2015年第1回定例会代表質問 2月24日

松村友昭(練馬区選出)

社会保障・福祉について
経済政策について
雇用対策について
中小企業対策について
多摩格差について
防災対策について
持続可能な都市づくり・財政運営について
戦後70年への対応・基地対策について
東京の教育に対する知事の基本姿勢について

 日本共産党都議団を代表して質問します。
 知事は繰り返し、「政治は強い者のためでなく、弱い者のためにある。これが私の政治哲学」だと述べています。福祉の増進を本旨とする地方自治体の責任者として、当然の立場だと思います。私はこの見地に立って、都政はどうあるべきかについて知事に質したいと思います。

 社会保障・福祉について

まず、社会保障について伺います。

Q1 安倍政権は、多くの国民の反対を押し切って、消費税を8%に引き上げました。しかも、「社会保障のため」と言って消費税を増税しながら、社会保障費の自然増を聖域なく見直すとして、介護、年金、医療、生活保護などを次々切り下げようとしています。
 こうした理不尽なやり方は、国民の批判で一度は破たんして中止されたものです。この時、知事は厚生労働大臣として、「二千二百億円を抑制することが大事なのか、国民の生命と健康を守るために必要な施策を十分行うことが大事なのか、それは言をまたない」と、答弁しています。知事、いま政府が進めようとしている社会保障の切り下げと負担増に対して、どのような認識をもっていますか。

Q2 とりわけ、介護報酬の2・27%引き下げという過去最大規模の削減は、介護現場の低賃金と深刻な人手不足をいっそう加速させるものです。なかでも特別養護老人ホームの基本報酬は、約6%もの大幅引き下げです。
 私たちは独自に都内の特養ホームを調査しましたが、介護報酬の引き下げで年間1千万円を超える減収になる施設も少なくありません。そのために、利用者サービスの見直しとともに、職員配置や人件費の削減に手をつけざるをえないという声や、事業の継続自体ができなくなるという声がよせられました。
 介護報酬の引き下げによって、職員処遇の低下とともに、事業の縮小、施設の閉鎖などが多発し、介護難民がますます増える事態になりかねません。知事は、こうした影響をどう認識し、どう対応するのですか。

 国に対し、介護報酬の引き下げを中止すること、また職員の処遇改善を、介護保険料に影響しない一般財源で行うことを求めるべきです。

Q3 私たちの調査では、都が実施してきた特別養護老人ホーム経営支援事業の拡充を求める声が多数よせられています。こうした要望にこたえ、事業の拡充、予算の増額を図ることが必要です。見解を伺います。

Q4 介護保険の利用料の引き上げも重大です。政府は来年度から、一定所得の高齢者の利用料を2割負担に引き上げますが、その影響は高齢者の2割におよびます。そればかりか、低所得者に対する特養ホームの部屋代や食事代の負担軽減措置の縮小・打ち切りも、行われようとしています。これでは、経済的理由から介護保険を利用できない高齢者が増えることは、火を見るより明らかです。どう認識していますか。負担増の中止を国に求めるとともに、都として負担増になる人たちへの支援の手だてを検討すべきではありませんか。

Q5 都が低所得者対策として実施している利用者負担軽減事業は、預金が350万円以上あると対象外となるため、介護保険利用者のわずか0・4%、1500人程度しか適用を受けていません。市長会も、対象要件を見直して利用者を拡大するよう要望しています。この要望をどう受け止めていますか。より多くの高齢者が利用できるようにすることが重要ですが、都の対応を伺います。

  Q6 知事が、都有地の減額制度を拡充し、国有地、民有地の借地料の補助を拡充して、全庁あげてスピード感を持って取り組むと発言したことは重要ですが、30haの都営住宅・公社住宅用地の提供は具体的にどう進んでいるのですか。

Q7 知事は、都立公園に保育園の設置を進めると表明していますが、具体化の状況を伺います。

Q8 また、地域の住民も使える事業所内保育園の設置については、どのように進めるのですか。たとえば大学は、広いキャンパスをもつ所が少なくありません。教職員も利用できて一石二鳥です。都内139校の大学で、地域開放型の事業所内保育園はまだ1ヵ所もありません。都として設置を働きかけることもふくめ、積極的に取り組むことを求めるものです。いかがですか。

Q9 子どもたちの運動能力向上のためにも、保育園の園庭確保は重要です。ところが、わが党の調査では、都内で、園庭がないか狭いため代替えの公園を使わざるを得ない保育園は1,156施設におよびます。借地料補助など用地確保への支援が拡充されましたが、新設園しか対象になりません。
 既設の保育園が園庭確保のため新たに借地する場合も新設園と同様の補助を行うとともに、複数の保育園による共同園庭の確保への支援、区市町村と連携して園庭のかわりにもなる公園整備を進めるなどの環境整備に力をつくす必要があると思いますが、見解を伺います。

 福祉人材の待遇改善は急務です。

  Q10 知事は、介護職員や保育士などに対し、給与改善のために補助することを明らかにしました。しかし残念ながら、介護職員の月2万円の給与アップは、各事業所で4人までしか認められません。
 保育士では、月額平均3万円の給与改善にむけ都が補助を行うと言いますが、もともと認可保育園には都独自の運営費補助が出ており、それを廃止して新たな制度をつくるのですから、いままでの補助額との差額しか給与アップの財源は増えません。このため、知事がモデルケースとしている社会福祉法人の認可保育園の場合、保育士一人あたり月額3300円程度しか増えません。しかも、今回の補助制度では、いままで受けていた補助額より減額になってしまう保育園も少なくないのです。減額となる保育園では、職員の給与を上げようがないではありませんか。
 知事、給与改善補助の大幅な拡充が必要です。答弁を求めます。

  Q11 介護職員や保育士、障害者の事業所で働く職員の確保・定着を進めるためには、人員配置の改善も重要です。都として福祉人材増配置への支援を強化すべきと思いますが、いかがですか。

Q12 知事は新聞の取材に答えて「お金のある人は医療を受けて命を救われるけど、お金のない人は医療を受けられず亡くなっていく、そんな社会でいいのか」と述べ、施政方針でも「世界一の福祉先進都市」を強調しました。そのためにも、高い国民健康保険料・保険税が生活を圧迫し、滞納世帯が増加し、保険証取り上げが広がっている問題の解決は急務です。
 あるシングルマザーは、月10万円の収入で国保料は月9千円でしたが、体を壊し滞納せざるを得なかったにもかかわらず区から「短期保険証の色でお子さんが差別されるからちゃんと払いなさい」と言われたそうです。滞納世帯に対し、商売の運転資金まで差し押さえることや、給与口座を全額差し押さえ、最低の生活費まで取り上げる事態が起きています。
 知事、こうした高い保険料・保険税が生活を脅かしている中で、さらに上がりつづけ、徴収強化によって都民を追い詰めている事態を、どう認識していますか。

Q13 深刻な事態をつくっている最大の原因は、国が国民健康保険に対する国庫支出割合を50%から25%に削減したことにあります。ところが国は、国庫支出を増やすのではなく、広域化を進めようとしています。国民健康保険の広域化は、国の責任を都道府県におしつけたうえ、区市町村に負担増や徴収強化を進めさせようというものであり、わが党は反対です。国は広域化にむけた条件整備として、来年度1700億円の財源投入を行いますが、その額もきわめて不十分です。今、何よりも重要なことは国庫負担の大幅復活を実現させることではありませんか。

Q14 同時に、都の責任も問われます。国が極めて不十分な措置しかとらない中で、来年度の保険料・保険税はさらなる値上げが行われようとしています。23区では、来年度も計画どおり値上げされると、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、4年間で1万9200円もの負担増になってしまいます。知事、こうした事態をどう認識していますか。
 国の責任だとして、深刻な事態を放置してよいはずがありません。都として保険料軽減への支援に踏み出すべきです。
 全国知事会は子育て支援の観点から、子どもにかかる保険料均等割の軽減を求めています。都として少なくとも子どもの均等割軽減のための支援を行うべきではありませんか。お答え下さい。

 わが党は、本定例会に「国民健康保険料または国民健康保険税の補助に関する条例」を提出します。この条例は、所得が低いために国制度により均等割保険料を軽減されている世帯の負担をさらに軽減する区市町村に対し、均等割の1割分を限度に都が補助するというものです。都民の経済的負担を少しでも減らして、都民の命とくらしを守るために、各会派の賛同を心から呼びかけるものです。

