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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


予算特別委員会 総括質疑 二〇〇三年二月二〇日

木村 陽治(葛飾区選出)

石原知事の四年間、福祉の事業の見直しで福祉費がマイナス六%
「都市再生」などの予算の一部を改めるだけで、切り捨てた福祉をもとに戻すことが可能

福祉局は、内部資料にあるような方針はとらないと、はっきりいえない
福祉改革を進めるといいながら、東京の福祉は大きく後退
老人福祉手当ての段階的廃止で、介護と医療の費用が家計の重い負担に
低所得者世帯は、介護保険が始まる前よりも負担が重くなった
医療費の値上げ、年金が戦後初めて減額、都が老人福祉手当を廃止
石原都政のもとで、福祉介護のサービスの基盤整備は、改善どころか一層深刻化
政令市を持つ七府県との比較で、石原都政だけが福祉費が六%マイナス
東京都の福祉費のマイナス六%は、これまでの福祉の事業の見直しの結果(財務局長)
首都高出資貸付金、国直轄事業負担金は、年平均で青島都政時代の三割増
石原都政の「都市再生」が影響を与える臨海副都心
オフィスビル事業を取り巻く経営環境は以前にも増して厳しい(都の監査文書)
晴豊一号下部工事請負契約で、莫大な金が法律に違反して出されている


福祉局は、内部資料にあるような方針はとらないと、はっきりいえない

〇木村委員 まず初めに、先ほどの公明党木内議員の質問について申し上げます。
 福祉局長は、我が党が昨年の第四回定例会で明らかにした福祉局の内部資料が、議論の素材として局部長会に配布された資料であるということを、そういう事実を認めました。木内委員は、共産党はこの文書を都の方針として決定した文書であるかのように扱っているとして、我が党を攻撃しましたが、我が党は、そこのところをきちんと説明をした送り状をつけて、各私立保育園に送っております。送り状にはこう書いてあります。
 なお、同封いたしました都福祉局の内部資料は、昨年八月二十九日に開かれた福祉局部長会に提出されたものですが、あくまで福祉局子ども家庭部の部内で検討している内容を取りまとめたものであり、東京都ないしは都福祉局の公式の方針という性格のものではありません。
 はっきりと注釈をつけているわけであります。
 文書を受け取った私立保育園の側も、例えば、東京私立保育園連盟、私保連の機関誌に掲載された事務局長さんの文章ですけれども、日本共産党都議団より、文書が各私立保育園に届いたことを紹介し、これはあくまでも都の方針として決定されたものでないとの注釈が付されておりましたと明記しております。その上で、この事務局長さんは、この文書を読んでみると、非常に驚くべき内容が記されており、目を疑うばかりでしたと率直な感想を述べている。そして、現行の認可保育園の保育料の大幅な値上げや都の補助金の見直し、削減、将来的に公立保育園を全廃させるよう施策誘導するものとなっていることを挙げて、もしこの資料のような考えを持つ者が、都庁の保育を担当する部署に一人でもいるとしたら、とても残念なことでありますと書いています。これは多くの保育関係者の率直な気持ちを代弁されたものだと思います。
 福祉局長は先ほど、文書は議論のための一つの素材としてメモ程度に使ったものだとかあるいは過激なことも当然入っている、何ら、意思決定を行ったわけではないと答弁されました。それなら伺いますが、福祉局としてこういう方針はとらないと明言できますね。こういう方針とは、つまりこの文書に書いてあるような、認証保育所の一定程度の数を確保して、それをてこに認可保育所の世界を崩していくとか、認証保育所と認可保育所が対等な条件で競い合える条件整備とか、そのために認可保育所における国基準保育料への準拠を誘導する施策をとるとか、公立直営の廃止を目指すという、そういう方針は福祉局はとらないと明言できるのかどうか、はっきりお答えいただきたい。

〇川崎福祉局長 まず最初のその送り状の話、今先生おっしゃったように、確かにエクスキューズしています。ただ、先ほど議論になったのはビラの話です。ビラには福祉局が提出したとはっきり書いてあります。それを問題視しているわけでございます。
 もう一点、福祉局はとらないのかというご質問でございますけれども、議論というものはそもそもその過程の中で、政策になるかどうかはそのときになってみなければわからない話でございまして、今の段階で、とる、とらないといったら、議論の前提にならないわけでございまして、そういうことは今いえません。

〇木村委員 先ほどは、そのビラを共産党のというふうに、途中から一般化して問題にしてやりとりがあったから、正確に、文書を送った立場はこうだということを説明しただけです。今そういう方針はとらないということについては明確にはお答えにならないわけなんですね。そういう方針はとらないと、はっきりいえない。だから、保育関係者は今大変困惑しているわけなんです。
 先ほど紹介した私保連の事務局長さんの文書でも、もしこのようなことが実際に東京都の方針として決定されるようなことが起こった場合、大問題に発展するでしょう、こういうふうに指摘しています。そういう重大な情報が寄せられたときに、都民に対して情報公開するのは、都民の利益を擁護しようとする政党であれば当然の責務だ。それに対して、逆に、情報を公開した日本共産党に対して、うそだとか、あるいは……
   〔発言する者多し〕

〇山本委員長 静かにしてください。ご静粛に願います。

〇木村委員 党利党略のために都民をだますための言動だとか、そういう悪罵を投げつける公明党の姿勢は、都民の利益を守り、保育、福祉の充実にまじめに取り組む姿勢とは無縁のものだといわなきゃならない。(「ファシスト」と呼ぶ者あり)何だ。取り消せ。議場の発言に対して何だ。(「何いっているんだ」と呼ぶ者あり)

〇山本委員長 静粛に願います。

〇木村委員 おまえこそがファシストだ。(「ファシスト共産党」と呼ぶ者あり)何をいっているんだ。
   〔発言する者あり〕

〇山本委員長 静粛に、静粛に。

〇木村委員 おまえこそそうだ。何いってるんだ。
   〔発言する者あり〕

〇山本委員長 木村委員、どうぞ発言してください。

〇木村委員 その公明党に呼応して、石原知事が、卑劣な事実の一種の窃盗だとか、あるいは人格的に欠陥があるとか、悪罵ともいうべき発言をしたことは、まことに許しがたい公党への侮辱であり、撤回されるように厳しく要求して、私は本論に入ります。
   〔発言する者多し〕

〇山本委員長 木村陽治委員、どうぞ。
〔石原知事「共産党にあらざれば都庁マンじゃないということになるのか……」と呼ぶ〕
〔木村委員「知事の品性が問われるよ、そんなこといったら」と呼ぶ〕
   〔発言する者多し〕

