2015年度都議会予算特別委員会 総括質疑 3月16日

清水ひで子(八王子市選出)

多摩地域の振興について

〇清水委員 多摩地域の振興について伺います。
 知事は、多摩地域に光を当てる姿勢を明らかにし、多摩地域のいろいろな現場を訪れています。現場視察を通じて、多摩地域の現状に対する知事の理解も深まっていると思います。
 東京都には、政治経済の機能が高度に集積した特別区だけでなく、豊かな自然を初めとするさまざまな魅力を持った多摩地域や島しょ地域が存在しています。
 一方で、多摩地域には、財政力の弱い市町村もあり、東京都市長会からは、少子高齢化に対応する福祉、医療対策、高度経済成長期に集中的に整備された都市インフラ等の更新など、行政に求められるニーズはますます多様化し、行政運営に苦慮しているとの声が寄せられています。さまざまな特性を持つ都全域に目配りしながら、都民が暮らしやすい多摩地域を実現することが、東京都に求められているのです。
 多摩地域の振興に当たって、知事は、広域自治体としての都の役割をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

〇舛添知事 これまでも申し上げておりますとおり、東京を世界一の都市に押し上げるためには、多摩地域の発展が必要不可欠だということでありまして、これは私の基本的な姿勢でございます。
 その実現に向けまして、自治制度、財政環境、地理的、社会的条件など、多摩地域の置かれている現状を踏まえた上で、市町村と連携して、具体的な取り組みを進めることは、広域自治体の長としての私の責任でございます。
 したがって、私は多摩地域の数多くの現場を訪れまして、各自治体の首長と忌憚のない意見交換を行いながら、実効ある取り組みを推進してまいりました。今後とも、こうした認識のもと、多摩振興の取り組みを着実に推進してまいります。

〇清水委員 東京を世界一の都市にするといわれましたが、何よりも、多摩地域を含め、都民の暮らし、福祉、教育などを重視し、平和で安全な東京を目指していただきたいと思います。この立場から、初めに、医療問題についてお伺いいたします。

多摩地域の医療体制整備について

〇清水委員 知事は、我が党の代表質問に対し、多摩地域がさまざまな課題に直面していることは十分認識していると答えました。多摩地域の医療体制整備については、どのような課題に直面していると認識していますか。

〇梶原福祉保健局長 都はこれまで、保健医療計画に基づきまして、二次保健医療圏を基本的な単位として、がん、脳卒中や糖尿病などの疾病ごとの医療連携体制の整備、救急医療、災害医療や在宅医療などの取り組みを進めてまいりました。今後の急速な高齢化の進行などに対応するためには、急性期、回復期、慢性期など患者の状態に応じた医療機能の分化と連携の推進、救急医療体制、在宅療養体制の整備、大規模災害への対応、医療人材の確保などの取り組みの強化が求められております。
 こうした課題は、区部も多摩地域も共通のものでございまして、二次保健医療圏を基本としながら、各圏域の医療資源の状況や、疾病、事業ごとの特性などを踏まえて、医療提供体制の充実を図っていく必要があると認識しております。

〇清水委員 私はこの間、多摩地域にある公立病院や、八つの自治体病院、民間病院、幾つかにお邪魔し、また住民の皆さんからも、医師不足などのお話を伺ってまいりました。
 ある病院は麻酔科の不足、また、ある病院は新生児医師の不足、外科の不足、産科の不足など次々と訴えられました。多摩地域の公立病院では、八十数名もの医師が不足しているといわれているのです。民間病院も大変な苦労をしておりました。
 代表質問でも指摘しましたが、人口千人当たりの医師数は、二十三区の三・七人に対し、多摩地域は二・〇人と、区部の五四%にすぎません。こうした医療格差は、私たちがいっているだけではありません。
 知事は、昨年九月の福祉先進都市東京に向けた懇談会に出席されています。そこで、東京大学の上昌広教授は、東京都内で医師の数が多いのは、東京の真ん中だけで、東部と西部、つまり二十三区の東部と多摩地域は少ない、東京は偏在が著しい、さらに今後、医師不足は深刻になるだろうという発言をされました。この問題を受けて知事は、東京都で何とかできればというふうに思います、問題意識は、共通するところがありますと、述べています。医師不足について知事の認識をお伺いいたします。

