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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

二〇〇二年都議会第二回定例会討論

清水 ひで子(八王子市選出)  2002年6月26日

「都市再生」優先で環境アセス制度が骨抜きに
都政の逆立ちをただし、首都の平和と、くらし、福祉など都民要求を拡充する都政を

 

  日本共産党を代表して、第百七十一号議案、「東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例」ほか、十五議案に反対する立場から討論をおこないます。
 そもそも、東京都の環境アセス制度は、無秩序な都市開発による環境破壊と公害の拡大に歯どめをかけ、東京の空気や水、みどり、歴史的環境などの保全と、都民の健康をまもるための仕組みの一つとして、全国に先がけて制定されたものです。
 今日の東京の環境は、制定当時とくらべ、水質など一部に改善はみられるものの、自動車排気ガスやヒートアイランド現象などいっそう深刻さをましています。地球環境保全の世界的流れのなかで、アセス制度を改定するのであれば、すくなくとも、環境影響評価審議会の答申でも指摘されているように、現行条例を補完し、いっそうの実効性を確保するための改正ではなかったのではないでしょうか。
 ところが、石原知事が提案した改定案は、環境局長の、「都市再生にもとづく、緊急整備地域指定のアセス手続きを適切に行うために緊急の改正を行った」という答弁が示しているように、「都市再生」を優先し、その障害となりかねない環境アセス制度を骨抜きにするためのもので、地球環境保全の方向とはまったく逆の方向のものでした。
 すなわち、計画段階アセスについては、民間を対象からはずし、東京都の事業についても、対象要件をゆるやかなものとすることで、実効性をうばい、事業段階アセスについても、公聴会や評価書案に対する見解書の廃止など、都民参加の形骸化と大幅な手続き期間の短縮化をもりこむ改悪案が提案されたのです。くわえて、「都市再生緊急整備地域」や副都心など「特定地域」については、対象となる高層建築物の高さや面積を、それぞれ、高さ百メートルから百八十メートルに、延べ床面積を十万平方メートルから十五万平方メートルに緩和をおこなうなど、大手デベロッパー、ゼネコンにいたれりつくせりの改定にほかなりません。
 このため、環境団体や専門家、都民からのきびしい批判の声があげられ、マスコミからも「都市再生へ開発加速」「制度骨抜きの批判も」などの指摘があいついだのではありませんか。
 また、このような都民生活と地球環境にかかわる重要な条例、制度の改定をおこなうにあたっては、すくなくとも、半年程度の周知、検討期間が欠かせないものですが、都は、議会直前まで、その内容を明らかにせず、議会審議に障害を与えるとともに、都民参加による検討の道を閉ざしたのです。
 わが党が都市・環境委員会に提案した修正案は、計画段階アセスについて、実効性を確保するために、民間に適用するとともに、広域複合的開発の面積要件については十ヘクタール以上、その他の対象要件を現行事業アセスと同等し、都民参加を保障するなどをおこなうとともに、事業段階アセスについても、すくなくとも現行アセスを後退させない立場から、関係条項の復元と対象要件の条例化などをおこなうものです。
 わが党は、以上の立場から、知事提案の改定案に反対するとともに、都民とともに、実効性あるアセス制度の実現に向けて全力をつくすものです。
 石原知事が、環境アセスの骨抜きとひきかえにおしすすめようとしている「都市再生」についても、環境、住宅、都財政などにとりかえしのつかない影響をあたえるものであることが、質疑をつうじて、明らかにされました。
 石原知事は、わが党の質問に対して、「環境基本計画をふまえ、環境に配慮した都市づくりをすすめ」ると答弁しましたが、その認識がいかに、現実離れしているかということは、知事がふまえるとした環境基本計画が、「すでに経済性と五分と五分でトレードオフですむ段階をはるかに超え、きわめて深刻な状況にある」と指摘していることでも明らかです。
 代表質問で指摘しましたが、地球温暖化への影響だけをみても、知事が指定を国にもとめている七つの「緊急整備地域」の開発のなかで、わかっている開発計画だけでも、温室効果ガスを三%余りもおしあげる計算になるのです。「都市再生」による大規模な再開発と環境保全が、両立できないことは、誰の目にもあきらかではありませんか。
 石原知事が、「都市再生」を最優先する一方で、「福祉改革」の名のもとにすすめている、福祉や医療などの都民施策の切りすてが、都民の生活に深刻な打撃をあたえていることも、あらためてうきぼりとなりました。
