過去のページ

■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


2003年第3回定例会 文書質問

大山 とも子(新宿区選出)

高齢者虐待について

 1998年に厚生省科学研究費補助金による長寿科学総合研究事業の研究班が、全国の在宅介護支援センターなど730カ所を対象に行った調査では、それまでの2年間で1000件を超える高齢者虐待の事例が報告されています。その内容は、介護が必要な高齢者に対し、暴力や、睡眠薬などの過剰投与、酸素チューブを抜くなどの身体的虐待、あるいは介護の放棄、乱暴な言葉による心理的虐待など、深刻なものです。
 保健師やヘルパーなどの在宅介護の関係者から話を伺いましたが、「介護を受ける方の自宅を訪れて高齢者に接する時に、あざや傷を見つけたり、衣類、寝具、部屋の汚れや異臭があることなどから虐待に気づくことがある。また、夫が痴呆になった妻をたたいているところを見て、暴力はいけないと言っても、たたかなければわからないんだ、など虐待への自覚がない人もいる。しかし、現状では通報制度もなく、プライバシーの問題もあり支援に結びつけることが難しい。児童虐待の児童相談所、DVの配偶者暴力支援センターのような専門機関もない」などの声がよせられています。
 児童虐待防止法(児童虐待の防止等に関する法律)や、DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)と同様の法整備を行い、問題を早期に発見し、必要な支援につなげていく通報と被害者保護の仕組みや、被害についての相談・支援の専門機関等を確立することが急務であると考えます。
 日弁連は今年3月、高齢者虐待防止法の制定を展望したシンポジウムを開催し、8月には日本高齢者虐待防止学会がスタートするなど、気運も高まっています。

Q1 :都として、高齢者虐待の実態と、高齢者虐待防止対策の重要性について、どう認識していますか。

Q2 :国に対し、高齢者虐待防止法を制定し、早期発見の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等をはじめとした高齢者虐待防止システムを早急に確立するよう強く要請する必要があると思いますが、見解を伺います。

 また、法整備を待つことなく、むしろ法整備を先導する姿勢で、都としてできることは直ちに具体化することが重要です。
 群馬県はすでに、県内の介護支援専門員や介護従事者と市町村の担当者を対象に高齢者虐待の実態調査を行い、事例集をまとめています。さらに今年度の新規事業で、高齢者虐待防止懇談会の設置、リーフレット作成等の虐待防止普及啓発、虐待防止110番の設置を内容とした「高齢者虐待防止推進」事業を創設しています。また三重県は、今年度の6月補正予算に「高齢者虐待実態調査及び虐待防止普及啓発事業」を盛り込みました。
 さらに横須賀市では、保健福祉センターを中心とした虐待防止ネットワーク事業に取り組んでおり、金沢市は、相談窓口の整備をはじめとした予防と早期に発見し支援につなげるためのネットワークの構築を推進しています。
 高齢者の介護での虐待の場合、寝たきり状態の高齢者が放置されていても外に出て行かないだけに表面化しにくいのが実態です。新宿区の高齢者相談の方も表面化していないケースがすごく多いのではないかと語っていました。発見されるのは、ヘルパーが訪問してあざがあるとか、ケアの状態がいつも非常に悪い、また近所の方からの心配の連絡などでケアマネージャー、区の高齢者担当や保健師のところに相談が来るというケースです。東京では、今のところヘルパー、ケアマネージャー、自治体の高齢者担当、保健師などが連絡を取り合って何とか対応しているものの、高齢者虐待が起こる原因が、介護者が介護で疲れ果て精神的にも追い込まれて、手を出してしまう、ひどい言葉をあびせてしまう、また、息子が母を介護している場合など、母に指示されているうちは何とかなるが、状態が悪くなってくるとどうしていいかわからないから放置してしまうなどのケース、またこれまでの親子関係、夫婦関係などがあって、起こる虐待など、非常に根深く、複雑なだけに特別の対策が必要です。
 都の保健所で対応したものだけで、2001年度、保健師が家庭訪問した高齢者虐待のケースが43件、電話相談は74件と報告されており、緊急の対策が求められています。

Q3 :まずは、実態の把握ですが、保健所での家庭訪問や相談などの数の統計はあるものの、具体的な内容での実態把握はされていません。在宅介護支援センター、保健所などを始め自治体の協力を得て調査を行い、実態の把握を行うべきです。

Q4 :都独自に、早期発見の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等をはじめとした高齢者虐待防止システムの構築に取り組むことを求めるものです。保健師、看護師、福祉施設職員、在宅介護支援センター、ソーシャルワーカー、ヘルパーなどの専門職が連携して支援できる体制と支援マニュアルの整備、これらの専門職に対する専門的教育の推進、介護の肉体的・精神的負担や孤立感に悩んでいる家族全体への支援、被害をうけた高齢者のカウンセリング等も重要な課題です。できることから直ちに具体化すべきです。お答え下さい。

以 上