〇舛添知事 私は、厚生労働大臣時、当時の医師不足の状況を踏まえまして、それまでの医学部定員の削減方針を見直しまして、医師養成数を増加させることにいたしました。十一年ぶりに、たしか閣議決定を変えたと思っております。
 都内の医師の総数は増加しているものの、依然として小児、周産期、救急、僻地医療など、特定の診療科や地域で医師の確保は困難な状況にあります。このため都は、小児医療や周産期医療などに将来従事する意思のある医学生への奨学金の貸与、多摩・島しょの公立病院への医師の派遣など、さまざまな対策を講じております。
 今後とも、こうした取り組みを積み重ねまして、必要な医師の確保に取り組んでまいります。

〇清水委員 今、知事がご答弁されましたような幾つかの取り組みを東京都は進めてまいりました。しかし、深刻な医師不足は打開できていないわけですね。とりわけ、多摩地域の医師確保は緊急の課題だと思いますが、どのような対策をとるのですか。都内における医師の偏在という問題提起を受けて、どのような検討がされているのでしょうか、お伺いいたします。

〇梶原福祉保健局長 都はこれまで、小児、周産期、救急、僻地医療に従事する医師を確保するための医師奨学金制度や、多摩・島しょの公立病院等への地域医療支援ドクターの派遣、医療機関における勤務環境の改善の支援など、医師確保に向けたさまざまな取り組みを実施しております。
 また、昨年度、地域医療支援センターを設置しまして、現在、都内病院における医師確保の実態把握や支援策等の検討を行っており、奨学金を受けている医学生への実地研修の充実などを図っております。

〇清水委員 私は、それでは打開できていないでしょうということをいっているわけです。医師確保対策の抜本的な対策が、拡充が求められているんです。住民の命のかかった問題です。
 それでは、東京都が実施しております地域医療支援ドクター事業、今もお話がありましたけれども、これ重要ですけれども、実績についてお伺いいたします。

〇梶原福祉保健局長 医師確保が特に困難な多摩・島しょの公立病院等に対し、都が採用した医師である地域医療支援ドクターを、平成二十二年度から延べ二十一名派遣しております。

〇清水委員 今のご答弁は、この五年間で二十一名、毎年四名程度だということですが、さらに、拡充強化が必要だというふうに私は思うわけですね。
 そこで、地域医療支援ドクター事業は重要ですけれども、先ほども述べましたように、どう認識し、対応していくのか、お伺いいたします。

〇梶原福祉保健局長 地域医療支援ドクター事業は、医師の確保が困難な多摩・島しょの公立病院等に、小児、周産期、救急医療、僻地医療等の分野に従事する医師を派遣するものであり、公立病院等の医師確保に資するものと考えております。
 今後とも、公立病院からの要請に応えられるよう、地域医療支援ドクターの確保に向けて取り組んでまいります。

〇清水委員 周産期も、小児も、救急も、多摩地域の医療体制は、抜本的な拡充が急がれています。そのためには、何よりも医師の確保が必要であります。公立病院からの要請に応えられるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 例えば、多摩地域の重要な地域周産期母子医療センターとなっている公立病院では、ハイリスクの妊婦を受け入れることができるよう、新生児集中治療室、NICUを六床、後方病床、GCU十二床を設置しておりますけれども、新生児科の常勤医師は、定員四人のところ一人もおりませんでした。医師不足はそれぐらい深刻なんです。この病院では、NICU六床全部の稼働は難しく、そのために、超未熟児の受け入れは困難で、三十二週以上からの妊婦しか受け入れができない現状に置かれています。
 ある妊婦さんが、三十六週で破水してしまったために、入院を申し込みましたが、受け入れることができず、府中の都立多摩総合医療センターまで、救急車で搬送せざるを得ないということもありました。幸い無事に出産をされて退院をしたという話です。
 多摩地域の病院や医療関係者、市町村、そして多くの住民が医療体制の拡充を急いでほしいと切実に願っているわけです。この願いに真正面から応えていただきたいと思います。その方策の一つとして、地域医療支援ドクター事業の拡充、ぜひお願いしたいんですけれども、それとともに、東京医師アカデミーの拡充を図ることが重要です。
 東京医師アカデミーは、都立病院、公社病院における医師の育成や確保の役割を果たしてきました。一方で、多摩地域の医療機関では医師不足対策が切実な問題となっていることは今も紹介したようなことです。病院経営本部では、新たな東京医師アカデミーの構築に向けた検討を行うということですけれども、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

