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質問・条例提案

2025.10.02

本会議 せいの恵子都議(北区選出)の一般質問

 

 私は議員になる前、公務員、看護師、保健師として働いてきました。区役所、病院、高齢者施設、保育園などの現場で働く中で、多くの方の生活に触れその声を聞き、生きづらさや生活のしづらさを抱えている方たちや声を上げたくてもあげられない方がいることを知りました。その生活に寄り添い、問題解決に向け一緒に行動できる存在になりたいという思いで議員としての活動を続けてきました。都議会での初質問となる今回は、医療・介護・障害福祉の現場からお聞きした声を取り上げ、以下質問します。

一、都立病院について

 都立病院の行政的医療について伺います。
 私の看護師としてのスタートは都立豊島病院の精神科からです。精神科急性期の病棟で身体合併症や手術前後のケア、ガン末期の患者さんの看取り、夜間精神科救急の受け入れなど、様々な看護を経験しました。そして、精神疾患のある、身体合併症や手術が必要な患者を受け入れる病院が少ないことを痛感してきました。
 区議の時、私のもとに統合失調症で透析を行っていた女性の80代の母親から相談がありました。「娘の精神状態が急に悪化し入院治療が必要だが、かかりつけの総合病院の精神科病棟が閉鎖されてしまい受け入れ先がなかなか見つからない。一度受け入れてくれた病院も2度目の受け入れはないと言われ、今後が不安だ」ということでした。私は、行政的医療を行う都立病院に相談をとアドバイスしましたが、娘さんが都民ではなかったため、受け入れは叶わなかったそうです。

Q1 身体合併症があり緊急性が高い患者や受け入れ先がなかなか見つからない、困難を抱えているケースに対応するのが、行政的医療を担う都立病院の役割ではないかと考えます。知事は、都立病院の役割と意義についてどのように考えていますか。

Q2 また、先に述べたような事例をはじめ、治療に結びつくことが困難なケースの受け入れについて、都の考え方をお示しください。

 様々な困難を抱えた患者に寄り添った対応を求めます。
 今、都立病院の厳しい経営状況を背景に、病院の縮小を求める意見もあります。

Q3 しかし、災害や感染症、救急や周産期、精神科医療といった採算の確保が困難な行政的医療を担う都立病院だからこそ、病床を減らすことや人員を削減することで、その役割を後退させてはならないと考えますが、いかがですか。お答えください。

二、訪問介護の支援について

 訪問介護の支援について伺います。
 昨年4月の介護報酬改定により、訪問介護は基本報酬が2~3%引き下げられました。

Q1 北区内で、30年来地域の訪問介護を支えてきた事業所は「基本報酬が下げられたらもうどうにもやっていけない。やめるのは本当に残念だが、これ以上赤字がひどくなる前に決断した」と今年3月に閉鎖しました。引き下げによる訪問介護事業所の減収により、サービスの縮小や事業の休廃止が相次ぎ、深刻な事態になっています。知事は、このような状況をどのようにお考えですか。

Q2 品川区では、報酬引き下げ分に対する財政支援を始めました。品川区に話を聞きに伺いましたが、事業所の減収によりサービスの縮小や事業の休廃止につながり、利用者の在宅生活に少なからず影響を与えてしまうことから、支援を実施したとのことです。

 都としても、地域で在宅生活を守るために奮闘してきた小規模事業所などの現場の声もしっかりと聴き、訪問介護の基本報酬引き下げを補う支援を行うことを求めますが、いかがですか。お答えください。

三、障害児・者支援について

 障害児・者支援について、まず、障害児支援の所得制限について伺います。

Q1 本来、同じ子どもへの支援に対して、親の所得による制限を適用するべきではありません。しかし、障害児福祉の多くに所得制限があり、特別児童扶養手当、障害児福祉手当など、一定の所得を超えれば支援がなくなります。
 まずは東京都の児童育成手当の所得制限をなくし、子どもたちの育ちを応援する手当とすることを求めますがいかがですか。

Q2 放課後等デイサービスは、一定の所得を超えれば、上限額は三万七千二百円になります。
 そういう中で、宿泊行事に参加できない、利用回数を減らさざるを得ないという声も聞いています。子どもの権利を尊重する上でも利用料が理由で放課後等の活動が制限されることは問題です。すでに千代田、中央、品川区では無償化、新宿、荒川、墨田区は費用負担の軽減を行っています。都として、どこに住んでいても子どもが同等の権利を保障されるよう、利用料は無償化すべきと考えますがいかかですか。

