主な活動

2018年第3回定例会に提出した文書質問


2018年第3回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 曽根はじめ

質問事項
一 東京都におけるエイズ/HIV対策について

一 東京都におけるエイズ/HIV対策について

Q1 「世界エイズデー」の日本でのキャンペーンテーマが指摘しているように、HIV/エイズに関する取り組みは、いま「大きな転換期」を迎えています。治療法の進歩により、HIVに感染しても、検査を受けて早く感染を発見し、治療を早期に開始して治療を継続すれば、エイズの発症を防ぐことができるようになりました。
 服薬治療を継続すれば、体内のウイルス量を減少させることが可能となり、他の人に感染させるリスクが大きく低下することも確認されています。
 治療法の進歩により、HIVに感染した人の生活は大きく変わり、感染予防にもさまざまな選択肢が用意されるようになっているのです。
 都は、HIV/エイズをめぐって「大きな転換期」にあることを、どう認識していますか。都として「大きな転換期」にふさわしい対策を具体化する必要があると思いますが、いかがですか。

Q2 東京都は、2009年5月に策定した「エイズ対策の新たな展開」にもとづいてエイズ対策に取り組んできましたが、計画策定から10年が経とうとしています。早急に全面改定して「大きな転換期」にふさわしい、新たな計画を策定すべきです。都の認識を伺います。

Q3 エイズ対策の新たな計画を策定するにあたっては、期限を定めた数値目標と、具体的な行動計画、その実施状況を複数年にわたって検証・評価する仕組みを明確にする必要があると思いますが、都の見解を伺います。

Q4 厚生労働省は、本年1月に、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」を全部改正しました。その内容は、HIV感染の早期発見に向けたさらなる施策が必要であることをはじめ、予防、医療の提供、人権の尊重など全面的なものです。都としては、国の「予防指針」の全部改正に、どのように対応するのですか。

Q5 2014年、国連合同エイズ計画は、HIVの流行を制御する戦略として2020年までに「3つの90%」を達成する目標を提唱しました。
 第1に、HIV感染者のうち感染を自覚している人の割合を90%以上にする、第2に、検査によりHIV陽性と診断された感染者のうち、定期的に治療を受けている人の割合を90%以上にする、第3に、定期的に治療を受けている感染者のうち、他の人に感染させない状態にまでウイルス量を低下させた人の割合を90%以上にする、というものです。
 国連合同エイズ計画はさらに、各目標を2030年までに95%に引き上げることを提唱しています。
 これが、いま世界の大きな流れになっていることを、都はどう認識していますか。都としても、2020年までに「3つの90%」、2030年までに95%を達成する目標をめざして取り組むべきですが、いかがですか。

Q6 「3つの90%」の目標に関連して、日本では、定期通院者の数や治療状況などについて正確なデータが不足していることが指摘されています。都は国と連携して、こうした調査・研究を推進し、「3つの90%」目標に対する現状を、正確に把握する必要があります。見解を伺います。

Q7 治療を定期的に受ける人の割合を引き上げるためには、治療法の進歩により、治療の早期開始・継続によりエイズの発症を防ぐことができること、有効な治療法がなく死に至る病であるというのは、もはや過去の話であるなどの正確な情報提供を、さらに強化することが重要です。
 また、エイズ診療拠点病院だけでなく、身近な地域の病院・診療所で適切な治療を受けることができる体制整備が必要です。長期にわたる治療の医療費負担の軽減も、重要な課題です。
 都は、治療を定期的に受ける人の割合を引き上げる対策に、今後どう取り組むのですか。

Q8 HIVウイルスの量を低下させる薬は着実に進歩しており、2015年には1日1錠、食事時間を気にせず飲める薬が登場しました。しかし毎日確実に、長期にわたって飲み続けることが必要です。
 一例として厚生労働省は、結核患者への服薬支援「DOTS」について、チームによる患者中心の包括的支援、個別患者支援計画の作成、地域におけるDOTSの実施、治療成績評価と地域DOTS実施方法の評価・見直し等を内容とする「戦略方針」を明らかにし、都道府県等に「結核患者に対するDOTS(直接服薬確認法)の推進について」を、技術的助言として通知しています。
 こうしたことも参考にして、医療機関、医療関係者の努力だけにまかせるのでなく、都政の重要課題として位置づけ、服薬支援の体制整備に取り組む必要があります。
 しかも服薬治療の継続は、感染者の状態を改善するだけでなく、他の人への感染をふせぐ予防効果もあることが明らかになっており、服薬治療を支援する体制整備は重要な課題だと思いますが、都の認識を伺います。