経済政策について  次に経済政策についてです。

Q15 この間の歴代政権は、大企業や富裕層がもうかれば、国民・都民の生活が豊かになり中小企業も元気になるというトリクルダウンの立場から、法人税減税や大型開発など大企業優遇の経済政策を進める一方、消費税増税や雇用の非正規化などによって暮らしと営業を圧迫してきました。この結果、雇用が破壊され、格差と貧困が広がりました。しかも今、トリクルダウンの立場に固執するアベノミクスのもとで、さらなる大企業への優遇政策が進められようとしているのです。
 OECDは昨年12月の報告書で、格差を拡大させる政策では貧しい経済環境の子どもの教育機会や技能開発が阻害され、経済成長が遅れると指摘し、中間層や低所得階層に質の高い教育や訓練、保健医療など公共サービスを拡大させる転換が必要と指摘しています。また来日したトマ・ピケティ氏も、トリクルダウンの主張に対し「過去を見てもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」と発言しています。
 知事はこうした指摘をどう受け止めていますか。

Q16 いまこそ東京から経済政策のあり方を転換させていくことが求められています。この立場から指摘しなければならないのは、知事が、国家戦略特区も活用して国際金融センターをつくり、参入する金融機関や投資家に税の減免など様ざまな優遇措置をとろうとしていることです。
しかし、いまの日本の金融状況はどうでしょうか。日銀が金融機関への巨額の資金提供を続けていますが、企業への貸し出しは進みません。実体経済が落ち込み、投資先がないのです。
 内外の金融機関などの最大の狙いは、1600兆円と言われる国民の預貯金を、株式などにつぎ込ませることです。これによって一時的に株価が上がるかもしれませんが、バブルと格差拡大を深刻化させることにつながります。しかもリスクの高い商品による都民の被害が広がり、バブルがはじければ深刻な経済危機におちいる危険が高いのです。
 いま都が力を注ぐべきは、投機マネーの呼び込みではありません。何よりも雇用や中小企業対策を抜本的に強化するなど、内需拡大で実体経済を立て直すことではありませんか。知事、お答え下さい。

 雇用対策について 私はこの立場から、まず雇用対策について質問します。

Q17 政府はこれまで2度も廃案になった労働法の改悪を提案し、事実上、派遣労働を半永久化することや、一定賃金以上の労働者にはどれだけ残業させても残業代を払わなくてもよいとする「残業代ゼロ」制度を導入しようとしています。いまでも「過労死ライン」すら超える異常な長時間労働が広がっているのです。このような法律が制定されたら、誰もが安定した正規雇用がめざせるようにするという、都の施策はとうてい前進させることができなくなります。
 知事は、厚生労働大臣だった時に、夫を過労死で亡くした女性の涙の訴えに対し、「働く人の権利を守っていかないといけない」と表明しました。こうした経験に立って、今回の労働法見直し案をどうとらえていますか。労働法制改悪の中止を国に強く求めるべきではありませんか。

Q18 知事が非正規の正規化の目標を打ち出し、国との連携による新たな施策として、社内で非正規社員の正規化を図る企業を支援することや、非正規の若者を正規採用する企業を支援する事業を進めることは重要です。今月には厚労大臣と雇用対策協定を結び、東京労働局との運営協議会も始まりました。
 ここで取り上げるべき課題として、非正規の正規化とともに、最低賃金の引き上げは貧困と格差を打開するための決め手の一つです。
 東京労働局との協議で、最低賃金水準について国の審議会でも確認されている時間給千円を直ちに実現するよう求め、全国の最低賃金引上げを大いに牽引する役割を果たす必要があります。また中小企業が最低賃金引き上げに対応できるよう国に働きかけ、都も協力して中小企業への支援策の検討に踏み出すよう求めます。認識と対応を伺います。

Q19 舛添知事が、東京で非正規雇用の正規雇用化を本格的に進めるというのであれば、「まず隗より始めよ」のたとえのとおり、東京都職員における非正規雇用の正規化を率先して行うことで民間企業の模範となるべきです。
 東京都では、知事部局の非常勤職員および臨時職員が、2013年には8696人で正規職員の36%です。知事部局以外や外郭団体、さらに委託先まで含めると、非正規職員は膨大な人数になります。都の公務職場の非正規労働の実態を把握することが重要と考えますが、いかがですか。
 正規雇用化は、都の公務職場で先進的に取り組まれるべきであり、可能な部署から非正規の職を正規職化していくことが大切であると思いますが、見解を伺います。

Q20 失業者や非正規雇用が急増したお隣の韓国では、非正規雇用の正規化を公約して当選したソウル市長が、民間委託や外注化が広がり低賃金が蔓延していたソウル市の公務職場の改革に乗り出し、まず直接雇用の非正規職員千三百人以上を正規化し、さらに劣悪な地下鉄の外注清掃員など三千人以上を正規の直接雇用に転換しました。直接の人件費は一六%増加したものの、外注業者への利益を含む委託費分が三九%下がったため、年間経費を五億円程度削減したとのことです。同時に、公務職となった清掃労働者の意欲が高まり、市役所の庁舎や地下鉄構内は、見違えるほどきれいになったと市民にも大好評です。次は、外部委託の適正化を軸に福祉施設やコールセンターなどを直接雇用に転換する計画です。韓国の他都市にもこの取り組みが広がりつつあります。
 知事は、直接訪問もされ、お会いになったパク市長のこの決断と実行をどう評価されますか。

中小企業対策について  続いて中小企業対策です。
Q21 都内各地で中小企業者などから「消費税増税と円安の影響で材料費が上がり商売は大変」「昨年と同じ売上があっても利益が出ない」と悲鳴が上がっています。

 中小企業家同友会の景気状況調査では、消費税増税後の2014年4月〜12月まで連続してマイナスで、2015年1月〜3月期もマイナス予想です。そのうえ、円安と消費税増税で仕入単価があがっているという企業が大幅に増え、売上が伸びても採算がとれない企業が増加しており、物価上昇分を6割の企業が価格転嫁できないという深刻な事態だとしています。結論的に、消費税増税による不況と、円安による原材料の値上がり、人材不足の「三重苦」で「アベノミクス不況のさなか」と宣言しました。中小企業のこうした現状について、知事の認識を伺います。

Q22 年度末を迎えるなか、円安の影響、原材料高騰、消費税増税などで経営難に直面し運転資金なども借りられない、返せないと資金繰りに苦しんでいる中小企業に緊急の支援を行うことが必要です。
 現行の融資制度については、利率の引き下げ・利子補給、保証料補助の上積み、据え置き期間の延長、借り換え融資の拡充など、関係機関と協力して緊急対応措置を行うこと、都として緊急相談窓口を開設するとともに、都、中小企業振興公社、東京信用保証協会、金融機関と連携して、中小企業が経営改善に取り組めるよう支援を強めることを求めますが、いかがですか。

  Q23 小規模企業振興基本法の成立に基づき、国は、まだ端緒とはいえ小規模企業が事業を続けることができるよう支援を強めています。都も来年度予算案で、小規模企業対策を前進させています。深刻な現状からいえば、さらなる支援策の拡充が求められます。
 たとえば、高崎市で始まった商店リフォーム事業は、小規模事業者にとって新しい客層を呼び込むきっかけになり販路拡大につながると好評で、国も昨年度から始めました。「中小企業・小規模企業への直接支援に踏みだす時期にきている」との要望も、区の担当者から聞いています。
 国の商店リフォーム事業、省エネ機器導入支援策などに、都が呼応して支援すること、小規模企業の事業の継承や再生のための直接支援を拡充するよう提案するものです。いかがですか。

Q24 都は、来年度から大企業の埋もれた特許の活用、医工連携などで中小企業の仕事づくりを促進します。これらの取り組みには、中小企業の自社製品に結びつけられるよう協力できる専門家が重要です。こうした専門家を都として確保し、区市町村とも連携して推進する体制をとるよう求めます。お答え下さい。

Q25 ロンドンオリンピックでは、経済分野のレガシーとして中小企業の受注促進を位置づけ、中小企業への契約案件などの情報が特別に重視されました。その結果、契約件数の75%を中小企業が受注しています。
 知事は施政方針で、「発注情報などを一元的にインターネットで提供し、受注機会の拡大を図る」と言いました。東京でもこうしたロンドンの取り組みを参考に、オリンピック・パラリンピック関係事業に都内の中小企業が参入し、受注できるよう組織委員会に申し入れるなど特別の手立てを検討すべきですが、いかがですか。

