予算特別委員会・しめくくり総括質疑 3月24日

吉田信夫(杉並区選出)

障害者スポーツの促進、国民健康保険問題について

○吉田委員 日本共産党都議団を代表して、締めくくり質疑を行います。

谷村委員の発言について

○吉田委員 質問に先立ち、先ほどの谷村委員による我が党志位委員長の発言などに触れた質問に関して、まず、申し述べておきます。
 そもそも都民から負託された予算審議の場を他党攻撃の場にするということは、その政党、議員の寄って立つ立場が厳しく問われるものだと思います。ましてや、我が党の発言や新聞報道など、勝手に解釈をし、つまみ食いなどというふうに誹諺すること自体、許されるものではありませんし、発言する議員の品性がまさに問われるということを指摘しておきたいと思います。
 認可保育園及び特別養護老人ホームの増設に関し、いずれも日本共産党が都民の皆さんの運動と結んで努力してきたことは、議事録やマスコミ報道を見ても一目瞭然ではないでしょうか。最近の二年間を見ても、認可保育園は百六十四施設、一万六千四百七十二人の定員がふえました。一方、谷村委員が触れた認証保育所は、六十七施設、二千四百九十一人です。
 石原都政時代に都は東京の保育対策を、定員が少なく、その多くが三歳未満児までという制約がある認証保育中心にゆがめようとしました。公明党などは、これにもっぱら追随する態度でした。我が党は、あくまでも認可保育園中心であるべきだと主張し、都議会における論戦を展開してきたことは、皆さんご承知のとおりです。結果的に、二〇〇〇年から十年間で平均十ニカ所だった認可保育園の増設は、二〇〇九年からの四年間では、年平均五十三カ所の増設となったのです。もちろんこれでまだ十分とはいえません。しかし、認証保育中心だったら、待機児問題は今よりもっと深刻な状況になっていたのは明白ではないでしょうか。
 認可保育園の増設を進めるために、日本共産党は繰り返し、独自に、区市町村の待機児を調査し、発表してまいりました。これは社会的にも評価をされ、一般の全国紙でも、認可保育所に二万人入れず、共産党調査などと報道されてきたんです。都議会における論戦でも、我が党が本会議、予算特別委員会、常任委員会等で、幾度となく、量、質とも認可保育園の増設、待機児解消を求めてきたことはご承知のとおりです。
 昨年の予算特別委員会では、大山質問に対し都側は、待機児をゼロにするための工程表をつくると答弁をしました。舛添知事も、四年間で四万人の定員増を打ち出しました。今や明らかに認可保育園増設を中心とした待機児解消への取り組みが進められつつあるのです。これに対し、公明党などはこれまで、何度となく提出された十万人、二十万人近い都民から認可保育園の増設を求める請願をことごとく否決する態度をとってまいりました。
特別養護老人ホームについても日本共産党は、本会議、予算特別委員会、常任委員会等で繰り返し東京の深刻な実態をただし、土地確保、用地費助成などの支援強化を求めてきたところです。
 舛添都政の長期ビジョンに整備目標が盛り込まれましたが、我が党は繰り返し目標と計画の設定を求めてきました。土地確保、都有地提洪についても、日本共産党都議団は十七名に躍進し回復した議案提案権を最初に行使したのが、保育園の用地費助成条例を提案したことでした。東京都の取り組みを前に進める力になったと思います。
 都有地などの活用についても、この間、都側から、活用可能な都有地が余りないかのような発言もありましたが、我が党は普通財産で活用可能な都有地を独自に発表、さらに行政財産であっても、都営住宅などの建てかえによって、活用可能な土地があることを、具体的に示すことによって都有地、国有地などの活用促進を求めてまいりました。今紹介したのは一部にすぎませんが、我が党は都民の皆さんと力を合わせ、保育園、特別養護老人ホームの整備促進に全力を尽くしてまいりました。
 そうした中で、それらの整備がどう進みつつあるかを、都民の皆さんに報告をすることは、政党として、会派として、議員として当然のことではないでしょうか。
 なお、日本共産党が予算に反対したことをもって、実績がないかの発言がありました。しかし、私はこれまで、テレビ討論会などでもこの問題を指摘してまいりましたが、公明党は、国会で野党のとき、三十年間にわたって政府の予算案に反対をしてきたと私は認識しています。そうすると、予算に反対したこの三十年間、公明党は何一つ実績はなかったということをいいたいのでしょうか。しかも、我が党は、ただ反対しただけではありません。この間でも明らかなとおり、よりよい予算とするために、組み替え動議を提出する努力をしてきたことも改めて述べておきたいと思います。
 我が党は、都民から負託された都議会の質疑の場では、各党が、都民要求実現のために真摯な議論を尽くし合い、そして意見の違いがあったとしても、待機児解消など一致点で協力し合う、そうした大局的立場で臨むことを改めて呼びかけ、質問に入りたいと思います。