福祉改革を進めるといいながら、東京の福祉は大きく後退

〇木村委員 これからが本論です。知事は、この四年間を振り返って、自分なりに……(発言する者多し)黙っていろよ、自分なりに総括をして、閉会日に進退を明らかにしたいというふうに述べました。私は、都民の立場から、この石原都政の四年が何であったのか考えてみたい、こう思います。
 まず、ただしたいのは、知事が、福祉改革を進めるといいながら、実際にやったことは、東京の福祉を大きな後退に追い込んだということにほかならないという問題です。
 知事は、就任直後に月刊誌で、何がぜいたくかといえば、それは福祉だといってみたり、貧乏人は麦を食えというのは名言だと思うといったり、真っ先にやったのが、高齢者や障害者の命綱である医療費助成制度あるいは福祉手当、いわゆる経済給付的事業の段階的廃止、切り下げであった。また、シルバーパスの全面有料化であった。
 その影響は、我が党の試算では、およそ百二十万人の都民に及び、二〇〇〇年度以降の三年間で合わせて一千億円もの負担増になっている。この間、高齢者の人口は一三%ふえているのに、高齢者の足、シルバーパスの利用者は、八十二万人から今では六十九万八千人、十二万人減った。マル福は既に十万人が打ち切られる。十八万五千人の寝たきり高齢者の介護と生活になくてはならない支えである老人福祉手当は、毎年削減をされて、三月末で廃止されようとしている。
 こうした医療費助成制度や福祉手当の廃止、切り下げに対して、命綱を切らないでという切実な声が寄せられているわけであります。
 知事は、福祉改革は、都民が高齢や障害などでケアを要する状況になっても、地域の中で自立して生活できる東京を実現するためだ、その一環として一連の経済的給付事業の見直しを行った、こう答弁してきたんです。しかし、福祉改革の結果、現実に起きていることは、高齢者や障害者が地域の中で自立して生活するための条件がどんどん切り崩され、大変な状況になっている、これが事実です。

老人福祉手当ての段階的廃止で、介護と医療の費用が家計の重い負担に

 まず、老人福祉手当を例にして具体的にお伺いいたしたい。
 七十歳以上の寝たきり高齢者に毎月五万五千円支給していた老人福祉手当は、石原都政のもとで、月一万三千七百五十円まで削減をされて、この三月で廃止されようとしていますが、知事は、二〇〇〇年の予算議会で、介護保険が実施されることにより、介護が必要な高齢者には必要なサービスを提供する仕組みができる、だから老人福祉手当は見直しをする、つまり段階的に廃止をする、こう答弁しました。しかし、現実はどうか。
 我が党は、要介護者の介護と生活の状況を改めて調べてみました。痛ましいほどの実態が明らかになりました。老人福祉手当の削減に対応するために、夜間の巡回ヘルパーを中止した、そのために家族が介護疲れで、もうくたくたになっている。あるいは、心ならずも、おむつをかえる回数を減らし、節約せざるを得ないなどという実例が次々と見つかりました。特別養護老人ホームに申し込みながら、入れないために入院を余儀なくされている人も非常に多くて、月十五万から二十万もかかる入院費用はとても払い切れない、そういう悲痛な声が上がっている。
 多くの人が、介護と医療の費用が家計の重い負担になっていると回答して、貯金を取り崩して家計の支出を抑えながら必死に頑張っているという姿がある。
 知事は、こういう実態についてどのような認識をされていますか、今。

〇石原知事 福祉の現況、現実というもののとらえ方はいろいろあるでしょう。しかし、相変わらず共産党というのは、いつもいつも何を見ても、木を見て森を見ないという通弊がある。だからこそ、結局、今の限界の政党にとどまるんじゃないかとあえて苦言を呈しますが、平成十年度、介護保険制度の導入を契機に、多様な事業者が新たに参入することで、サービス全体の供給量は、在宅、施設とも拡大し、質も向上しました。利用者も着実に増加しております。雇用もそのおかげで進んでもいます。
 また、保険料についても、安定した収納が続くなど、都民の理解も深まっており、制度は普及し定着しつつあると思っております。
 現行の介護保険制度は、幾つかの解決すべき課題もまだありますが、万全とはいえませんが、利用者みずからがサービスを選択するという点で、都が目指す福祉改革の理念と一致し、制度そのものも、私は私なりに評価をしております。まだまだすべきことがございますけれども、現時点で、この制度に対する評価は右のとおりであります。

〇木村委員 相変わらず同じような答弁ですけれども、木を見て森を見ないのはどっちか。決して一部の事例じゃない。全体が見れない。私は、二年前にもやはりこの場で、介護保険についてあなたと討論しました。そのとき、あなた自身も、人間のつくった制度だから一〇〇%正しいということはあり得ないという認識を示して、いろいろ議論があった。その後、三年たってどうか。今のような認識だとは、非常に驚きの至りです。

低所得者世帯は、介護保険が始まる前よりも負担が重くなった

 サービスの量がふえたというけれども、介護保険が導入されてサービスの利用は全体としてふえたけれども、低所得層では逆に一〇%減ったということが、内閣府の研究会の調査報告には明らかにされています。結局、一割の自己負担というのが重荷になっているのが一つの要因だと、その報告書も指摘をしています。
 介護保険は、こうした欠陥が明らかになって、今、都内の三十二の自治体が独自の保険料の軽減、五十五の自治体が独自の利用料の軽減に踏み出す、そういう努力をしているんです。こういう都下の自治体の努力について、全く目に入らないような答弁、木を見て森を見ないというのはあなたのことだなと私はつくづく思います。
 財団法人家計経済研究所による介護保険導入後の介護費用と家計についての調査報告書というのがある。これなんですが、これは財務省の印刷局から刊行されたもので、つまり政府刊行物という位置づけを持って、しかも、この調査の対象が東京の中野区の高齢者世帯を対象に行われた。非常に重要な結果が示されています。
 この調査報告書では、月収二十五万円未満の世帯を低所得層として扱っているわけなんですが、月収二十五万円未満の低所得層では、月平均三万六千円の介護費用が、介護費用以外の消費支出を極度に抑制する結果になっているという調査結果を指摘しています。
 つまり食費や光熱費、これも全国で平均的な高齢者世帯の七割か八割に抑制されているというだけじゃなくて、それ以外の費目、例えば、被服、履物、家具、家事用品、交通・通信、教養・娯楽などでは、平均的な全国の高齢者世帯の支出のわずか二割か三割というように極度に抑制されているということが、東京都中野区の高齢者世帯の調査で、この研究会は明らかにしています。
 節約に節約を重ねて、つめに火をともすような生活でようやく介護費用を賄っているということがうかがえます。しかも、低所得層では、介護費用の中に含まれている介護保険のサービスの利用と医療費の割合が、その他の所得層に比べて低いということも明らかにされています。逆にいえば、低所得層では、どうしても必要ないろいろな介護用品など、介護保険以外の費用の負担の割合が高いということがいえる。
 念のためにいいますけれども、この調査で、月収二十五万円未満の世帯というのは、全体の五八%です。決して一部の人の特別な話じゃありません。
 こういう人たちに対して、老人福祉手当というのは、文字どおり、毎月毎月の命綱になってきたんですね。少なくとも、低所得層への何らかの救済策を講じることも含めて、老人福祉手当の廃止方針の再検討、これが必要じゃないかと思います。再検討を求めますが、いかがでしょうか。

