身近な区市町村が地域の社会資源を活用して、福祉サービスを柔軟かつきめ細かく提供することが重要でございます。
 都は、区市町村が地域の実情に応じた福祉サービスを展開できるよう、地域福祉推進事業を通じて支援してまいります。

〇建設局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車の活用環境を広げることについてでございますが、都は、平成二十四年度に自転車走行空間整備推進計画を策定し、車道の幅員や歩行者と自転車のふくそう状況など、東京の道路事情に応じて自転車レーンの整備、自転車と歩行者を色分けして区分する視覚的分離などによりまして整備を進めてきております。引き続き、この推進計画に基づき取り組みを進めてまいります。

 次に、区市町村が進める駐輪場拡充への協力についてでございますが、駐輪場の整備は放置自転車対策等を進める上で重要でございます。このため、都はこれまでも、都道の歩道上に自転車駐輪施設を設置することについて、区市町村から占用申請があった場合に、歩行者の通行等に支障とならない範囲で許可をしてきております。

〇環境局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自動車利用についてでございますが、都はこれまで、交通渋滞を解消し、道路交通の円滑化や大気汚染の改善を図るため、関係各局等の連携により、道路交通ネットワークの整備やディーゼル車対策などあわせ、さまざまな施策を推進し、浮遊粒子状物質や二酸化窒素の環境基準の達成状況を大幅に改善するなどの成果を上げてまいりました。引き続き、関係各局、区市町村、事業者等とも連携しながら、交通需要マネジメントに取り組んでまいります。

 次に、自転車シェアリングの利用促進についてでございますが、既に先行して実証実験を実施している江東区に加え、近接する千代田区や港区においても実施に向けた検討が開始されております。
 都は、関係局による自転車シェアリングの連絡会を設置し、実施に向けたガイドラインの作成など、その取り組みを促進するとともに、区市町村補助制度において、今年度から新たに自転車シェアリング事業を補助対象メニューに加えるなど、本格的な利用促進に向けた取り組みを既に開始したところでございます。

〇交通局長 駐輪場の整備に対する認識と取り組みについてでございますが、交通局におきましては、関係法令に基づき、区が行っている駐輪場整備のために、これまでも駅出入り口付近の局有地を地元区へ貸し付けるなど、適切に対応してまいりました。また、大江戸線環状部の建設時には、地元区などの委託を受け、駅と一体となった地下駐輪場の整備にも取り組んでまいりました。
 今後とも、地元区が駐輪場を整備する際には、これまでと同様、可能な限り協力してまいります。

【再質問】

 自転車レーンの問題で知事に再質問いたします。
 知事は、自転車レーンを含めて自転車走行空間を整備することを強調いたしました。しかし、今、求められているのは、自転車による歩道上の事故がふえているときだからこそ、最も重要なのは、安全対策のためにも歩道の中を自転車が走るやり方から抜け出して、歩道とは分離した安全な自転車レーンを整備することが求められているのではないでしょうか。
 知事自身、予算議会の施政方針で、二〇二〇年に向けて自転車レーンの整備を加速させると述べました。定例会見でも、ヨーロッパの先進都市は歩道と自転車専用道と自動車専用道の三種類が併設されている、私はその方向を進めたいと発言をされています。実際に二車線、三車線の道路で自転車レーンを設置することのできる一メーター五十センチ、二メーターの余裕はあると思います。その既存の道路を利用しての自転車レーンの設置が私は大事だと思います。
 知事は、自転車レーンの整備を重視して加速させる立場を、改めて明確に表明していただきたいと思います。知事、お答えください。

【再質問答弁】

〇建設局長 自転車レーンについてでございますが、先ほど知事がご答弁申し上げたとおりでございます。