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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


二〇〇二年第三回都議会定例会 文書質問趣意書

提出者 清水ひで子(八王子市選出)

一 都立高校統廃合計画について

1 教育庁が六月に発表した「都立高校改革・新配置計画案」にたいして、この間、定時制高校の関係者、産業高校設置予定の関係者、都民などから厳しい批判が出されてきました。しかし、教育庁はそうした声に耳を貸さず、十月の新実施計画決定を強行しようとしています。今定例会の代表質問でも指摘しましたが、決定を急ぐのではなく、これまですすめてきた改革計画の未実施分をふくめて時間をかけて広く都民的な議論をつくすべきであるという立場から、あらためて伺います。
 今回の「計画」には、多くの問題点がありますが、私は、八王子に予定されている第二商業高校と八王子工業高校を統廃合し、産業高校を設置しようとしている問題と、中高一貫校についてしぼって質問するものです。
 統合の対象とされている都立第二商業高校は、創立八十二年の歴史と伝統をもつ都内有数の伝統校です。「商業科」「情報処理科」の六学級の都立商業高校の中で、もっともレベルが高い商業高校という評価をうけています。
 数年前までの生徒応募状況の低迷や、中途退学者の増加にたいする危機感のなかで、学校改革計画を策定し、近年、充実した商業教育で成果をあげてきました。経済産業省主催の国家試験、システムアドミニストレーター(情報処理技術者試験)では、都内高校生の合格者の約半数を二商生で占めるほどの実績をあげるまでになり、都内では最高、全国的にみてもトップレベルの成果をあげています。
 充実した情報処理設備を有効に生かし、急速な情報技術の進展にも対応できるよう、コンピューターを利用する側の立場での専門性を生かした情報処理教育に内容を変更し、ビジネスの世界で情報通信技術に精通し、経営、財務の知識も豊富な人材の育成に努め、その取りくみは海外からも評価され、名実ともに東京のIT教育先進校となっているのです。
 このような成果が中学生にもひろがり、入学を希望する中学生が増え、この二年間では、毎年一月に発表される中学校長会の志望校調査や推薦入試、二月の一般入試の受験者数でも、都内有数の競争倍率が記録されています。そして、卒業生は、八王子を中心に社会のさまざまな方面で活躍し、同窓会が活発に活動し、母校の支援に取りくんでいるのです。
 都立八王子工業高校は、百十五年の歴史を持ち、都立高校では二番目に古い学校です。地元八王子の染織業界が創設し、「応用デザイン科」「カラーリングアーツ科」「工業化学科」「機械科」「電気科」などきわめてユニークな内容を持ち、地域文化的価値もある学校です。
 二つの学校、特に第二商業高校関係者は、今回統廃合の対象とされたことに大変驚き、怒りの声が出され、関係方面へ反対のはたらきかけを行い、都への要望書も一万五千人を超えて提出されました。八王子工業高校の生徒や卒業生は、「百十五年の歴史があるのが自慢だった。学校で最初に教わったのが伝統です。八王子で大事にされてきた学校ではないか」と、個人で全都を訴えてまわっています。
 こうした声にこたえて、八王子市議会でも、第三回定例会で「都立第二商業高校の措置に対し、見直しを求める意見書」を採択しました。
 七月二十七日に行なわれた都立二商の説明会では、卒業生、PTA関係から配置計画にきびしい批判が出されました。「専門高校検討委員会報告書の検討経過のなかで、いつの時点で二商が産業高校とされたのか。現在の二商をどのように評価しているのか。報告書は、専門高校の問題点を指摘しているが、二商にはあてはまらない。情報処理教育の先進校で、こんなすばらしい学校を、あなたはつぶそうとしているのですよ。先生方は研究を重ねてトップクラスにした。一時は低迷したこともあったが、校内改革をしてがんばってきた。お金が必要なときには同窓会が援助して、先生方は夏休みも冬休みもないくらいがんばってきた。二商のよさを中学生にわかってもらおうと、やってきた。都内で唯一の学校をなぜつぶすのですか。二商をつぶさなくてはならない、どんな問題があるのか教えてください。」
 集まりは、予定時間を超えて質問があいつぎました。この間「新配置計画案」に関し、数十か所の説明会が開かれましたが、そのなかで最も多い四百人以上が参加したことは、二商を対象校とすることに、関係者が非常に大きな批判を持っていることの証明でもあるのではないでしょうか。
ア このような「計画」にたいする批判、説明会でだされた関係者の声をどのように受け止めるのですか。
イ 改革に取りくみ、大きな成果を上げ、地域に密着した歴史ある二校をなぜ統合するのですか。
ウ 統合で、両校の伝統やこの間の成果を、確実にひきつげる保証があると考えているのでしょうか。それぞれ答弁をもとめます。
エ 産業高校の学科については、今後検討をするとしていますが、すでにモデルとして示されている履修内容に対して、関係者からも卒業生からも、疑問がだされています。
 高等学校の学科は、学校教育法関連法規によって定められていますが、@普通科、A専門学科(商、工、農、家庭、水産、美術、音楽、体育、国際)、B総合学科であり、産業科は現在含まれていないのではないですか。
 しかもAの専門学科は、専門の科目を一定以上習得しないとその学科を卒業できませんが、産業高校のモデル履修授業内容では、専門学科は十単位程度の履修となっています。これでどうして専門学科といえるのですか。
オ モデルとされている科目の履修で、どんなことを高校で学ぶのかが不明確であり、普通科目の単位数が少なく、国民が等しく学ぶ共通の教養さえ履修しないことになります。専門的な教科目も、科学的理論的に体系だっておらず、すぐに役に立つが、すぐに役に立たなくなる雑多な科目の寄せ集めで、卒業後に自分の進路を切り開く力も、中途半端な科目学習のみで、就職、進学が一層困難になると指摘されているのではないですか。現在の都立高校の共通の目標は、どの生徒にも共通の学力、教養を保障することではないのでしょうか。
 また、説明会では、卒業生から、「こんな勉強をしていたのでは、システムアドミニストレーターは取れない。」という発言もありました。
 第二商業高校が進めてきた教育内容に比較して、都が予定している産業高校の内容では、求められている「産業人」としての力量を身につけることは不可能ではないですか。
カ 「都立二商を情報高校として発展させることによって目的が達成できるのではないか」という関係者の意見に耳を傾けることが重要です。都立二商と八王子工業の統合計画を見直すべきであると考えますが、どうですか。
キ また、重大なことは八王子地区の中学生の高校進学にも大きな影響が予想されることです。これまでの都立高校改革第二次計画で、すでに都立館高校・都立高陵高校の統廃合計画が実施され、入学枠が削減されてます。そのうえ、さらに南多摩高校の中高一貫校が実施されれば、合計二・五校分の定員の削減となるものです。これでは地域の高校進学状況が大きく変化し、中学生にとっては一層の狭き門となり、大きな負担となることが予想されます。
 中学生の数がいま、減少傾向にありますが、これは受験競争の緩和や教育条件整備のチャンスとなるものです。にもかかわらず、これだけの統廃合をすすめてしまったら、高校受験の競争は、いまよりもっと激しいものになってしまうのではないでしょうか。伺います。