障害者スポーツの促進について

○吉田委員 初めに、二〇二〇年パラリンピック東京大会に向けた障害者スポーツの促進について伺います。
 知事は、施政方針で、二〇二〇年の東京パラリンピックをロンドンを超えるすばらしい大会にしていくために、全力を挙げて取り組んでまいりますと発言をしました。パラリンピックの成功は、大会とそれに向けたアスリートの養成などの課題とともに、私は全ての障害者が、スポーツに取り組み、楽しむことのできる東京を実現することが求められていると思います。
 しかし、都内には、手帳の交付を受けた身体、知的、精神障害者は約五十九万人といわれています。どれだけの人が、その中で定期的にスポーツが楽しめているでしょうか。文部科学省の委託調査では、週一、二日以上、スポーツ、レクリエーションを行った人は、成人一般が約四七%に対し、障害者は約一人%と報告をされています。それだけに、具体的な取り組みの抜本的な強化が求められていると思います。
 初めに、知事に、障害者スポーツに取り組む基本姿勢について、お伺いいたします。
 知事は、障害者スポーツのあり方について、国際パラリンピック委員会、IPC会長の発言を紹介し、身体の不自由を気にするより、使える部分を最大限に生かすことの重要性を強調しました。大切なことだと思います。私も、小児麻痺で学校の体育はいつも見学だったという女性が、シンクロナイズドスイミングを通じて、水の中で新しい世界が広がったという喜びの手記を最近読み、本当にすばらしいことだと思いました。使える部分を引き出す環境提供の重要性を痛感いたしました。
 重度障害者も含め全ての障害者が使える能力を生かし、スポーツを楽しむよう手だてを尽くすことが求められていると思いますが、知事、いかがでしょうか。

○舛添知事 今、吉田委員ご指摘のように、障害のある人にとってスポーツは、身体機能の維持や体力の増進に加えまして、社会参加意欲の促進、競技力向上による達成感など、多くの意義を有していると考えております。  私は、昨年、都立の障害者スポーツセンターを視察しまして、パラリンピック競技でもありますボッチャを見学いたしました。これは重度の障害によって動きを制限されながらも、本当にこの仲間とゲームに興じる姿に、スポーツの持つカは本当にすごいなと、体を突き動かし、心に豊かさをもたらすということを改めて認識した次第でございます。
 障害者スポーツは、今やリハビリテーションの延長という位置づけを超えまして、楽しむスポーツ、競技するスポーツへと広がりを見せており、都におきましては、障害の度合いに配慮しつつ、こうした幅広い視点から取り組みを進めているところでございます。  都は今後とも、市町村等関係団体と連携を図りつつ、障害のある人が、身近な地域でスポーツを行える環境づくりを初め、普及啓発や理解促進、競技力向上など、さまざまな施策を推進し、障害者スポーツの振興を図ってまいります。今、委員ご指摘のように、残っている能力、残存能力の活用ということがノーマライゼーションということの一つの大きな柱でございますので、その原則をしっかりと守っていきたいと思っております。