 石原都政の三年間で、福祉や医療がどうなったかです。この点では、代表質問で、大都市をもつ十二都道府県のうち福祉・医療の予算を減らしたのは、東京だけという事実を明らかにしましたが、知事は、これにたいし、あれこれ弁解をこころみましたが、指摘した事実を否定できませんでした。むしろ知事の弁解は、東京都がこの間、施設整備をストップさせ、そのための予算をどれだけ削ってきたかを証明しているようなものではありませんか。この三年の間に、介護保険制度が導入されたことにより、都道府県の予算が保険導入前よりふえるしくみとなりましたが、そのなかでも東京都だけが、十一道府県とは逆に福祉・医療予算を減額したというのは、まさに異常な事態であることを直視すべきであります。
 また、医療費助成や福祉手当など経済給付的事業の切りすてにくわえ、社会福祉法人への支援の切りさげ、さらには福祉の分野にまで市場原理の導入や企業参入の推進したことも重大であり、わが党は、具体的問題として、特別養護老人ホームと認証保育所を例に、その実態を指摘しました。
 都立病院や保健所の大幅統廃合にたいしても、都民的な反対の声がいっそうたかまっていることも、今議会でとりあげました。保健所統廃合にたいし多摩市長会のつよい反発で、都と市の検討会が設置されることになりましたが、二十三日の日曜日には、医師や保健師、障害者の方々をはじめ四十一団体が参加して、「多摩地域の十二保健所を守る会」が設立されたことを紹介しておくものです。
 この際、都立病院や保健所の統廃合計画を、都民参加で抜本的に再検討することをはじめ、福祉、保健、医療を総合的に拡充すること、そして来年度予算編成にむけ、福祉・医療予算の増額に転換するようつよく求めておくものです。
 第百九十号議案、PFIによる区部ユースプラザにかかわる契約については、文教委員会での質疑を通じて、当初の基本計画より社会教育施設としての機能がおおきく後退し、PFI事業者の収益的事業が優先されるものとなっていることが、明らかになりました。
 すなわち、もともと、直営で計画されていながら、PFIとされたために、会議室などの活動施設が大幅に削減され、基本計画で盛りこまれていた不登校やひきこもりの相談は立ち消えとなるだけでなく、ユースプラザとひきかえに、廃止される青年の家でおこなわれてきた多様な学習、体験講座も縮小されようとしています。
 また、都がPFI導入の最大の売り物とした事業費についても、建築費は、直営の場合よりPFIの方が二割高く、また、全事業費も、固定資産税を適正にコストに算入すれば、PFIの方が、直営より高コストになることも判明しました。
 社会教育施設より、ホテル機能が重視され、また、直営より投資が少なくてすむというPFIの利点もまったく生かされていない計画は、撤回し、都民参加で再検討すべきであります。
 住民基本台帳ネットワークの手数料を定める条例改正については、ネットワークに入力される情報につけられる住民票コードそのものが、国民総背番号制に道をひらくものであり、政府自身が、個人情報保護法の制定を前提にすすめるとしているものです。開会中の国会で、同法が成立していないにもかかわず、上程すること自体、見識が疑われるものといわざるを得ないものであり、反対します。
 石原知事が提案した迷惑防止条例改定案は、市民の行動や労働組合、住民団体などの抗議や要請行動まで、「つきまとい行為」として規制できるようにするもので、憲法に定められた基本的人権を侵害するものです。
 委員会での修正により、「つきまとい行為等の禁止」の条項が削除されることとなりましたが、これは、急速にもりあがった都民世論と、都民各層の運動が、都政を動かしたものにほかなりません。
 わが党は、今後とも、基本的人権をおびやかす条例改定の動きに対しては、都民とともに警戒し、反対していくことを表明しておくものです。
 政府与党が、国会を延長してまで強行しようとしている有事三法案にたいして、国民と地方自治体による疑問と反対の声が急速にひろがっています。
 有事三法案は、この間の国会での論戦で解明されてきたように、アメリカの海外での戦争に協力して、自衛隊の海外での武力行使にはじめて公然と道をひらくものであるとともに、国民の人権や自由を踏みつけにして、強制動員することを可能にする、きわめて危険な法律です。
 ところが、石原知事は、このことを質したわが党の質問に対して、憲法にそむく有事三法案の大問題にはまったくふれず、「法律として体系化しようとすることは歓迎」とか、「ことがいったん起きれば無条件で国に協力」するなどという答弁に終始したことは、おなじ、知事という立場にある長野県知事や高知県知事が、有事三法案に反対の態度を明確に表明していることとくらべて異常であり、地方自治体の長としてゆるされるものではありません。
 また、石原知事が、福田官房長官の非核三原則見直し発言を事実上、擁護し、非核三原則遵守を明言しなかったことは、被爆国の首都の知事としての資格が問われるものです。
 最後に、都政における逆立ちをただし、首都の平和と、都民のくらし、営業、福祉、教育などの切実な都民の要求の実現に全力をつくすこと表明して、討論を終わります。
以上