〇石原知事 そのつもりはございません。

〇木村委員 全く冷たい話ですよね。介護保険が始まったために、制度が始まる前よりも介護サービスの費用の負担が逆にふえてしまったという世帯の収入のラインというのはどのくらいかというと、年金収入でいうと年間二百二十八万ぐらい、月収でいえば月十八万ぐらいになる、そういう世帯です。その月収十八万程度の高齢者世帯が、介護保険が始まる前よりも負担が重くなるという事実、そういう時代を迎えているわけですね。
 東京で七十歳以上という高齢者夫婦の場合、生活保護を受けると、住宅扶助あるいは高齢加算などを加えれば月十六万ぐらいになります。生保基準よりも月二万円程度収入が多いという、そういうご夫婦が、もしどちらかが介護が必要になる。介護度五ということになると、その介護費用の負担は月三万六千円、結局、生保基準との逆転現象が起きる。
 先ほど紹介した家計経済研究所の調査報告も、生活保護を少し上回る所得階層で、重い介護が必要な場合の介護保険の保険料、利用料や医療費、その他の介護用品などの費用負担を緩和することが課題になっている、こういう調査結果をまとめています。
 こういうところの人たちの命綱を守るというのが、私は、自治体としての施策の魂といいますか、そういうものになるんじゃないか。どうなんでしょう。
〇川崎福祉局長 まず、三万六千円という数字がよくわからないんですけれども、介護保険では、利用料における低所得者の負担軽減というのをいろいろやっております。
 その中で、高額介護サービス費の支給ということで、一般の世帯で一カ月三万七千二百円が世帯で最高でございますので、今、先生おっしゃったような世帯が三万六千というのは、ちょっと理解に苦しむんですけれども。
 それから、今、介護保険の利用料について話をしましたけれども、介護保険料につきましても、低所得者の負担軽減というのは、いろいろと各自治体で工夫を凝らしてやっているところでありまして、そういう層につきましての対応は、それぞれやっているというふうに確信をしております。

医療費の値上げ、年金が戦後初めて減額、都が老人福祉手当を廃止

〇木村委員 介護保険だけでは現実に在宅介護は成り立たないという実態があるから、いろいろな自治体が苦労しているわけですよ。数字がわからないとかなんとかいっても、一割負担、それに保険料ということになって、生保基準よりも、年間二十万か三十万しかふえない。月にすれば二万か三万しか多くないところが、本当に重い介護になったら、逆転現象が起きるということは十分想定される。現に、そういうことで苦しんでいる人たちが多いんです。
 だから、例えば、練馬区や江戸川区は、区独自の介護手当をつくっていて、来年度以降も存続するということを明らかにしているんですね。練馬区は、シルバー福祉手当ということで、介護度三以上、月額一万五千円ですね。江戸川は、熟年者激励手当、介護度四以上で、月額二万五千円ですよ。長野県では、伊奈市の年額二十四万円を初め、長野県下の実に百二十三に及ぶほとんどすべての市町村が、それぞれ独自の介護手当制度を実施している。
 私、特にいいたいのは、経済的支援の必要性というのは、今まで以上に切実なものにここでなっている。この四月から介護保険料は、東京でも八割の区市町村が平均一割の値上げでしょう。ヘルパー派遣の利用料は、介護報酬が上がったために、身体介護で約一割、家事援助では三割以上の値上げになるわけです。加えて、ヘルパー派遣の低所得者の利用料が、三%だったのが、今度六%に自己負担が倍増するわけです。
 医療費は、昨年の十月から、特に在宅医療が大幅に値上げになった。ご存じのとおりです。在宅で療養しているお年寄りは、三倍から四倍の自己負担増という危機的な状況になって、命のやりとりの問題にまでなっているというふうにいわれています。ですから、日本医師会を初め、医療関係団体がこぞって異議申し立てをするまでの事態に今なっているわけです。
 しかも、老人福祉手当の対象となる高齢者にとっては、ほとんど唯一というべき年金が、戦後初めて減額になるんです。
 そういう中で、東京都が老人福祉手当を廃止するんです。これでは、本当に在宅の要介護高齢者と家族は、文字どおり八方ふさがりだという思いがすると私は思うんですよ。
 東京都が目指す福祉改革は、要介護の状況になっても地域の中で自立して生活できる東京を実現することだ、こういってきたでしょう。そんなことと全く裏腹に、現実には、このままでは、とてもじゃないが在宅介護は成り立たないという、そういう事態が進んでいる。
 知事、老人福祉手当の削減、廃止を決めたのは、介護保険が始まる前のことです。その後、介護保険が始まって三年たって、状況が大きく変わっている。現時点に立って、要介護高齢者の介護と生活の実態と、老人福祉手当のこの間の削減の影響と、介護保険の保険料、利用料と医療費の負担の現状、私は、こういったことをきちんと調査する必要があると思う。このまま廃止するという前に、実態調査ぐらいはするのが筋じゃないでしょうか。どうでしょう。

〇川崎福祉局長 今のように景気が長期間低迷している中、先生おっしゃるような大変厳しい状態にある人がいるということは、私も理解できます。ただ、それはそれとして、医療ないしは介護、こういう分野での低所得者の対応というのをしっかり構築してあるわけでございますから、なぜそれを老人福祉手当に救いを求めるか、私はよくわかりません。
 そもそもが、老人福祉手当ができた経緯というのは、先生十分ご存じのとおりでございますけれども、四十年当時、在宅サービスがまだ十分でないとき、施設サービスとの格差、それに着目して老人福祉手当というのはできたわけでございます。
 そして、その目的は、寝たきり高齢者のため、それから介護する人の支援の一助ということになっているわけでございます。その手当をそういう医療または介護のためにというのは、私は理解できません。

〇木村委員 理解できないというのは、知事も理解できないということですか。知事が理解できて、局長が理解できないというのなら、そういうこともあり得るけれども、どうです。調査ぐらいしろといっただけの話ですよ。