Q3 重症心身障害児や医療的ケアが必要な子どもが通える放課後等デイサービスが少ないことは、早急に改善すべき課題です。重症心身障害児などを支援する放課後等デイサービス事業所の施設開設、人員配置拡充を後押しするための補助制度の拡充を求めますが、いかがですか。お答えください。

 障害があっても、年齢や発達段階に応じて人とかかわり、様々な経験をすること、家庭や就労の場だけでなく安心して余暇を過ごせる居場所を持つことは、当たり前の権利です。しかし、障害者にとってそうした居場所や余暇を楽しむ機会は少ないのが現状です。
 先日、障害者の余暇支援を行う団体の「当事者お悩み相談会」に参加しました。年齢が異なるメンバーがグループになり、恋愛や結婚、仕事、健康など様々に出された悩みに向きあいます。参加者全員で真剣かつ楽しく解決策を考えると、個性的なアドバイスや解決策が次々と提案されました。私は誰かから与えられるのではなく、互いに日常の生活や困りごとに気づきながら、自ら考え解決していく過程こそ、貴重な経験であると実感しました。
 現在、都の補助を活用した余暇支援を17区市で行っており、都の「障害者の居場所に関する調査」でも居場所確保に係る要望があると43区市町が答えるなど、余暇支援に対するニーズは高まっています。

Q4 2016年に都議会は、「障害のある青年・成人の余暇活動に関する請願」を全会一致で採択しました。障害のある青年・成人が日中の仕事などを終えたあとや休日に余暇活動を行い、集団を通じて自己実現にむけた時間を過ごすことの重要性について知事はどのようにお考えですか。

Q5 余暇活動を行える居場所が増え、当事者が地域差なく必要な支援を受けられることが重要だと考えます。都の「障害者の居場所に関する調査結果」(区市町村)を踏まえた取り組みについて見解を伺います。

Q6 現在、余暇支援事業は都の包括補助を活用して行われています。都として余暇支援事業を個別補助として実施し、補助率も引き上げるなど拡充し、都内全区市町村が実施できるようにすべきです。答弁を求めます。

四、市街地再開発について

 市街地再開発について伺います。
 国土交通省は3月、物価高騰により建設コストや人件費が上昇し、全国的に市街地再開発の事業費が大幅に拡大していることから、市街地再開発に対する補助金を見直し、国の立場から見て「必要性・緊急性の高い事業」に絞り込むことを発表しました。具体的には、社会資本整備総合交付金による支援の対象を、立地適正化計画による都市機能誘導区域、特定都市再生緊急整備地域、防災再開発促進地区で行われる事業に限定します。

Q1 国土交通省が、市街地再開発事業において社会資本整備総合交付金による支援対象を絞り込んだ趣旨と、知事の受け止めをお聞かせください。

 この見直しをうけて、品川区は日本共産党区議団の質問に対し、交付対象から外れた事業について、改めて交付対象としたり、都や国へ働きかけたりすることは考えていないと答弁しました。
 一方、北区は、今回の措置によって交付対象から外れた赤羽駅前再開発を引き続き交付対象とすべく、急遽、立地適正化計画の策定を検討すると言い始めました。
 しかし、今年5月には、赤羽駅前再開発について住民説明会が2回開かれ、190人が参加。「赤羽小学校や赤羽公園は現在の位置で建て替えてほしい」、「再開発は何のために行うのか」との質問が相次いでだされ、タワマン誘致でない修復型のまちづくりの署名も3000筆以上の数が提出されるなど反対の声が上がっています。
 市街地再開発は今、本当に住民のためのものなのか、また、自治体にとっても本当に必要な計画なのか、再開発ありきの計画ではないのか、厳しく問われる時代に入っています。
 都もそうした見地で、自治体などからの相談にあたるよう求めるものです。

Q2 7月、千代田区は、投機目的のマンション購入を規制する対策を不動産協会に要請しました。都も、都施行の事業に限らず、民間マンション開発について、転売や投機を抑制する販売条件の設定を要請すべきですが、いかがですか。

 以上、住める、くらせる、東京に、住民の声を受け止め、ともに歩んでいく決意を申し上げ質問を終わります。