〇醍醐病院経営本部長 東京医師アカデミーは、都立、公社病院における医師確保を目的として、専門性の高い行政的医療の担い手を育成し、これまで一定の成果を上げてまいりました。
 今後の取り組みにつきましては、既に東京都長期ビジョンに記載をしておりますが、急速に高度化する医療環境の変化などに対応するため、これまで以上に医師の専門性を高めることや、医師の確保が困難な多摩地域の公的病院との連携体制を構築することが望まれております。このため、外部委員を含めた委員会を立ち上げまして、新たな医師アカデミーについて検討を進めてまいります。

〇清水委員 今、お話ありましたような医師アカデミーは、都立病院と公社病院における医師確保を目的として医師の育成を進めてきましたが、公的育成機関としては最大級となる規模を生かして、医師が不足している多摩地域の医療機関への派遣という役割も果たしていく方向で、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 また、多摩地域には、都立病院が府中キャンパスに一カ所あるだけで、公立病院が都立病院の補完的な役割を果たしています。その運営を支えるために、市の一般財源から一億円または九億、十億近い補助金を出しており、市の財政にとっても大きな支出となっております。
 公立病院の運営を初め、市町村が取り組んでいる医療体制整備や医師確保対策への支援について、都として、抜本的に拡充強化をし、市町村の要望に応えていただくことを強く求めて次の問題に移ります。

教育条件整備について

〇清水委員 教育条件整備にも、まだまだ課題があります。その中で、強い要望の一つとして保護者の方々から寄せられているのが中学校の給食です。
 中学校の給食は、それぞれ各自治体の地域事情によって進められていますが、学校の中に調理場を備えた給食が住民の強い要望となっています。それに近づける取り組みを行うことができるように、都の支援を行うべきと考えますがいかがですか。

〇比留間教育長 区市町村立中学校の給食は、学校給食法の規定に基づき、学校設置者である区市町村が実施することとなっております。給食の調理方式は、学校設置者である区市町村が地域の実情に応じて適切に選択すべきものと考えております。

〇清水委員 冷たい答弁ですね。地域の実情に応じといいますが、給食の質や食育等の教育効果を考えれば、つくっている人の顔が見える温かい給食を生徒全員が一緒に食べられる自校調理方式が理想なんですね。
 学校給食法では、学校給食の目的として、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を初め、健全な食生活ができる判断力や望ましい食習慣を身につけること、学校生活を豊かにし、明るい社交性及び共同の精神を養うことなどを掲げています。
 中学校の学校給食は、二十三区では、全ての自治体で学校内で調理する自校方式が基本となっていますよね。多摩地域では、自校調理は六自治体のみです。市の給食センターでつくる共同調理方式、民間委託の弁当宅配の外部調理委託方式などがされているというのが実態です。それは、外部からとって弁当を宅配をしているところでは、生徒から、冷たい、おいしくない、そして事前に申し込みが必要などのことから、二割程度の生徒しか利用していないところもあります。
 また、育ち盛りなのに、菓子パンやおにぎりだけの生徒や、何も食べない生徒もいることも大変心配されているわけですね。また、外部調理の受託業者が突然撤退したことにより、給食が牛乳しか提供できなくなった学校もあるのです。こうした中学生の給食の実態、胸が痛みませんか。どうですか、お伺いいたします。

〇比留間教育長 調理の方式については、今お話がございましたように、自校で調理する方式から共同調理方式等ございますが、それはそれぞれ各学校設置者である自治体が地域の実情に応じて判断して対応しているもので、それぞれ工夫をして適切に実施しているというふうに理解をしております。