〇川崎福祉局長 先ほど説明したとおりでございまして、その結果、調査することは予定をしておりません。

〇木村委員 私は、たくさんの要介護高齢者とその家族の方の話を、きょうの知事に質問するために聞いてきましたよ。全く聞く耳持たぬというような態度をとっていますけれども、それで果たしていいのかという思いですよ。
 共通して出されたのは、介護保険その他の介護の費用と医療費の負担が重い、一日も気の休まるときがない状態がこの先何年続くのかわからないという精神的な重圧、その中で、東京都から届く毎月の老人福祉手当がいかに頼もしく、それだけに、この老人福祉手当の廃止がいかに大きな不安を招くかということが、いろいろ声として出されました。
 母親を介護していたある女性から私、手紙をもらったんですけれども、それはこういうことです。母親の介護生活に入ると、ぱたっとだれも来なくなる、そんな気がする。自分も出かけていけなくなる、人との交流が非常に乏しくなる。この人は、きょうだいから毎月一万円とか二万円とか仕送りをしてもらって母親の介護に専念していたけれども、今のこの時代だから、そのきょうだいの送金の一万円がおくれたままというのを、リストラに遭ったんじゃないか、なかなか聞けない。そういうときに、老人福祉手当だけはきちんと送金される。そういうことでどんなに支えられたか、こういってますよ。
 ですから、ぜひ、この手当をなくようなことをしてほしくない。介護をしている者と、そういう経験のない人との意識の差というのは非常に大きなものがあって、久しぶりに外へ出かけて人に会って、自分の苦労をしゃべっても理解されないということがしばしばあって、そのときには落ち込んでしまって、なかなか立ち直れない、そういう生活なんだと。
 そういう中で、今度廃止だということになると、精神的にも追い詰められて、声が出せないでいるという人はたくさんいるんじゃないでしょうか、そういうふうな結びでした。
 私は、あなた方が打ち切ろうとしている老人福祉手当を必要としている多くの人が、こういうように日々の介護に追い立てられて、精神的にも疲れ果てて声も出せずにいるという現実、そこにしっかりと目を向けるべきだ、そういうふうに思います。

石原都政のもとで、福祉介護のサービスの基盤整備は、改善どころか一層深刻化

 次に、福祉介護のサービスの基盤整備がこの四年間どうだったかという問題に移ります。
 知事は、就任後初めての定例会で、一九九六年の二定でしたけれども、福祉施策について、経済的給付事業からサービスの給付体制の整備に施策の重点をシフトさせるというふうに述べたんですね。つまり、知事が、切り捨てのかわりにサービス基盤の整備に力を入れると約束してから四年になった。どうなったか、この問題です。
 特別養護老人ホームは、我が党の提案を受けて都が行った調査で、入所希望者が何と二万五千人を超えて、介護保険実施前の二・五倍に急増している。ところが、その整備状況を見ると、この六年間で見ますが、青島都政の三年間、定員が五千七百人ふえたのに対して、石原都政になっての三年間でふやした定員は四千百人、七割です。老人保健施設の整備率は、依然として東京都が全国最下位のままです。これも、青島都政が三年間に三千三百四十人の定員をふやしたのに対して、石原都政は三年間で二千九百六十人分をふやしたにすぎない。青島より悪い。
 石原知事自身が、東京構想二〇〇〇で、老人保健施設は今年度末までに一万三千二百人の定員を整備するという計画を示したけれども、遠く及ばず、現在、一万八百八十一人、これが現状です。しかも、来年度の予算案を見ても、このような深刻な整備のおくれの打開策は何一つ示されていない。
 知事は、我が党の代表質問に対して、地域での自立生活を支えるセーフティーネットとしての施設の重要性は、いわれるまでもなく認識しているというふうに答弁をされましたが、東京の介護施設整備が大きく立ちおくれているということ、しかも、石原都政のもとで、改善に向かうどころか一層深刻化しているということをどう認識しているか、お答えいただきたい。

〇川崎福祉局長 特別養護老人ホームについては、都独自の用地取得費の助成を行うとともに、国制度に上乗せした施設整備費助成を行っており、平成十三年度末で定員二万九千九百三十四人と、介護保険事業支援計画に掲げた整備目標を上回っております。
 また、老人保健施設については、整備のおくれが課題となっておりますが、都独自の施設整備費補助制度を設定し、整備促進に努めており、平成十一年度以降の三年間で定員四千八百八十七人分を整備するなど、近年、その整備は大きく進捗しております。
 今後とも、区市町村と十分に調整を図りつつ、これら施設の整備に努めていきます。
 と同時に、老人保健施設は最下位なことは確かでございますけれども、ホームヘルプサービスは在宅介護サービスの中核をなすサービスでございますけれども、これは断トツで日本一でございます。

〇木村委員 大きく進捗しているというならば、せめて全国四十七位から四十六位ぐらいになったときにいってくださいよ。
 特別養護老人ホームは、石原知事になってから用地費助成の利用制限をかけたし、都の運営費補助を大幅削減したことが整備を進める上でも大きなブレーキになっているんです。この方針を見直して、経営支援事業を拡充することが必要。ほかにも、大都市特有の条件に合わせた小規模特養の整備、運営への支援を強めることも、今、必要なんです。
 老人保健施設については、整備のおくれが課題になっているということを認めましたので、それは重要だと思います。
 我が党は、用地費助成や公有地の貸与など整備支援策を講じること、さらに、都市型老人保健施設として、リハビリや在宅支援の機能を強化することが必要であって、そのための東京都の補助制度をつくることなど、新しい思い切った対策が必要だというふうに考えます。
 どうですか。特別養護老人ホームや老人保健施設の整備の深刻なおくれを打開するために、今、私がいったようなことについて緊急に必要じゃないか、知事のお考えを伺いたいと思います。

〇川崎福祉局長 老人保健施設四十七位。ただ、特養については二十九位でございまして、数字的にも全国平均を上回ってきております。これは我々が汗を流して努力している結果だと思っています。これからも引き続き努力をしていきたいと思っています。
〔木村委員「ちゃんと答弁してください。提案」と呼ぶ〕

〇山本委員長 川崎福祉局長、もう一度はっきり答弁をしてください。

〇川崎福祉局長 今まで我々が実施してきました特別助成等について引き続き実施をしていきます。

〇木村委員 まあ、知事に具体的なことを聞いてもさっぱり答えられないということだけが浮き彫りになる、そういうやりとりですね。
 ただ、知事が今回の施政方針演説で取り上げた、地域で生活を支えるためのグループホームというものについても一言いいたいと思います。
 要介護高齢者に対する定員数の割合で見ると、群馬県で四十人に一人の割合、埼玉県で百四人に一人の割合、東京は三百七十人に一人というのが現状で、これもまた全国最下位なんですね。ですから、見てきたように、経済的給付事業は削るかわりに、サービス基盤整備を重視するという話というのは成り立ってないんです。要するに、石原流の福祉改革というのは、改革どころか、東京の福祉の基盤を大きく掘り崩して後退させたものだ。その本質が、この四年間の福祉予算にはっきりとあらわれていると思うんです。

政令市を持つ七府県との比較で、石原都政だけが福祉費が六%マイナス

 福祉予算の話に移しますけれども、我が党は代表質問で、石原都政の四年間で、福祉予算が三百三十億円も減額しているという事実を明らかにいたしました。で、知事の見解を求めました。知事は、我が党の指摘をレトリックだとか、福祉予算についての正確な認識をお持ちでないというようなことまで発言された。そして、正確な数字を答弁させるといってきた福祉局長は、当然減があるということで、平成十一年、九九年度予算を勝手に減額して、それを来年度、十五年度予算と比較して、百七十七億円がふえると、こういうふうに強弁しました。
 三百三十億円もの減額の事実を、逆に、百七十七億円も増額するというふうにいい張るためには、平成十一年度の予算を恣意的に減額しなければできないことになるわけで、福祉予算後退の死角を避けるために、議会が可決して既に執行した予算額を勝手に変えて、本会議の場で答弁する。これは、とてもじゃないが、見過ごすことはできないというふうに思うんです。
 財務局長に改めて確認いたしますけれども、議会で可決して執行された平成十一年度予算における福祉費及び当委員会に議案として提案されている来年度予算案の福祉費は幾らでしょうか。