○吉田委員 障害者がスポーツに取り組めるようにするためには、障害に合わせたさまざまな種目の体験会や教室の定期的な開催が私は重要だと思います。女子車椅子バスケットボールのチームの一人として、パラリンピックを目指している女性は、リハビリのために、多摩障害者スポーツセンターの体験教室に参加をし、それをきっかけにして、車椅子バスケットボールの選手に成長いたしました。
 しかし、体験会や教室を定期的に開催している区市町村は、まだ、限られているのが現実です。私は、オリンピック・パラリンピック準備局の障スポナビで検索をしましたけども、私が見た限りでは、定期的に、教室や体験会を開催しているのは、二十三区で十一区、多摩二十六市では三市しか見ることができませんでした。都立の障害者スポーツセンターの拡充とともに、こうした身近な地域で体験会や教室が開催されるよう、都としても区市町村への支援を強化することが求められていると思いますけれども、いかがでしょうか。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 都はこれまでも障害のある人が身近な地域で継続的にスポーツに取り組めるよう、さまざま施策を行ってまいりました。具体的には、区市町村が障害者スポーツ事業を行う際の企画立案等の相談業務や、職員を対象とした障害者スポーツ指導員の資格取得に係る養成講習会の開催など、区市町村の取り組みを支援しております。また、区市町村における先進的事例を取り組み事例集で紹介するほか、障害者スポーツの理解を深めるための職員向けのセミナーにおいて、実際に事例を発表する場を設けるなど、情報共有を図っております。  来年度は、これに加えまして、区市町村が実施する障害者スポーツ教室など、地域において障害者スポーツを推進する事業に対しまして、経費の五分の四を補助する制度を創設し、区市町村の支援をより一層促進していくこととしております。

○吉田委員 こうした、定期的な体験会、教室を進める上で、障害者スポーツ指導員の役割は極めて重要だというふうに思います。葛飾区では、水泳とか、風船バレー、ボッチャ、四面卓球などのスポーツ教室が二十三区でも積極的に開かれていますが、ここでは区が独自に障害者スポーツ指導員の養成まで行っています。
 また、目黒区では、区立体育館の多くに障害者スポーツ指導員が配置をされて取り組まれています。要望にとどめておきますけれども、ぜひこうした障害者スポーツ指導員の養成、あわせて、ボランティア、介助員の養成、こうしたことにも、ぜひカを入れて取り組んでいただきたいということを述べさせていただきます。

特別支援学校について

○吉田委員 次に、特別支援学校について質問させていただきます。
 特別支援学校は、障害者スポーツ推進の上で大きな役割を果たしてきました。生徒の可能な能力、例えば、手が動く人は手で、足が動く人は足でサッカーをするというハンドサッカーも特別支援学校の先生方の努力で開発をされたもので、多くの生徒に喜ばれています。
 障害者スポーツ振興の上で、一万二千人もの生徒が学ぶ特別支援学校での障害者スポーツの取り組みをより強化することが重要と考えます。ただ、そのためには、施設の改善、運動用具の拡充が求められていますけれども、どうでしょうか、お答えください。

○比留間教育長 都教育委員会は、東京パラリンピックに向けて、特別支援学校における障害者スポーツの振興を図るため、来年度、スポーツ教育推進校十校を指定して、障害のある子供がスポーツに親しむ教育を進めてまいります。推進校では、ボッチャや風船バレーなど、障害が重い子供も楽しめる種目を授業に取り入れ、障害のある子供の運動体験の拡充を図ってまいります。また外部指導員の活用などによって、全国規模の障害者スポーツ大会で活躍できる競技力の高い選手の育成を目指してまいります。
 都教育委員会は、各推進校が、こうした授業や部活動での取り組みを充実できるよう必要な環境を整備していくこととしており、今後、推進校における取り組みの成果を他の特別支援学校に広げてまいります。

○吉田委員 特別支援学校での障害者スポーツの上で、プールの改善は急務だと思います。障害者のプールでの活動は、重度の肢体障害でも練習を重ね、泳げる取り組みが広がっています。ハロウィック水泳法というものも確立されています。特別支援学校の子供たちのプールにおける活動について、どのように考えているのでしょうか。
 重い障害児童でも、可能性を生かす理念に立てば、夏の時問だけではなく一定の水温が保たれ、恒常的にプールが使えることが求められています。今後新たに整備する特別支援学校のプールについて、当然そのような利用ができる整備がされるべきと考えますがいかがでしょうか。また、障害者スポーツ振興の視点から、地域の障害者にも開放すべきと考えますが、どうでしょうか、お答えください。

○比留間教育長 特別支援学校における夏季の水泳指導には、水の浮力を利用して心身ともにリラックスして体を動かしたり、楽しみながら水中での運動経験を広げたりするなどの効果が期待ができます。このため都教育委員会は、障害種別や立地条件等に応じてプールを屋内に設置し、必要な場合には、水温を上げるための加温設備を整備して、外気温の影響を少なくする工夫を行い、水泳指導の円滑な実施を図っております。
 本年四月に開校予定の都立水元小合学園の屋内プールにつきましても、加温設備を整備する計画であります。また、これらの施設を有効に活用して、地域の障害者へのプールの開放を進めているところでございます。