  Q26 都市農業、農地は、新鮮で安心・安全な農産物の生産、災害時の一時的な避難場所、緑のある都市環境づくりなど、多面的機能、社会的役割をもっており、その評価が高まっています。しかし、この10年間で農地面積は990ha減り、農業生産額は29億円減少しています。
 これ以上、農地を減らさないため現行の生産緑地制度や相続税制度など制度面の課題を解決することが求められます。都は国への要望で生産緑地面積要件の引き下げ、農業用施設用地や屋敷林などへの納税猶予制度の拡大などを求めてきました。国の制度が確立しないなかでも、都独自にできる市街化区域農地などへの固定資産税の軽減を実施するともに、市町村には軽減への財政支援を行うことを求めます。いかがですか。

 多摩格差について

多摩格差について伺います。
 舛添知事は「多摩の発展なくして東京の発展なし」と述べて、この間、多摩地域の施設を訪れました。

Q27 多摩地域は自然が身近にあるととともに、区部より工業製品出荷率が高いなどの誇れる工業や技術力もあります。一方で、少子高齢化に対応する福祉、医療対策、高度経済成長期に集中的に整備された都市インフラ等の更新など、行政に求められるニーズはますます多様化し、行政運営に苦慮していると、市長会から要望が出されています。公共サービスにおける区部との差もあります。
 医療についていえば、ひとつは子どもの医療費助成です。東京では義務教育終了まで広がりましたが、区部ではすべての自治体で所得制限も自己負担もありません。ところが多摩地域では、所得制限がある自治体が20市、初診料負担は24市あります。負担の発生する所得層の家庭からは、具合悪くても病院に行かない、兄弟の多い家庭では薬を分けあって飲ませているなどの声がよせられています。同じ東京に住んでいて、区部の子どもと、多摩の子どもで医療費負担に差があってよいのでしょうか。
 また、人口千人あたりの医師数は、23区の3・7人に対し、多摩地域は2・0人と区部の54%にすぎず、医療環境に格差があります。いかがですか。

Q28 知事は、公共サービスにおける区部と多摩の格差について、どう認識していますか。都は格差解消に率先して取り組む必要があると考えますが、お答え下さい。

 防災対策について

次に、防災対策です。
Q29 直面する首都直下地震対策について、わが党はかねてから、中央防災会議最終報告による「建物の被害は、死者発生の主要因であり、被害拡大の要因であること」から、「あらゆる対策の大前提として、建築物の耐震化の取組を推進する必要がある」との指摘を正面から受け止めて、住宅の耐震化への支援を大幅に拡充するよう求めてきました。  今年は、阪神淡路大震災から20年目の年、舛添知事も風化させてはならないと強調していますが、その教訓もまさにここにあります。
 阪神淡路大震災による死者・行方不明者は、その後なくなった方を含めれば6434人におよびました。死者の89%が圧死、10%が焼死と報告されていますが、死者が出たのは、1981年以前に建てられた木造住宅で98%、新耐震基準の住宅での死者は全体の2%でした。神戸大学名誉教授の早川和男氏は、「震災直後、長田区の住宅倒壊・焼失地域を歩いて気がついた。年数を経た木造家屋でも近年手入れしたものは倒れていない」と報告しています。こうした事実からも、当時、全ての住宅が耐震化されていたら、多ければ8割の方は救えたと指摘されています。まさに、阪神淡路大地震の痛苦の教訓は、木造住宅の耐震化の取り組みが立ち遅れていたことにあります。
 知事、中央防災会議の指摘、阪神・淡路大震災の教訓をどう認識していますか。

Q30 住宅耐震化について、都は特定緊急輸送道路の沿道建築物や整備地域に限定してきました。しかし、その限定した地域でさえ「合意形成等に時間を要するなど、耐震化の進捗は十分でない」と、長期ビジョンで認めています。
 このため都は、特定緊急輸送道路の沿道建築物については、診断実施後の改修工事への速やかな移行を計るアドバイザーを派遣するとしていますが、その他の地域に助成を広げず、「普及啓発や技術的支援の強化などにより、住宅の耐震化を促進する」としているだけです。これでは耐震化が進むわけがありません。
 東京都は、かつて墨田区の白髭東地区で防災拠点を成功させた経験を持っています。白髭東地区については、構想段階から住民参加で調査し、模型実験を繰り返し、転居する場合は同じ床面積を保障して住民の生活再建を第一にし、職員が昼夜出向いて合意形成を図るなどの取組が記録されています。静岡県で進んでいるのも、費用負担の軽減と合わせ、住民への親身になったアドバイスと言われています。
 都内未耐震化の住宅116万戸は放置できません。都庁OBなども活用して、親身になって耐震化の普及啓発や権利関係を調整し、住民合意形成が図れる人員体制を図るべきです。全ての未耐震住宅を対象に耐震化へ区市町村とも協力し、都庁あげての取り組みを求めます。知事、いかがですか。

Q31 住宅の耐震化をはばむ要因は、改修費用の負担が重過ぎることにあることは明らかです。全面改修する場合の総工事費100万円〜300万円は、一人暮らしの高齢者などには、負担が重過ぎます。木造住宅の耐震化助成は、地域限定をやめ抜本的に拡充することが必要です。いかがですか。

Q32 全面耐震改修を行わない場合でも、まず命を守ることを最優先して、部分的な簡易改修への補助も検討すべきです。その場合、耐震診断で「倒壊する可能性が高い」とされたすべての住宅を対象にすることを求めます。お答え下さい。

Q33 阪神大震災の火災原因の6割以上は、電気供給がいったんストップしても自動回復したときに、漏れたガスなどに引火する、いわゆる通電火災と呼ばれるものであることが明らかになっています。
 内閣府は、強い揺れを感知すると自動的に電気の流れを止める「感震ブレーカー」について初めてとなる性能評価のガイドラインをまとめました。性能評価に基づいて、「感震ブレーカー・感震配電盤」の都としての普及目標を持つこと、助成制度の検討をはじめ区市町村と連携した普及促進策に取り組むことを求めます。お答え下さい。

Q34 また、東京電力に通電火災を防ぐ対策をとること、国に高層住宅の建築に際して感震配電盤の設置義務づけを、働きかけるべきです。いかがですか。

 持続可能な都市づくり・財政運営について

都市づくりについて伺います。
 都内では、2000年以降、高さ100m以上の超高層ビルがすでに290棟も建設されているのに、国家戦略特区の指定を受けるなど、いまだに超高層ビルの建設ラッシュが進んでいます。
 大型道路建設も、とどまることなく推進されています。1メートル1億円、大深度地下トンネル方式で建設される東京外環道は、地下水分断、膨大な発生残土など様々な未解決の課題を抱えています。その建設費は本体部分だけでも1兆2820億円、しかも高速道路建設であるにもかかわらず、国直轄事業として税金投入が事業費の8割、1兆358億円にもおよぶものとなっています。
 このようなやり方は、欧米の先進国大都市と比べて極めて異常です。多くの国や都市で環境にやさしい都市づくりが強調され、高密度化をおさえ、自動車交通を削減していく都市づくりが進められています。

Q35 ニューヨーク市は、車道を公共スペースにかえたり、自転車レーンの設置を推進するなど、車道を減らす取り組みを進めています。フランスの交通計画では、二酸化炭素排出量を減らすために、自動車から公共交通などの移動手段に移行させる政策がとられています。
 ボストンやサンフランシスコでは、オフィスビルの床の総量規制や、容積率の引き下げが進められ、オフィス建設だけでなく低所得層むけ住宅供給が進むよう誘導策が実施されています。パリでは、住宅を建設する場合は300%、事務所建設の場合は150%などの規制がかけられています。ドイツでは、都市開発は既存の地区構造の保存的更新、修復型の街づくりが主流です。また多くの都市で開発を行う場合、中低所得層向け住宅を義務づけているのです。
 知事は、このようなことはご存じだと思いますが、東京でもこうした欧米の取り組みにも学び、東京にあった、人と環境にやさしい都市づくりを正面に掲げていくことを求めますが、いかがですか。

   Q36 都が事業化を進めようとしている外環の地上部街路「外環の2」は、3千棟にもおよぶ住宅の立ち退き、自動車公害の増大などで、地域環境と住民生活に甚大な影響をおよぼします。そもそも「外環の2」は、本来、外環本線の地下化の決定にともない、廃止してしかるべき道路であり、当時の石原知事が、地上部の道路計画は廃止されたのではないか、という旨の発言をしたほどです。このため当時の石原知事は、現地を視察するといい、猪瀬前知事も現地視察の方針を引き継ぎましたが、現地視察は実現しませんでした。舛添知事は現地を訪れたのですか。訪れたとしたら、いつ行ったのですか。地域の住民の声は直接聞いたのでしょうか。