〇田原財務局長 議決されました平成十一年度当初予算は五千六百十三億円、平成十五年度提出しております予算案は五千二百八十二億円であります。

〇木村委員 それが事実なんですよ。議会で議決した数字というのは、勝手に動かすわけにいかないんです、福祉費として。こういうことで、この前操作をして、石原都政の福祉予算削減の事実をやろうとした。そういう虚しい操作で、なぜ福祉予算の削減を隠さなきゃならないのかということなんです。(「中身をいって」と呼び、その他発言する者多し)はっきりしているんですよ。
 グラフを用意しました。福祉費、あるいは民生費ということで比較できる宮城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、京都府、兵庫県、広島県、七府県と東京都の福祉費、この四年間の伸び率の比較がこれです。
 見てください。千葉県が二二%増です。京都府が一四%、広島県が一四%、兵庫県が一三%、神奈川県が八%、宮城県が七%、埼玉県が二%の増加。石原都政だけが六%マイナス。違いは明白じゃないですか。
 知事は、サイズも都市としての性格も違うほかの自治体と比較するのは余り適当じゃないと、こう答弁したけれども、しかし、福祉局が削減の主な要因にしている児童扶養手当の市移管は、七つの府県でもみんな共通した減額要因。それでも、四年間の尺度で見れば、他府県は増額なんです。介護保険の導入や、高齢者人口の増加、さらに少子化対策の強化が求められているときに、自治体としては当然のことなんじゃないですか。この実態を隠すために当然減なる規定をつくって、児童扶養手当だけでなくて、高齢者の福祉施設の建設費まで削減する、そんなやり方は通用すると思いますか。

東京都の福祉費のマイナス六%は、これまでの福祉の事業の見直しの結果(財務局長)

 私は、念のために、財務局長が監修している都財政用語事典というのを見ましたけれども、当然減なんていう概念はどこにもないですよ。用語もないです。さらに、財務局作成の予算案の概要を見ましたけれども、ただし書きはあっても、当然減なんていうのはないんです。そういう規定は、そういう記述は、過去一度もないんです。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)
 知事−−いやいや、何いっているんだ。この議会を通じて、四年間を自分なりに総括したいといったんだから、改めてほかの政令市を持つ府県との比較で、石原都政四年だけが大幅減という現実をどう受けとめているの。真摯に受けとめるべきじゃないか。当然減なる主張で、議会の議決を経て執行された予算を勝手に減額するというようなやり方は適切ではない、そう思わないですか。

〇田原財務局長 この表でございますけれども、この伸び率そのものがどういう根拠で出てきたか、そこまではっきりわかりませんので、詳しいことはいえませんけど、少なくとも東京都がマイナス六%であるということは、これまでの福祉の事業の見直しをしてきたわけです。ほかの県よりも相当上のほうへ行っていたものをきちんと整理した結果がマイナス六。
 もう一つは、当然減という概念といいますのは、別に当初の予算を動かすというわけじゃありませんで、実態として、制度上、あるいはやむを得ず事務の移管とか、そういうことによって減るものをきちんと整理しないと、実際に福祉の予算がどういうふうになっているかという比較がわかりにくくなる。そういうために百七十七億というのを考えたわけです。

〇川崎福祉局長 まず、この表についてでございますけれども、都道府県それぞれ、先日、知事が答えたように、サイズも違うし、中身も違うということでございます。先生方がこの数字を出したので、私も違う数字で説明をいたしますけれども、人口一人当たりの福祉費でいいますと、東京都は四万二千九百八十八円、ここでいう一番高い千葉県は一万八千七百五十一円です。これは倍以上、東京都が福祉費に予算を入れているという証左だと思います。
 もう一つ、当然減の話でございますけれども……
   〔発言する者多し〕

〇山本委員長 静かに。

〇川崎福祉局長 当然減は、先生がおっしゃっている十一年と十五年の予算額、これはこれで歴然とした数字でございます。あります。ただ、先生方が比較をするから、私は、比較するに当たりまして、的確な比較、妥当性のある比較をするためには、突出したものは削らないと、客観的に納得のいく比較にはならないということでございます。

〇石原知事 理事者はわかり過ぎてて、かえって説明が足りないようではございますがね。減額という概念があるかないかは別にしまして、必要がなくなったから、なくなった福祉予算ってあるわけですよ。
 第一は、児童扶養手当の支給、これは区市町村に移管した。それから……(「わかっている」と呼ぶ者あり)わかっているなら、ごまかすなよ。それから、高齢者福祉、医療の複合施設の建設、これは建設が終わったから計上する必要がない。それから、特別区国民健康保険調整交付金の廃止、廃止したから要らなくなったんじゃないですか。
 そのかわりふえたものがありますよ。総体、つまり、予算の中で、東京都の福祉予算が一番高いじゃないですか。

〇木村委員 結局、減ったということは、皆さん、お認めになったんですよ。減ったじゃないかといったら、ふえたというから、私はいったんだ。いいですか。(「だめだよ」「なぜ減ったかわかったんだろう」と呼び、その他発言する者多し)財務局長は−−ちょっと待ってよ。当たり前だよ。それもいったじゃないか。

〇山本委員長 ご静粛に願います。

〇木村委員 財務局長は、福祉を見直したから減ったんだといった。我々がいっているとおりですよ。
   〔発言する者あり〕

〇山本委員長 ご静粛に願います。

〇木村委員 児童扶養手当が移ったから減ったというの。それは私もいっているじゃないか。全国共通だと。しかし、よそはふえてて、東京だけ減っている。そういうことをいっている。それはだれも否定できないじゃないか。
 当然減、建物が建て終わったら当然減だと今いった。それなら、例えば教育庁の場合は、次々と建物を建て終わる。平成十一年に十カ所、工事が終わって六十一億円。十二年は五十一億円。十三年は二百四十六億円。十四年は三百九億円。みんな次々と工事が竣工していますよ。当然減なんてだれもいってないじゃないか。なぜ福祉局だけ当然減といって、一たん議決した過去の議案書の数字まで削減して、増加したという理屈を立てるのか。その方がよっぽど恥ずかしいじゃないかということなんです。
 私は、もう一つ、問題にしたいと思う。この間の代表質問の答弁で、福祉局の構成比率、福祉予算の構成比率の推移を挙げて、石原都政の四年が今ほど高いときはございませんと答弁をした。美濃部都政の昭和五十三年に六・五%。青島都政の平成十一年に八・九%。そして、石原都政の平成十五年度は九・二%だと。私は、改めて革新都政時代からの福祉予算の対前年比伸び率を調べてグラフにしてみた。それは福祉局長がやったやり方と同じです。これを見てくれ、これ。(資料を示す)いいですか。福祉局の予算の伸び率が突出しているのは美濃部都政時代。(「それは少なかったんだよ、予算が」と呼ぶ者あり)そうですか。いかに福祉施策拡充、福祉予算の増額のために努力したかというのがわかりますよ。
 鈴木都政も、青島都政も−−いいですか。ちゃんと見てくださいよ。鈴木都政も、青島都政も、福祉費は前年と比べて必ず伸びています。必ず伸びています。

