2025年第2回定例会を終えて
2025年第2回定例会を終えて
2025年6月6日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
1 物価高から都民の暮らしを守り抜く課題を真正面にすえて提案、論戦
<消費税減税> 今定例会の代表質問で消費税減税について取り上げたのは、日本共産党都議団だけでした。いまや国民の7割が何らかの形の消費税減税を望んでいます。この世論の大きな変化をどう受け止めているのか知事に答弁を求めましたが、知事は答えませんでした。消費税減税の意見書を都議会が国に出すよう求める請願の審査で、わが党は賛成を表明しましたが自民党が反対し、都民ファーストと公明党は賛否を明らかにしませんでした。日本共産党は、消費税廃止をめざして緊急に5%に一律減税すること、インボイスは廃止することを提案しています。赤字国債に頼らず、大もうけしている大企業と富裕層に応分の負担を求めることで実現できます。
<水道料金負担軽減> 日本共産党都議団は水道料金の基本料金の減免など負担軽減を求めてきました。今年2月の予算議会、4月の知事への申し入れでは水道料金全体の10%の値下げを提案しました。その提案が今回、都が発表した水道基本料金無償化につながったと、マスコミや著名人の間でも話題になっています。一方、自民党、都民ファ、公明党が発表前日に申し入れをしたのは、「要望を反映させたとの演出」だと読売新聞は書きました。
都は、物価高騰の影響や、実質賃金が減っていることを理由にあげて、4カ月間、基本料金を無償化するとしています。しかし4カ月で、物価高騰が落ち着き、実質賃金がプラスに転じる見通しはありません。わが党の提案では、年間195億円で、水道局の契約者全体の97%に対して10%の値下げができます。都の案では対象にならない児童扶養手当や生活保護世帯の人たちも対象となります。基本料金無償化の期間の延長や、口径の大きな福祉施設への対象拡大、水道料金全体の10%の値下げを実施すべきです。
<巨大噴水> お台場の巨大噴水計画は、噴き上げる水を海水から水道水に変更する具体的設計も費用も示さないまま契約が行われたことが、わが党の質問で明らかになりました。国の指針では公契約について、実際の工事に必要な経費を適正に積算することを求めています。これにも反する、きわめて不適切な契約です。また、わが党の試算では年間6千万円から1億円以上の水道料金がかかります。無駄遣いの巨大噴水整備は中止すべきです。
<賃上げ、コメ高騰対策、住まいの支援> こうした無駄遣いをやめて、一人あたり年間12万円の賃上げを支援する「中小企業賃上げ応援助成金」、お米の購入にも使える一人年間1万円の生活支援給付金、100万世帯への月1万円の家賃補助、一定面積までの住宅・マンションの固定資産税2割軽減、都営住宅を10年間で10万戸増設するなど、暮らしを守る日本共産党都議団の提案を実施するよう求めました。
2 すべての人に光を当てる都政の実現、介護・医療など公共サービスの充実・強化
ジェンダー平等が社会の隅々まで実現し、年齢や国籍などによる差別と分断を決して許さない、多様性あふれる都市こそ新しい未来の東京の姿です。日本共産党都議団は、子どもから高齢者まであらゆる年代、すべての人に光を当てる都政の実現、さらに介護・医療など公共サービスの充実・強化への提案と論戦を行いました。
<教育> 知事は所信表明で、35人学級を来年度から都内公立中学校へ段階的に拡大すると述べました。しかし代表質問では来年度は国の方針どおり1年生のみ対象という答弁でした。すでに1年生はほぼ35人学級てす。これでは現場の教育環境は改善されません。国に先駆け、来年度から中学校全学年で35人学級を実施すべきです。
わが党が提案し続けてきた少人数学級を求める声が、都議会に広がりつつあります。また小池知事が所信表明で、私たちが繰り返し求めてきた言葉のとおり、「子どもひとりひとりに寄り添ったきめ細かな教育や、先生たちが豊かな専門性を発揮できる学校づくりを行う」と述べ、坂本教育長が「きめ細かな教育や教員が専門性を発揮できる取り組みを行っていく」と答弁したことは重要です。その言葉どおりに実行することを求めます。
チャレンジスクール7校の不合格者が536人にものぼり、その生徒たちの行き先を把握していないことが明らかになりました。そうしたもとで、不登校経験や困難を抱える子どもたちの貴重な選択肢となっている夜間定時制高校を廃止することは、子どもたちの学ぶ権利を奪うものです。存続を改めて求めました。英語スピーキングテストは、トラブル続出で公平性・公正性に欠け、子どもの主体性を育むどころかタブレットによる受験対策に時間をとられ、英語嫌いを増やしており中止すべきです。教員やALTなどの増員こそ求められています。
