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調査・会見

2025.10.07

「よく議論して決める、都民にひらかれた都議会に──日本共産党都議団の議会改革提案」について

 7日、日本共産党東京都議団は、議会改革の提案を発表し、記者会見を行いました。

記者会見を行う、左から大山とも子、とや英津子、里吉ゆみ、米倉春奈の各都議

251007 よく議論して決める、都民にひらかれた都議会に(印刷用pdf)

251007 日本共産党都議団の議会改革提案(スライド)

 


よく議論して決める、都民にひらかれた都議会に
──日本共産党都議団の議会改革提案──

2025年10月7日
日本共産党東京都議会議員団

 議会は民主主義実現の場そのものであり、これまで築いてきた蓄積を大切にしながら、常にアップデートしていくことが必要です。

 この間、日本共産党都議団も提案してきた、▽委員会のインターネット中継、▽費用弁償の廃止、▽政務活動費の使途公開と新年会・飲食への支出禁止、▽公用車のルールの見直しと削減、▽豪華海外視察の中止などが実現しました。ひきつづき、都議会の改革を不断に行っていく必要があります。

 日本共産党都議団は、「よく議論して決める、都民にひらかれた都議会に」する議会改革提案を行います。22期の都議会において、各党・各会派が意見を出し合い、都議会の内外で意見を交わしていくことを呼びかけます。

1、すべての会派・議員が参加して民主的な議会運営をすすめる

 都議会議員は、有権者の負託を受けて当選しており、等しく同じ立場です。都議会は、予算や決算、都民の権利や義務にかかわる条例について決定する権限があります。その都議会のあり方は、すべての都議会議員や会派*1、そして都民にかかわる重要な問題です。

 日本共産党都議団は、すべての会派が議会運営に関われるようくり返し求めてきました。また、ひとり会派や少数会派からも、議会運営に参加できるよう要望が出されています。しかし、都議会ではそれが保障されていません。

<提案>

  1. 議会改革の検討は、都民に公開し、ひとり会派・少数会派を含め全会派参加ですすめることが必要です。
  2. 議会運営に関する事項を決定する議会運営委員会には、すべての会派が参加できるようにします。
  3. 都庁記者クラブ等の主催で、ひとり会派・少数会派も含めすべての会派による「都議会改革公開討論会(仮称)」の開催を提案します。

 

2、ひらかれた都議会へ、議会の見える化をすすめる

(1)議案に対する賛否の公開、インターネット中継を改善する

 議案に対して、都民の付託を受けた各議員がどのような態度をとったのかは、都民にとってとても大事な情報です。しかし、驚くべきことに、都議会では議員の態度が公開されていません。都民からも、公開してほしいとの要望が寄せられています。

 また、都議会での傍聴をしやすくする工夫とともに、ひらかれた都議会にしていくためには、都民にとって見やすくなる委員会のインターネット中継を改善することが必要です。

<提案>

  1. 都議会に提出された議案に対する各議員の賛否について、ホームページで公開します。
  2. 常任委員会のインターネット中継について、全景を映す現在の方法から、発言している人がアップになるよう改善します。また、氏名や役職などもわかるようにします。

 

(2)議論の過程を都民に見えるようにする

 議会運営委員会は、地方自治法にもとづき、会期や会派の発言時間、委員の選任、特別委員会の設置など、議会運営の要となる事項を協議する重要な役割を担っています。ところが、都議会では実質的な議論はほぼすべて非公開の理事会で行われており、議会運営委員会を傍聴したり、議事録を見ても、各会派がどういう議論をしたのかわかりません。

 また、常任委員会についても、委員会の運営や意見書の調整、議案や請願・陳情の審議の仕方などは、非公開の理事会で議論されています。

<提案>

  1. 議会運営委員会の理事会を公開し、インターネット中継も行います。
  2. 常任委員会や特別委員会の理事会も公開に向けて検討します。

 

(3)裏金問題の全容を解明し、政治資金パーティーを自主的に禁止する

 都議会において、政治資金に関し、東京都議会自由民主党が開催した政治資金パーティーに係る政治資金の不適正な取扱いが発覚し、当時現職であった議長が責任をとって辞職したことなどにより、都議会に対する都民の信頼は大きく損なわれました。

 政治資金収支報告書に記載されない、いわゆる「裏金」を根絶し、失われた信頼を回復することが不可欠です。

<提案>

  1. 都議会として、裏金問題の全容解明を引き続きすすめます。
  2. 温床となった政治資金パーティーを、都議会では自主的に禁止します。

 

3、都議会が役割を果たせる十分な議論を保障する

(1)定例会の会期を十分に確保し、日数をふやす

 子育てや介護などケアを行う状況にある人でも、都議会議員として働くことができる環境をつくっていくことは極めて重要です。また、都議会で説明員として対応する各局職員、議会運営を担う議会局職員の働き方改革も大事な課題です。そのためにも、本会議や委員会が深夜に及ぶことをなくしていくことは重要です。