〇山本委員長 木村委員、質問をしてください。まとめて質問してください。

〇木村委員 この間に、いわゆるあなたのいう当然減に含まれるような施設の完成やなんかもあったでしょう。

〇山本委員長 質問してください。

〇木村委員 しかし、石原都政のところだけマイナスになっている。はっきりしているじゃないですか。どうですか。この点、これはまことに明らかにはっきりしているので、我々は今度の予算案についての組み替えについて提案しますけれども、福祉予算の抜本的な拡充を強く求めます。

〇川崎福祉局長 今、歴代の知事の時代の伸び率の話がございました。私は、ちょっと違う面から歴代の知事の予算について紹介をさせていただきますけれども、石原知事の十二年からの四年間、構成比、四年、プラスして、一年ごとにプラスすると、九・二です。一般会計に占める福祉局の予算は、石原知事の四年間は九・二。美濃部都政の最後の時代、六・四です。青島都政の四年間は八・一、鈴木都政の四年間、六・四。断トツで石原知事の四年間が、福祉局の予算の比率が高いということでございます。

〇木村委員 福祉施策の実績というのは、実額の増減でこそ評価すべきものなんですよ。高齢者人口が急増して、介護保険給付などの自然増が求められているときに、構成比上であっても、実額で減額したということは福祉の前進とは見られないんです。
 九九年度と比べて構成比が上がったとか、いろいろいっていますけれども、九九年度の会計総額と来年度の予算を比べると、例えば、住宅局の予算の特別会計への移行と清掃事業の区移管による財政調整による減額、率を比べる分母が違っているんですよ。ですから、ふえた、ふえたというんだったら、同じ分母にして比べればいいんです。そうすると、平成十一年と来年度の予算では、比率は若干減るんです。減っているんです。ですから、それは率でやれば、いろいろな条件がそこに関係してきます。
 美濃部都政、例えば、昭和五十三年のときに東京の高齢者人口というのは八十万三千人だと。平成十四年は、東京の高齢者は百九十七万人ですよ。だから、高齢者だけで二倍以上、二・四倍。そういういろいろな条件が変わるときに、実額でふえるかどうか。これが後退するか、前進するかということの一番確かなメルクマールでしょう。額は減っているけれども、率は上がった。そんないいわけが通用するわけはないと思う。

首都高出資貸付金、国直轄事業負担金は、年平均で青島都政時代の三割増

 次に進みます。
 そこで、次の問題に移ります。
 結局、知事は、福祉を切り捨てる一方で、都市再生など、大型公共事業に重点的に予算を配分している。その一部を改めるだけで、切り捨てた福祉をもとに戻すことが可能だというのは、私どもたびたびいいました。
 二年前のこの委員会で、私は、知事と国直轄事業負担金と首都高速道路公団への無利子貸付について見解をただしました。そのときに、知事は、やっぱり国直轄事業負担金については、国に見直してもらいたいと。勝手に決めて、勝手に要求してくるなんていうのは困るという答弁がありました。首都高の公団の無利子貸付金についても、もともと法に基づいているものではないわけですから、都の負担というものを軽減できるならば、いろいろなことを考えたい、こういう答弁をしたんですね。
 じゃ、この二つの負担金はこの四年間どうなったのか。あれから二年たっていますけど、石原知事はこの問題にメスを入れるどころか、国のいいなりになって、税金を投入してきたといわざるを得ない。その額は、年平均で見ますと、青島都政時代の三割増になっているんです。首都高出資貸付金は、青島都政時代の年平均は二百六十九億、石原都政になって年平均は三百三十五億、国直轄事業負担金は、青島都政時代の年平均が三百九十四億ですが、石原都政時代の年平均が五百四億円ということになっているわけですね。
 その二つの負担金の中の財源を調べてみますと、私、これは重要だと思うんですが、起債を起こして、無利子で貸し付けして、その利息を東京都が負担するというのが首都高速道路公団への無利子貸付の実際の姿ですね。来年度の予算でもその利息だけで百三十四億円、東京都は払うわけですよ。毎年百億円以上。
 国直轄事業負担金と首都高への貸付金、その財源全体を合わせての財源の内容を見てみますと、一般財源が千四百四十四億円。約半分が現ナマなんです。私は、二年前に私に答弁したように、これから国いいなりにならずにずばりメスを入れて、そういう財源を都民のために確保するということを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

〇小峰建設局長 建設局事業が直轄事業負担金の相当部分を占めているということもありまして、私からお答えいたします。
 東京の都市基盤施設の整備状況はいまだ不十分でございます。東京を魅力と活力のある都市に再生し、産業の活性化や国際競争力の向上を図るためには、都市基盤の整備は極めて重要であります。
 国の直轄事業は、圏央道や荒川のスーパー堤防などの都市基盤整備を行うものでございます。大変意義が高いものと思っております。しかしながら、直轄事業負担金につきましては、知事からもお話がありましたように、地方分権の論議が進む中で、地方自治体の財政状況や優先順位が十分反映されない、本来、国が負担すべき維持管理費についても地方に負担を求められる等の問題があるものと認識しております。
 これまで都が強く改善を求めてまいりましたことによりまして、事前の情報提供、事業現場の視察、意見交換の実施など、一定の改善が図られてきております。
 なお、引き続き、計画段階等から協議の法制化、維持補修費の直轄負担金廃止等、国に対して提案要求を強く行ってまいります。

〇木村委員 私がなぜ毎回この問題にこだわって追及するかというと、今度は千四百億円も一般財源が入っている。もしこれを都民の切実な要望に振り向けることができたら、どんなにたくさんのいろいろな施策が展開できるか。例えば都営住宅だったら、一戸千九百万として七千六百戸。特別養護老人ホームだったら、定員五十名、建設費のみで一施設二十億円として七十二施設です。保育園だったら、定員百名で、建設費のみで一施設六億円として、六百二施設できるんですよね。それだけの財源。これを本当にそういう形で生かすのが知事の仕事じゃないか。むだや負担する必要のない投資をやめることそのための努力と勇気がまず知事に求められているというふうに思うんです。

