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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


本会議 代表質問 二〇〇三年十二月九日

曽根はじめ(北区選出)

「第二次財政再建推進プラン」「第二次都庁改革アクションプラン」にもとづく都民施策のきりすてはやめ、新銀行は中止し、都民施策の拡充を
知事のイラクへの自衛隊派兵と、自衛隊の戦闘行動を容認する発言の撤回をもとめる

あらゆる都民施策の、廃止をふくめた見直し、施設からの撤退・縮小は、大きな打撃
私学助成二分の一補助を堅持し、私立幼稚園の保護者負担軽減補助の拡充を
小規模作業所の存亡にかかわる小規模作業所運営費の削減
サービス推進費補助切り下げに大きな反対運動ひろがる
保育の現場に足を運び、園長、職員、保護者の声に耳をかたむけ、見直し案は抜本的に再検討を
固定資産税、都市計画税の軽減・減免措置は継続を
改革というなら、くらしと福祉を最優先する立場を
石原都政の方針は、財界の論理とかわらない
財政不足は過大な設定・・一兆円規模の投資の見直しで都財政立て直しを
八ツ場ダム、戸倉ダムの建設中止と負担見送りを、国に申し入れよ
貸ししぶり、貸しはがしに苦しむ中小業者の役に立たない銀行は、ただちに中止すべき
三十道府県で少人数学級を実施、都としても来年度から実施を
乳幼児だけでなく小学生にも医療費助成をおこなうことは、少子化対策の重要課題
イラクへの自衛隊派兵と自衛隊の戦闘行為容認発言は撤回を
【再質問】
【答弁部分】
【再質問答弁】

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あらゆる都民施策の、廃止をふくめた見直し、施設からの撤退・縮小は、大きな打撃

 日本共産党を代表して質問します。
 ことしもいよいよ、年の瀬をむかえました。まちを歩いても、ながびく不況や社会保障の改悪、リストラ野放しなど、痛みのおしつけにたいする怒り、生活への不安の声はいっそうつよまっています。
 「くらしと営業をまもってもらいたい」……私はこの都民の切実な声にこたえることが、なによりも都政にもとめられていることを実感しています。
 しかし、石原知事がこの秋に発表した都政の基本方針、すなわち、「第二次財政再建推進プラン」、「第二次都庁改革アクションプラン」などは、いずれも、都民の声に背をむけ、痛みをおしつけるものになっているのではないでしょうか。
 これまでも、石原都政のもとで、シルバーパスの全面有料化や老人福祉手当の廃止など、福祉や医療、教育の切り捨てがすすめられてきました。今回の一連の方針は、「巨額の財源不足」を理由に、これまで手をつけられなかったあらゆる分野の都民施策を、廃止をふくめて見直すことや、都が直接運営しているすべての施設から撤退・縮小し、そのおおくを営利企業をふくめ民間に移譲するというもので、これが実施されることになれば、都民生活にこれまで以上のおおきな打撃を与えるものとなることは間違いありません。

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私学助成二分の一補助を堅持し、私立幼稚園の保護者負担軽減補助の拡充を

 そこで、いくつかの問題について具体的にうかがいます。
 はじめに、第二次財政再建推進プランです。その最大の問題は、財政難の最大の原因である投資経費は事実上聖域にし、福祉、教育、くらしにかかわる補助金を中心に、その廃止をふくむ切り下げで一千二百億円の財源を生み出すとしていることです。しかも、見直しの理由としてあげられていることは、いずれも的はずれであり、とうてい都民の納得をえられるものではありません。
 具体的に名指しをされた私学助成ですが、プランでは見直しの理由として、児童生徒一人あたりの都の補助額は都道府県のなかで上位にあり、私立高校の例では、都と同様に都市化がすすんでいる埼玉、千葉、神奈川などの近県とくらべ、相当高い水準にあることが、あげられています。しかしこれは、他県にくらべ人件費や維持管理費などコストがたかいことや、学校教育全体の中で私学のはたしている役割が格段に大きいという東京の特質を無視した議論です。高校の場合、私学への依存率は、東京の六割にたいし、埼玉、千葉、神奈川は三割程度にすぎません。憲法にさだめる教育の機会均等を保障するため、他県以上に私学助成の充実をはかるのは、都の当然の責務ではありませんか。
 ところが都の私学助成は、すでに第一次財政再建推進プランの四年に、少子化による生徒減もあいまって百四十億円もへらされており、各学校、毎年数千万円もの減額が続いています。その結果、今年度だけでも三割近い私立高校が、授業料値上げを余儀なくされました。専任教員の採用ができず、すべて非常勤にせざるをえない、などの深刻な影響が、すでに生まれています。ある私立高校では、かつて都の助成は運営経費全体の四十六%を占めていたのが、今ではわずか三十二%にまで後退しています。
 しかも、きびしい不況の影響で、学校の経営とそこで学ぶ生徒の状況は深刻です。
 別のある私立高校では、七百四十人の生徒のうち実に百人が、授業料滞納となっています。親の失業、営業不振、家庭崩壊などがおもな理由です。このような生徒のための授業料の減免を全校生徒の三割以上が利用しています。都の私学助成と、その中でのこうした減免があればこそ、たかい授業料を払うのがきびしい生徒も私学で学びつづけることができているのです。
 私立高校の生徒一人あたりの都の補助額は三十四万六千円ですが、これが仮に全国平均まで削減されることがあれば、四万六千円もの減額となります。そんなことになれば、いっそう過酷な授業料値上げと教育条件の後退を招くことはあきらかであります。
 私学助成は削減すべきではありません。私学をめぐるきびしい現状のもとで、標準的運営費の二分の一公費負担を堅持するとともに、授業料等軽減措置や私立幼稚園の保護者負担軽減補助の拡充などこそ必要と考えますが、見解を伺います。

