二〇一四年第四回定例会本会議  討論    12月25日

河野ゆりえ(江戸川区選出)

 日本共産党都議団を代表して、わが党提案の「高齢者の医療費の助成に関する条例案」外、全議案に賛成の立場から討論します。

 はじめに、「高齢者の医療費の助成に関する条例案」について述べます。
 東京の国民年金受給者は平均でも月額五万四千円でしかなく、四人に一人は年収百万円にも満たず、病気になっても医者にもかかれないという深刻な事態が広がっています。
 わが党は、高齢者の受診抑制による重症化を防ぐため、一割から二割に引き上げられた、70歳から74歳の医療費窓口負担を、一割負担に戻す条例案を提案しました。
 すべての世代が負担能力に応じて支え合うため負担増は必要だ、という反対意見がありました。しかし、多くのヨーロッパ諸国などでは、すべての世代が医療費の窓口負担はゼロか少額に抑えられているのです。めざすべきは、高齢者の負担を増やすことではなく、どの世代の医療費負担も軽減することです。
 日本は、世界第三位の経済大国であり、他の先進国なみの社会保障を行うことは十分可能です。また、東京都には、スウエーデンと同規模の財政力があります。不要不急の大型開発など無駄遣いを見直せば、医療費助成は可能です。
 各会派の賛同を心から呼びかけるものです。

 わが党は、国民健康保険をめぐる深刻な事態改善のために、保険料、保険税の負担軽減へ、都が区市町村に対する財政支援を行なうことを求めました。
 都は、「国民健康保険制度には、医療費が高く所得が低い高年齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難である」と認めながら、「都として保険料負担軽減のための新たな支援は考えていない」と答えました。知事は「世界一の福祉都市を目指す」と公約しています。であるなら、都が率先して重すぎる保険料の負担軽減を実施すべきです。知事の「都民の暮らしを脅かす切実な課題に正面から取り組む」との言葉にふさわしい努力を求めておくものです。

 雇用対策では、重要な前進がありました。
 すなわち知事が、所信表明で「3分の1が非正規という状況は尋常ではない」「安定した仕事に就きたいと望む非正規の方々への就職支援を今後の都の重点政策に位置づける」と述べ、わが党への答弁で「社内での正社員への転換の推進や、きめ細かな就職支援などの対策を国も巻き込んで実施して行く」と述べたことです。
 わが党は、正社員化をすすめる中小企業への支援を強めること、国との協議では、ブラック企業対策、最低賃金の引き上げ、労働時間の短縮なども対象にして都が力を尽くすよう求めましたが、こうした総合的な取り組みで、雇用改善を確実にすすめることを要望しておきます。

 都は保育園、特別養護老人ホームの大幅な整備の目標を示しました。また、都有地を初め、安い価格での土地活用の道が開けました。わが党は、知事がイニシアチブを発揮し、都の方針を早急かつ確実に実行するために、全庁的取り組みを推進するよう提案しました。
 知事は、「スピード感をもって、全庁あげて進める」と答弁しましたが、さらなるパワーアップで確実かつ敏速にあらゆる方策を講じるよう要望します。
 保育や介護の現場で働く方々の待遇改善が急がれます。知事の公約は、「保育士・介護職の賃金が低すぎるから都独自に補助をする」というものでした。ところが、保育士の宿舎借り上げ支援が示されましたが、最も重要な基本賃金引上げの考えは示されませんでした。
 都独自補助の見直しにあたっては、労働者平均と比べて大幅に低い保育士の賃金アップに確実に結びつく制度設計にすること、また、介護職についても新たな都独自補助を創設するよう強く求めておくものです。

 首都直下型地震の確率が高まっている今、わが党は、住宅耐震助成拡充などを求めました。
 建築物の耐震化は、震災対策の大前提です。わが党は、阪神淡路大震災で住宅倒壊からの復興に莫大な公的資金が投ぜられたことを示し、この資金投入を首都直下型地震の被害想定に当てはめて試算すると、東京では倒壊住宅の復興に最大で4兆2000億円と推定されること、都が耐震化助成を拡充すれば、都の負担は千数百億円で済むことを明らかにしました。この道こそが、都民の命と財産を守るとともに、都財政の負担をも抜本的に軽減できる道であることは明らかです。
 都は、従来の対策を一歩も出ない答弁に留まりましたが、あらためて、被害を最小限にとどめる「予防第一の原則」に立って、住宅耐震の大幅拡充に足を踏み出すよう求めておくものです。

 米海兵隊のMVオスプレイが、横田基地に飛来しています。さらに同基地において、来年1月5日から9日にかけて、米軍機による降下訓練を行うことが、防衛省から周辺自治体に通告されました。人口密集の市街地の上で、降下訓練は許されません。そもそも、アメリカ本土では、人口密集地の上空をオスプレイは飛行しないし、飛行訓練もできないのです。
 ところが都は、オスプレイの飛行実態調査すら「国が確認すべき事項」と、都として調査する姿勢を見せませんでした。
 知事は、都民の安全と平和を守る立場にしっかりと立って、オスプレイの横田基地への飛来、飛行訓練の中止のためにあらゆる手だてをつくすべきです。

 都議会のあり方への、都民の批判は依然として強いものがあります。
 六月議会での女性への人権侵害のヤジ発言に関連して、都民から7件の請願、陳情が提出され、議会運営委員会で審議されました。請願、陳情の多くは真相究明と再発防止を求めるものであり、都議会として、この要望に応えることが信頼回復の第一歩です。
 この請願、陳情を不採択とする会派の態度が厳しく問われています。
 女性の人権侵害発言の真相究明と再発防止、そして男女平等社会の実現へ、都議会あげた取組を強めるべきであり、各会派のみなさんに、言論の府にふさわしい議会運営、政務活動費の使途の厳格化など、都議会の改革のために、ともに力を尽くすことを呼びかけ、討論を終わります。