〇清水委員 多摩の自治体が自校調理方式にしないのは、できないのは、理由がコストの問題なんですね。各自治体の検討委員会などの記録を見れば明らかです。しかし、やはり自校調理方式が一番よいというふうに教育関係者として思いませんか。
 私は、小学生の十二年間の教員とか、子供二人を給食のない弁当で六年間過ごさせました。そういう中で、自校で調理をして温かい給食を食べてほしいですよ、その三年間。そういうことを教育庁としてはやることが本来の教育の仕事ではないんですか。
 市町村の仕事だといっても、耐震化とか冷房化とか、今までもさんざんそういうふうにいってきたでしょう、市町村の仕事だと。しかし、緊急にやらなければいけないということで東京都が支援したら、一気に進んだではありませんか。やはり、中学生に豊かな給食を提供できるよう、市町村への支援を実施していただきたいというふうに要望いたします。

公共交通の問題について

〇清水委員 次に、公共交通の問題です。
 持続可能な都市づくりを進めるために、フランスなどヨーロッパでは、公共交通を重視し、自動車に過度に依存しない交通対策が重視されています。知事はこのような動きをご承知だと思います。公共交通の重要な柱の一つである鉄道ネットワークが、二十三区に比べて整っていない多摩地域の現状について、知事はどのように認識しておられるでしょうか。

〇舛添知事 先ほど答弁しましたとおり、世界一の都市東京を実現するためには多摩地域の発展が必要不可欠であると、私は常にそう申し上げております。知事就任後初めて視察した地域も、実は多摩の現場でありました。多摩地域がさまざまな課題に直面していることをみずからの目で確認してまいりました。
 区部と多摩地域とでは、地理的条件、人口規模、産業構造といった社会的条件の違いがあることも踏まえ、それぞれの地域の特性に合った政策が必要であると考えております。
 今ご質問の今後のネットワークにつきましては、昨年五月から検討を進めておりまして、来年度には、都の考えを取りまとめてまいりたいと思っております。

〇清水委員 多摩地域の課題は十分認識している、そして、区部と多摩地域それぞれの特性に合った検討が必要だというならば、公共交通の大きな格差が残されている問題の解決に全力を注いでいただきたいと思います。
 私は、鉄道、新交通システムなどを合わせた鉄軌道に限って見て、整備状況を試算してみました。区部七百八十キロメートルに対し、多摩地域は三百十四キロメートルと区部の四割にすぎません。それは皆さん想像がつくことかと思います。
 そもそも多摩地域の交通は、区部で働く人を鉄道を中心にして大量輸送することを基本につくられてきました。このため、南北交通や日常生活を支える地域交通の整備は大きく立ちおくれており、多摩地域には多くの交通不便地域があります。団塊世代の大量退職時代を迎えた中、この問題の解決は急務となっております。
 そこで伺いますが、国の運輸政策審議会で、JR中央線の複々線化や、多摩モノレールの上北台から先の箱根ヶ崎まで、そして、多摩センターから先、八王子、町田までの整備、小田急多摩線の延伸などが位置づけられていますけれども、現在の検討状況というのはどのようになっているのか、お伺いいたします。

〇安井都市整備局長 都はこれまで、今後の東京圏の鉄道ネットワークにつきまして、移動時間の短縮や拠点間の連携強化などの視点に加えまして、事業性も含めて検討を行ってきており、先日、これまでの検討状況を中間まとめとして発表いたしました。
 その中で、国の現答申に位置づけられております路線などにつきましては、事業主体、採算性などの課題が存在するものの、ネットワークの強化や周辺路線の混雑緩和、沿線地域の利便性向上などの整備効果が見込まれるとしております。引き続き、整備効果や課題などについて検討を深めまして、来年度、都の考えを取りまとめてまいります。

〇清水委員 広域交通ネットワークというのが重要だと思いますけれども、多摩モノレールや既存の鉄道と連携したBRTやLRTの導入、コミニティバスなども含めた多摩地域の総合的な公共交通ネットワークの検討を求めるものですが、お答えいただきたいと思います。

〇安井都市整備局長 多摩地域におきましては、これからの少子高齢、人口減少社会の到来を見据えまして、市街地を集約型の地域構造に再編することにより、地域の活力を維持増進させながら生活の質の向上を図っていくことが重要でございます。
 このため、身近な地域の駅の周辺などにおきまして、多様な機能が集積した拠点を形成し、地域間の連携を強化する交通インフラの整備を進めることにより、誰もが安全快適に移動でき、活発に交流できる都市づくりを進めていくことが重要でございます。こうした考え方に立ちまして、多摩地域の公共交通のあり方については、今後の答申の方向を検討する中で検討してまいります。