2 次に中高一貫校について伺います。
 「新配置計画」では中高一貫校を九校開校するとしています。すでに都立大附属高校と千代田区が計画している一校も加えれば十一の中高一貫校が新設されることになります。
 しかし、都教委が中高一貫のねらいとして中等教育の「複線化」を掲げていることや、私立の小中学校教育への影響など、既存の中等教育のシステムの大きな変更をもたらすものになるにもかかわらず、それにふさわしい都民と関係者の合意はまったく図られていません。
 八王子の都立南多摩高校が中高一貫校になれば、日野、町田、八王子をはじめ、京王線・JR中央線沿線の小学生が入学を希望することが予測されます。府中や調布などからも通学可能でしょう。中学部の定員は、三学級なら百二十人、四学級なら百六十人です。一方、日野、町田、八王子の小学校だけでも百二十数校あります。平均すれば小学校一校から一人の児童が入学できるかどうか、という狭き門です。たとえ学力検査はおこなわなかったとしても、激しい学力競争にまきこまれることは必至ではないでしょうか。八王子市でも学校選択制の導入が検討されていますが、「中高一貫校に入りやすい小学校」などと宣伝され、小学校入学段階から激しい競争にまきこまれることが予想されます。
 また、南多摩高校の隣には八王子市立五中があり、都立中と市立中が隣り合わせにできることになりますが、こうしたことの影響も含めて、該当の市教委をはじめ、小中の校長会、PTAなど関係団体と合意は図られていません。
 このように現行の初等、中等教育システムに大きな影響をもたらし、市立の小中学校教育にも多大な影響を及ぼす中高一貫校の導入は、慎重な上にも慎重を期すべきです。まして都民と関係者の合意がないもとでは、導入を見合わせるのが常識と思いますが、答弁を求めます。