石原都政の「都市再生」が影響を与える臨海副都心

 そこで、臨海副都心に、メスを入れるべき公共事業の代表例として、話を移します。
 これは十五年前に生まれて、当初計画では、すべての地域に企業が進出して、会計は順風満帆のはずであったけれども、結局、現状、ごらんのとおりであります。二年前のこの委員会で、我が党の追及で、石原知事は、行くも地獄、引くも地獄という答弁をされました。ところが、この間の議会で問われて、広域交通基盤を整備して、魅力を生かした開発戦略を打ち出していけば、都市再生の拠点として必ずや飛躍的な発展を遂げ、国民全体の財産になると確信すると、二年で随分変わった。何で、地獄から飛躍的な発展というふうになったのか。
 土地利用だけれども、臨海高速鉄道の大崎接続が実現すれば企業進出が進むといっていたけれども、その話は、二千社も訪問したけれども、結局進まない。この四年間で売却もしくは事業者決定に至ったのは、たった二区画、そのうち民間は一社、民間の進出は全体のわずか四分の一、そういう状態です。ですから、このままこの土地の、臨海副都心の土地代が上がる、企業が進出するという根拠は全く見られないと思うんです。
 特に、今の経済不況の中で、石原都政が最重点として掲げている、いわゆる都市再生が重なる形で臨海副都心に影響を与えている。既に東京のオフィスビルの空き室率は、七年半ぶりに都心五区で七%を超えた。港区では九%、中央区では八%、一〇%を超えるのも時間の問題だということになっています。
 それから、いわゆるセンター・コア、首都圏メガロポリス構想の中心となるセンター・コアの中の計画されている計画だけで、臨海副都心の未処分地の七・八倍になるわけですね。そういう意味で、今後、臨海副都心に企業がどんどん進出してくる、臨海副都心の土地代が上がるという根拠はどこにもないと思いますけど、いかがですか。

〇高橋港湾局長 どうも大分誤解があるようですけれども、先般、知事からもお答えをしたと思いますけれども、最近の状況をちょっと申し上げますと、この一年で売却が二件、それから長期貸付が二件、それから、十四年、十五年を見ますと、契約がかなり高い確度で見込まれるものが、売却五件、長期貸付一件でございまして、私どもの試算によりますと、この二年で約九百億円以上の収入が上がる見込みでございます。
 それから、先ほど来申し上げていますが、三千七百万人の人が臨海に集まり、居住人口もふえ、それから、就業人口もふえている中で、ますます臨海に対する期待が高まっているというのは事実でございます。
 それから、先ほど先生、土地の活用のお話もされていましたが、これはいろいろな試算がありますが、有償処分対象地の百三十ヘクタールを、処分済み、あるいは開発確定面積、暫定利用等を見込みますと、約七五%というふうな状況になっております。
 そういう意味で、もちろん厳しい経済環境ではございますけれども、その中で、臨海はここ数年かなり頑張っているということをぜひご理解いただきたいと思います。

オフィスビル事業を取り巻く経営環境は以前にも増して厳しい(都の監査文書)

〇木村委員 事実の問題について、じゃ、改めて聞きます。
 ここに、臨海ビル三セクについて東京都が実施した監査の文書があるんです。これは、ことしの六月に発表される予定だと聞いていますが、その最初に提出した文書には、こういうくだりがあるんですよ。
 今、資料としてお配りしていますが、ビル三セクの運営について、ビル事業の運営について、賃貸ビルの入居状況については、表24のとおり、漸減傾向となっている。一方、都内各所の大規模再開発が行われ、オフィス床が過剰供給になっている上、汐留地区、品川駅東口地区など近隣地区において、平成十四年より相次いで大規模なオフィスビルが竣工しつつある。この結果、今後は、ビル事業収入においては、賃料単価の減及び入居率の低下による減収となることが見込まれ、オフィスビル事業を取り巻く経営環境は以前にも増して厳しいものとなっている。
 これが、監査として六月に発表を予定されていたとする、つまり、東京都の監査の文書ですよね。今、局長がいろいろないいことをいったけれども、結局、現実はこういうことになるんじゃないですか。

〇高橋港湾局長 まず、監査の文書でございますけれども、テレポートセンターが監査を受けていることは承知しておりますが、で、港湾局と監査でやりとりがありましたけれども、文書として公式に出ておる文書でないので、私ども、どういうことでそれをおっしゃっているのか、まず非常に疑問に思っていますが、その上で申し上げますが、確かに二〇〇三年問題とか、厳しい状況にありますけれども、その中で、既に予特の資料にも差し上げてございますが、入居率が九一・四という数字でございまして、確かに若干落ちている事実等もございますが、りんかい線の開業等によって、一部のビルでは入居率が上がっているようなところもございます。
 いずれにしましても、三セクにつきましても償却前の黒字が昨年から実現しておりまして、私どもは、こういう交通のアクセスの向上、あるいは臨海の魅力の向上ということで、臨海の三セクについても安定的な経営がこれからできるというふうに考えております。

〇木村委員 一生懸命否定しているようですけれども、お配りした資料に、訂正前、訂正後というのがあって、実はこの文書は二冊ある、二種類あるんですね。そして、今私が紹介した貸しビル三セクの厳しい状況は表つきでもって出ていますが、そこのページはそっくり訂正されて、マリーナの文章に変えられていると。その二冊があるということなんです。
 現実から目を背けて、幾らそういういろいろなことをやっても、私は、うまくいかないということはもうはっきりしていると思うんですね。ですから、臨海副都心について石原都政は見直しをする、そういう年にしなかったわけですが、いかに被害を小さくするかという立場でこれから見直していかなきゃ、どんどんどんどん被害は広がるということを指摘したいというふうに思うんです。

晴豊一号下部工事請負契約で、莫大な金が法律に違反して出されている

 それで、問題は、よくなる、よくなるといっていることの頼みの綱は、広域交通基盤が整備されるということなんですね。その点で伺いたいと思いますが、都は、有明北地区の旧貯木場の埋め立てを強行して、環状二号線、晴海通り、補助三一四号、首都高速晴海線などの建設を急ピッチで進めています。これには、しかし、果たしてそれだけの道路が必要かとか、環境がどうなるかとか、さまざまな問題がありますけれども、ちょっと財政負担の問題だけについてお聞きしたいと思うんです。
 これらの幹線だけで、もうかなりの都財政が投入されています。もともとこれらの幹線道路は開発者負担で、臨海開発事業会計の負担で建設するといっていたもの。そこで、晴海通りの延伸について伺います。
 晴海通りは、現在、晴海でとまっているものを臨海地域と結ぶ計画ですけれども、この計画自体、石川島播磨重工の豊洲ドックを追い出して、有明北地区の旧貯木場をつぶして進められるという問題の多い道路ですね。構造上も複雑になっているんです。晴海通りの上を首都高速道路晴海線が走ることになっていますけれども、構造はどうなっているでしょうか。

〇小峰建設局長 晴海通りと高速晴海線の都市計画では、晴海通りの計画幅員五十メートルから七十メートルの中に高速晴海線が位置しております。東雲一号橋付近では、高速晴海線と晴海通りが上下二層の構造となっております。また、晴豊一号橋付近では、両路線が近接して並行して走る形になっております。