○吉田委員 ただ、パネルをぜひ紹介いたします新皆さんのところにはプリントが用意をされています。これは、都内の特別支援学校五十六校の中で、屋根がない、青印、屋根があり、緑印、そして屋根と加温設備があるものは赤印ということで印をつけたものです。この図を見ても明らかなとおり、屋根がある学校は十九校で二十一施設、そして、加温設備がある学校はわずか三校しかありません。
 私は、特別支援学校の先生に聞きましたけれども、肢体障害児の場合には、冷たい水だと、この硬直が起きるので、二十七度の水温でないと利用できない。結果的に、一年間で三回程度しかプールが利用できないケースもあると。生徒がもっとプールが利用できるようになれば、そうした生徒でも、水に浮き、あるいは頑張れば水泳ができるという可能性が広がっているんです。やはり、そうした生徒のためにも、さらに地域で、障害者の方々が一年を通してプールが活用できるというためにも、新設はもちろんですけども、こうした既存校への加温装置の設備を私はぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○比留間教育長 都教育委員会は、これまでも、障害者別や立地条件等に応じてプールを屋内に設置し、必要な場合には、加温設備を整備して、水泳指導の円滑な実施を図っております。引き続き各学校の実情を踏まえて適切に教育環境の整備を行ってまいります。

○吉田委員 適切に行っていくというご答弁でした。調べてみましたら、これは新設の場合ですけども、加温設備を一カ所整備するのに約、予算的には、六百万円だそうです。例えば、十校整備する場合では六千万です。知事が強調したように、使える部分を最大限に生かすと、しかも、それがあるかないかで、そこの生徒がどれだけ生かされるかどうかが問われます。ぜひ知事、この点ですね、積極的に既存の学校でも設置が進むように、知事としてイニシアチブを発揮していただきたいということを述べさせていただきます。また、長期ビジョンでは、特別支援学校を地域の障害者スポーツの拠点にするということが打ち出され、大変歓迎されています。しかし、これは学校の先生の努力だけでは限界があります。やはり独自の施設や人的な配置などですね、オリンピック・パラリンピック準備局も含めて、積極的に展開できるように努力をしていただきたいということは要望としてお願いをしていきます。
 次に、知事に伺いたい点があります。それは昨年来日したIPCのアポストロス・リガス知識管理部長は、二〇二〇年東京パラリンピックに向けたオリエンテーションにおいて、パラリンピックを通じて障害者の見方を変えて、雇用や社会参加の拡大につなげ、他の国ヘバリアフリーのモデルを提供したりすることが使命と強調したと報道されています。開催都市への重要なメッセージだと思いますけれども、知事これをどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

○舛添知事 今、吉田信夫委員がIPCのアポストロス・リガス知識管理部長の言葉を引用なさいましたけれども、私もパラリンピックは、世界最大の障害者スポーツの祭典であると同時に、障害者に対する人々の理解を飛躍的に促進する絶好の機会であると思っておりますし、その意味で社会的に非常に大きな意義を持っていると考えております。
 二〇二〇年の東京パラリンピックの開催に向けまして、障害者スポーツの普及啓発や、ハード面のバリアフリー化の一層の推進に加えまして、私がいつもいっていますように、心のバリアフリーを日本中に浸透させて、障害者が社会参画しやすい環境を整えるべきだと考えておりまして、こうした取り組みを積み重ねることによりまして、大会を成功に導くとともに、人々の意識に変革をもたらす、そして、障害のある人とない人がともに生きる社会の実現につなげていくということが大きな理想であると考えておりますし、そのために全力を挙げたいと思っております。

○吉田委員 パラリンピック障害者スポーツの質問の最後になりますが、関連して、雇用を所管する産業労働局長にお聞きいたします。リガス氏は、計画が必要と訴えました。東京の企業での障害者雇用率は一・七七で、二・○の法定雇用率に至っておりません。パラリンピックを通じて、法定雇用率の達成が図られるよう、目標と期日を明確にして取り組むべきと思いますが、お答えください。