<介護・医療> 訪問介護の基本報酬を国が引き下げたことによる深刻な介護崩壊に対し、知事は、訪問介護の担い手の確保が重要だと答弁しました。それなら、ヘルパーなど介護職員の賃金の大幅引き上げをはじめとした介護職員確保対策を抜本的に強化すべきです。また、都内の医療機関の深刻な経営状況を踏まえ、わが党の提案で実現した民間病院等への321億円の財政支援を継続・充実することが必要です。わが党が国保料、後期高齢者医療保険料の負担軽減を求めたのに対し、都は全国統一の制度だと答弁しましたが、地方自治体の判断で引き下げることは可能です。一人あたり3万円の引き下げと、子どもの国保料はゼロ円にすることを求めました。
障害者医療費助成の対象を中軽度の障害者に拡大するよう求める声が、都民の運動に押され都議会でも広がってきました。障害者の命と健康にかかわる問題です。対象拡大に速やかに踏み出すべきです。
<地域公共交通> 都内各地で地域公共交通の危機が広がる中、都が交通権・移動権を実現する立場にたち、抜本的に対策を強めることが必要です。シルバーパスのさらなる負担軽減・無償化、コミュニティバスや多摩モノレールなどへの適用拡大、通学定期代への補助や、学生の交通費割引パスなどの実施を求めました。知事も認める運転手不足を打開するために、都内の民間バス運転手の賃金引き上げのための支援の実施が必要です。
<自民党代表質問> 国連本部の東京への誘致を求めた自民党の代表質問に、知事が「みなさん、いかがでしょうか」と呼びかけ、あおる答弁をしたことは、議会の品位をおとしめるものであり、説明員の姿勢としても許されません。また自民党は、外国人への差別を助長するような質問をしました。いずれも猛省を求めます。さらに自民党は、原発の再稼働を求めました。福島原発事故の深刻な被害をかえりみないものです。
3 気候危機、平和など、都政が直面している重要課題で提案、論戦
<気候危機対策> 知事は所信表明で「気候変動対策は正念場」と述べました。しかし都の新たな目標と対策は、化石燃料と原発に固執する国の計画を追認しており、きわめて不十分です。緑を守り、再開発を規制し、再エネ・省エネの飛躍的拡大に本気で取り組むことを求めました。
<基地対策・平和> 代表質問で、在日米軍の戦闘司令部への格上げと、それを受けた赤坂プレスセンターや横田基地の拠点強化の動きについて、危機感のない答弁が繰り返されたことは重大です。根本から認識を改め、都民の命と安全を守るために行動することを厳しく求めるものです。また平和祈念館建設に足を踏み出すべきです。
<大川原化工機えん罪事件> 一審に続き、二審でも違法捜査が認定されました。知事は、今度こそ判決を受け入れ上告せず、関係者に真摯に謝罪すべきです。また、えん罪を二度と起こさないよう厳しく求めました。
4 真相解明と再発防止へ、都議会自民党の裏金問題を徹底追及
日本共産党都議団の調査、追及、論戦で、都議会自民党の説明が虚偽だらけ、矛盾だらけであることが明確になりました。東京新聞の取材に自民党都議は、ウソの説明をしたことを認めています。このまま逃げ切りを許すことはできません。わが党は引き続き、改選後も含め、全容解明と再発防止に力をつくします。再発防止に向けわが党は、立憲民主党、ミライ会議、自由を守る会、グリーンな東京、都議会生活者ネットワークとともに、政治資金パーティーの自主的な禁止に都議会が踏み出す政治資金倫理条例案を提出しました。自民党、都民ファースト、公明党などの反対で否決されましたが、40人、都議会議員の3分の1が賛成しました。
一方、都民ファーストと公明党は、政治資金問題をあいまいにして政治倫理全般を対象にする条例案を提出。閉会前日午後に突然、「条例の施行前になされた行為については、適用しない」という規定が追加され、自民党が共同提案者になりました。「これ以上、自民党の裏金問題を追及しない」という宣言にほかならず、自民党が共同提案者となるための露骨な「配慮」と言われても仕方ありません。自民党、都民ファースト、公明党が提出した条例案は、「政治資金パーティー温存条例」であり、真相解明にフタをする「裏金自民免罪条例」です。賛成多数で可決されましたが、42人が反対しました。パーティー券購入を含む企業・団体献金は、全面的に禁止すべきです。
5 都議会野党第一党の日本共産党が提案すれば、都政が動く
今定例会を通じて、都民の世論と運動、そして国会なら100議席にあたる19議席、都議会野党第一党の日本共産党都議団の都民の運動と連携した提案と論戦が、都政を大きく動かしていること、来る都議選で、日本共産党都議団が伸びてこそ都政がさらに前進することが、いよいよ明確になりました。
日本共産党都議団は来たる都議会議員選挙で必ず躍進し、都民のみなさんの願いを真正面に据えた都政、都議会をつくるために全力をあげる決意です。
以 上