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質問・条例提案

2026.02.16

特別支援学校の寄宿舎の充実に関する陳情 清水とし子都議(日野市選出)

2026年2月16日の文教委員会で、特別支援学校の寄宿舎の充実に関する陳情について、清水とし子都議が質問を行いました。

◎都議会速記録より


〇清水委員 次に、都立特別支援学校の寄宿舎の充実について質疑をさせていただきます。
 本陳情は、都立特別支援学校の寄宿舎への寄宿生の数が定員に達していない場合には、教育的意義による入舎を認めること。また、国が自立と社会参加に向けた日常生活の指導を行う観点から施設機能を設定することも有効としていることを受けて、都の入舎基準を改定することを求めるものです。
 最初に、従来、寄宿舎は通学が困難な児童生徒の就学を保障するためのものとされてきました。しかし、二〇二二年に改定された国の特別支援学校施設整備指針では、寄宿舎の意義について、通学保障に加えて、自立と社会参加に向けた日常生活の指導を行う観点から施設機能を設定することも有効であるとの文言が加わりました。その理由や国の検討の経過について説明を求めます。

〇西山特別支援教育推進担当部長 国が令和三年十二月十七日に開いた有識者会議の議事録では、寄宿舎本来の目的は通学保障であると承知している中、例えば新しい機能として、卒業によって、自立と社会参加を前にした子供たちが生活訓練といった観点で寄宿舎の機能を使っていくなど、施設の活用の方向性を示すことができればよいと感じたといった意見が出てございます。

〇清水委員 国はこれまで、寄宿舎は通学困難な児童生徒だけのものだ、こういう見解は示していません。
 二〇〇一年の二十一世紀の特殊教育の在り方最終報告には、寄宿舎は入舎した障害のある児童生徒などが毎日の生活を営みながら生活のリズムをつくるなど、生活基盤を整え、自立した社会参加をする力を養う重要な場である、こういうふうに述べています。
 また、二〇一二年の中央教育審議会特別支援教育の在り方に関する特別報告でも、多様な学びの場として寄宿舎に触れ、インクルーシブ教育システム構築のため、特別支援学校の持てる機能を活用する観点から寄宿舎の役割について検討していく必要があるとして、各特別支援学校の寄宿舎は自立し、社会参加する力を養う貴重な場と報告されています。
 二〇二二年に公表された学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議の報告書においても、その押さえは変わっていません。多くの障害のある子供やその保護者は、通学困難といった限定した入舎基準ではなくて、多様なニーズに応えた寄宿舎教育、これを求めています。
 そういう中で、国は、二〇二二年に改定した特別支援学校施設整備指針に、改定前には記載がなかった自立と社会参加に向けた日常生活の指導を行う観点から、施設機能を設定することも有効であるということが明記をされました。
 そこで伺いますが、障害のある子供への自立と社会参加に向けた日常指導の大切さについて、都教委はどのようにお考えになっていますか。

〇山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 基本的生活習慣等を身につけることは、将来の自立や社会参加に向けて重要でございます。

〇清水委員 都教委自身も、基本的生活習慣等を身につけることは、将来の自立や社会参加に向けて重要だという認識を示されました。
 将来の自立や社会参加というのは、多くの障害のある子供やその保護者にとって、とても切実な願いです。そして、その発達課題や生活困難を抱えた障害児に対して、生活教育を通して、その発達を支えるとともに家族支援、子育て支援の機能も含めて発展させてきたのが寄宿舎での教育実践です。
 だからこそ、国も通学保障にとどまらない、教育的意義における入舎の有効性を認める記述を特別支援学校施設整備指針に追加したのだと思います。
 さらに伺いますが、改定された指針に書き込まれた考え方、寄宿舎の施設機能を自立と社会参加に向けた日常生活の指導を行う観点から設定することも有効だ、こういう認識について、都教委はどのようにお考えになりますか。

〇西山特別支援教育推進担当部長 学校施設を計画及び設計する際の留意事項を示した文部科学省の特別支援学校施設整備指針では、必要に応じて付加、考慮することが有効なものとされてございます。
 なお、障害のある児童生徒にとって、基本的生活習慣や集団生活におけるマナーを身につけることは、将来の自立や社会参加に向けて重要であることから、全ての特別支援学校において、日常生活の指導を計画的、継続的に実施しております。

〇清水委員 計画的にやっているんだということでしたけれども、障害のある子供の現状というのは大変厳しくて、親の介助なしには暮らせない、家庭以外の生活の場所は極めて限定をされる、こういう状況が続いています。
 通常学校に通う子供であれば、当たり前にあるような、学校の友達と遊ぶ、習い事で交友関係が広がる、こういった機会も限られてしまって、成人になっても社会参加や自立した生活に困難が生じている、こういう状況が続いています。
 障害のある子供の自立と社会参加にとって必要なものはどういうものだというふうに都教委は認識しておられますか。

〇山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 児童生徒の障害の状態等に応じた支援を行うことが必要であると考えております。