Q37 都がみずから「外環の2」を廃止しないことから、杉並区の住民が、都市計画法の提案制度を活用し、善福寺2丁目の295bの部分を廃止する提案を提出しました。この地域では、対象地域の地権者の8割近くが「外環の2」を不要と判断し、今回の提案にいたっています。知事は施政方針で、「都議会の皆様と議論を重ねた政策も、実際に前に進めるには、都民の皆様の協力が不可欠だと思っております」と言いましたが、8割近くが反対するという重みを、知事はどのように受け止めていますか。

  Q38 東京ではこれから高齢化が急速に進むと同時に、人口減少に向かいます。都市づくりのあり方とともに、都の財政運営も、抜本的に見直すことが必要です。新規の大型開発は見直して、維持・更新や耐震化に重点化し、都債発行を適正に抑制すること、そして少子高齢社会対策をはじめとした福祉、医療、教育、雇用対策の充実、生活の質の向上を進めるための予算を思い切って確保することが必要だと考えますが、いかがですか。

Q39 持続可能な都市づくりを進めるためには、ヨーロッパ諸国のように再生可能エネルギーの急速な普及が欠かせません。
 東京でも、住宅、マンション、学校、公共施設、福祉施設への太陽光パネル設置、上下水道を利用した小水力発電、ビル風利用の都市型風力発電、飲食店からでる大量の生ゴミや西多摩の森林資源を活用したバイオマスエネルギー、島しょなどの波力発電をはじめ、再生可能エネルギーの大きな可能性があります。
 ところがこの間の都の再生可能エネルギー普及は大きく立ち遅れています。今後、どのようにして普及のテンポを引き上げるのですか。

Q40 NPOや住民の取り組みとも連携し、大規模団地や地域ごとにエネルギー自給地域をつくり広げていく取り組みも重要ですが、いかがですか。

Q41 新設される水素社会・スマートエネルギーの基金は、水素だけでなく、再生可能エネルギーや省エネルギー化に、積極的にあてることが求められますが、いかがですか。

戦後70年への対応・基地対策について

Q42 次に、戦後70年という節目の年に当たっての、都の対応について伺います。知事は施政方針で、「先人が築き上げてきた平和を、次の世代にいかに引き継ぐのか、これは現代に生きる政治家の大きな責任である」と表明しました。大事な発言だと思います。
 20年前の戦後50年の節目に開催された、「東京都平和の日記念式典」において、「日本国憲法が基本理念とする恒久の平和は、私たちすべての願いであり、人類共通の目標」である、「軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さない」などの内容をもつ「都民平和アピール」が採択され、都民広場に掲示されています。
 戦後70年の節目にあたって、こうした「都民平和アピール」の精神や、平和と友好を掲げるオリンピック憲章の立場から、東京都が平和と核廃絶、友好の立場を発信していくことを求めるものです。知事の見解を伺います。

Q43 東京大空襲、被爆体験などの膨大な貴重な記録を都として収集、保存し、広く都民に普及・活用していくことが重要だと思いますが、いかがですか。

Q44 首都圏の横田基地や厚木基地など、全国各地でオスプレイの飛行と訓練の「日常化」が広がっています。しかも、「日米合意」を無視して、住宅密集地での飛行を平然と行っています。
 また、ここ数年、横田基地での各種軍用機の飛行が急増し、福生市の調査によると、昨年と一昨年は1万回を大きく超えています。危険な低空、旋回飛行、夜間飛行も急増して、騒音の増大となり、部品落下の事故も頻発して、これまで行われたことのなかったパラシュート降下訓練もひんぱんに行われ、周辺住民の不安が広がっています。
 知事は「国の専管事項」だと言いますが、戦後70年もの間、首都東京の人口密集地に米軍基地が居座るという世界に例のない異常な状態に加え、こうした米軍の横暴を黙って見過ごしてよいのですか。住民の安全・安心に責任をもつべき自治体の長としての対応を求めるものです。知事お答え下さい。

Q45 都が一貫して掲げてきた、米軍基地の整理・縮小・返還をめざす立場が、長期ビジョンには示されていません。「中間報告」では述べられていた「横田空域全面返還」という立場もなくなりました。なぜでしょうか。
 昨年末、都と基地周辺の「市町連絡協議会」が、政府と米軍に対して行った「基地の整理・縮小・返還」「騒音防止」「事故防止」などの10項目の要望に対して、どういう回答がされているのかもあわせてお答え下さい。

 東京の教育に対する知事の基本姿勢について

最後に、東京の教育について知事に伺います。
Q46 すべての子どもたちが人間として大切にされ、学校教育のなかで様々な人間的ふれあいを通じて心も体も豊かに成長してほしいというのは都民の願いです。ところが石原都政になって以降、全国に例を見ない教育現場への管理統制と介入が強められ、学校教育が歪められてきました。
 2003年には、卒業式や入学式の椅子の並べ方から式次第にいたるまで画一的なやり方を強制する通達が出され、国歌斉唱の職務命令に従わなかった教員などが大量処分されました。これに対し最高裁は、国歌斉唱などを命じた職務命令が、思想および良心の自由について間接的な制約となり得ることを認め、減給と停職処分を取り消しました。また補足意見では、いたずらに不起立と懲戒処分の繰り返しが行われていく事態が教育の現場のあり方として容認されるものではないと指摘し、自由で闊達な教育が実施されるよう努力することを求めています。
 知事、この最高裁判決と補足意見を。どう受け止めていますか。

  Q47 また、七生養護学校では、全国的に高く評価されてきた性教育が、一方的に突然、不適切とされ、一昨年裁判で都教委の敗訴が確定しましたが、教員は厳重注意、校長はいわれのない停職と降格処分にされました。
 これらは「逆らうと処分される」という見せしめとなり、教育現場を萎縮させました。
 職員会議は一方的な伝達の場になり、気になる生徒について議論することも、教育論をたたかわせ合意形成を図ることも困難になり、挙手による教員の意向確認すら都教委により禁止されています。教員相互の協力・協働を損ない、教育と相容れない目先の「成果主義」をあおる業績評価や、上意下達の人事制度もつくられました。
 舛添知事就任から一年になりますが、石原都政以来進められてきた、こうした教育の現状を、どうとらえていますか。

Q48 知事は、施政方針で教育について、「知事と教育委員会がさらに力を合わせ、子どもの可能性を伸ばし、引き出してまいります」とのべました。子どもの可能性をのばし、教育をするには、教員が専門職として尊重され、授業の自主性・創造性が保障され、地域や保護者とともに教育について議論しあえることが重要です。そして、子どもたちが主権者として多様な価値観を身につけ、平和と基本的人権、民主主義をしっかり身につけることができる教育を進める必要があると思いますが、知事の基本見解を求めます。

 わが党は今定例会に、都議が本会議などに出席する際の交通費である費用弁償を廃止する条例を提出します。多くの都民のみなさんから、費用弁償は歳費の二重取りという強い批判がよせられています。全国的にも廃止などの見直しが進んでいるものです。すべての会派、議員のみなさんのご賛同を訴え、再質問を留保して質問を終わります。

ます」とのべました。子どもの可能性をのばし、教育をするには、教員が専門職として尊重され、授業の自主性・創造性が保障され、地域や保護者とともに教育について議論しあえることが重要です。そして、子どもたちが主権者として多様な価値観を身につけ、平和と基本的人権、民主主義をしっかり身につけることができる教育を進める必要があると思いますが、知事の基本見解を求めます。

 わが党は今定例会に、都議が本会議などに出席する際の交通費である費用弁償を廃止する条例を提出します。多くの都民のみなさんから、費用弁償は歳費の二重取りという強い批判がよせられています。全国的にも廃止などの見直しが進んでいるものです。すべての会派、議員のみなさんのご賛同を訴え、再質問を留保して質問を終わります。

【答弁】

○知事 松村友昭議員の代表質問にお答えいたします。
 社会保障制度についてでありますが、国民皆保険、皆年金を初めとする日本の社会保障制度は、人口の増加、右肩上がりの経済成長、終身雇用を前提に確立され、国民生活の安定や経済の安定的発展に大きく寄与してまいりました。
 しかし、高齢化や現役世代の減少、家族形態や地域の変化、雇用基盤の変化などにより、制度を支えてきた社会構造は大きく変化し、現在のシステムはさまざまな問題を抱えております。
 いうまでもなく、社会保障制度は社会全体のセーフティーネットであり、財源ありきで論じるべきものではございません。
 しかし、将来を見据えれば、制度を維持するための財源を確保し、給付の重点化と効率化を図りながら、持続可能なものにつくり変えていかなければなりません。
 私は厚生労働大臣時代、こうした考えのもと、社会保障制度改革に取り組んでまいりました。現在、国が進めている改革も同じ考えに立ったものと認識しております。