〇清水委員 東京都の役割が、そうしたときに非常に重要なんですね。地域の交通ネットワークをつくる、LRTだとか、コミュニティバスなどを広めていくための東京都の役割というのは、非常に重要だというふうに思います。
 奈良県では、交通基本戦略をまとめて、日々の暮らしにおいて、県民がより自由に、また快適に移動できる環境を整備することは、生活の質の向上や地域交流の拡大などを進める上で大変重要であるとして、広域行政として、イニシアチブを発揮して取り組むことを基本方針に掲げています。そして、この立場から、市町村のコミュニティバスへの支援を、広域行政としての県の役割として明確に位置づけているのです。こうした立場を、東京都が役割を果たしていく、東京都に求められていることを申し上げておきたいと思います。
 また、富山市は、LRTを軸としつつ、生活交通を確保するための多様なコミュニティバスなどを組み合わせた地域交通政策で注目されています。岐阜市では、誰もが自由に移動できる交通環境社会の実現を掲げた総合交通政策が住民参加でつくられました。その中には、幹線バス路線とコミニティバスなどを組み合わせた複合的バスネットワークの構築や都市計画と連携して、公共交通が使いやすい都市の実現を目指すことが示されています。そのほか、姫路市を初め多くの自治体で公共交通を中心とした地域交通計画をつくり、推進する動きが広がっています。
 都としても、こうした全国各地の経験にも学んで、市町村と一体となって、都が大きく関与して、多摩地域における地域公共交通政策及び計画を明確にして進めていくことを強く求めておきたいというふうに思います。

都道の電線類の地中化について

〇清水委員 次に移ります。防災バリアフリー、また、景観の観点から、都道の電線類の地中化についてお伺いいたします。
 現在、都道における区部と多摩地域のそれぞれの整備状況についてお伺いいたします。

〇横溝東京都技監 無電柱化事業は、都市防災機能の強化や良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保を図る上で重要でございます。
 平成二十五年度末、計画幅員で完成した都道における地中化率は、区部で五一%、多摩地域では一五%となってございます。

〇清水委員 今ご答弁がありましたように、明確に、区部で五一%、多摩一五%ということで、多摩地域がおくれているということを認めるわけですよね。
 それで、おくれている多摩地域の取り組みというものの促進が求められますけれども、いかがですか、お伺いいたします。

〇横溝東京都技監 これまでセンター・コア・エリア内で重点的に無電柱化を進めてまいりましたが、今後は、平成二十六年十二月に策定した東京都無電柱化推進計画に基づき、防災機能を強化する視点をより重視し、周辺区部や多摩地域を中心に、緊急輸送道路や主要駅周辺などにおいて無電柱化を推進してまいります。
 今後とも、高度防災都市の実現と風格ある都市景観の形成に向け、都内全域で無電柱化事業を推進してまいります。

〇清水委員 多摩地域も中心にということでご答弁されましたけれども、多摩地域での緊急輸送道路、主要駅周辺ということで強調されておりました。都道の中でも、緊急輸送道路や主要駅周辺など、歩道幅二・五メートルないところがほとんどですよね、多摩の都道なんかは。そういうところでも通学路になっているんですね。通学路の真ん中に電柱が立って、雨の日などは、傘を差して歩くこともできないというのが実態であります。こうした部分についても、簡易で低コストの方法を採用することも含めて、多摩地域の無電柱化を早急に進めていただきたいと求めておきたいと思います。

消防団への支援について

〇清水委員 次に移ります。次は、消防団への支援となります。
 東日本大震災では、消防団員が二百五十人以上亡くなりました。その教訓から、消防団員の安全確保が大きな課題となっています。近年、消防団員は、火災だけでなく、水害、土砂災害を初め、多くの災害に対応することが求められております。しかも、多摩地域では、宅地開発や建築物の高層化に伴い、都市構造が大きく変化しているわけです。地域の状況に的確に対処できる消防力の強化が急務となっています。
 多摩地域の消防団の装備については、都としても、充実のための予算がつけられてきておりますけれども、区部と多摩のそれぞれの現状についてお伺いいたします。

