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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2001年第4回定例本会議  討論

東 ひろたか(江東区選出)  2001年12月19日

 私は、日本共産党都議団を代表して、第百七十二号議案、東京都宿泊税条例ほか二議案に反対、第百九十四号議案、職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例ならびに第百九十九号議案、学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について、両議案を継続審査とする所管委員会の決定に反対する立場から討論を行います。
 まず、東京都宿泊税条例案についてですが、この宿泊税の課税の対象となる大半の人は、海外もしくは都外在住の観光客やビジネスマンであります。
 知事は、これまで、東京の活性化をはかるうえで、観光振興が重要であるとして、「千客万来」のスローガンをかかげて、内外にアピールしてきました。しかし、たとえ、税額は低く抑えたといっても、せっかく、東京都の呼びかけにこたえて、東京を訪れてくれた来訪者から、税金を徴収することは、知事のいう「千客万来」の趣旨に逆行することは明らかであります。
 また、課税目的についても、法定外課税として認められる受益の関係も不明確であります。知事は、所信表明で、ホテル税を活用して「国際会議の誘致」や「海外キャンペーン」をおこなうとしましたが、これによって受益をうけるのは、観光業界であっても、実際に、税を負担する海外や地方からの旅行者でないことはあきらかです。この点について、野口悠紀雄青山学院大学教授は、地方税の原則の一つに、受益者が利益に応じて負担する「応益負担」があるとしてうえで、「ホテル税のように都の財源をほかの自治体の住民に求めるのは、この原則に反する」と指摘しているのであります。
 また、知事は、「東京の観光振興に必要な財源を安定的に確保するため」に、ホテルなどの宿泊者に課税するとも述べましたが、税収として見込まれる十五億円程度は、いくら財政がきびしいといっても、国直轄事業負担金や浪費を見直せば、確保することは可能です。財源が不足するからといって、そのたびに、あらたな税に財源を求めることを安易にみとめることになれば、財政難のもとで、つぎつぎと新税が導入されることになってしまうことを指摘しておくものです。
 次に、東京都施行の北新宿地区第二種市街地再開発の変更にともなう条例改正は、放射六号線の開通と権利者棟の建設のために工区を区切るというもので、特定の地上げ業者の救済の性格の色濃い事業に、貴重な都財政をつぎ込み、都財政をさらなる困難におとしいれかねないものであり、反対するものです。
 東京都が直接施行にあたる再開発について、東京都は、一昨年発表した「財政再建推進プラン」で、「隠れ借金」の一つとしてあげ、赤字が千五百億円にのぼることを明らかにしたところであります。これらの借金を生み出した再開発事業はいずれも、バブル型の大規模開発として計画、推進されたもので、その反省もなしに、北新宿の再開発をすすめることは許されません。しかも、今後、特定建築者制度を適用して、破綻した地上げ業者を救済する道も用意されているものです。これらの大規模再開発と道路建設は切りはなしておこなうとともに、地上げの後始末への都財政投入を中止することを求めておくものです。
 第百九十四号議案、百九十九号議案は、東京都職員および教職にある管理職の給与のカットを来年度も継続する条例ですが、これを継続審査とすることは、一般職員の給与カットを継続することを狙いとしたものであり、わが党は反対するものです。
 そもそも、地方自治体の職員の給与は、争議権など労働基本権が制約されているもとで、民間の給与水準を反映するしくみである、第三者機関としての人事委員会の勧告にもとづき、労使間での合意によって決定されるという、ルールが確立しているものです。
 また、この地方公務員の給与に関するルールは、最大限尊重すべきものとして、全国の自治体で確立されているもので、わが都議会においても、これまで合意を尊重する立場をつらぬいてきたのであります。
 しかも、今回は、一般職員の給与カットを今年度末で、うち切ることについては、すでに労使間で合意されているのであります。したがって、仮に、東京都がこの合意を無視して、来年度も一般職員の給与カットを継続するということになれば、法とルールを遵守すべき立場にある地方自治体がルール破りをおこなうことになるのであります。