 次に、介護報酬改定についてでございますが、今回の改定は、賃金や物価の状況、平成二十六年の介護事業の実態調査等を踏まえ、専門家から成る国の社会保障審議会でのさまざまな議論を経て、制度設計者である国の責任で行われたものであります。
 いうまでもなく、介護報酬の原資は国民が負担する介護保険料と税金でありまして、介護事業者であっても、効率的な運営のために経営努力を行うことが必要であります。
 都は、キャリアパスの導入など、努力した事業者に対する支援を行ってまいります。  介護職員や保育士の処遇改善についてでございますが、ふえ続ける保育ニーズや介護ニーズに対応するためには、サービス基盤の整備を進めるとともに、これを支える人材を安定的に確保していくことが重要であります。
 しかし、介護や保育を担う福祉人材については、キャリアパスの仕組みが十分でないことに大きな問題がございます。現場での頑張りが将来につながるなど、人生設計の見通しが立たなければ、優秀な人材が離職することになりかねません。
 そのために、都は、来年度から、これまでの社会福祉法人のみを対象に実施してきた補助制度を見直しまして、介護職員や保育士のキャリアアップに取り組む全ての事業者を対象とした都独自の補助制度を創設いたします。
 ただ、これまでも繰り返し申し上げてきましたが、こうした仕組みは本来、国が整えるべきものでありまして、そのため、これまでもさまざまな機会を捉え、国に働きかけてございます。
 単に、都独自に給与費補助を拡充すべきだというご意見には賛成できかねます。

 経済政策に関する認識についてでございますが、ご質問にありましたトマ・ピケティ教授の説には賛否両論ありますが、資本主義が抱える問題に一石を投じたものであると認識してございます。
 一方、行政を担う者としては、経済理論やデータを額面どおり受けとめるだけでは、これは不十分だと思っております。
 私は、みずからの目と足で現場をつかみ、一生懸命頑張る方々を応援していくことで東京から日本の成長を牽引していくと、そういう立場でございます。
 そのために、行政としてさまざまな政策をバランスよく展開してまいります。
 教育や就業などにおいて意欲のある人のチャレンジを応援し、機会の平等を図るとともに、新たな富をつくり出す成長戦略や都市再生などの経済活性化に資するインフラ整備にも取り組み、国家戦略特区というツールも最大限活用しながら、都民の豊かな生活を実現してまいります。

 労働法制についてでございますが、働く人が健康な生活を送り、将来に夢と希望を持つためには、適切な雇用環境の確保が重要であります。
 こうした考えから、若者や女性、高齢者など全ての人が希望する働き方で能力を発揮するための雇用政策を長期ビジョンに盛り込んでございます。
 労働法制の見直しは雇用環境に大きな影響を与えることから、労使や公益的な立場からの意見を幅広く踏まえることになっています。
 今般の法改正についても、現在、国においてさまざまな議論がなされておりまして、今後の議論の動向について注視してまいります。

 ソウル特別市の正規雇用化の評価についてでありますが、私も非正規雇用問題の解決は我が国の将来の根幹にかかわるものと考えておりますが、一方で、都庁における非常勤職員の状況はソウル特別市とは全く異なるものであると考えております。
 都の非常勤は、常勤の代替というよりは、特定の仕事に関する知識、経験、あるいは高度な専門性を持った者を雇用しておりまして、その処遇についても常勤職員を参考に設定してございます。
 また、公務において非常勤職員の優先的な常勤化は、そもそも我が国の法制度上も不可能でございます。
 外部委託については、最少経費で最大効果の原則に基づき、コストダウンとサービス向上の観点から行っておりまして、指摘は当たらないと思っております。
 今後とも、多様なマンパワーを適切に活用し、都庁の効率的かつ効果的な執行体制を構築してまいります。

 中小企業の現状に関する認識についてでございますが、我が国の経済は穏やかな回復基調が続いているものの、急速に進んだ円安や個人消費の回復のおくれなどの影響を受けまして、中小企業の業況は一進一退の状況にありまして、いまだ厳しい経営環境から抜け出せない事業者も多いと認識しています。
 こうした中小企業を支援するために、都はこれまでも、経営、技術、資金繰りなどの面から幅広く支援策を展開しています。
 今後とも、東京の産業を支える中小企業の振興に向けて取り組んでまいります。

 公共サービスにおける区部と多摩の格差についてでございますが、先日の施政方針演説で申し上げましたとおり、世界一の都市東京を実現するためには、多摩地域の発展が必要不可欠だということが私の基本的な姿勢でございます。
 これまで数多くの現場視察の中で、多摩地域がさまざまな課題に直面していることは、私自身、既に十分認識しております。
 一方で、区部と多摩地域では、自治制度や地理的条件、人口規模や産業構造といった社会的条件など、その置かれている状況は異なっておりまして、そうした違いがある中で画一的な格差論を展開することが、多摩地域の発展に資するとは思いません。また、同じ多摩地域内であっても、各市町村の状況にはさまざまな違いがございます。
 こうした現実的な違いを直視した上で、区部、多摩地域、さらに島しょ地域も含めて、東京全体の発展を目指すことが知事としての私の責務でありまして、今後とも、こうした考えのもと、多摩振興の取り組みを着実に推進してまいります。

 次に、人と環境に優しい都市づくりについてでございますが、東京が国際競争力を有する環境と調和した都市であり続けるためには、計画的な都市施設の整備や都市機能の更新が不可欠でございます。
 これまでも三環状道路の整備などを通じて、慢性的な交通渋滞の緩和や二酸化炭素の削減を図ってまいりました。引き続き、建物の省エネ化や地域のエネルギー利用の効率化を促しながら、都市活動に伴う環境負荷の低減を進めてまいります。
 ターミナル駅では、周辺市街地との一体的な整備によりまして、バリアフリー化など交通結節機能を強化してまいりました。さらに、鉄道やバスなどの有機的な連携を含む総合的な交通政策を展開し、誰もが安心して快適に利用できる公共交通を整備してまいります。
 交通利便性の高い拠点地域などでは、民間開発の機会を捉えまして、質の高い居住機能の誘導や緑の創出を図ってきておりまして、豊かな住環境の形成に向け一層取り組んでまいります。
 今後とも、都市の更新を適切に進め、経済活力と環境が両立した、誰もが暮らしやすい世界一の都市東京の実現に取り組んでまいります。

 続いて、平和の発信についてでありますが、さきの大戦で戦争の大きな惨禍をこうむった東京都民にとって、世界中の人々の相互理解に立脚した国際秩序の形成と恒久平和の実現は最大の願いであります。
 そのため、都は、東京都平和の日条例を制定し、平和の意義を確認し、平和意識の高揚を図るため、記念行事を実施することで国際平和の重要性を内外に広く発信してまいりました。
 オリンピック・パラリンピック大会は、スポーツを通じて世界の人々の尊厳を保持し、平和な社会を推進することを目的としておりまして、東京都は、二〇二〇年大会の開催都市として世界の都市と連携し、世界平和の実現に貢献してまいります。

 横田基地についてでございますが、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和と安定のために重要な役割を果たしております。横田基地を初めとする都内の米軍基地もその一翼を担うものと認識しております。
 米軍の運用に当たりましては、地域への影響にも妥当な考慮を払って活動すべきことは当然でございます。
 このため、都では、航空機騒音など地域に影響を及ぼす米軍の運用について国や米軍に要請を行っておりまして、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

 東京の教育に対する基本的見解についてでございますが、子供の可能性を伸ばし、引き出していくには、全ての子供たちが社会の中で自立して生きていくために必要な確かな学力や豊かな人間性などを身につけられるよう、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組む必要があります。
 このため、昨年十二月に取りまとめました東京都長期ビジョンにおきましては、基礎、基本の徹底によります学力の習得、向上のほか、地域や社会の教育力を活用した小中高を通じた系統的なキャリア教育など、さまざまな施策を位置づけました。さらに、高校を中退した若者が就職などをしないままフリーターになって、社会的自立が困難になってしまうといった問題に対応するためには、不登校児童生徒や高校中退者対策を進めていくことが重要であります。
 今後とも、日本の、そして東京のあすを担う子供たちがみずからの力で未来を切り開くことができますように全力を挙げて取り組んでまいります。