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小規模作業所の存亡にかかわる小規模作業所運営費の削減

 都の補助率が二分の一をこえる「高率の補助金」も、見直しの対象にあげられています。高率の補助金は、事業主体の自主的なとりくみがなされないなどの弊害があるとされていますが、とんでもない話です。
 心身障害者の小規模作業所に対する運営費補助の場合、どうでしょうか。都の補助率が三分の二、市町村の負担が三分の一で実施されていますが、法定の心身障害者通所授産施設にくらべて、半分の補助でしかありません。このなかで、関係者のバザーなどの必死の努力でやっと運営が維持されているのが現状です。
 にもかかわらず、都の補助率を二分の一まで引き下げることが、市長会、町村長会に提案されています。これは都の補助を一カ所あたり四百万円も削減しようというものであり、「そんなことをされたら、重い障害の人は受け入れることができなくなる」「作業所のささやかな工賃より、送り迎えの料金の方がたかくなってしまう」などの切実な声があいついであがっています。
 都の計画では、総額七億円もの市町村の負担増となりますが、ある市の担当者は、「ただでさえ支援費制度になりホームヘルプサービスの利用が伸びて障害者福祉財政は火の車だ。どうやって負担しろと言うのか」と訴えています。
 また、東久留米市の年額二百七十六万円を上限とした家賃補助など、おおくの市は独自に小規模作業所の運営費の加算や家賃補助をおこなっています。都があくまで市町村への負担転嫁をすすめた場合、これらの市の独自加算は、ほとんど存続できない事態が予想されます。これから障害児学校卒業生の急増期を迎え、十年後には、都内で少なくとも百二十カ所程度の小規模作業所の新設が必要だといわれています。補助金切りさげはこの障害にもなりえます。
 これでは都がかかげている「地域福祉の充実」とは、ウラハラに、重い障害のある人たちの地域生活を支えるうえで、なくてはならない小規模作業所の存亡にかかわる重大な打撃をあたえるものといわざるをえません。だからこそ、多摩地域のすべての市が補助切りさげに反対の立場をとっているのです。
 小規模作業所運営費は、削減でなく拡充こそ必要と考えますが、所見を伺います。