〇清水委員 児童生徒の障害の状態等に応じた支援を行うことが必要であるということでした。
 自立と社会参加のためには専門的な教育や様々な支援が必要であるとともに、特に共に成長し合う同世代や異年齢の子供同士の仲間、子供たちが一人一人のペースで成長、発展していくための時間的なゆとり、こういうものも欠かせません。学校の授業と違った日常の生活を通した成長、学びの中で身につけていくものであって、そのような役割を果たしているのが寄宿舎ではないでしようか。
 寄宿舎の指導員の方からお話を伺いました。寄宿舎の子供たちは異年齢集団の中で大きく成長するそうです。ある高校生のAさんは、入舎したばかりのときに、食堂でスポーツ中継を見ているときに、寄宿舎で数年暮らしている小学校高学年のBさんにチャンネルを変えられてしまって、わんわん泣き出してしまったんだそうです。その様子を見たBさんは、何でそんなことで泣くんだと思って、じゃんけんやあみだくじでテレビを見る、そういう優先頂位を決めるようになりました。 
 そういう中で、Aさんが、あしたどうしても見たいスポーツ中継があるというときに、今日のチャンネルの権利は譲るから、あしたはスポーツを見せてくれ、こういったやり取りができるようになったんだそうです。
 家庭の中では自分の意向が一番に尊重されることも多い子供たちが、これから社会の中でほかの人たち、他者と一緒に生活していくために極めて大切な育ち合いの時間が寄宿舎にはあると感じました。
 先ほど陳情の現在の状況の説明の中で、寄宿舎の設置の有無にかかわらず、必要な指導はしている、こういうご説明がありました。具体的にはどのようなことをやられているのか説明をお願いします。 

〇山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 児童生徒の実態に即して、食事や衣服の着脱、排せつなど基本的生活習慣等を身につけるための指導を計画的、継続的に実施をしております。

〇清水委員 都教委は寄宿舎の設置の有無にかかわらず、そうした必要な指導はしているというふうにおっしゃるんですけれども、しかし、障害のある子供の中には、例えばこだわりが強くて、親以外の介助は受け付けない、こういうお子さんもいます。
 放課後デイサービスが整ってきたとはいえ、自傷や他害のある子供、重度重複の子供を受け入れる施設はほとんどありません。困難な子供ほど、家庭以外の生活の場所は極めて限定されており、自立や社会参加に向けた指導は十分とはいえない、そういうものが十分に受けられない、こういう状況に置かれています。
 寄宿舎の指導員の皆さんは子供たちと寝食を共にして、彼らの生活と発達を支えています。その子の発達にとって何が必要なのかを保護者と一緒に考えて、時間に縛られずに、それを実行できることがやりがいだというふうにもお聞きしました。
 夜、ばっちり寝て、授業中に寝なかったとか、食べなかった食材がおいしく食べられるようになったとか、寝る前に将来について話したなど、一つ一つの成長を保護者と喜び合っているということでした。
 子供たちは数年間の学校生活を送った後は、地域で長い期間を過ごすことになります。
 多くの障害のある子供やその保護者にとって、自立や社会参加は切実な願いであって、寄宿舎で積み上げられてきた、この教育実践がその切実な願いに応えるものです。
 そして、自立や社会参加に向けた教育というのは、通学時間の長い、短いにかかわらず、どの子にも保障されるべきものだというふうに思います。自立や社会参加に向けた寄宿舎教育を必要とする子供が必要な時期や必要な期間、利用できる寄宿舎が今求められているのではないでしようか。
 国は、寄宿舎の持つ教育的意義に光を当てています。その一方で、東京都教育委員会は相変わらず、寄宿舎の入舎基準を通学困難、ここに限定しています。東京都で入舎基準を通学困難に限定したのはいつですか。また、その理由についても教えてください。

〇西山特別支援教育推進担当部長 社会情勢等の変化に伴い、寄宿舎の入舎実態が大きく変化したため、入舎基準につきましては、平成十八年度に、原則として、寄宿舎本来の設置目的である通学困難による入舎に限定してございます。

〇清水委員 社会情勢等の変化に伴って、寄宿舎の入舎実態が大きく変化したので、入舎基準については、原則として、寄宿舎本来の設置目的である通学困難による入舎に限定したというふうなことでした。
 入舎基準を通学困難者に限定する、このことによって、入舎する児童生徒はますます減っていくことになります。これを見込んで、都教委は寄宿舎を縮小していく方針を打ち出して、当時十一あった寄宿舎を現在五つまで、半分以上減らしてしまいました。
 そこで伺いますが、平成十八年に新しい入舎基準を定める前、都教委が寄宿舎の管理規則で定めていた入舎基準はどのようなものでしたか。

〇西山特別支援教育推進担当部長 昭和三十二年に寄宿舎への入舎基準を定めた、東京都立特別支援学校寄宿舎の管理運営に関する規則が制定された当時は、現在とは社会情勢等が異なっていましたことから、通学困難のほかに、家庭の事情、教育上入舎による入舎を認めてございました。

