2015年第3回都議会定例会文書質問趣意書 2015年10月5日

河野ゆりえ(江戸川区選出)

地球温暖化防止、エネルギー施策、原発再稼働について

 地球温暖化による異常気象で、災害が多発しています。この9月は、関東・東北水害で、甚大な被害が発生しました。熱中症発症者の増加など健康被害も深刻です。
 都は、2008年策定の東京都環境基本計画で「この間の何よりも重要な変化は、地球温暖化の顕在化であり、都はこれまで以上に積極的な環境政策の展開を求めるものとなっている。都は気候変動に代表される環境危機に果敢に挑み…略…大胆でスピード感のある施策を展開していく必要がある」としています。
 しかし、都は固定価格買い取り制度の導入に伴い、太陽光パネル設置助成を打ち切ってしまいました。また、福島第一原発事故を契機とした節電の流れに依って、業務ビルからのCO2は、やや減少したものの、都市再生の名によるオフィスビルの乱立などから、業務由来のCO2排出削減は十分に進んでいません。都の地球温暖化防止策は、大胆でスピード感のある施策を展開しているとは、およそ言えない状態です。災害と健康被害から都民を守る上で、温暖化防止対策は待ったなしです。以下、知事に伺います。

Q1 はじめに、温室効果ガス排出削減目標についてお聞きします。
 2014年10月のIPCC第五次年次報告は、2050年に2010年比で40〜70%の削減が必要としました。今年6月の、G7サミット首脳宣言は、同目標幅の上方で削減するとの長期目標を盛り込んだ首脳宣言を採択しました。
 一方、国は、2012年4月の第四次環境基本計画で、2050年までに80%の排出削減を目指すとしています。しかし、今年7月17日、政府は、2030年までに、2013年比で26%削減の目標を決定しました。これは、京都議定書の基準年1990年比で18%減にとどまるものでしかなく、アメリカやEUの削減目標に比べて消極的であると批判されています。東京都は、これまで「2020年に2000年比で、25%削減」の目標を掲げてきました。
 11月には、パリでCOP21の会議が開かれます。国際的に温室効果ガス削減の意欲的な取組みが進んでいる中、「世界一の環境先進都市」を志向する東京が、国を上回る目標を定めることが求められます。EUは、2030年に2013年比で24%削減の目標を掲げました。EUは温室効果ガス削減に努めてきましたから、京都議定書の基準年である1990年比で40%削減となる目標です。東京都として、EU諸国と肩を並べる積極的な目標を設定するよう求めます。知事のお考えを、具体的にお示しください。

回答1 人類の生存基盤を脅かす気候変動の危機を回避するためには、全体で世界の温室効果ガスの7割を排出している都市の果たす役割が重要であると認識しております。このため都は、今年度再生可能エネルギー目標や省エネルギー目標を勘案しつつ、意欲的なCO2削減目標を策定することとしています。 Q2 温室効果ガス、主にCO2排出削減のためには、都市のあり方の見直しが必要です。省エネ仕様のビル建設であっても従前よりもオフィス面積が何倍にも増えれば、省エネもCO2削減も効果は弱まります。
 国家戦略特区や都市再生特別地区の名による容積率の大幅緩和路線をやめ、都市の成長を都として適切に管理する路線へと転換することを求めるものですが、いかがですか。

回答2 東京が2020年オリンピック・パラリンピック大会を機に、更なる高みの成熟を目指す都市として都民生活の向上と持続的な成長を実現するためには、都市づくりを通じて、経済活力の向上とともに環境負荷の低減などに取り組む必要があります。都は、都心部における都市開発等の機会を捉え、最先端の省エネ技術の導入や、地区、街区単位での効率的なエネルギー利用などを促進しているほか、三環状道路などの広域交通ネットワークの整備等により交通渋滞を解消するなど、都市全体でCO2排出の削減に向けた取組を進めています。今後も、都市の更新を通じて、活発な経済活動と環境負荷の低減が両立する都市づくりを積極的に進めていきます。