 なお、そのほかの質問については、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。

〇教育長 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国旗及び国歌に関する最高裁判決についてでありますが、卒業式などにおいて、児童生徒に我が国の国旗及び国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育成すべき教員が国歌斉唱時に起立して斉唱することは、教育者として当然の責務であります。
 平成二十四年一月十六日の最高裁判決では、卒業式などの国歌斉唱時に起立、斉唱等を命じる校長の職務命令は憲法十九条に違反しないとされ、不起立等に対する懲戒処分は可能とされたことは適切な判断であると考えております。

 次に、これまでの教育の現状についてでありますが、学校には、校長のリーダーシップのもと全教職員が組織的、計画的に児童生徒の指導に当たり、子供たちが将来にわたり心身ともに健やかに成長し、社会の中で自立して生きていけるようにすることが求められております。
 こうした目的を実現するため、都教育委員会はこれまで、各学校における教育課程が適正に実施されるよう、法令や学習指導要領に基づく指導の徹底を図ってまいりました。
 また、校長のリーダーシップによる学校経営の仕組みの整備や主幹教諭制度の導入などの施策を講じてきたところであり、今後もこうした取り組みを推進をしてまいります。
 なお、七生養護学校の判決では、都教育委員会が指導内容及び方法の基準を示すことは問題ないとされております。

〇東京都技監 都立公園への保育所の設置についてでございますが、現在、都立公園においては、レストランなどのにぎわい施設や子育て支援のための保育所の導入について、事業者などの意向調査を行うとともに、関係局などと連携しながら具体的な仕組みづくりを行っております。
 引き続き、貴重な緑を守りながら、国に働きかけを行い、保育所の導入を含め、多彩な機能を持つ公園づくりに取り組んでまいります。

  〇福祉保健局長 十点のご質問にお答えします。
 まず、特別養護老人ホーム経営支援事業についてでありますが、介護保険制度では、特別養護老人ホームは介護報酬により運営されることが基本でございます。
 都が現在実施している特別養護老人ホーム経営支援事業は、島しょなど地理的条件で厳しい経営環境にある施設や、サービス向上に資する取り組みを行っている施設に対し支援を行っているものでございます。

 次に、利用者負担等の見直しについてでありますが、介護保険制度は、世代間、世代内で支え合う社会保険制度であり、利用料として一定の自己負担を求めることは、給付と負担の公平性の観点からも必要であります。
 今回の改正では、合計所得金額百六十万円以上の者については自己負担が原則二割となりますが、そのうち年金収入とその他の合計所得金額を合わせた金額が単身で二百八十万円、二人以上世帯で三百四十六万円未満の場合には一割負担に戻す措置が講じられております。
 また、介護老人福祉施設の多床室の居住費負担の見直しについても、特養入所者全体の約八割を占める第三段階までの低所得者につきましては、利用者負担を増加させないこととしており、都として国に実施の中止を求めることや新たな対策を実施する考えはございません。

 次に、都の利用者負担軽減制度についてでありますが、本制度は、国制度である社会福祉法人等による利用者負担軽減の仕組みをもとに、対象サービスと事業主体を都独自に拡大しております。
 対象者の収入や資産要件については国制度に準拠して実施しており、要件について見直しを行う考えはございません。

 次に、事業所内保育施設についてでありますが、定員のおおむね四分の一以上を地域に開放する事業所内保育事業は、本年四月から開始される子ども・子育て支援新制度において、新たに区市町村認可による事業として位置づけられます。
 そのため都は、昨年度から区市町村が事業所に働きかけ、地域に開放する事業所内保育施設を新設する際の整備費補助制度を既に開始しております。
 また、今年度からは、区市町村の取り組みを促進するため、既存施設の改修に係る経費も含め、都が整備費の全額を補助することとしております。

 次に、保育所の園庭確保への支援についてでありますが、都が独自に実施している都有地の減額貸付や定期借地の一時金への補助、国有地や民有地の借地料への補助は、保育サービスの新たな整備を促進するための支援策でございます。
 これらの補助の対象には園庭も含まれており、園庭がない場合には、保育所の近くに代替場所を確保するよう求めております。

 次に、福祉人材の増配置についてでありますが、福祉施設等の人員配置基準は、国の従うべき基準等に基づき、都道府県や区市町村の条例、規則で定めることとされており、都は特別養護老人ホームや保育所などの基準を定めております。
 各サービスはこれらの基準に基づき提供されており、その上で、都は事業者に対し、望ましいサービス水準を確保するための独自の補助や、施設等の機能強化を図るための独自の補助を既に行っております。
 また、来年度からは、保育士や介護職員のキャリアパス制度の導入を推進するための独自の補助も開始いたします。

 次に、国民健康保険料の徴収についてでありますが、国民健康保険制度は、被保険者間の相互扶助を基本とした社会保険制度であり、その財源となる保険料の収納確保は、制度を維持していく上での前提となります。
 保険料の賦課については、収入に応じた軽減措置が設けられており、今年度からは軽減対象となる低所得者の範囲が拡大されております。
 また、区市町村は滞納者に対して、納付相談により生活状況を把握し、必要に応じて保険料の分割納付を案内するなど、きめ細かな対応を行っていると認識しております。

 次に、国民健康保険の国の財政負担についてでありますが、国民健康保険制度の医療給付費等に対する保険料と公費の負担割合は、昭和五十九年度から、原則として保険料が五割、公費が五割とされており、現在もその制度設計は変わっておりません。
 しかし、この間に数次にわたり国民健康保険制度の改正があり、都道府県調整交付金や保険財政共同安定化事業の創設に加え、前期高齢者の偏在による負担の不均衡を医療保険者間で調整する財政調整制度などが創設されたために、分母が拡大したため、結果として国保財政に占める国庫支出金の割合は減少しております。
 したがって、国庫支出割合の減少を理由として、国庫負担の引き上げを国に求める考えはございません。

 次に、国民健康保険料の負担軽減についてでありますが、国民健康保険制度の保険者は区市町村であり、保険料や保険税の賦課方式や料率は、それぞれの自治体の議会で審議され決定されるものでございます。
 全国知事会では、子育て支援の観点から、子供に係る保険料均等割を軽減する制度を設けるよう国に対して要望しておりますが、こうした制度上の課題については、制度設計者である国が責任を持って検討すべきものであります。
 都としては、保険料負担軽減のために新たな支援を行うことは考えておりません。

 最後に、多摩地域の医療環境についてでありますが、義務教育就学児への医療費助成事業の実施主体は区市町村であり、それぞれの自治体が議会においてさまざまな審議を経て、条例を定めて実施しております。
 都は、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の所得制限や自己負担を設け、市町村への補助を行っております。
 また、医療提供体制については、医療法に基づき、二次保健医療圏ごとに基準病床数を設定しており、各圏域では、必要な病床や入院医療の体制が確保されております。
 特定の地域や診療科の医師不足についても、医師奨学金制度や地域医療支援ドクター事業による取り組みを進めております。

  〇都市整備局長 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、福祉インフラ整備のための創出用地の提供についてでございますが、都営住宅、公社住宅の建てかえに伴い創出した用地のうち、活用が見込まれる候補地については、区市町村との協議を経て提供していくものでございます。
 まず、公社において、中野区広町住宅、板橋区向原住宅、文京区の茗荷谷住宅の三カ所の用地で特別養護老人ホーム等の整備に向けた取り組みを進めていくこととしてございます。

 次に、阪神・淡路大震災の教訓等についてでございますが、阪神・淡路大震災では、沿道建築物の倒壊による道路閉塞に伴い、避難活動や緊急車両の通行に支障を来すとともに、大規模な市街地火災が発生し多くの生命と財産が奪われるなど、都民にも多くの教訓を残しました。
 こうした教訓をもとに、都は全国に先駆けて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例を制定いたしました。
 また、中央防災会議最終報告では、あらゆる対策の大前提として、建築物の耐震化の取り組みを推進する必要があるとした上で、さらに、特に木造住宅密集地域や緊急輸送道路沿いでの建築物等の耐震化に重点的に取り組むとしてございます。
 都においては、同様の認識のもと、こうした施策に重点を置き、首都東京の防災力の向上を図り、世界一安全・安心な都市の実現を目指してまいります。
 また、住宅の耐震化に向けた取り組みについてでございますが、住宅等の耐震化は、自助、共助、公助の原則のもと、所有者みずからがその必要性を認識し主体的に取り組むことが不可欠でございます。
 都は、限られた人員と財源のもと、区市町村や建設業団体などと連携し、所有者による耐震化を促すためのさまざま取り組みを実施しております。
 具体的には、マンション啓発隊による管理組合等への働きかけや改修事例の紹介などの普及啓発に加えまして、耐震化を完了した住宅への固定資産税の減免などを行っております。
 また、住宅関連団体等と共催した耐震キャンペーンを継続的に実施するともに、区市町村が地域の実情に即して行う個別訪問等に対する財政的支援などに取り組んでございます。