○山本産業労働局長 障害者が地域で自立して生活することができるよう、雇用を拡大していくことが重要でございまして、都は、民間企業の法定雇用率である二・○%の水準を目指し、長期ビジョンにおきまして、二〇二四年度末までに、障害者雇用を四万人増加させるという目標を掲げ、中小企業に対する支援など、障害者雇用の促進に取り組んでいるところでございます。

国民健康保険の問題について

○吉田委員 次に、国民健康保険の問題について質問をさせていただきます。
 都も認めてきたように、国民健康保険は、所得の低い高齢者や非正規労働者の被保険者が増加する一方、高齢者の加入に伴い、医療給付は増大し、その解決が求められています。保険料が払えない滞納世帯比率は東京が全国で一です。その結果、保険証の取り上げによって必要な医療も抑制せざるを得ない状況は放置できません。
 今、東京では、若者の半数が非正規労働者であり、この層の若者は国民健康保険に加入しなければなりません。また、現役の正規労働者も退職するとともに、協会けんぽなどから区市町村の国民健康保険に加入しなければなりません。それだけに、国民健康保険のあり方は、現在の加入者とともに、将来、加入する都民も含め、まさに都民的な課題というふうに私は認識しております。
 初めに、知事は、昨年の就任直後の第一回定例会、施政方針演説の中で、政治は強い者のためでなく弱い者のためにある、これが私の政治哲学でありますと発言し、昨年末の新聞インタビューでは、貧乏な人は死んでしまう社会でいいのかとまで発言しました。こうした発言は重要ですけれども、知事は、貧困対策、低所得者対策にどう取り組んでいこうとしているのか、お答えください。

○舛添知事 今、吉田信夫委員が引用されました私の言葉、私の哲学は全く変わっておりません。都はこれまでも生活に困窮している都民がみずから安定した生活への道を切り開けるように、国に先駆けまして、居住や就労の支援など、さまざまな低所得者、離職者対策を実施してきたところでございます。また、長期ビジョンにおきましても、低所得者等の生活の安定に向けた総合的な支援を政策目標の一つに位置づけたわけであります。
 本年四月から、生活困窮者自立支援法も施行されます。都は今後とも、生活支援や就労支援などを担う区市と連携して、低所得者等に対するさまざまな施策を推進してまいりたいと思っております。

○吉田委員 低所得者対策を総合的に支援して取り組んでいくということは重要ですが、その意味では、低所得者の多くが加入し、しかも、保険料が上がり続けているというこの国民健康保険問題の解決に、知事としてどう取り組むのかということが私は率直に問われているというふうに思います。改めて、福祉保健局長にお伺いしますが、東京の被保険者の実態はどのような状況になっているのでしょうか。

○梶原福祉保健局長 平成二十五年度国民健康保険実態調査によりますと、東京では、年収から法定の控除額を引いた後の保険料賦課の対象となる一人当たり平均所得は九十四万三千円となっております。年齢構成では、二十歳以上四十歳未満の割合が二三・七%、六十五歳以上の前期高齢者の割合が二九・一%となっております。職業構成では、健保組合や協会けんぽなどの被用者保険に加入していない被用者の割合が四三・七%、年金生活者などの無職の方の割合が三四・七%となっております。全国と比較いたしますと、一人当たりの平均所得二十歳以上四十歳未満の割合、被用者保険に加入していない被用者の割合が高い状況にございます。

○吉田委員 今のご答弁ですと、非正規労働者や年金生活の高齢者が約八割近くを占めている状況になっているということですね。しかも、旧ただし書き所得換算だと思いますけれども、平均で見ても、一人当たり、新のデータで九十四万三千円、月額で計算すれば七万九千ですか、こういう状況です。こうした状況だけに、私は、医療費に連動して保険料が上がり続けるという構造は解決が求められているというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、全国知事会がことし一月に発表した声明では、今後、増嵩する医療費に対し、被保険者に過度な負担を負わせることなく、と強調しています。すなわち、医療費の増加をストレートに保険料に反映させてはならないという趣旨だと思います。都としても当然、この視点で取り組むことが求められていると思いますけれども、いかがでしょうか。