 同時に、立法や都政のチェック機能など、都民に付託された都議会の役割を十分に発揮することが、強く求められています。

 これらを両立するためには、都議会の定例会の会期を確保し、本会議や常任委員会の日数を増やすしかありません。「東京都議会会議規則」は、第3条で「通常予算を審議する定例会は60日、そのほかの定例会は30日」と定めていますが、実際は半分程度の会期となっています。*2

 地方自治法第109条は、「委員会は、議会の内部組織であるから、その活動は原則として議会活動が活動能力を有しているとき、すなわち、議会の開会中に限られる」(『新版 逐条地方自治法』)とされていることに照らしても、定例会の会期を会議規則通りに確保し、常任委員会の日数を増やすべきです。

<提案>

  1. 定例会の会期を「会議規則」どおりに確保し、本会議と常任委員会の日数を増やすことで、議論の機会確保と働き方改革の両立をすすめます。
  2. 現在、常任委員会の理事会は委員会当日の委員会開会直前に開いていますが、日程調整等が十分できるよう、前日までに開くことを原則にします。

 

(2)請願・陳情審査を充実し、都議会をもっと見えるようにする

 請願・陳情は都民の大事な権利であり、ていねいな審査を行うことが必要です。ところが現状は、ほとんどが各委員会1日の日程で、議案の事前説明など他の議事とあわせて請願・陳情審査が行われており、日数や審査時間が少なすぎます。

 また、区市町村議会では、請願者から直接請願趣旨の説明を受け、質疑の機会を設けるなどの努力が行われています。都議会でも、請願や陳情の審査のあり方について抜本的に改善を図ることが必要です。

<提案>

  1. 請願・陳情審査は、会期を伸ばし、会期中の常任委員会の日数を大幅に増やすことを前提に、会期中の委員会で十分時間をかけて丁寧に審査できるようにします。
  2. 参考人招致の制度を使うことを含め、希望する請願提出者から直接、請願の趣旨説明を受けるようにします。また、請願者に対する質疑の機会も保障できるようにします。
  3. 都議会に提出された請願・陳情は、採択されたもの以外は内容を確認することができません。提出されたものは、原則として原文のままホームページに公開します。また、請願・陳情に対する各議員の賛否についてもホームページで公表します。
  4. 現在、陳情については、議長の判断で委員会に付託せず参考送付にすることができます。参考送付する場合は、議長の判断ではなく、所管の委員会の理事会の了承を要件とします。

 

(3)予算特別委員会を常設化し知事との一問一答を増やす。決算審議の充実をはかる

 都議会として、知事の基本姿勢について明らかにしていくことは、極めて重要です。しかし、都議会では、知事と一問一答で質疑できる機会は、予算特別委員会(4日)と決算特別委員会の全局質疑(各会計と公営企業会計が各1日)に限られており、あまりにも少なすぎます(1年間で6日間)。

 予算特別委員会を常設化することで、各定例会の中で本会議の質問に加え、知事と一問一答で質疑できる機会を確保することができます。予算案については、これまでの通り所管の常任委員会に分割付託し、さらに議論を深める機会を確保します。

 決算審議については、これまで第3会定例会と第4回定例会の間に行ってきました。しかし、この時期は常任委員会の事務事業質疑の日程と連続し日程的に過密な状況となっています。また、予算審議は各委員会に調査依頼を行うのに対し、決算審議は特別委員会で審議を行うため都議全員が参加できず都議会全体に共有されにくい状況があります。

<提案>

  1. 予算特別委員会を常設し、知事出席の一問一答の質疑の機会を増やします。
  2. 第3回定例会を決算議会と位置付け、決算特別委員会を設置し、総括質疑としめくくり総括質疑を行い、予算審議と同じように各委員会に調査依頼を行います。決算特別委員会には知事の出席を求めます。

 

4、多様な人が議員として活動できる環境整備をすすめる

(1)ジェンダーに配慮した議会に向けてとりくむ

 「ジェンダーに配慮した議会とは、現代社会の平等に関する要求に対応し、また反映できる現代的な議会」*3──都議会でも、多様な人が議員として活動するために、ジェンダーに配慮したインフラや議会文化の整備を行い議員全員が責任を持って、ジェンダー平等をすすめていくことが強く求められています。

 ハラスメントへの対策も急務です。政治分野の男女共同参画推進法*4では、ハラスメントについて定められまました。また、都道府県議長会の「提言」*5では、「各都道府県でハラスメントを防止するための規定整備を進め、市町村を包含した相談窓口や研修の実施など具体的な取組を行う」ことが書かれています。都議会でも、ハラスメント対策について積極的にとりくみが必要です。