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サービス推進費補助切り下げに大きな反対運動ひろがる

 すでに具体化が進み、大きな反対の運動がひろがっているのが、私立保育園に対するサービス推進費補助の問題です。
 十月十七日に福祉局から初めて公式に見直し案が示されましたが、最大の問題は、保育士をはじめとした職員の経験年数についてまったく考慮されておらず、財政基盤のよわい私立保育園が経験豊かな職員を確保できるようにしてきた保障を、根底からくずすものとなっていることです。
 補助額もあまりにも低く、福祉局の計算で、私立保育園への補助の総額は昨年度の実績にくらべ三十二億円、三四%もの減額になります。各施設の削減額は、当面三年間は毎年五百万円を上限とするなどの経過措置がもりこまれましたが、それにしても毎年一人ずつ経験のゆたかな常勤の保育士を減らさなければならないような大幅削減であり、しかも四年目以降の保障はありません。
 実際に、ゼロ歳児の産休明け保育、延長保育、障害児保育、一時保育を実施している保育園の試算では、昨年度のサービス推進費の実績にくらべ、総人件費の約二割、二千三百万円もの削減になります。経過措置はありますが、現在の正規職員の数を維持した場合、毎年、職員一人当たり月収で二万円ずつ、三年後には現在の月収にくらべ六万円もの給与カットを余儀なくされます。経験年数三年目のある保育士の場合、月収二十三万円が、三年後、経験年数六年で月収わずか十七万円になってしまいます。これでは、若い保育士が展望をもち、専門職としての誇りをもってはたらきつづけ、経験をつみかさねることはできなくなります。保育の質を決めるのは職員の質であり、職員の待遇保障の低下は、保育の質の低下につながります。
 すでに保育園の現場では、経験ゆたかな職員が、園の経営のために退職しようかと悩んでいる、園長が退職の希望をつのり園全体に不安がひろがっている、などの事態もうまれています。人間形成のもっとも基礎になる大切な乳幼児期の育ちに責任を負う保育園が、こんなことでよいのでしょうか。
 補助切りさげの理由について、都はいまの補助制度では、ゼロ才児保育や延長保育がすすまないからだと、いっていますが、これらが進まないのは、必要な予算措置をしていないからであって、とんでもないすりかえです。現在の補助は経験のある保育士を十分に確保することによって質のよい保育をすすめているものです。
 ゼロ歳児保育や延長保育などを充実することは重要ですが、そのために保育の質を落とすようなことは絶対あってはなりません。ゼロ歳児保育や延長保育などの事業の拡充と、職員がはたらきつづけられ、経験ゆたかな職員の配置による保育の質の確保の、両方をすすめる必要があると考えますが、見解を伺います。
 わが党が提案しているように、ゼロ歳児保育をひろげるには、保育園の増改築および新設を進めることが必要です。また延長保育をひろげるには、ゼロ歳児や一歳児を受け入れた場合の補助単価の引き上げや、利用者が五人未満の場合の補助額の充実が必要です。このための補助の抜本的な拡充にこそとりくむことをもとめるものですが、お答え下さい。

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保育の現場に足を運び、園長、職員、保護者の声に耳をかたむけ、見直し案は抜本的に再検討を

 福祉局は、東京都社会福祉協議会の合意を得たといいますが、現場は納得していません。十月二十九日に東京の保育四団体が主催した「明日の東京の保育を考えるセミナー」には、私立保育園の園長や職員六百七十五人が参加し、福祉局の案に対し、「東京の保育を荒廃させるもの」など、いきどおりと不安、きびしい批判の声があいつぎました。その場で採択されたアピールは、「拙速な改革ではなく、我々現場の声が充分反映される内容にしていただきたい」「職員の定着率をたかめ、なおかつ意欲的に働きつづけられるよう、しっかりした保育制度が必要です」と訴えています。
 保育園を利用しているおおくの保護者の共通した声も、「私たちの一番の願いは安心して子どもをまかせることができる保育園です。今の保育の質を絶対に落とさないで下さい」「利用者本位というなら、どうして私たちの声を聞こうとしないのか」というものです。
 今回のサービス推進費補助の見直しは、東京の保育の質をおおもとからくずし、子どもの豊かな成長発達を保障するためにはあまりにも不十分な国基準への引き下げと、さらには保育士の時給九百円ていど、正規職員の場合も一年契約などの不安定雇用で、民間企業のサービス競争を基本とした認証保育化の方向に向かわせていく一環と言うべきものです。だからこそ、父母も園長も職員も、関係者みんなが、これほど大きな危機感をもっているのです。
 東京都社会福祉協議会との「合意」というのも、経験年数の考慮は絶対に認めない、という結論をおしつけ、十月十八日には、これが「最終案だ」と言って受け入れを迫ったものです。こんな理不尽なやり方はありません。
 いま必要なことは、知事と福祉局が、実際に東京の保育をにない、日々、子どもたちと向きあっている現場に足を運び、園長、職員、そして保護者の声に真摯に耳をかたむけることであります。
 そして、これら関係者の声をもとに、提案した見直し案は抜本的に再検討することをもとめるものです。それぞれ、お答え下さい。

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固定資産税、都市計画税の軽減・減免措置は継続を

 固定資産税、都市計画税の軽減・減免措置についても、臨時・緊急の措置で実施されたものとして、名指しで、存廃をふくめた見直し対象にしています。もし、うち切られたら、商店や中小企業の営業用地が一人平均十一万四千円の増税となり、住宅用地をあわせた増税総額は四百八十三億七千万円、百八十九万四千人に影響がおよびます。
 重い税負担、そして不況に苦しむなかで頑張っている人たちに、せめて、中小業者の非住宅用地の固定資産税などの減額と小規模住宅用地の都市計画税の軽減は継続すべきです。答弁をもとめます。