 次に、木造住宅の耐震化助成についてでございますが、都は、広域自治体として東京全体の安全性を高める観点から、国や区市町村との適切な役割分担のもとに、老朽木造住宅の密集度が極めて高い整備地域に的を絞り、木造住宅の耐震化助成を重点的に行っております。
 こうした対応により、震災時の住宅の倒壊による道路閉塞や延焼拡大を防止し、大規模な市街地火災による人的、物的被害を最小限に抑えることが可能となります。
 引き続き、限られた財源のもと、防災対策上の優先度を考慮し、耐震化助成を効率的、効果的に実施してまいります。

 次に、住宅の部分的な改修についてでございますが、都は、整備地域内の住宅の耐震化について、震災時に住宅の倒壊による道路閉塞を防ぎ、大規模な市街地火災を防止するという公共的な観点から助成を行っております。
 例えば、一部屋のみの部分的な改修を行う場合は、建築物全体の耐震性が確保されず、地震により建築物が倒壊する危険性があることから、助成対象とはしてございません。
 なお、所定の耐震性が確保される改修工事を、複数年度にわたり数回に分けて、計画的、部分的に実施する場合は、各工事を助成対象としてございます。

 次に、外環ノ2の知事視察についてでございますが、知事は昨年四月、計画地の全線を視察してございます。
 都は、地域住民との話し合いの会を開催し、地元の意見を聞いております。

 次に、外環ノ2の廃止提案についてでございますが、都市計画道路は、広域的な交通を適切に処理するとともに、良好な市街地環境の形成や災害時の防災性の向上などを図るため、ネットワークとして機能させる必要がございます。
 お話の提案は、外環ノ2、全長約九キロのうち、約三百メートル弱を対象とした区間でございまして、そこの同意者数等の要件を満たしていたために受理はいたしました。しかしながら、その内容は、当該区間を廃止し、その結果、道路ネットワークとしての機能を発揮できず分断するものであるため、都は、この提案を採用しないと判断し、今後、都市計画法に基づき適切に判断してまいります。
 引き続き、外環ノ2の整備のあり方等につきましては、広く意見を聞きながら検討してまいります。

 最後に、米軍基地等に関する都の方針と政府、米軍に対する要望についてでございますが、都内米軍基地の整理、縮小、返還や、横田空域の早期全面返還を求める都の方針は何ら変更しておらず、引き続き国に対して働きかけを行ってまいります。
 また、昨年末の横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会の要望に対しまして、国からは、横田基地が日米安全保障体制を維持する上で極めて重要な施設であるとした上で、基地の運用に当たっては、周辺への影響に十分配慮するよう米軍に申し入れているとの回答を得ております。
 米軍からは、航空機の運用においては、日米合同委員会の合意を遵守するとともに、安全を最優先しているとの回答がございました。
 都としては、引き続き、必要に応じ周辺市町とも連携しながら要望を行ってまいります。

〇政策企画局長 経済政策のあり方についてですが、国際金融センターは、世界中から資金と人材と情報を呼び込み、国内外のさまざまな成長分野や企業に投融資がなされる拠点でございます。
 東京の持つ金融関連機能の集積を最大限活用し、経済の血液ともいわれる金融分野において、ロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融センターへと東京を復活させることで、東京、ひいては我が国の経済の活性化を図ってまいります。
 また、雇用や中小企業対策は、既に長期ビジョンに示しているとおり、非正規雇用対策、中小企業の経営改善や販路開拓支援など、必要な取り組みを講じていくこととしております。

〇産業労働局長 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、最低賃金についてでございます。
 東京都の最低賃金は、法に基づきまして、労働者、使用者、公益の三者の代表が審議し、国において決定をする仕組みとなっております。
 なお、都と東京労働局との運営協議会については、国との役割分担を踏まえつつ、ワークライフバランスの実現など、連携して取り組むことで相乗効果が期待される課題について協議する場として、先般立ち上げたところでございます。

 次に、中小企業の資金繰り等に対する支援でございますが、都は既に制度融資において、つなぎ融資の限度額を年度末まで引き上げる特別措置を講じるなど、関係機関と連携して中小企業に対する必要な支援を実施しております。

 次に、小規模企業に対する支援でございますが、都は、小規模企業の事業の継続や経営基盤の強化を図るため、経営相談や技術支援、金融支援、各種助成などを行っているところでございます。

 次に、専門家による中小企業への支援についてでございますが、都は、中小企業の製品開発を支援するため、さまざまな主体と連携して、共同開発のコーディネートなど専門家の活用を図っており、引き続きこうした取り組みを行ってまいります。

 次に、オリンピック・パラリンピック関係事業への都内中小企業の参入についてでございますが、都は来年度、中小企業団体等と連携して協議会を立ち上げ、中小企業による大会関連の受注機会の獲得などに向けた取り組みに着手することとしております。
 最後に、都市農地の保全についてでございますが、高額な相続税の負担等により、この十年間で約一千ヘクタールの都市農地が失われております。
 都はこうした状況を踏まえ、都市農業振興基本法の制定を見据えつつ、国家戦略特区の活用等によりまして、税制を含む制度改善を図るなど効果的な農地保全策の検討を行っております。

〇総務局長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の非常勤職員、臨時職員についてでございます。
 都では、毎年度、全ての業務について個々の職務内容及び業務量等を精査し、常勤や非常勤など最も適切な職を設置し、効率的な執行体制を確保しております。
 また、非常勤職員については、その勤務条件について、これまでも必要な改善に努めてまいりましたが、一般職非常勤制度の導入により、休暇、休業制度の拡充など一層の改善を図ったところでございます。
 なお、委託先団体等における適切な執行体制の確保や勤務条件の決定につきましては、それぞれの団体において主体的に取り組まれるべきものと認識しております。

 次に、感震ブレーカーの普及についてでございます。
 本年二月に国の検討会において、感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインがまとめられました。
 このガイドラインでは、感震機能つき分電盤に加え、コンセントタイプや簡易タイプなど、さまざまな機器について設置に当たっての留意点などが記載されてございます。
 さらに、出火予防が期待される範囲や作動の信頼性がタイプごとに異なり、停電時の照明確保や維持管理など、使用上留意すべき点もさまざまであるとともに、漏電遮断器や消火器の設置などをあわせて行うことも必要とされています。
 都としては、建築物の耐震化、不燃化に向けた取り組みに加え、家具類の転倒等防止対策や感震機能つき分電盤の普及促進などに取り組んでおり、引き続き、地域防災計画に基づくハード、ソフト両面の対策を推進してまいります。

 最後に、災害時の電気火災対策についてでございます。
 東京電力株式会社は災害対策基本法に基づく指定公共機関であり、その所掌事務に関し防災業務計画を作成してございます。
 これによると、東京電力株式会社は、災害時の電気火災を防止するため、漏電による事故を防ぐための漏電遮断器の取りつけ推進や、屋外避難の際の安全器またはブレーカー切断等について、さまざまな媒体により広く広報するとされており、都といたしましては、適切に対応されるものと考えております。
 また、地震発生時の高層住宅における火災防止のための電力供給遮断については、漏電遮断器や感震機能つき分電盤の普及啓発等を図っております。

〇財務局長 財政運営についてでありますが、東京の都市機能を支えるインフラ整備は、都民の利便性を向上させ、東京の活力を維持する上で不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要があります。
 中でも、外環道を初めとする道路や東京港など都市の根幹となる施設の整備は、将来への道筋をつける重要な事業であります。
 都はこれまでも、都市インフラの整備更新はもとより、雇用や福祉の充実といった生活の質の向上を図る施策や教育、防災、中小企業施策などについても的確に財源を振り向けてきております。
 今後とも、将来負担を見据え、都債も適切に活用しながら、財政の健全性を確保し、ハード、ソフト両面にわたる都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。

〇環境局長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギーの導入拡大についてでございますが、都はこれまでも、太陽光発電や小水力発電、廃棄物発電など、東京の特性に合わせた再生可能エネルギーの普及拡大を図ってまいりました。
 今般、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を目指し、専門家による検討会の提言も踏まえ、東京都長期ビジョンにおいて、十年後の二〇二四年までに東京の再生可能エネルギーによる電力利用割合を二〇%程度に高める目標を定め、実現に向けた具体的な政策展開をお示ししております。
 今後とも、都民、事業者と連携し、省エネ、節電とともに、住宅などへの太陽光発電の導入や都市型バイオマス発電の推進など需給両面にわたる多面的な取り組みを着実に進めてまいります。

