二〇一二年都議会第二回定例会 討論 六月二〇日

大島よしえ(足立区選出)

 私は日本共産党都議団を代表し、第134号議案「東京電力管内の原子力発電所の稼働についての是非を問う東京都民投票条例」ほか23議案に賛成の立場から討論を行ないます。

 まず、原発に関する都民投票条例です。知事は、原発稼動の是非は、国が責任を持って判断すべきもので、都民が投票でその是非を決めることは、国を滅ぼす危険なことになりかねないと言いました。しかし、国は、福島原発事故の原因究明もされない中で、政府自らがとりあえずの対策として指示した30項目の「安全対策」さえ不十分なままで、大飯原発の「再稼働」を判断したではありませんか。国の判断にゆだねることは危険なのです。こうした現状をみるならば、都民の命と安全を守るために、都民が投票による意思表示を求め、行政にその結果の尊重を要求することは当然のことです。この立場からわが党は、都民投票運動の自由を確保するため、投票運動の規制に関する罰則規定を削除する部分的修正案を提案しました。同時に、直接請求に署名をした34万余の都民の意思を実現させると言う一点で、民主党などの修正案にも賛成しました。都議会各会派・議員のみなさんがいくつかの点での見解の違いを乗り超えて、原案を成立させるべきであることを表明するものです。

 知事は、「放射性物質が危険なことは論を待たない」と言いながら、廃棄物も含めて適切に管理できると原発容認の態度を変えません。しかし、福島第1原発事故は、いったん放射性物質が外部に放出されると、その暴走をくいとめる手段も技術も未だ人類はもちあわせていないことを、国民の前に示したのです。知事は、暴走しないよう管理できると言いたいようですが、いまどの国であれ、大地震や大津波、さらには人為的に引き起こされる未曽有の災害から、原発の暴走を防ぎうる管理技術を持ち合わせていません。この事実を知事は、真摯に受け止めるべきです。
 知事は、原発全廃を決めたドイツが、原発大国のフランスから電力を輸入していると答弁しました。しかし、ドイツは、自然エネルギーの普及が進み、産業・暮らしに必要な電力は、全原発が停止したとしても充分カバーできる発電力を有しています。一方、フランスは発電量を調整できない原発を動かしつづけるため、ドイツに安い費用で電力を買ってもらっているというのが実態です。この問題でも安易な発言は慎むべきです。ドイツのように原発からの撤退の決断が早ければ早いほど、自然エネルギーや省エネルギーの対策も前進できます。原発をゼロにし、「自然エネルギー大国・日本」への道を切り開くことこそ、国民・都民の願いであり、世界の流れです。

 次に、放射能汚染から子どもを守る問題です。
 知事は放射性物質が危険だという認識を示しながら、なぜ都有施設のまともな測定も、除染も行わないのでしょうか。わが党の調査で、都立水元公園の土壌から1キログラムあたり11万ベクレルとか、25万ベクレルを超える高濃度汚染の箇所があることが判明しました。都は、文部科学省からの要請があって、ようやく重い腰を上げたものの、わずか1か所の測定にとどまったうえ、その場所が、私たちの測定した場所かどうか定かではありませんが、都の測定でも空間線量が毎時0・99マイクロシーベルトと高い値を示しているにもかかわらず、除染等の目安に当たらないと放置しています。さらにその後のわが党の調査で、地上1メートルで毎時1マイクロシーベルトを超える地点が6か所も確認され、都が唯一しがみついている文部科学省の除染のガイドライン「地上1メートルの空間線量が周辺の一般環境(毎時0・18マイクロシーベルト)を1マイクロシーベルトを上回る地点」が2か所で測定されました。昨日、この事実を都に伝えて、詳細調査等を求めたところ、都は「測定は文科省がやることだ」などと言って、自ら調べようとしませんでした。わが党が文部科学省にも通報し、文部科学省からの要請があったため、公園管理者である建設局が調査するとのことですが、今度こそ、通り一遍ではなく、水元公園の全面的な調査と必要な除染を行うことを強く求めるものです。
 わが党の調査では、都内の区市町村の8割が毎時0.23や、0.25マイクロシーベルトなどの独自の基準を定めて、簡易な除染などを行い、住民の不安の声にこたえています。都が子どもの安全を守る立場に立ち、こうした区市町村と連携して、局所汚染の全面的調査と除染を行うべきであることを重ねて指摘しておきます。