3 今年二月の都立高校の入試倍率は一・二六倍。一九九九年、二〇〇〇年に次いで過去三番目の高倍率で、入学辞退率は過去最低の一・六%でした。しかも経済的理由で都立高校しか受験できない生徒が増えています。
 全日制高校に行きたくても行けない中学生が毎年二千人以上出ているのに都立高校の統廃合をすすめるのは異常です。
 東京の高校教育に求められているものは子どもの学ぶ権利に答えることであり、高校進学を希望するすべての中学生の願いにこたえることではないでしょうか。そして、三十人学級など、ゆきとどいた教育条件を整備して豊かな高校教育をおこなうことです。
 「都立高校改革・新配置計画案」は、その方向とはまったく反対の方向をめざすものです。しかも計画の作り方も周知の仕方も一方的です。加えて一次、二次の計画の総括も教訓も出されていません。今定例会の代表質問で、教育長は「今後とも関係者の理解を得るように努める」と答弁しましたが、現状では都民の合意も関係者の理解も得られていません。十月の決定を延期し、都民参加で再検討することを求めるものです。見解を伺います。


二〇〇二年第三回都議会定例会  清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項 一 都立高校統廃合計画について
1 第二商業高校と八王子工業高校の統廃合計画について
ア 第二商業高校の統廃合に関して、一万五千人を超える要望書が提出され、八王子市議会でも見直しを求める意見書が採択された。また、新配置計画案の説明会では、都内最多の四百人以上が参加した。このような、計画に対する批判、説明会でだされた関係者の声をどのように受け止めているのか、伺う。
回答
 新配置計画(案)に対する意見として、厳粛に受け止めています。
 今後とも平成十四年十月に都教育委員会で策定した都立高校改革推進計画・新たな実施計画について、関係者の理解を得られるよう、努めてまいります。

質問事項
一の1のイ 改革に取り組み、地域に密着した、歴史ある二校をなぜ統合するのか、伺う。
回答
 専門高校が様々な課題を抱える中で、商品の生産から流通・消費に至る過程に関する知識や技術を身に付ける産業高校は、専門高校の活性化のための有効な手法と考えられます。第二商業高校と八王子工業高校を統合して、産業高校としてさらに発展させていくことは、八王子地区、ひいては東京都の専門高校全体の活性化につながるものであると考えています。

質問事項
一の1のウ 統合で、両校の伝統やこの間の成果を確実に引き継げる保証があると考えるのか、伺う。
回答
 新しい学校についての基本となる計画を策定するに当たっては、地元産業界などの地域関係者や、対象となる両校の校長、教員も加わった基本計画検討委員会を設置して検討する予定であり、両校の協力のもとに、教育課程を工夫して成果を引き継いでいくことができるものと考えています。

