二〇一五年 第一回定例会  中途議決 討論(全文) 3月5日

米倉 春奈(日本共産党・豊島区選出)

 私は、日本共産党都議団を代表して、第百二十号議案、平成二十六年度東京都地方消費税清算会計の補正予算に反対する立場から、討論を行います。
 今回の地方消費税清算会計の補正予算には、昨年四月に消費税の税率が五%から八%に引き上げられた後に、最初に納税された消費税の地方税分について、他の道府県と清算した結果が計上されており、反対です。
 そもそも安倍政権は、「社会保障のため」と言って、国民の反対を押し切って消費税の増税を強行しました。その結果、消費の冷え込みで、国民生活と中小企業の営業が圧迫されてきました。赤字経営が大多数の零細事業者からは、消費税増税分を納めるために借金したり、経営者自らの給与額を削らざるを得ないなど、悲痛な声が上がっています。しかも、社会保障は充実するどころか、介護・年金・医療・生活保護などを次々に切り捨てようとしています。また一方で、史上空前の利益を上げている大企業に対しては、法人税の減税を行おうとしています。そのうえ二年後、自動的に一〇%に引き上げる計画など、絶対に許されるものではありません。

 平成二十六年度一般会計補正予算について、意見、要望を申し上げます。
 まず、プレミアムつき商品券の活用についてです。プレミアムつき商品券は、地域活性化や消費喚起に効果があり重要です。現在都内では、二〇の自治体で取り組んでいますが、全ての自治体で実施できるように、きめ細かい支援を求めます。同時に、実施期間が限られた、プレミアムつき商品券の効果は、一時的なものであり、今こそ、都として、都内の中小企業、商店街が持続して営業ができるような支援を行うことを求めておきます。

 旧知事公館の売却益約四十四億円については、知事が浜離宮に構想している、迎賓館の整備費用として、社会資本整備基金に積み立てることとされています。知事の迎賓館構想が都民的に広く検証されていない現段階で、しかも旧知事公館跡地とはいえ、本来都民活用に還元されるべき都有地売却益をそっくり積み立てることには疑問を持たざるを得ません。改めて今後の慎重な活用を求めておきます。

 東京都防災街づくり基金条例について、一言申し上げます。
 法人二税など景気に左右されやすい税収構造を抱えた都財政において、大企業などの利益増大を反映して税収が伸びている現状の下で、今後の不安定な財政動向に備え、防災など都政にとって安定的に財源を確保すべき課題について基金を積み立てることに反対するものではありません。
 同時に、二〇一六年度以降に見込まれる、基金取り崩しの際には、その対象となる事業が、防災という基金の目的に適しているのか、基金の取り崩しが必要なのかなど、厳密に検討され、審議に付されるべきと考えます。とりわけ、現在、木造密集地域の防災の要とされる特定整備路線は、区間すべてが国の認可を取り付けて一斉に事業着手されようとしており、その事業費は合計で三〇〇〇億円を優に超える規模となります。その多くが防災上の効果や延焼防止効果について疑問が出されたり、沿道住民の合意が得られないままの強硬な測量や説得などに厳しい批判が広がっているものです。このまま強行すれば地域住民のコミュニティーや暮らしを大きく破壊しかねません。
 こうした、本基金の活用にふさわしくない取り崩し方はやるべきではありません。一方で、わが党が、大地震から都民の生命を守るために昨年都議会に提案した、都内の未耐震の老朽木造住宅すべてを対象に、急速に耐震改修を進めるために、助成制度を拡充することが今こそ求められています。阪神淡路大震災において、死者の九割が家屋の倒壊による圧死でした。東京都はこの痛苦の教訓の上に立って、未耐震の木造住宅を対象とした助成制度を確立することが急務であり、その財源は、今回の基金によって十分確保されるのです。このことを強く指摘し、討論を終わります。

以上