Q9 都として関係機関、区市町村と連携して「HIV感染症の服薬支援推進協議会」または「HIV感染症の服薬支援のあり方検討会」(いずれも仮称)を設置し、エイズ診療拠点病院だけでなく、身近な地域で、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、カウンセラー等のチーム医療による、同じ水準の服薬支援を受けることができる体制整備、人材育成を進めることが必要ではないでしょうか。見解を伺います。

Q10 2017年の都の調査では、HIV感染者の69%が20歳未満および20代、30代の若い世代です。都はこれまで、若者のための普及啓発拠点「ふぉー・てぃー」の設置・運営、エイズ・ピア・エデュケーションの実施、若者向けネット配信などに取り組んでいますが、さらに充実、発展させることが必要です。
 また、全部改正された国の「予防指針」では、「性に関する適切な意思決定及び行動選択に係る能力が形成過程にある青少年に対しては、心身の健康を育むための教育等の中で、性に関する重要な事柄の一つとして、HIVに関する知識の普及啓発を行うことが特に重要である」との内容が、新たに記述されました。都は、若い世代の対策に、どう取り組むのですか。また、学校教育等で、HIVなどの性感染症をふくめ、科学的な根拠にもとづく知識を学ぶ性教育を充実・強化することが必要です。いかがですか。

Q11 若い世代が多く集まる場所に、敷居が低くて入りやすい、無料・匿名で検査できる場所を、臨時や巡回もふくめ、数多く設置することも必要です。都の対応を伺います。

Q12 都の調査で、外国人のHIV感染者・エイズ患者の報告数は増えており、エイズ専門家会議では、「外国国籍の人たちに向けた対策も必要だということを数年前からのデータは示している」と指摘されています。
 HIV検査の促進をはじめ、外国国籍の人たちに向けた対策を、抜本的に拡充する必要があります。都の認識と対応を伺います。

Q13 都の南新宿検査・相談室、多摩地域検査・相談室、HIV検査情報webのホームページは、いずれも多言語対応になっていません。都のエイズ専門家会議でも、NPO団体の委員から、南新宿検査・相談室のホームページが日本語表示のみだという指摘がありました。都は、この問題の重要性をどう受け止めていますか。多言語化を、早急に実施すべきですが、いかがですか。

Q14 都内の梅毒の患者報告数は2011年から増加に転じ、2014年から2016年までの3年間で、報告数が3倍以上と顕著に増加しています。感染原因の多くは性的接触です。都は今年度、検査体制強化、医療従事者研修などの「梅毒緊急対策」を実施していますが、さらに拡充・継続が必要です。また、梅毒などの性感染症対策とHIV/エイズ対策を連携させた施策の推進が重要です。見解を求めます。

曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

一 東京都におけるエイズ/HIV対策について

A1 近年の抗HIV療法の進歩により、HIV感染者等の予後が改善され、感染の早期発見、治療の早期開始及び継続により、エイズの発症を防ぐことができ、感染していない人と同等の生活を送ることが期待できるようになっています。
 また、治療の継続により体内のウイルス量が減少すれば、他の人への感染リスクが大きく低下することも確認されています。
 こうした状況を踏まえ、都は、HIV治療の進歩と検査・早期治療の重要性を広く伝えていくため、HIV検査・相談月間やエイズ予防月間などの機会を通じた普及啓発に取り組んでいます。

A2 平成30年1月に国は、近年のHIV感染者及びエイズ患者の発生動向や、HIV治療の進歩、エイズを発症した状態で感染が判明した者の割合の高さ等の状況を踏まえ、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」の改正を行っており、都でも、改正された指針の内容を踏まえ、必要な検討を行う予定です。

A3 都のHIV/エイズ対策は、「エイズ対策の新たな展開」で取組目標と具体的な方策を明らかにして取り組むとともに、その実施状況について、毎年、学識経験者で構成する東京都エイズ専門家会議での検証と評価を行っています。

A4 国は、HIV感染者及びエイズ患者の発生動向、検査、治療等に関する科学的知見など、HIV/エイズを取り巻く環境の変化に対応し、予防を総合的に推進するため、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」を改正しました。
 都では、改正された指針の内容も踏まえ、今後の都における対策について必要な検討を行う予定です。

A5 国連合同エイズ計画は、第一に感染者が検査によりその感染を自覚し、第二に定期的に治療を受け、第三に他者に感染させない状態にまでウイルス量を低下させるという一連のプロセスを「ケアカスケード」と称し、その全てのプロセスにおいて90パーセント以上を達成することをエイズ施策の指標とするよう提唱しています。
 しかしながら、国は、現在のHIV感染者及びエイズ患者の発生動向調査では、新規感染者の数は把握できるものの、定期通院者の数、死亡者数、抗HIV療法の導入状況、治療状況が把握できないことなどを課題として挙げ、継続的な研究が必要であるとしています。
 このため、都は、国の研究等の動向を注視していきます。