○梶原福祉保健局長 今お話のあった全国知事会の緊急要請の文でありますが、これは今後医療費が増嵩する中で、将来にわたり国民健康保険制度の持続可能性を担保するための制度的措置を講ずるよう国に求めたものでございます。
 都におきましても、これまで、将来にわたり安定的で持続可能な制度となるよう構造的な問題の解決を図ること。その解決に当たっては、医療保険制度の医療費等の将来推計を適切に行った上で、必要な財源については国の責任において確保するよう繰り返し提案要求しております。

○吉田委員 否定はされませんでした。それなら保険料が過度な負担にならないよう手だてをとるということを、私は東京都に求められていると思います。しかし、パネルをまた紹介させていただきます。このグラフは、二十三区の均等割の推移を並べたものです。資料にあるとおり、二〇〇〇年は二万六千百円だったものが、来年度は四万四千七百円、一・七倍にはね上がる状況となっています。医療費の増加がほぼ保険料の値上げに連動しているのではないでしょうか、しかも所得が低下しています。
 そこで、知事にお伺いしますけれども、昨年七月の全国知事会声明は、既に、国保の被保険者の負担が限界に近づいているというふうに述べていました。東京でも、区市町村が、法定外繰入れを行っても保険料は上がり続け、その負担はまさに、限界だと私思います。
 今年度の保険料通知に対して、都内区市町村に、収入が下がっているのになぜ保険料は上がるのかなどの苦情や問い合わせが九万件を超えて殺到したと報告を受けています。
 実際の世帯の例を紹介したいと思います。これは二十三区杉並ですけども、年収二百万の給与収入で、四十歳、三人家族の場合です。二〇一一年は、国民健康保険料十一万三千七百六十円でした。しかし、来年度はどうなるかというふうにいいますと、国民健康保険料は十八万二千三百七円、介護分を含めると二十一万八千円余です。四年間で一・六倍の値上げということになります。二百万の年収ですからその一割が国保料の支払いで奪われるという状況です。一例を紹介しますが。知事、全国知事会も認めているように、まさに、負担の限界に近づいているという事態だと私は、いわざるを得ませんけれども、どう認識されているでしょうか。

○梶原福祉保健局長 昨年七月の全国知事会の提言のお話がありましたけども、これは国保を将来にわたって持続可能なものにするため、あるべき保険料水準について十分議論した上で、極めて高い被用者保険との格差をできるだけ縮小するような、抜本的な財政基盤の強化を国に対して求めたものであります。
 今回、国と地方との協議の上で、追加的公費の投入というのが決まりました。今回の改革で、国は保険料の伸び幅の抑制が期待されるとしており、改正法案でも、施行後も国民健康保険の運営状況を検証しつつ、制度全般にわたって検討を加え、必要な措置を講ずることとされております。
 制度設計は国でやるべきだというふうに考えております。国民健康保険の保険料、保険税は、その上で、それぞれの区市町村で決定するものであり、全国を見ても、その水準はさまざまでございますけれども、都としては、今後とも将来にわたって持続可能な制度となるよう国に対して提案要求してまいります。

○吉田委員 私の質聞に対する答弁にはなっていないと思います。私は、施策だとか考えをあれこれ聞いたのではなく、昨年七月の全国知事会声明が打ち出した国保の被保険者の負担が限界に近づいていると、これは全国知事会の認識です。しかし、これは、ただ、知事会認識だけではなく、東京都としても、そう認識せざるを得ない事態ではないですかと、その認識を聞いているんです。この認識次第では、国保問題に対する都の立場、構え方が変わってくるんです。もう、イエス、ノーで結構ですからお答えください。

○梶原福祉保健局長 保険料の水準は、さまざまであります。それを決めているのは、各区市町村であります。都の区市町村の水準をいいますが、都の国保料でいうと、一人当たりの所得は全国一位でありますけれども、一人当たりの保険料調定額は十七位、負担率は四十七位となっております。

○吉田委員 しかしね、先ほども紹介しましたけれども、東京の国保の収納率は全国最低ですよ。また、滞納世帯も二二・三%で全国ワーストワンですよ。まさに負担の限界にあるから、こういうことになるんでありませんか。しかも、東京の場合には、単に平均的な数値だけで見ることはできません。しかも、私が調べた国の二〇一三年度全国調査によれば、明らかに所得に際する平均保険料の負担率は上がっています。私の計算では七・九%です。
 さらに、例えば東京の国民年金の平均年金受給額は月額で幾らだと思いますか。五万三千九百円ですよ。全国三十位ですよ。保険料は全国一安いという状況じゃありません。
 改めて、負担が限界に近づいているという認識はないんですか。