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改革というなら、くらしと福祉を最優先する立場を

 第二次都庁改革アクションプランは、行政サービスのあり方を見直すとして二百八十九項目をあげました。いずれも、都民生活に重大な影響をあたえる危険をもつものです。
 その一つは、保健所、看護学校の縮小再編、むさしの園、板橋老人ホームの廃止・東村山老人ホームの縮小など、福祉、くらしに関わる都の直営施設の廃止・縮小をうちだしたことです。
 たとえば、多摩の保健所統廃合で十二箇所から五箇所になれば、ひろい二次医療圏を対象に、環境衛生、食品安全、感染症・薬物対策、在宅療養者、精神障害者への訪問など膨大な都民サービスを行なってきた保健所活動が、おおきな障害をうけることは明白です。
 また、板橋老人ホームの廃止は、第一次プランの伊豆山老人ホーム廃止に続くものです。いまでも養護老人ホームは大幅に不足しており、二千人ちかい待機者がいるもとで、なぜ、いまある施設を廃止するですのか。しかも、板橋老人ホームは、都立施設として全都的な問題となっているホームレスや山谷の日雇い労働者の高齢化対策などで重要な役割を果たしているもので、まさに逆行といわざるをえない計画です。
 プランが、法律で直営が義務づけられている以外の都立施設の管理に、民間営利企業も参入できる指定管理者制度を適用することを決めたことも、重大な問題です。
 これは自治法改正にもとづくものですが、このことによって、公的サービスが営利優先になったり、都民や議会のチェックも届きにくくなり、サービスが後退する危険がつよまります。これまで、都立の病院や福祉施設、スポーツ・文化施設、二十六万戸の都営住宅など、大半の公共施設を都が運営してきたのは、これらの都民サービスを効率的におこなうことはもちろんですが、何よりも都民にたいしてよりよい公共サービスを提供するという立場をつらぬいてきたからです。財源の投入をいかにすくなくするかという立場でのみ運営のあり方をきめることは、地方自治体としてとるべき態度ではありません。
 知事、改革というなら、自治体としてもっとも重要な仕事であるくらしと福祉を最優先する立場をつらぬくことが必要です。第二次アクションプランは、この立場から抜本的に再検討すべきです。答弁をもとめます。

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石原都政の方針は、財界の論理とかわらない

 これまで指摘してきたように、二つのプランの狙いと方向は、都民が長年にわたってきずきあげてきた福祉、医療、教育、産業、労働などの各分野にわたる都独自のすぐれた施策や施設を、民間にゆだねることで、おおきく手をひいたり、事業としてのこすものも、国基準なみ、もしくはそれ以下の水準にひきさげていこうというものです。
 財界団体の経済同友会は、一昨年の年頭に発表した提言のなかで、、「自律国家における『再配分』の原則は、政府の役割を全ての国民に対して日本の尺度で測った最低限の生活水準、すなわち、ナショナルミニマムを保障することにのみに限定すべきであり、国民はそれ以上の所得再配分を求めず、自助努力による生活水準の向上をめざすこと」とのべるとともに、国の役割について防衛、経済協力、司法、恩給、年金、扶助費、地方自治体の役割としては、教育、警察、消防、公共事業に限定することを提案するなど、国や地方自治体が、福祉をはじめとする住民サービスから撤退していくことを露骨にもとめています。
 石原都政の方針は、こうした財界の論理とかわらないものです。私は、二つのプランの具体化を都民におしつけるのではなく、あらためて、都民参加で、「住民の福祉の増進」を目的とした都政運営の基本計画を策定することをもとめておくものです。

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財政不足は過大な設定・・一兆円規模の投資の見直しで都財政立て直しを

