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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

1999年第2回定例会本会議 討論

古館 和憲(板橋区選出)  1999年7月14日

都民いじめの路線を継承する道を進むなら、都民の批判は免れない

◯五十五番(古館和憲君) 日本共産党を代表して、第百五十七号議案、平成十一年度東京港臨海道路城南島側沈埋トンネル建設工事請負契約外四議案及び専決処分三件に反対する立場から討論を行います。
 知事が提出した東京港臨海道路建設工事及び晴豊一号橋下部工事契約は、ともに臨海開発に関連するものであります。我が党が代表質問でも明らかにしたように、臨海開発は八兆円という群を抜く巨大開発であるとともに、国の民活型開発路線の先導役を担って開発を進めたあげく、巨額の赤字で財政破綻に陥っています。まさに、二十年来の開発優先の都政の行き詰まりを象徴する存在というべきものであります。
 さらに、青島前都政が開発継続と今後二兆円近くの都財政投入の方針を決めたことで、都民負担のさらなる増大の道が開かれようとしており、これ以上の破綻と都民犠牲を食いとめることが待ったなしの課題となっています。
 この点で、我が党が知事に対して、青島前都政の見直し方針を踏襲するのかどうかと重ねてただしたのに対し、知事は、着実な整備が進み、新しいまちとして発展しつつあるという認識を示した上で、企業都市づくりは必ずしも悪とは思わないと、今度とも開発を継続していく基本方針を示しました。このことは、臨海開発の現状に対する知事の危機意識の欠如を示すものであると、改めて指摘せざるを得ないものであります。
 今必要なことは、破綻必至の企業都市づくりを改め、都財政の投入を最小限に抑える立場から臨海開発を抜本的に見直すことであります。また、都自身が危機的状況としている都財政の現状を考慮するならば、建設を急ぐ理由は見当たらないのであります。よって我が党は、臨海開発の促進を前提としたこれらの契約議案に反対するものであります。
 さて、今定例会は、石原都政となって最初の定例会であり、知事の都政に対する基本姿勢が問われました。
 知事は、代表質問で我が党が、財政難を口実に暮らし、福祉を切り下げる青島前都政の財政健全化計画の路線を引き継ぐのかどうかをただしたのに対し、とてもこの計画だけでは進まない、さらに厳しく聖域を設けず施策の見直しを行うとの見解を表明しました。聖域を設けずという中には、医療費助成や私学助成など、財政健全化計画で見直し対象として例示された都民施策も含むのかという問いに対しても、それを否定しませんでした。一方、知事は、臨海副都心開発抜本見直しの都民の願いに背を向けたばかりでなく、環境破壊として住民の反対の強い幹線道路建設を促進する立場を表明しました。
 こうした知事の態度に対し、代表質問では、我が党以外の主要な会派からも、暮らし、教育、福祉の切り下げに通ずる予算の一律カットに反対する態度が相次いで表明されました。
 今、都民が都政に求めているのは、都の財政難の原因であり、いまだに膨れ上がったままの大型開発などの浪費とむだに根本的にメスを入れ、暮らし、福祉を守り、拡充しながら財政の立て直しに踏み出すことであります。我が党は、石原知事が、二十年来の大型開発優先、都民いじめの都政の路線を継承する道を進むならば、都民の批判は免れないことを強調するものであります。
 六日の本会議で知事が、調べさせたらわかってきたとして、都営地下鉄十二号線環状部建設に当たって談合の存在を認める発言をしたことは、極めて重大であります。談合は明確な犯罪であり、しかも、このことによって余計なお金がかかったことまで指摘しているのでありますから、徹底的な究明が必要なことはいうまでもありません。だからこそ我が党は一般質問で、知事発言の根拠となった資料の提出を強く求めたのでありますが、知事は、まともに答えることを避けたのであります。
 ところが、十二日の公営企業委員会では、談合等について十分な情報を得ぬまま、あたかも私の考えであるかのように受け取られる発言をすることになってしまった旨の知事発言が報告され、知事は本会議における発言を事実上訂正しようとしています。これは、議会におけるみずからの公式な発言に責任を持たないだけでなく、談合疑惑の究明という知事としての責務に背を向けるものといわなければなりません。
 我が党は、かねてから同工事について、事前の談合情報や、ほぼ情報どおりに大手ゼネコンを中心に工区割りが行われていたことなど、たびたび追及してきましたが、引き続き真相究明に全力を尽くすものであります。
 継続審議となっていた我が党提出議案、東京都特殊疾病等に係る医療費の助成に関する条例は、昨年五月から自己負担が導入された難病医療費を無料に戻そうとするものであります。そもそも難病医療費無料の継続は、昨年三月の都議会での意見書に示されたように、都議会の一致した要望であり、要綱ではなく条例化すべきという意見も多くの会派共通の声でした。しかも有料化から一年を経過した現時点に立って、東京における最大の当事者団体である東京難病団体連絡協議会から、この五月、患者負担の実施を撤回し、全額公費負担に戻すこと、制度の根拠を要綱ではなく条例とすること、という陳情が都議会に提出されているのであります。こうした難病で苦しむ方々の声にこたえるためにも、都議会各位のご賛同を呼びかけるものであります。
 最後に、本日の本定例会で、都議会が一致して、横田基地・多摩サービス補助施設の返還に関する意見書を政府に対して提出する運びになりましたが、この意見書が議決されるならば、東京都議会として初めての返還を求めるものとなります。我が党は、これを踏まえ、横田基地を初めとする都内米軍基地の速やかな返還、多摩サービス補助施設の早急な都民開放の実現に向けて、引き続き力を尽くすとともに、基地返還までの間に、周辺自治体や住民が切望している騒音被害の解消に向けた取り組みを積極的に支援し、実現に向けて誠実に努力していくことを表明して、討論を終わります。