○梶原福祉保健局 長私どもは、従来から国民健康保険制度には根源的な問題があるということは認識をしております。その上で、制度においては、それを国が制度の設計者として、きちんとやってほしいというお話をしています。
 委員お話しの話は、それができないならば、国でできないならば都が補填をしろというご主張のように聞こえます。
 私どもは、国民健康保険制度というのは全国統一の制度であります。その上で、保険者が、それぞれ区市町村になっている。その制度を守っていくために、持続可能な制度とするために、常に国に対して提案要求をしているということでございます。

○吉田委員 都の責任を追及されるからといって、現実をきちんとやっぱり見て答えていただきたいと思うんですよ。しかも、いいたいのは国保料だけではないんですよ、負担というのは。グラフ、今、お示しをしてあります。(パネルを示す)これは二十三区、私の杉並のところで、国保料だけではなく、国民年金保険料を合わせたら、来年度どのぐらいに負担になるのかということで、杉並区が試算をして杉並区議会に提出したものをグラフにしたものです。
 ごらんのとおり年間で、これ先ほどの年収二百万、三人家族ですよ。五十九万円ですよ。年収の三割近い負担になるんです。それに、消費税の増税が上乗せとなり、ましてや、民間の賃貸住宅の家賃支出があったとしたら、どうなるでしょうか。知事、ぜひお答えいただきたいんですけども、こういう事態、どう見ますか。政治は弱い者のためにというなら、都の努力としても、国に社会保障負担を引き下げ、社会保障予算は拡充するということを求めるべきじゃありませんか。

○舛添知事 まず、私は、国民皆保険、国民皆年金、こういうものは守った方がよいと思っております。しかし、そのためには、お金は天から降ってきませんから、どういう形で財源の手当てをするかということを考えなければいけません。
 これは、国権の最高機関である国会において、我々の国民の代表である国会議員がしっかりと議論をしていただくことが必要だというふうに思っております。私も厚生労働大臣をやりましたから、国保というのが要するに大地のようなもので、我々、みな年とっていって仕事やめれば全員そこにお世話になるわけです。みずから仕事をしてないわけですから、組合健保などからたくさんのお金を入れてもらってやっている。現役から見ると、何だ、こんな金を我々が払わないといけないのかと、こういう人たちに対しても手当てをしないといけないというふうに思っております。
 国が現在進めております社会保障制度改革というのは、そういう面からであって、全国知事会的な立場からでは、そのまま賛成はできませんけれども、例えば区市町村という単位で保険の国保の運営をやるというのは限界に来てんじゃないかと、こういう問題意識もあるんだろうというふうに思っておりますんで、国民皆保険を守るためにはどうすればいいかということを、これはしっかりと議論をした上で制度を維持すると。しかし、その中で、低所得者の方々がおられる。この人たちに対して、新たな負担軽減策を求めると。この方針は、国でも、しっかり持っているというふうに私は見ております。
 そして、都は区市町村と連携して、非常に生活困窮している方に対しては、これはいろんな支援をやっているということでありますけれども、ぜひ、これは国の制度設計の面でありますから、国権の最高機関で、しっかりと財源も含めて議論をしていただきたいというふうに思います。
 そして、給付の重点化、それから、効率化ということも、やっぱり果たしていかないといけない。そういう観点から、これは、吉田委員がおっしゃいました問題意識も含めて、さまざまな複雑な問題が絡んでいると思いますんで、ぜひとも、今後とも議論を深めていきたいというふうに思っております。