〇清水委員 今ご説明にあったように、東京都が通学困難というふうに限定する前、その前の寄宿舎の管理規則では、通学困難と認める者、家庭の事青による入舎、教育上の入舎、この三つが入舎基準になっていました。
 二〇〇四年の寄宿舎の適正な規模、配置、都教委が作ったこの文書には、当時の寄宿舎の利用状況が紹介されています。
 通学困難による入舎というのは、入舎生の全体の僅か五・一%にすぎませんでした。保護者の病気や共働きで送迎や日常の世話ができないといった家庭の事情による入舎は一五・九%です。基本的生活習慣の獲得、自立心を養うなど、教育上の理由による入舎、これは六五・〇%で、入舎している理由のほとんどは教育上の理由なんですね。入舎基準から、最も多い理由であった教育入舎、これを除外してしまって、入舎生が減っていく、こういう状況を都教委自らがつくり出して、寄宿舎を半減させていたというのが実態です。
 しかも、都教委が平成十八年、今から二十年以上前に通学困難として定めた通学時間は片道九十分以上です。少し考えれば、片道九十分かけて通学する、これは普通の子供で、健常児であってもとても大変な、そういうものだということが分かると思います。
 当時、通学困難の基準を九十分以上と設定した根拠は何でしようか、ご説明をお願いします。

〇西山特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、児童生徒はできる限り自宅から通学することが望ましいと考えておりますが、児童生徒の健康面及び学習面への影響を考慮いたしまして、寄宿舎の入舎基準においては、常に九十分以上の通学を要する場合を通学困難と判断してございます。

〇清水委員 NHK放送文化研究所が二〇二一年に発表した調査によると、小学生、中学生の平均通学時間は片道二十五分です。高校生でも四十分。だから、九十分というのがいかに長いかということが分かると思います。
 しかも、障害のあるお子さんというのは、スクールバスとか車で通っておられるわけですよね。それで片道九十分というのはあまりに長過ぎるのではないかというふうに思います。
 児童生徒の健康面、学習面への影響を考慮するというのであれば、やっぱり小学生、中学生並みにもっと範囲を狭くするということが必要で、もっと特別支援学校、さらに寄宿舎を増設しなきゃいけないということだというふうに思います。
 この基準もやっぱり引き下げるべきです。最低限、通学困難と認定する通学時間、この基準を短くするべきだと考えますが、いかがですか。

〇西山特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、寄宿舎の入舎基準を見直した際、児童生徒の健康面及び学習面を考慮した上で、通学時間の状況等を踏まえ、九十分と定めてまいりました。

〇清水委員 二〇二二年に北海道教育大学の小野川文子教授が行った都立視覚障害特別支援学校調査によると、三人に一人が保護者の送迎で通学していることが分かりました。スクールバスがあっても、保護者の送迎というのは不可避であるということが明らかになっています。
 さらに、視覚障害のほかに知的障害などを併せ持つ重複障害の子供は五三・七%に上っている。自傷、他害などで常に目を離せない状況の子供は三人に一人在籍していました。
 子供の障害の重度重複化で、スクールバスがあっても利用できないことや、天候悪化や通学途中のトラブルなどを心配して、一人での通学に不安も大きいために保護者が送迎せざるを得ない状況がうかがえるというふうにおっしゃっています。障害者の通学困難はスクールバスがあればいいとか、通学時間が短ければいいということだけでは解決されない問題なんですね。
 また、寄宿生のほとんどが週一泊から二泊であって、通学保障というよりも、短期間であっても親元から離れた仲間との生活を通して、自立や社会性を身につけることが子供や保護者のニーズになっていると教授は指摘しています。
 障害のある子供たちに自立と社会参加に向けて寄宿舎教育を受ける権利、これを通学困難の有無にかかわらず、保障すべきだと思います。
 寄宿舎の教育的意義における入舎の有効性を認める特別支援学校施設整備指針を踏まえて、都も寄宿舎の在り方について、今、見直すべきだというふうに思います。教育的意義での寄宿舎への入舎を認めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇西山特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、寄宿舎の入舎にあっては、原則として、寄宿舎本来の設置目的でございます、通学困難と認める者としております。

〇清水委員 今、様々質疑してきたように通学困難というだけではない、はかれないものがある。それから、教育的意義というものがとても大事だというふうなことは分かっていただけるのではないかというふうに思います。
 北海道教育大学の小野川文子教授は、障害のある全ての子供の就学を支えてきた寄宿舎は、まさに生活と発達を保障する重要な場であり、特別支援学校に在籍する子供の障害がますます重度重複化し、家庭の状況が厳しい状況にある今、寄宿舎の廃止、統廃合ではなくて、寄宿舎の多様な役割こそ求められている、このように述べておられます。
 障害のある子供たちに自立と社会参加に向けた教育を受ける権利を保障するためにも、舎生や保護者、職員、研究者などの参画の下に、都の寄宿舎の在り方、基準を見直すことを求めます。
 今日は質問ができなかったほかの項目も含めて、全ての請願陳情について採択、または趣旨採択を求めて、私の質問を終わります。