<提案>

  1. 「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」(列国議会同盟)を参考に、都議会においても具体的なとりくみをすすめます。
  2. ハラスメント対策を位置付け、研修、相談窓口などのとりくみを具体化します。

 

(2)主権者教育をすすめ、子ども議会を開催する

 東京都と連携して、主権者教育をすすめます。こども家庭庁が作成した「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」も参考に、子どもの意見表明権を保障する機会をつくることが、都議会にも求められています。また、「こども基本条例」を踏まえ、都議会として子どもの意見を聞く機会を確保していきます。

<提案>

  1. 「こども基本条例」の具体化として、子どもの意見を都議会議員が直接聞く、子ども議会を開催します。
  2. 東京都と連携して、主権者教育の推進をすすめます。

 

(3)議員報酬の20%減額は継続する

 東京都議会は、2017年に「東京都議会議員の議員報酬等の特例に関する条例」を制定し、議員報酬を20%減額してきました。しかし、条例の期限が今年の7月22日となっていたことから、今期に入ってから減額は行われていません。物価高騰に賃上げが追いついておらず、現状で議員報酬の減額を継続すべきだと考えます。

 また、都議会議員選挙の際に行われた際に行われたアンケートに「継続すべき」と回答した会派は複数ありました。

<提案>

  1. 当面の間、議員報酬の20%減額は継続します。

 

5、都政を厳しくチェックする都議会に

 知事は予算や条例などを提案できますが、知事の提案をチェックして最終的に決定するのは「議決(議事)機関」である議会です。知事をはじめとする「執行機関」は、都議会において、都民が聞いてわかる説明をする責任があります。

 しかし、都議会では、会派によって答弁に差をつけたり、知事が答弁に立たないなど、明らかに対応を変えていることに、都民からも「おかしい」という声が上がっています。こうした不正常な都政運営のあり方を、これまでも厳しく指摘してきましたが、22期の都議会になってもまったく改善されていません。

 熟議を重ねてこそ、多様な都民の要求を都政に反映することができます。違いを排除するのではなく、違うことを前提に議論することによってこそ、より良い都政をつくることができます。不正常な都政運営が「当たり前」となっている現状を、抜本的に改め、都政を厳しくチェックする都議会にすることを強く求めます。

以 上


*1 会派とは、議会内に同じような目的や意見をもった議員の集まり。都議会では会派の人数によって本会議の質問時間やポスト配分が決まります。
*2 通常予算が審議された2024年第1会定例会は38日(常任委員会6日)、第2回定例会は15日、第3回定例会は17日、第4回定例会は16日と、会議規則とに定めた日数よりもはるかに短く、十分な日数が確保されているとは言えず、あまりにも短すぎます。
*3 列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union)は、政治的対話、協力、議会行動を通じて、平和、民主主義、人権、男女平等、若者のエンパワーメント、気候行動、持続可能な開発のための行動を行う国会議会の世界的組織。
 「ジェンダー平等という目標を擁護する上で、議会は適した立場にある。議会は、社会を反映しようとするものであり、だからこそ、有権者の変化も反映しなければならない。
 ジェンダーに配慮した議会とは、その構成、組織構造、運営、方式及び業務において、男女双方のニーズ及び利益にかなう議会である。
 ジェンダーに配慮した議会は、女性の完全な参加を妨げる障壁を取り除き、社会全般の手本となる事例又は模範を示す。また、こうした議会は、ジェンダー平等を推進するため、その運営や資源を効果的に活用している。
 ジェンダーに配慮した議会には、女性の完全な参加や、両性の議員及びスタッフ間における平等について、実質的、構造的又は文化的な障壁が存在しない。それは単に女性が働ける場であるだけでなく、女性が働きたい、貢献したいと思う場である。
 ジェンダーに配慮した議会は、社会におけるジェンダー平等と女性の地位向上を推進することによって、国内的にも国際的にも模範を示すことができる。
 つまり、ジェンダーに配慮した議会とは、現代社会の平等に関する要求に対応し、また反映できる現代的な議会であり、究極的には、より効率的で効果的で合理的な議会ということになる。」(列国議会同盟「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」8~9㌻)
*5 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律
 第九条(性的な言動等に起因する問題への対応) 国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進に資するよう、公選による公職等にある者及び公職の候補者について、性的な言動、妊娠又は出産に関する言動等に起因する問題の発生の防止を図るとともに、当該問題の適切な解決を図るため、当該問題の発生の防止に資する研修の実施、当該問題に係る相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
*6 全国都道府県議長会「多様な人材が輝く議会のための17の提言」(多様な人材が輝く議会のための懇談会/2024年3月)