○吉田委員 私も、国の責任にかかわることだから、ぜひ国にいっていただきたいということを述べました。天から降ってくるものではないというお話は、去年のちょうど予算特別委員会で知事がいわれましたけれども、国のことでいわせていただければ、その制度の持続可能性ということをいうんだったら、例えば法人税一・六兆円の減税、なぜするんですか。それしなければ維持できるじゃありませんか。さらに、低所得者対策、生活困窮者対策は、もちろん手だてを尽くす必要があります。しかし、だからといって、全体的に負担増と給付の抑制が都民に押しつけられるということが、そのまま進むというようなことがあってはならないと思います。
 私は、全国知事会が合意はしましたけれども、国の千七百億円、さらに千七百億円、三千四百億円、この金額で対応したとしても、到底、保険料の軽減には十分なものではない。この点でも、もっと東京都として意見をいうべきだということを述べさせていただきますし、同時に、局長が気にしていましたけれども、やっぱり東京都の責任は免れないというふうに思います。
 国が財政責任を果たさない中、保険者である区市町村を必死になって、財政的に決して豊かでない自治体も含めて、一般会計からの法定外繰り入れをしながら保険料抑制するために頑張っているんですね。二〇一二年度の被保険者一人当たり繰入額は三万二千五十八円というふうに私は計算しました。都下の区市町村ね。ところが東京都は、法に基づく負担はもちろん行っていますけれども、その法定外を見ると一九九九年度には一人当たり八千百七十三円、一人当たりですよ。しかし、今は一人当たり千二百二十六円というふうに統計的に、私計算したら出てきました。やはり国に求め、また、当事者である市町村も努力をしていますけども、東京都としても努力をするということが求められているということを強く要望しておいて、次に、差し押さえ問題について質問させていただきます。 差し押さえ問題について

○吉田委員 滞納世帯の増大の中で、差し押さえも増大をしています。詳しい事例を紹介する時間がなくなりましたけど、その中には、例えば生活費である預金口座が全額差し押さえられてしまうというような事態も起きています。国民健康保険料、保険税も、差し押さえの法的な規定は国税徴収法だというふうに聞いています。国税徴収法では差し押さえ禁止対象が明確にされていると思いますが、給料、事業活動に必要な機材、さらに児童手当などはどう規定されているのか、税の直接の担当である主税局長にお伺いいたします。

○塚田主税局長 国税徴収法では、給与等の収入の一定額について差し押さえ禁止と規定しておりまして、具体的には、滞納者本人のみの場合、一月ごとに十万円を差し押さえ禁止としております。
 加えて、滞納者の生活に欠くことができない衣服や食料、あるいは業務に欠くことができない器具などについても差し押さえの禁止規定がございます。
 また、児童手当については、国税徴収法ではなく児童手当法により差し押さえが禁止されております。

○吉田委員 都税の滞納整理に当たって、給与債権は制限があるけれども、預金債権になった場合には全額差し押さえ可能だというふうにされているようです。ただ。その場合にも、私も国の解説の本を読みましたけれども、生活費などはきちんと配慮するという規定があるのではないでしょうか、ご説明をお願いいたします。

○塚田主税局長 最高裁の判例によりまして、預金は給与や年金とは別個の債権とされており、差し押さえの対象財産となります。
 一方で、地方税法の規定では、預金の差し押さえにより生活に支障があると認められる場合には、差し押さえた預金の取り立ての猶予や解除ができるとしております。
 都では、この規定に基づき、差し押さえた財産のほかに財産や収入がなく、取り立てをすることにより生活の維持が困難になるという判断をした場合で、なおかつ、その滞納者に納税について誠実な意思が認められるときには、取り立ての猶予や差し押さえ解除などの対応を行うことがございます。

○吉田委員 関連して、預金の差し押さえの場合でも、児童手当そのものを差し押さえすべきではないということが、これは鳥取県の事例ですけれども、広島高裁の判決で確定しているということは、極めて、もう既に知られていることだというふうに思います。この広島高裁判決は、鳥取県は口座に児童手当が振り込まれると認識した上で差し押さえを行ったと認定し、実質的には差し押さえ禁止債権である児童手当の受給権を押さえたということで、これを違法としたというふうに聞いております。
 私は、こういうことをぜひ東京都がテキストとして発行している主税局徴収部監修の滞納整理事務の手引ですか。いう中に、ぜひ新しい状況を反映していただきたいと思いますし、また、大蔵財務局のつくった市町村ハンドブックも読んでみましたけども、わかりやすいんですよね。そういう改善もぜひしていただきたいということを要望として述べておきます。
 最後に、我が党は、都に求めるだけではなく、国保の軽減、低減のための条例提案を行いました。二割、五割、七割の減額をさらに区市町村が努力をした場合にはそれを上乗せすると、こういう努力も提案をしております。ぜひ賛成をお願いすると同時に、東京都も、こうした努力をしていただきたいということを述べて、私の質問を終わります。