 くわえて、このような労使間の信義を裏切るような行為をおこなうことは、今後の都政運営に重大な支障をもたらしかねないものとなります。
 今日の財政の困難をもたらしたのは、バブル崩壊後も、大型開発に税金をつぎ込み、浪費とムダを温存してきた東京都の行財政運営の失政にあることは明白であり、そのしわよせを、職員に押しつけることはゆるされないことを、つよく指摘しておくものです。
 自民党、公明党が提案している、給与カットを一般職員にも拡大することをもとめる決議は、良識の府であるべき議会が、法律とルール破りを行政に強制するものであり、断じて認められるものではありません。
 さて、今議会は、戦後最悪の不況とリストラの嵐がふきあれ、くわえて、小泉政権の「構造改革」にもとづく、不良債権の早期一括処理や社会保障制度の連続的改悪などが、都民のくらしや福祉を直撃しているもとで開催されました。それだけに、石原都政が、都民のくらしと営業、福祉と健康をどうまもるのかが、大きく問われたのであります。
 わが党は、不況対策を緊急の課題として位置づけ、雇用のルールの確立、失業者や自殺で親をなくした子弟のための生活支援をはじめ、雇用、中小企業支援のための緊急対策本部の設置、さらには補正予算の編成などを提案したところであります。
 また、十六の都立病院を八つに統廃合する「都立病院改革」については、地域医療からの撤退であり、だれもが良質な医療を公平にうけることを保障する都立病院本来の役割をおおきく後退させるものであることが、質疑を通して、明らかになりました。小児病院の統廃合を打ちだした「都立病院改革会議」に、小児の専門医が参加していないことも、質疑の中で判明しました。小児病院の廃止がうちだされている清瀬市や八王子市などをはじめ、各地で統廃合に反対する都民世論が大きくひろがっています。いたずらに「マスタープラン」を策定をいそぐのではなく、いったん白紙にもどして、専門の医師や医療関係者、都民の参加であらためて、議論をつくすことをつよくもとめておくものです。
 現在、東京都は来年度予算の編成作業をすすめていますが、そのなかで、老人医療費助成などの福祉の十事業のきりすてにとどまらず、あらゆる分野で「痛み」をおしつけようとしていることも、重大です。なかでも、慢性肝炎や肝硬変などの難病医療費助成のうちきりについては、その七割がいまも治癒困難とされ、医療費助成が患者の生命線となっている実態からも、まったく道理のないものであることはあきらかであります。
 このように、東京都は、都財政難を口実に、福祉や教育などの施策のきりすてをすすめていますが、その一方で、知事が、これらの切りすてで捻出した財源を、「都市再生」などの大型開発に重点的に配分するとしていることも、都民の願いに逆行するものであり、到底、認められるものではありません。
 最後に、女性蔑視発言や留置場建設問題など、自治体の長として、見識が疑われる石原知事の言動がくり返されたことも重大です。
 わが党は、知事が女性週刊誌でおこなった、長生きする女性は「無駄で罪」などの発言は、知事として許されるものでなく、都政への信頼を根底から失わせるものとして、きびしく批判し、発言の撤回を求めました。
 これにたいして知事は、「私なりにうけとめた」とのべ、一連の女性蔑視の発言が知事自身の考えにもとづいていることを認めましたが、発言の撤回については拒みました。これらの言動は、人権と民主主義についての基本的な認識を欠如させたものであり、ひきつづきただしていくものです。
 留置場建設問題については、わが党だけでなく、各党からもきびしい批判の声があげられました。この点でも、地元区との約束、さらには、留置場の不足は代用監獄に使われているためにおきていること、東京拘置所の改築後には、都の計画を上まわる収用人数が確保されることも、明らかにしたところであります。知事は、「原案がまとまった段階」で、関係者に説明したいと表明していますが、東京都は利用計画については、地元区と住民と協議することを約束しているわけですから、白紙の状態で話し合うのが礼儀というものです。まちがっても、東京都が、地元区、住民との合意を無視して、建設計画を立案することがあってはなりません。
 最後に、不況に苦しむ、都民の切実な要求の実現のために、ひきつづき全力をつくすことを表明して、討論を終わります。