Q3 省エネを促進し、再生可能エネルギーの比率を高めて、環境と命を守るエネルギー政策は、今や、世界の流れです。東京都では、再生可能エネルギーの電力利用割合が6%程度から伸びていないことも直視しなくてはなりません。長期ビジョンでは、2024年までに、再生エネルギーの割合を20%程度に高めていくという目標が示されました。都は、太陽光発電の普及へ、住宅の太陽光パネル設置への低利融資制度や、普及のポテンシャルを示す「屋根台帳」などの施策を講じてきましたが、都民の利用実績はわずかにとどまっています。それどころか、低利融資制度は1年間のみの事業ということで、今は実施されていません。
 全国では、太陽光パネル設置促進のために、京都市、川崎市、北杜市、会津若松市、二本松市、いわき市、都内では多摩市、国立市などi幾っもの自治体が、固定価格買い取り制度発足後も補助を続けています。市民共同発電に取り組むNPOに、わが党が聞き取りに行ったところ、「事業者にとっては助成制度があるということが、都民に説明しやすく 意欲になる」と話していました。太陽光パネルを設置する事業者が大規模に普及するには、都民に説明しやすいよう太陽光パネル設置の助成復活が大切だと思いますが、いかがですか。
 都民要望に応えるよう要望します。お答えください。

回答3 平成21年度から実施していた太陽光発電設備に対する補助については、設置コストが大幅に下がってきたことや、固定価格買取制度が導入されたことなどから、平成24年度で終了しています。都は、区市町村と連i携した「東京ソーラー屋根台帳」の活用や工務店を対象としたセミナーの実施などにより、引き続き、太陽光発電の導入拡大に取り組んでいきます。

Q4 都有施設への太陽光発電導入は、1万kWの到達で、目標の2万2千kWへの展望が見えません。既存の建物は、耐震性や防水性が十分かどうかが問題で、それが進まない理由とされています。東京都自らが定めた目標へ、どのようにスピードアップさせる取り組みを行なうのですか。お答えください。

回答4 都は、東京都長期ビジョンにおいて、都の率先行動として、都有施設の太陽光発電を2020年までに約2万2千キロワットへ増加させることとしており、今後とも、各局連携して、個々の施設の特性、立地状況等に応じた都施設での太陽光発電設備の導入を進めていきます。

Q5 都内における再生可能エネルギー導入は、都が支援を強めれば飛躍する可能性はあります。風力、波力、地中熱、木質バイオマス、小型の風力・水力など条件は存在します。近年、牛糞を利用したバイオガス発電や首都圏では、営農発電が成長してきていると、新聞の紙面をにぎわせています。
 農地の上部などを活用して、再生エネルギーをうみ出せば、CO2削減と合わせて、農家の収入増に結びつき、都市農業の発展につながります。農地を活用した再生可能エネルギーについて、東京都の認識を伺います。また、都として、どのように支援していくのか、方策を伺います。お答えください。

回答5 農地の上部空間を活用した再生可能エネルギー設備の導入に当たっては、農地を適切に耕作し、営農を継続していくことが必要です。都では、農業者から申請があった場合、国の指導に基づき、発電設備等の支柱について、農地法による一時転用許可等を行っています。なお、太陽光発電については、設置コストが大幅に下がってきたことや、固定価格買取制度が導入されたことなどから、平成24年度で補助事業を終了しています。

 次に、原発再稼動問題について伺います。
Q6 九州電力は、今年8月11日に川内原発1号機の起動作業、発電を始めました。ところが、8月20日、二次冷却水を循環させる復水ポンプ出口で「熱伝導率」の数値が上昇し、海水を取り込む冷却用細管が損傷しているトラブルが発生しました。
 復水器細管の取り換えは、川内原発1号機の運転開始から31年間一度も行なわれていなかった事実が明らかになり、九州電力と原子力規制委員会の安全管理のずさんさが浮き彫りになりました。川内原発では、この10月から2号機iの再稼働も計画されていますが、原発を稼働させなくても、国民の省エネと再エネ普及の努力のなかで、電力は足りています。新潟県の泉田裕彦知事は、原発立地県の知事として「福島第一原発事故の検証、総括がないままでの再稼動はありえない」と明確に述べています。
 泉田裕彦知事は、全国知事会の危機管理・防災特別委員長として住民の安全確保のために、SPEEDIの活用など、国への貴重な提言・要求をおこなっています。住民を守るために、東京電力・柏崎刈羽原発の再稼動に極めて慎重な姿勢を示している新潟県知事との意見交換を行うこと、また、危険な原発再稼動は断念し、原発ゼロの道を選択するよう、首都・東京の知事として、国に強力に働きかけていただくことを求めます。お答えください。

回答6 東京は、日本の首都、経済の中心としての都市活動を支える電力・エネルギーの供給を他の地域に大きく依存しており、電源立地地域への感謝の念を忘れず、大消費地としての責務を果たしていく必要があります。このため、東京都長期ビジョンにおいて、2024年までに東京の消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を20パーセント程度に高める目標を定め、省エネ・節電とともに、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入拡大を進めています。なお、エネルギー政策は、国の根幹に関わる基本政策であり、原発の再稼働については、立地地域の意見を聞きながら国が最終的に判断していくべきものであります。