〇山本委員長 木村委員、ちゃんと手を挙げてください。

〇木村委員 これがその構造の晴豊一号橋ですよね。一体のものになっています。豊洲と晴海をつなぐ橋で、晴海通りの上を首都高が走るようになっているんですけれども、構造は一体のものです。豊洲の中は、晴海通りが地下を走るアンダーパスになっていますけれども、首都高は高架で分離しているように見えますけれども、基礎部分、この部分ですね、これは共通した一体のものです。
 そこで伺いますけれども、この一体構造部分の負担というのはどうなっているでしょうか。

〇勝田都市計画局長 今ご質問がありました晴海通り、放射三四号線でございます。それから首都高の晴海線、これが、今、建設局長から説明がありましたように、一緒に乗っている構造になっております。放射三四号線の整備に必要なものとして、晴海通り、首都高晴海線を同時に施行する、こういう計画でございます。

〇木村委員 私は、だから、その共通の部分の、一体となっている部分の負担の区分を聞いているんですが、要するに、だれが負担しているんですか。

〇勝田都市計画局長 失礼しました。負担の関係でございますが、本体そのものにつきましては……。(木村委員「ここです」と呼ぶ)今ご指摘があった、それは下部工でございます。基礎の部分でございます。先ほどちょっと申し述べましたが、都道の放射三四号、それから首都高の晴海線が一緒に乗っている構造になっております。その下部工の負担につきましては、都道の放射三四号線の整備に必要なものとして施行することから、都が整備しております。

〇木村委員 つまり、東京都がみんな持っているんですよ、金を。おかしいじゃないですか。首都高については、法に基づいていない貸付金、出資金、そういうものは、さっき、いろいろ改善しなきゃならないということをいったばかりですが、その上に、首都高の道路と都道を支える共通の部分については東京都が全部金を出す。それは絶対おかしいんじゃないかというふうに思いますが、ここに、放射三四号線と湾岸線晴海出入口の施行区分に関する確認書というのがあって、そして、晴海出入り口の用地のうち、放射三四号の用地と重複する部分については東京都が施行して確保するとか、そういう覚書が出ています。
 それで、財務局に聞きますけれども、地方財政再建促進特別措置法では、首都高速道路公団への負担金についてどのように規定していますでしょうか。

〇田原財務局長 首都高速道路公団は、地方財政再建促進特別措置法第二十四条で規定をいたします寄附行為が禁止されている団体であります。都が公団に対して寄附金や法令に基づかない負担金その他これに類するものを支出することはできないということであります。
 ただいまお話の下部工のことでありますけれども、これの晴海線が乗る部分までを都の費用で整備することは、これに該当しますので、現在、公団と、その負担のあり方を、負担をすることで検討しているというふうに聞いております。

〇木村委員 金はもう莫大に出ているんですよ、現在協議しているというけれども。法律では禁止されているんですよ。法で禁止されている金を、もう既に莫大な、何十億、金を支出している。法律違反じゃないですか。都道と関係するから、法律を曲げてでも、どんどん金を出していいと、そういうことになりますか。

〇勝田都市計画局長 先ほどもご説明申し上げましたが、都道の晴海線、放射三四号線と首都高の晴海線が一緒に乗っているという構造でございますので、下部工については、都道の放射三四号線の整備に必要なものとして施行することから、晴海線の事業費について負担やたてかえをしているものではないと考えて、都が整備すべきものと判断したものでございます。
 しかしながら、ただいま財務局長の方からもご説明がございましたように、この措置は地方財政再建促進特別措置法上適正ではないと認識したため、都といたしましては、現在、首都高速道路公団に対しまして費用負担を求める協議を行っております。

〇木村委員 法律を読みますと、さっき財務局長が答えてくれたように、首都高速道路公団に対して寄附金、法律もしくは政令の規定に基づかない負担金、その他これに類するものを支出してはならないとなっていますね。そして、いろいろ書いてあって、しかし、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得たものについてはこの限りではないとなっているんですよ。今、協議中じゃないですか。同意を得たんですか。金は東京都から一方的に出して、今協議していますと。これは同意を得たことになっていませんよ。
 それが、晴豊一号下部工事請負契約その一、十一年二定、二十三億五千七百万。晴豊一号下部工事その二、十一年三定、十八億七千万。晴豊一号下部工事その三、十三年二定、二十六億。晴豊一号下部工事その四、十三年二定で十三億七千万。これら莫大な金が、この法律に違反して出されているんですよ。
 知事、法律に基づかないけれども、首都高に対する無利子貸付とかそういうのは一応協議をして、そういうルールを決めてやっていると、それを見直そうじゃないかと、こういっていますよね。だから、それは法律違反だとはいいませんよ。しかし、これは大臣と同意もしていない。法律で明確になっている。それが次から次へと、こうやって何十億、何十億という金が出ていく。直ちに是正して、金を取り戻す、そのぐらいのことはきちっとやってもらいたいというふうに思うんです。

〇石原知事 これは前任者のときのことで、私もつまびらかにいたしませんけれども、この確認書の日付を見ますと、平成十年七月というと青島知事の最後の年でしょうが、あの方は、要するに、あそこに企画された万博を中止することで喝采を浴びた人ですけれども、あの段階までは、やっぱり鈴木さんの時代に企画された万博にみんな期待もありましたし、とにかく間に合うように道路を整備しようということで、そういう形で都も押し切られた節がないでもありませんが、いずれにしろ、これは都にとっても不本意な形の契約でございますから、先般もちょっと庁内で問題になりましたけれども、私が督励しまして、これは巻き戻して、正当な分担をするように努力いたします。

〇木村委員 ここはようやくかみ合った。当然だと思う。ただし、前任者、青島知事が確かにこの覚書を交わしたんですよ、しかも大臣とも同意もしないでね。だけど、その後の支出、これは石原知事の責任で出されているんですよね。そして有明北の埋め立て、あれもあれだけ反対があったのに、知事が強行したというか、そして、この工事が始まっているんですよ。ですから、これは前任者の問題だということじゃ済まないということで、それはきちっとしていただきたいというふうに思います。
 さて、いろいろあって、やる予定がなかなか前へ進まないという悩みがある。しかし、この四年間を振り返ると、知事もこの四年間を振り返って総括したいというけれども、我々にしてみれば、福祉の大後退、しかも、その後退させるときの理屈は、現実からかけ離れているという問題がある。そして、知事は、借金ノーという公約を掲げたけれども、四年間を見ると、むしろ借金は五千億円以上ふえているという問題もある。しかも、その中で、二年前に私といろいろやり合って、メスを入れますという意味の答弁をしたにもかかわらず、首都高に対する無利子貸付とか、国直轄事業負担金とか一向に解決されない。解決されないどころか、一千四百億もの現ナマが出されているということを考えると、(「終わりだよ」と呼ぶ者あり)これは、その辺をきちっと総括して、自治体として、都民の暮らし、福祉、これを最重点に転換をしていく、こういう立場に立つためには、我々は、石原都政をやめさせて新しい都政をつくっていく……。

〇山本委員長 木村陽治委員、もう時間が終了いたしました。

〇木村委員 そういう決意を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

〇山本委員長 木村陽治委員の発言は終わりました。