質問事項
一の1のエ 学校教育法関連法規によると、専門学科は、専門の科目を一定以上習得しないとその学科を卒業できないが、産業高校のモデル履修内容では、専門学科は十単位程度の履修内容となっている。これで、どうして専門学科といえるのか、伺う。
回答
 「高等学校学習指導要領」の総則では、専門学科における専門教科・科目の必履修単位数を二十五単位以上と定めています。
 また、「高等学校設置基準」では、都道府県教育委員会は、普通科、農業、水産、工業、商業、家庭に関する学科を置く高等学校以外の高等学校について、この省令に示す基準に基づいて、必要な定めをなすことができるとあります。同基準に基づき、都教育委員会は産業高校の設置を想定しています。
 専門高校検討委員会報告書の中では、参考資料として産業高校の教育課程編成例を示しました。この例示の中では、学習指導要領に示された工業や商業の専門科目及び産業学科(仮称)としての学校設定科目等を示しており、三年間で最低三十七単位以上の専門科目を履修することを想定しています。
 本教育課程編成例は、参考資料としての例示であり、具体的な教育課程については、今後設置される基本計画検討委員会において検討されます。

質問事項
一の1のオ 第二商業高校が進めてきた教育内容に比較して、都が予定している産業高校の内容では、求められている「産業人」としての力量を身につけることは不可能ではないか。見解を伺う。
回答
 八王子地区産業高校(仮称)の教育内容については、今後、基本計画検討委員会の中で検討していくが、産業高校は生産から流通・消費まで産業全般にかかる基礎を学んだうえで、さらに専門分野を深めていく学校であり、「産業人」としての力量を十分身につけることができると考えています。

質問事項
一の1のカ 第二商業高校と八王子工業高校の統廃合計画を見直すべきと考えるが、見解を伺う。
回答
 八王子地区産業高校(仮称)は第二商業高校と八王子工業高校の実績を発展させて、幅広い視野と確かな勤労観に裏づけられた職業人の育成や、商工業の知識をもとに、将来自ら起業を目指そうとする志あふれる人間を育成するものであり、新たな実施計画の中で推進してまいりたいと考えています。

質問事項
一の1のキ 八王子地区では、都立高校改革第二次実施計画と南多摩高校の中高一貫の実施と合わせて、二・五校分の定員削減になる。高校受験の競争は、今より、もっと激しいものになってしまうのではないか。見解を伺う。
回答
 都立高校では、平成十四年十月の規則の施行により、平成十五年度入学者選抜から学区を廃止しています。都立高校全体では公立中学校卒業生に対し、公私分担のもとで受入枠を確保しており、八王子地区における都立高校の削減がそのまま受検倍率の上昇につながることはないと考えています。

質問事項
一の2 中高一貫校へ変更を予定している南多摩高校の隣には八王子市立五中があるが、市教委をはじめ、校長会、PTAとの合意は図られていない。現行の初等、中等教育システムに大きな影響を及ぼす中高一貫校の導入は、慎重を期すべきである。都民と関係者の合意がないもとでは、導入を見合わせるのが常識と考えるが、見解を伺う。
回答
 新配置計画については、関係する区市町村教育委員会をはじめ、東京都中学校長会、東京都公立中学校PTA協議会等に説明しているところです。南多摩高校を中高一貫校とすることについては、八王子市教育委員会に対して説明を行っており、理解をいただいているところです。
 今後も新しい学校づくりに当たっては、学校関係者や地域の声を反映させてまいりたいと考えています。

質問事項
一の3 都立高校改革・新配置計画案は、十月の決定を延期し、都民参加で再検討することを求めるが、見解を伺う。
回答
 都立高校改革の新たな実施計画策定に当たっては、改革の対象となる学校の新配置計画(案)を計画決定に先立って平成十四年六月に発表し、保護者、同窓会、教職員等の学校関係者や地元自治体等への説明を積極的に行って、この十月に計画を決定したものです。
 今後とも関係者の理解を得るよう努め、計画を推進してまいりたいと考えています。