〇中西総務局長 消防団は、消防組織法等に基づき、特別区については東京消防庁が、多摩地域については各市町村が管理しており、その装備についても、東京消防庁及び各市町村がそれぞれ責任を持って進めております。
 このため、特別区については、必要とされる装備が統一的に配備されている一方、多摩地域については、地域特性や各消防団のニーズに応じて、各市町村の判断のもとに整備が進められており、市町村ごとに装備の現状はさまざまでございます。

〇清水委員 それはわかっているわけですよ。(発言する者あり)しかし、私は、改めて消防団の装備や資機材について、二十三区の消防団が全て保有しています約十六種類について、多摩地域の消防団の保有状況を調べてみました。いろんなところにお聞きしたり、見たりして、調べてきました。
 その結果、例えば、救命胴衣、チェーンソー、携帯型救助器具など、二十三区の消防団が全て保有しておりましたが、多摩地域の消防団の多くが保有していないことがわかりました。それぞれ自治体によって大きく差があるわけです。
 また、私は、先日お会いしたある自治体の市長さんからは、昼間は、若い人はほとんど都内に仕事に行っているんだと、市内に残っているのは子供や高齢者だけ、そして警察署署員、消防署署員、市の職員が千人ほどなんだと、もしその中で何かが起これば、消防団の役割というのは本当に重要なんだ、だから、やはり最大限の装備ができるようにしなければならないという話もお伺いいたしました。
 さらに、デジタル無線機の機器購入への支援についても、委員会でも既に取り上げましたけれども、その後も、一台の単価が高いので、補助率を上げてほしいという要望を幾つかの自治体からお伺いしております。
 防じんマスクや防じん眼鏡は、簡易なものを分団で購入して使っているが、もし有毒ガスが出た場合などは、簡易なものでは無理なんだと、LEDの投光器を購入したい、一台でもいいから、これに補助していただきたいというようなお話も伺いました。火災や家屋倒壊の際の救出も消防団がかかわることが多いので、エンジンカッターなどの機材も必要だという要望も聞いてまいりました。
 消防団の果たす重要な役割を考えると、多摩地域の消防団の消防資機材の整備に対する一層の支援の強化が求められますがいかがですか、お伺いいたします。

〇中西総務局長 多摩地域の消防団については、基本的には、市町村みずからが必要な資機材の整備を行うものでございますが、今年度、都は広域自治体として、議会からの要望も踏まえ、多摩・島しょ地域の消防団に対し、救助救命用機材等の整備及び通信機器整備に対する支援を行ってまいりました。
 また、こうした取り組みに加え、都は、消防訓練所を通じた団員の教育訓練や、すぐれた消防団及び団員に対する表彰、団員確保のための広報活動などにも取り組んでおります。
 今後とも、引き続き多摩地域の消防団が地域防災のかなめとして活動していけるよう、区市町村と連携しながら取り組んでまいります。

〇清水委員 何年もかかってはだめなんですよね、何年もかかってそろえるというようなことでは間に合わないんです。もし、近いときに起きる首都直下地震など、やはり早期に、少なくとも二十三区の消防団が持っているものは全て早期にそろえられるように支援をしていただきたいと思います。要望をいたしておきます。

横田基地における問題について

〇清水委員 続きまして、横田基地における問題についてお伺いいたします。
 横田基地については、従来からの軍用機の騒音に加えて、オスプレイの飛来、米軍機によるパラシュート降下訓練の増加など、新たな問題が深刻化しております。
 知事は、都民の平和と安全を守る立場から、不安や危惧を持つ住民の声にどう応えていくのか、お伺いしたいと思います。

〇舛添知事 日米安全保障体制は、我が国の安全とともにアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠なものでありまして、横田基地など都内の米軍基地もその一翼を担うものと認識しております。
 米軍の運用に当たりましては、安全面に最大限考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきでございます。
 このため、都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、国や米軍に要請を行っておりまして、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

〇清水委員 横田基地は一国の首都、それも後からいいますけれども、住宅密集地の真ん中にあります。通り一遍の要請をするだけでは済まされないわけです。
 そこでお伺いいたしますが、アメリカ本土では、横田基地のような住宅密集地にある基地の運用に当たっては、安全確保の観点から、民間利用を制限しているクリアゾーンなどと呼ばれる区域、滑走路の端から四千五百メートル以内には、公共施設、住宅などを存在できないように、存在しないようになっています。ところが、横田基地は、クリアゾーンと呼ばれるこの制限区域に、住宅や公共施設や学校など多くの建物が存在していることを、どのように認識していますか、知事にお伺いいたします。