A6 国の「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」では、国連合同エイズ計画による、感染者が検査によりその感染を自覚し、定期的に治療を受け、他者に感染させない状態にまでウイルス量を低下させるという一連のプロセスである「ケアカスケード」について、その評価に資する疫学調査・研究を継続的に実施する必要があるとしています。
 都は、国の動向を注視するとともに、国からの求めに応じて調査等に協力していきます。

A7 HIV感染者及びエイズ患者に医療を適切に提供するため、都は、HIV/エイズ診療の中核となる医療機関としてエイズ診療協力病院を確保するとともに、各病院が治療などに関する相談にも対応できるよう、患者や家族へのカウンセリングを行う体制を整備しています。
 また、患者支援団体と連携して、患者等からの相談への対応や治療に関する情報提供を行っています。

A8 医療機関が行う、HIV感染者及びエイズ患者に対する療養上必要な指導及び感染予防に関する指導は、診療報酬の算定対象とされています。
 都は、HIV/エイズ診療の中核となる医療機関としてエイズ診療協力病院を確保し、HIV感染者及びエイズ患者に医療を適切に提供する体制の整備を図っています。

A9 医療機関が行う、療養上必要な指導及び感染予防に関する指導は、診療報酬の算定対象とされ、また、所定の要件を満たしたチーム医療については加算対象とされています。
 都は、HIV感染者及びエイズ患者への適切な医療提供のために確保したエイズ診療中核拠点病院において、他の協力病院に対する研修事業を実施するなど、HIV/エイズ診療に関する人材の育成を図っています。

A10 都は、HIV感染者の多くを占める若い世代を対象に、効果的な予防啓発を図るため、若者がHIVやエイズについて主体的に考え、同じ世代の交流や相互学習を通じてHIV等に関する理解を深める取組を行っています。
 また、そのノウハウを生かして青少年施設、学校等での啓発や、ボランティア団体等が行う啓発活動への支援に取り組んでいます。
 小・中・高等学校においては、性感染症の予防について、学習指導要領等に基づいて指導しています。
 具体的には、小学校では、第6学年の保健の授業で、病原体が体に入ることを防ぐことや体の抵抗力等について指導し、中学校では、第3学年の保健の授業で、エイズやその他の性感染症について、疾病の原因や感染経路、予防方法等を指導しています。
 また、高等学校では、保健の授業において、エイズなどの新興感染症や結核などの再興感染症の発生や流行等について指導しています。
 今後とも、児童・生徒の発達段階に応じて系統的に指導することが大切であると考えています。

A11 都は、保健所や、南新宿及び多摩地域検査・相談室で、無料・匿名でのHIV検査・相談を実施しています。
 また、HIV検査・相談月間、エイズ予防月間を中心に、NPO等の協力を得ながら、講演会や、繁華街でのライブイベント、街頭キャンペーンなどを行っています。
 さらに、利用者の利便性を考慮し、南新宿検査・相談室の予約受付をインターネットで行えるようにするなど、検査を受けやすい体制の整備に取り組んでいます。

A12 都の保健所や検査・相談室のHIV検査・相談は、原則として、在日外国人を含む都民を対象としています。
 外国人の方への検査・相談への対応の際は、平易な日本語で対応するとともに、南新宿検査・相談室では、必要に応じて英語での対応も行っています。

A13 都の保健所や検査・相談室におけるHIV検査・相談は、原則として、在日外国人を含む都民を対象としています。
 そのため、利用者は日常使われる基本的な日本語については理解ができると考えられることから、ホームページは日本語表記としています。
 今後、検査について広く周知するため、HIV感染者及びエイズ患者発生動向を踏まえ、必要な検討を行っていきます。

A14 都はこれまでも、性感染症の啓発パンフレットに、HIV、エイズのほか、梅毒や性器クラミジア感染症などの予防等に関する情報を併記し、啓発を進めるとともに、南新宿検査・相談室でHIVと梅毒の同時検査を実施してきました。
 近年における梅毒の報告数の増加を受け、平成30年4月からは、南新宿検査・相談室で週3日実施していたHIVと梅毒の同時検査を、祝日・年末年始を除く毎日実施に拡充するとともに、多摩地域検査・相談室でも同時検査を開始しています。
 さらに、平成30年11月に、HIV、エイズと梅毒を含めた性感染症に関するホームページを新設し、感染予防の啓発や、検査についての情報発信を行っています。

以 上


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