 次に、防災対策です。
 国の中央防災会議の中間報告でも、「災害への対応に想定外があってはならない」としています。この立場から都の被害想定をみると極めて不十分なものです。このような被害想定になった背景には、知事の記者会見での被害想定に関する発言があったというわが党の指摘に対して、知事は、「被害想定の数字だけがいたずらに独り歩きすることへの懸念」からの発言だったと答弁しました。まさに、知事の記者会見での発言は、被害想定に対する介入的発言であったことがこの答弁で裏付けられたと言わなければなりません。
 実際、被害想定では、堤防などは損壊しない、たいした被害にならないかのように言っていますが、河川堤防の耐震化について、都は「一定の安全性を確保してきた」という答弁にとどまりました。つまり、そこそこの安全性しか確保していないことを認めざるを得なかったのです。火災については、非常に強い強風下では飛び火が大きくなること、台風などでは延焼が拡大することを都は認めたにもかかわらず、前回行った風速15メートルで被害想定することを、「数日間継続する」という極端な条件設定を持ち出して除外してしまいました。しかし、関東大震災では実際に15メートルの強風が被害を拡大したこと、函館大火、酒田大火など、かつての代表的な大火は、強風が十数時間程度継続したことに起因していることは明白です。少なくとも、風速十メートルを超える強風が地震発生時から十数時間程度継続したらどのような深刻な被害が発生するかシミュレーションを行うべきなのです。9月に見直される新たな防災計画には、こうした様々な指摘を真摯に受け止めて、より良い地域防災計画を策定されることを強く求めます。

 今議会でも知事の都民のくらし・福祉に冷たい立場が浮き彫りになりました。我が党は、国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料がそろって値上げされるなど、都民生活の困難な実態を示し、認識をただしたのに対し、知事は「高福祉・低負担の社会保障制度は成り立たない」という持論に固執するだけで、都民生活に手を差し伸べる立場を全く示しませんでした。今議会でわが党は、消費税増税についても質しましたが、知事は答弁に立ちませんでした。消費税増税が、暮らしを壊し、経済を壊し、財政破たんをひどくする道であることは、国会論戦を通じてすでに明瞭です。だからこそ、どんな世論調査でも国民の50〜60%が反対し、今国会での採決に、約7割が反対しているのです。しかし、民主・自民・公明の3党はこうした民意と公約にそむいて密室での増税談合を行い、消費税増税と社会保障の改悪をセットで推し進めることに合意しました。「ぎりぎりまで追い詰められている国民に追い打ちをかけるのか」と怒りの声が広がるのも当然です。財源と言えば、消費税増税しかないかのような古臭い硬直した考えは、いい加減捨てるべきです。
 日本共産党は、消費税を増税せずに社会保障を充実させる道があることを示した提言を2月に発表しました。浪費を一掃し、不公平な税制を改め、増税なら負担能力のある富裕層、大企業に応分の負担をしてもらおうというものです。これこそ知事の言う「誰もが自立して生活できる成熟した社会」をつくれる道ではないでしょうか。わが党は、消費税増税をやめさせ、真に都民が安全・安心に暮らせる東京を築くために全力をつくします。

 最後に、尖閣諸島購入問題です。
 代表質問でもわが党の見解を述べましたが、尖閣諸島は歴史的にまぎれもなく日本の領土です。中国の領有権主張に正当性はありません。しかし、紛争を解決するために何よりも重要なことは、日本政府が理をつくして外交努力を展開することです。政府がこれをおこたっているからといって地方自治体が国家間の領土問題の紛争に介入することは適切ではありません。東京都が尖閣諸島を購入しても問題の解決にはなりません。領土紛争は、日中両政府が話し合いで平和的に解決する外交努力を強めるよう重ねて呼びかけ、討論を終わります。

以上