〇安井都市整備局長 横田基地の周辺地域におけます土地利用につきましては、航空法等の国内法の基準に適合するよう、国が適切に対応しているものと認識しております。
 なお、米国の基地周辺におけます利用制限を定めた基準につきましては、国が米国に照会したところ、米国内において周辺の自治体に示すガイドラインであり、米国外の基地には適用されないとの回答を得ております。

〇清水委員 そんなことをいわれて、そのまま引き下がっているのは許されませんよ。
 知事、二つのこの写真を見ていただきたいと思います。お手元にあります。両方とも、基地の周辺に住宅が広がっている写真です。このどちらが横田基地だとお思いになりますか、知事にお伺いしたいと思います。

〇舛添知事 私は、上から直接見たことはありませんですけど、右が横田基地ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇清水委員 こちらはどこだとお思いになりますか。

〇舛添知事 それについては、私は知識はありません。
〇清水委員 それでは、これをとりますね。こちらは横田基地、そして、こちらは普天間基地です。もう一つ、これは一番危険な基地だとアメリカのラムズフェルド国防長官が指摘されて、返還されることになっている沖縄の普天間基地なわけですね。どちらがどちらか本当にわからないぐらい住宅が密集していたというふうに思います。住宅密集地という点では、普天間基地にも劣らない状況です。これが横田基地なわけですね。
 そして、もう一つ見ていただきたいと思います。これは二〇一〇年アラスカで離陸直後にC17大型輸送機が三キロメートルの地点に墜落して、乗務員四名が死亡した事件です。この三キロ以内にというところには、学校が三十余りあるんですね。こういうところです。
 こういうようなところで、アメリカの基準でいけば、住宅の密集地にある横田基地の存在は許せないと思いますけれども、知事にお伺いいたします。

〇安井都市整備局長 横田基地は、西太平洋地域の空輸ハブ基地としての役割を担っており、輸送部隊が駐留してございます。

〇清水委員 そういうところに、都民が住んでいるわけです、学校があるわけです。しかも実際に事故も起こっているわけですよ。そういうところに、横田基地の存在というのは、本来アメリカだったら許されないですよ。それが日本で存在しているということについて、この写真を見ていただいてどう思いますかというふうに私は伺ったわけです。
 二〇一二年一月五日、横田基地を抱える周辺自治体に、一月十日、サムライサージ訓練を行うとの通知が、防衛省北関東防衛局からあり、パラシュート降下訓練が突然開始されました。C130輸送機六機が編隊を組んで飛行し、滑走路上空に差しかかると六機からパラシュートが次々飛び出してきました。まるで戦争が始まったかのようだと、あきる野市の方がいいましたが、横田は戦場のようだったようです。沖縄では、いろんな事故が起きています。このパラシュート訓練、これを放置しておいてよいのですか、お伺いいたします。

〇安井都市整備局長 横田基地は、先ほどご答弁申し上げましたように、西太平洋地域の空輸ハブ基地としての役割を担ってございまして、輸送部隊が駐留してございます。  横田基地からは、人員や物資を空輸する能力を常に保持することが必要不可欠でございまして、人員降下及び物資投下訓練は、そのための通常の訓練として行われると聞いております。
 都は、国や米軍に対しまして、基地の運用に当たりましては、安全対策を徹底するとともに、周辺住民に影響を与える事柄につきましては、適切に情報提供を行うことを求めております。

〇清水委員 沖縄では、トレーラーが途中で落ちて、民家の庭先に落ちて、十歳の女の子が下敷きになったんですよ。そういう事故もあるから、私たちはこれを撤去してほしい、なくしてほしい、やめてほしいということをいっているわけです。
 市長会要望では、横田基地は、市街化された住宅密集地にあり、また周辺自治体の行政区域を分断する形で広大な面積を占めており、これまで周辺自治体が、航空機騒音等により、まちづくりや生活環境で受けてきた影響は、はかり知れないものがあるといっているわけです。
 知事、この基地を戦後七十年の今、米軍基地のない平和な東京を取り戻していただきたいということを申し述べて質疑を終わるものです。