2014年第2回定例会文書質問趣意書 6月23日

あぜ上 三和子(江東区選出)

就学援助について

 近年、格差や貧困がますます広がる中で、子どもの相対的貧困率が15.7%となり、子どもの貧困が大きな社会問題になっています。学校給食が唯一の食事という児童生徒がいる、修学旅行に行きたくても参加できない、病気やケガをしても病院にいかず保健室で応急している、お風呂に入れずいじめられる等、深刻な事態が生まれています。
 こうした中で、子どもの教育を支える重要な役割を果たしているのが、就学援助です。就学援助は、学校教育法に基づき、家計が苦しい世帯の小中学生に学用品、修学旅行、給食などの費用を支給する仕組みですが、親の低賃金や失業などで貧困が拡がり、東京でも、およそ小中学生の4人にひとりが就学援助を受けています。
 国は、昨年8月、生活保護基準の引き下げを実施しましたが、そのために、連動して今年度、就学援助の対象外になってしまう児童生徒が都内でも生まれています。
 例えば、これまで準要保護の対象者を生活保護の1,1倍だった葛飾区では、区単独で新生活保護基準の1,2倍に引き上げるなどして今までの対象範囲を維持したいと取り組んだにもかかわらず、約400人の子どもたちが就学援助の対象から外れるという事態が予測されています。
 また、マスコミ報道によると昨年度に約3000人が補助を受けた中野区では約200人の児童生徒が対象から外れるとされています。
 しかも今後も2015年4月に生活保護基準の引き下げが行われる計画で、さらに深刻な影響が出かねない状況です。
 義務教育を無償で受ける権利を保障する重要な制度から排除される子どもが出るのは由々しき事態です。これでは、今年施行された子どもの貧困対策の推進に関する法律にも逆行しているといわざるを得ません。

Q1.都教委は、子どもの貧困対策の推進に関する法律に逆行する、こうした事態をどう認識していますか。
 国は、2013年8月の生活保護基準の見直しで、影響を抑えるための財政措置を2013年度限りにしました。国の「平成26年度における就学援助実施調査」では、影響が出ないように対応している自治体数を都内で61自治体としていますが、実際には葛飾区のような事態が生まれているのです。

Q2.都教委は、就学援助にかかわる全区市町村の実態調査をおこない、就学援助の対象者縮減をしないよう緊急対策を国に求めると同時に、都としても対策を講ずるべきです。

Q3.2010年度から新たに支給品目に加わったクラブ活動費、生徒会費、PTA会費がすべての区市町村で支給項目となるよう支援することを求めます。

 今年4月、消費税が8%に増税されたことを受け、文部科学省から「4月から就学援助の支給単価を2.8%増額する」旨の事務連絡がされています。
 ところが、日本共産党都議団が調査したところによると23区のうち約8割は、増税分を増額させていない状況があることがわかりました。
 例えば、江東区の場合、給食費などの実費支給のものは消費税増税分を上乗せしましたが、学用品費等の単価支給をしているものは据え置きとしています。 そもそも、都区財政調整交付金に増税分の対応が算定されていないことが問題です。

Q4.都区財政調整交付金に就学援助単価の増税分を上乗せし、全ての区での単価増額ができるようにすべきです。

   子どもの貧困対策法第二条の基本理念では「子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講ずることにより、推進されなければならない。2.子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない」 とし、第4条で地方公共団体の責務を規定しています。
 都教委は、全ての子どもたちの教育を受ける権利を保障するために就学援助を拡充するよう、強く求めるものです。