都職員の男女賃金格差の実態について
12日、日本共産党東京都議団は、都職員の男女賃金格差の実態について、記者会見を行いました。
左から、清水とし子、米倉春奈、斉藤まりこ、藤田りょうこの各都議
都職員の男女賃金格差の実態について
2025年11月12日
日本共産党東京都議会議員団
小池都知事は、雇用分野での女性活躍を推進するために「女性活躍に関する条例(仮称)」を制定すると表明していますが、その目的を「東京の持続的な発展のため」としており、人権の視点が欠けています。
日本共産党都議団は、雇用分野での女性の労働について考える場合、これを人権問題と捉え、男女賃金格差の是正、均等待遇の実現、ハラスメントの禁止を明確に掲げ、ジェンダー平等を本気ですすめることが重要だと考えます。そして、これらを企業に求めるだけでなく、東京都自身が率先して実現することが必要です。
東京都は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」第21条にもとづき都職員の「男女の給与の差異」を公表していますが、これは同じ雇用形態(正規、非正規)や、同じ役職、同じ勤続年数同士の男女を比較するというもので、こうした比較だけでは格差を正確に反映したものになりません。しかも割合が示されるだけなので、一体何円の差があるのかもわかりません。
そこで日本共産党都議団は、国が義務付けた公表数字の基になる男女別、雇用形態別の職員数と給与総額の提出を都総務局に求め、入手しました。この数字は新たに東京都のホームページにも掲載されるようになりました。
日本共産党都議団は、総務局から提供された数字をもとに独自に計算を行い、特に男性正規職員との比較を行うことで、都職員の男女の賃金格差を明らかにしましたので、公表します。
【ポイント】※いずれもフルタイム勤務に換算した金額。
- 正規・非正規含む都の全職員の平均給与は、男性が748万円、女性が671万円で、女性の方が77万円低い。
- 正規同士で比較すると、男性より女性の方が59万円低く、管理職に占める女性の割合が18.3%に過ぎないことが影響していると考えられる。
- 非正規職員の平均給与は460万円で、男性正規職員(794万円)の約6割しかない(差額334万円)。
- なかでも、女性非正規職員の8割を占める会計年度任用職員の平均給与は422万円で、男性正規の約半分(53%、差額372万円)と、雇用形態を通じた差別につながっている。
- 都としても男女賃金格差をより正確に表すこれらの数字を公表・分析するとともに、常時ある仕事をする職員は正規雇用とするなど、格差を是正する抜本的な措置を講ずるべき。
【調査の概要】
・日本共産党都議団が総務局に求め、提供されるとともに都のホームページに掲載された資料は、別紙の通りです。(求めに応じて提供されたのは資料の3枚目)
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/soumu/r06kyuyosai
・日本共産党都議団は上記の資料を基に、独自に、職員1人あたりの給与額等を算出しました。
・職員には、知事部局、公営企業3局、教育庁の本庁勤務、行政委員会、議会局職員が含まれます。警察・消防・学校教職員は含まれません。
・給与額は、フルタイムで働いた場合の金額に換算されています。
【結果の概要】
1、都の全職員(正規・非正規含む)の平均給与は、男性が748万円、女性が671万円で、女性の方が77万円低い。
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男性全職員 |
女性全職員 |
差額 |
女性/男性 |
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平均給与 |
747万8269円 |
670万5409円 |
77万2861円 |
89.7% |
2、正規職員の平均給与は、男性が794万円、女性が735万円で、女性の方が59万円低い。
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男性正規職員 |
女性正規職員 |
差額 |
女性/男性 |
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平均給与 |
794万3826円 |
735万0346円 |
59万3481円 |
92.5% |
3、非正規職員全体の平均給与は460万円で、男性正規職員の6割しかない(差額334万円)。
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平均給与 |
男性正規職員との差額 |
非正規/男性正規 |
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非正規職員 全体 |
460万1585円 |
334万2241円 |
57.9% |
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うち女性 |
445万6773円 |
348万7053円 |
56.1% |
4、さらに女性の非正規職員の8割を占める会計年度任用職員の場合、平均給与は422万円と、男性正規職員の半分(53%)で、差額は372万円にも及ぶ。
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平均給与 |
男性正規職員 との差額 |
非正規/男性正規 |
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会計年度任用職員 |
422万0536円 |
372万0653円 |
53.2% |
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うち女性 |
420万7071円 |
373万6755円 |
53.0% |
【考 察】
都の全職員の男女の賃金格差が77万円もあることが明らかになりました。
男女賃金格差の要因として、女性の役職者が少ないことや、女性に多い非正規職員の賃金が低いことが指摘されています。
東京都の場合は、正規職員同士の男女の賃金格差は59万3480円となり、これは管理職に占める女性の割合が18.3%に過ぎないことが影響していると考えられます。
非正規職員の賃金は、フルタイムで勤務した場合に換算して比較しても、非正規職員の平均給与は男性正規職員の6割弱にしかならず、334万円もの格差があることが明らかになりました。
非正規職員の大多数はフルタイムではありませんから、実際の給料はさらに少なく、月16日勤務で月給20万円の場合、年収340万円程度にしかなりません。しかも何年働いても昇給はありません。都政に必要な仕事を担いながらこれほどの大きな格差があるのは問題です。
都職員の非正規職員は、男性は相当数が定年退職後の職員であるのに対し、女性は現役世代が多いのも特徴です。
さらに女性の場合、非正規職員2596人のうち会計年度任用職員が2064人*と約8割を占めていますが、会計年度任用職員の平均給与は非正規全体の平均よりさらに低い422万円(女性は420万円)で、フルタイムで働いても男性正規職員の約半分(53%)にしかならず、さらに格差が広がります。*いずれもフルタイム換算。実員はもっと多い。
会計年度任用職員には、事務職に加え、女性相談員、消費生活相談員、学校司書など都民生活に不可欠の専門職も少なくありません。非正規雇用が、雇用形態を通じた女性差別となっていることを東京都は直視するべきです。
冒頭に指摘したとおり、東京都が現在公表している「職員の給与の男女の差異の情報公表」は、雇用形態や役職を通じた賃金格差を表現したものになっていません。雇用形態別、役職別、年齢別の男女別平均給与額をわかりやすく公表して、都民が比較できるようにすることが必要です。女性が多い専門職をはじめ常時ある仕事をする職員は正規雇用するなど、格差を是正する抜本的な措置を講じるべきです。
以 上
記者会見で使用したパネル(4枚)