 次に、NPOや住民と連携した取り組みについてでございます。
 都はこれまでも、官民が連携し地域の特性に応じた取り組みを進めることが重要であるとの観点から、区市町村が事業者団体やNPOなどの民間団体と連携して取り組む太陽エネルギーや木質バイオマスなどの再生可能エネルギーの利用拡大に対して支援を行っております。
 今後とも、都民、民間事業者、区市町村などと連携し、さまざまな観点から再生可能エネルギーの導入拡大に努めてまいります。

 最後に、水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金についてでございますが、本基金は、水素エネルギーの利用の拡大を図るとともに、エネルギーの有効利用及び低炭素かつ自立分散型のエネルギーの利用が進んだスマートエネルギー都市の実現に資することを目的としており、水素社会実現に向けた都の強い意欲と二〇二〇年までの継続的な取り組みを示す観点から、主な対象事業としては、水素ステーションの整備や燃料電池自動車の導入促進などを想定しているところでございます。

〇生活文化局長 東京大空襲などの記録の収集、活用についてでありますが、都は毎年、三月十日の東京都平和の日にあわせまして、二月から三月にかけて東京空襲資料展を開催し、都が収集した東京空襲関連資料や写真パネル等の展示、東京空襲体験者証言映像の上映を行っております。
 都内四会場のうち二会場については、区市町村から共催者を募っており、今年度は府中市及び瑞穂町との共催で開催をいたします。
 また、区市町村が主催する平和関連の資料展へ収集資料及び写真パネル等の貸し出しを行っており、区市町村との連絡会議等でも活用を呼びかけております。今年度は、十一区五市一町で実施する二十二会場の資料展への貸し出しを予定しております。

【再質問】

 知事に再質問します。
 知事は、安倍首相が進める社会保障改悪に対して、自分と同じ考えに立ったものと認識していると答えました。
 また、介護報酬引き下げによる深刻な影響について、知事は、介護報酬の改定は国の責任で行われた、事業者の経営努力が必要だと強調するだけで、評価を避けました。
 しかし、知事自身も厚労大臣時代に、介護の深刻な人材不足に介護報酬の引き下げが影響している可能性は十分あると述べています。
 東京都社会福祉協議会の調査では、今でも都内の特養ホームの半数で職員不足が生じており、八割以上の施設が、介護報酬の減額は介護人材不足に大変悪い影響を与えていると考えていますと。東社協は、このままでは介護崩壊になり、都内は介護、退院難民であふれ、在宅介護の悲劇が続くことが危惧されるとまで述べているのです。
 知事、そうは思っていないのですか。
 知事、国の責任だ、事業者の問題だというのではなく、介護報酬削減による深刻な事態を直視し、発言し、都としてできることを行うべきでありませんか。答弁を求めます。

 次に、経済政策についてです。
 私は、OECDの格差と成長に関する報告書に対する知事の認識もお聞きしましたのに、答弁がありませんでした。
 同報告書は、先進諸国における所得格差の拡大が、経済成長を大幅に抑制していることを指摘し、低中所得層に対する所得再配分、子育て世帯や若年層に対する支援を促進すべきとしています。
 OECDには、日本を含む欧米の先進諸国が加盟し、世界最大のシンクタンクとして、さまざまな分野における政策調整、協力、意見交換などを行っている国際機関です。  知事、この指摘をどう受けとめているのですか。お答えください。

 次に、教育についてです。
 私は、石原都政以降、管理統制と介入で学校教育がゆがめられていることについて、就任一年となる舛添知事の見解をただしたのであり、教育長に聞いたのではありません。
 最高裁は、都教委の立場を全面的に退けたものではありませんが、いたずらに懲戒処分を繰り返すのではなく、自由で闊達な教育が実施されるよう努力することを都教委に求めているのです。知事はどう受けとめているのですか。
 子供の実態に合わせ、保護者とともに試行錯誤しながら行われていた七生養護学校の性教育は、学習指導要領違反ではなく、教員をいきなり処分した都教委のやり方は、違法とされたのです。
 学校教育が、人間的な触れ合いの中で自主的、創造的に行われることを励ますのが、教育委員会の仕事ではありませんか。
 改めて知事の答弁を求めます。

 次に、防災についてです。
 都市型災害の典型である阪神・淡路大震災では、建物倒壊などによる圧死が死因の九割近くを占めていることを指摘し、住宅問題の研究者の、当時、全ての住宅を耐震化していれば、多ければ八割の方が救えたという、痛切な教訓をもとに尋ねたのに対し、都は、道路沿道の耐震化によって避難や消火を行う対策についていうだけで、建物倒壊による圧死から住民の命を守る対策については何一つ触れませんでした。
 耐震化助成によって住宅を耐震化すれば多くの命が助かるのです。この教訓について、知事はどう捉えているのですか。お答えください。

 最後に、外環ノ2についてです。
 これまで公表されていませんでしたが、知事は昨年四月に現地視察を行ったとのことです。
 外環本線を地下化する際、当時の石原知事は、地上部の住民にはもはや迷惑をかけないかのようにいって住民を安心させたのです。ところが、実際には、地上部道路の計画を残したため、住民がだまされたと憤慨し、苦しんでいることが、この外環ノ2の問題の根本にあります。地域の地権者を初めとした住民と無関係に視察を済ませたとするのでは、住民は到底納得できないと思います。
 どのような視察を行ったのですか。現地を歩いたのでしょうか。現地の地権者を初めとした住民から話を聞いたのでしょうか。お答えください。
 以上、五問について、知事のお答えをお願いいたします。
【再質問答弁】

〇福祉保健局長 社会保障制度改革と介護報酬改定についての再質問にお答えをいたします。
 先ほど知事からご答弁申し上げたとおり、社会構造の変化により、現在の社会保障制度はさまざまな課題を抱えております。現在の国の改革は、将来にわたって制度を維持するための財源を確保し、給付の重点化と効率を図りながら、制度を持続可能なものにつくり変えていくための改革と認識をしております。
 また、今回の介護報酬の改定は、賃金や物価の状況、介護事業の実態調査を踏まえ、専門家から成る国の社会保障審議会でのさまざまな議論を経て、制度設計者である国の責任で行われたものでございます。都として新たな対策を実施する考えはございません。

〇政策企画局長 OECDの指摘についての答弁がないということでありますが、先ほどあわせて知事からお答えしたとおりでございます。
 行政としてデータや経済論を額面どおり受けとめるだけでなく、現場を踏まえ、さまざまな政策をバランスよく展開していくことが必要であります。
 そのため、教育や就業などにおいて、意欲のある人のチャレンジを応援するとともに、新たな富をつくり出す成長戦略や都市再生などの経済活性化に資するインフラ整備にも取り組み、都民の豊かな生活を実現してまいります。

〇教育長 最高裁判決についてのご質問がございましたけれども、先ほどもご答弁申し上げましたが、卒業式などにおいて、児童生徒に我が国の国旗及び国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育成すべき教員が国歌斉唱時に起立して斉唱することは、教育者として当然の責務であると考えております。
 また、七生養護学校の関係でもご質問がございましたけれども、東京高裁の判決では、都教育委員会が性教育のあるべき内容及び方法を調査検討し、基準を示すことは許されており、そのことによって、各学校ないし各教員がみずからの思うとおりには性教育を行うことができなくなっても不当な支配に当たらないと、こういう内容も判断で下されております。

〇都市整備局長 二点のご質問にお答えします。
 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、先ほどご答弁申し上げましたとおり、住宅の耐震化については、自助、共助、公助の原則のもと、所有者みずからがその必要性を認識、主体的に取り組むことが不可欠であり、都は、区市町村と連携して所有者による耐震化を促すさまざまな取り組みを実施しているところでございます。
 その上で都は、広域自治体としての役割を踏まえ、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化や木密地域の不燃化などの施策を重点的、集中的に講ずることが東京全体の防災力を強化する上で重要であり、これにより、結果としてより多くの都民の生命、財産を守ることになるものと認識してございます。
 次に、外環ノ2の知事視察についてでございますけれども、知事は、公務の予定を踏まえつつ、計画地全線を視察してございます。
 都は、地域住民との話し合いの会を開催し地元の意見を聞いており、状況は適宜、知事に報告してございます。
 引き続き、整備のあり方について広く意見を聞きながら検討を進めてまいります。