 つぎに都財政の立てなおしについてです。
 第二次財政再建推進プランは、毎年、四千億円前後の財源不足が生じるとし、このことを都民施策の切りさげの理由としています。たしかに、都財政は困難をかかえています。しかし、同プランのいう財源不足は、全体として過大に設定されており、絶対的なものではありません。そのなかには、同じ都の公営企業会計などとのあいだのやりくりや都債を償還するための基金の積立金を適正な規模にすることによって、段階的に解消できるものもふくまれています。
 そして、なによりも重要なことは、一兆円規模に高どまりしている投資経費を、たとえば、バブル前の五千億円の規模に段階的に減らしていけば、福祉などを充実しながら財政を立てなおしていくことができるのです。
 たとえば、東京都が直接のりだして建設にあたっている北新宿や環状二号線地区の再開発、汐留、有明北などの土地区画整理事業や埋立て事業には、今年度だけでも、一千億円もの資金が投入されています。また、国直轄事業負担金と首都高への貸し付けだけで、毎年八百億円規模に達しています。幹線道路予算も来年度予算局要求では九三〇億円といっそう増やされています。なぜ、こうした大型開発の改革に手をつけないのですか。
 とりわけ、都財政をおおきく圧迫するものとなっている国直轄事業負担金や首都高への出資・貸付についても、国言いなりをやめ、思いきって見直すことが必要です。この二つの支出については、第二次財政プランで例示されていますが、その内容は、抜本的な改革というにはほど遠いものです。すなわち、直轄事業負担金は、わずかな支出に過ぎない事務費と年間三十億程度の管理費について問題にしているだけで、肝心の毎年五百億円近い巨額の事業費については、一言も問題にしていません。首都高への出資・貸付についても、都の負担割合の引き上げを認めたうえで、わずかに公団側のコスト削減を求めるという、情けないものです。
 知事、国にものを言うというのであれば、ここにメスをいれ、きっぱりと断るべきです。また、財源不足というのであれば、投資は現実の財政力にみあった支出にとどめられるべきではありませんか。それぞれ、見解をうかがいます。

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八ツ場ダム、戸倉ダムの建設中止と負担見送りを、国に申し入れよ

 今議会には、八ツ場ダムの事業費を、現在の二倍以上の四千六百億円にひきあげる議案が提案されていますが、これによって、都の財政負担は三百四十三億円も増加することになります。そもそも、東京都の水需給計画は過大に設定されており、これ以上の水源は必要ありません。また、八ツ場ダムの場合、ダム建設そのものも過大投資となっており、しかも名跡といわれる吾妻川の渓谷が破壊されることなど問題が山積みとなっているものです。
 すでに、ダム建設の見直しでは、おとなりの埼玉県が、尾瀬の戸倉ダムの建設を断念し、国直轄事業の負担を拒否することを表明しました。
 知事、八ツ場ダム、戸倉ダムの建設中止と負担見送りを、国に申し入れて当然だと思いますが、見解を伺います。
 来年度予算については各局要求の段階で、五三二九億円の財源が不足するとしています。しかし、その不足額というものは、予想される一千億円近い税の増収分を見込まず、しかも、さきほど述べたように、すぐに返さなくても良い一三〇〇億円もの他会計借入金を計上するなど、意図的に過大に設定したものです。

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貸ししぶり、貸しはがしに苦しむ中小業者の役に立たない銀行は、ただちに中止すべき

 さらに許されないことは、新銀行への一千億円もの出資をみこんでいることです。
 都は先月末、フランス資本のパリバ信託銀行を母体にした新銀行のスキームを発表しました。わが党は、この間、金融庁や信金協会、金融専門家などから聞き取りや調査をおこないました。そこで明らかになったことは、この間、わが党が指摘してきたとおり、新銀行が、貸し渋り・貸しはがしに苦しむ中小零細業者に役立つものとはならないということです。
 ひとつは、どれだけ条件の悪い融資先に貸しだしをおこなっているかを判断する資料となる、貸し倒れ引当金の問題です。銀行は、通常、「要注意先」に対しても貸しだしている場合、総融資額の五%程度の引当金の引き当てがおこなわれていますが、新銀行の場合、貸しだおれ引当金は二〜三%の水準にとどめられています。専門家にうかがったところ、こんなすくない引き当てでは、貸しはがしなどにあっている中小企業に貸し出すことは、ほとんど無理だろうといっています。
 経営計画にも疑問が寄せられています。財政スキームによれば、新銀行は三年後に黒字に転換するといっています。しかし、これは初年度には百十億円積む貸しだおれ引当金を、三年目にはわずか十五億円にひきさげることで可能にしたものです。しかも、その一方で三年のあいだに、新銀行が貸しだす融資を三倍にひろげるとしているのです。「貸しだおれ引当金を必要とするような経営困難な中小企業には貸さないということにほかならない」、こういう声がひろがるのは当然ではありませんか。
 新銀行が目玉として導入しようとしているポートフォリオ融資も、融資がこげつく心配のある企業にはほとんど貸しださないことは、すでに民間銀行の経験でもあきらかです。
 知事は、第二回定例会で、新銀行について、「サンタクロースや救世軍じゃない」と述べましたが、新銀行のスキームでも、借りたくても借りられない、ほんとうに困っている町場の業者を救さいするものでないことはあきらかです。
 財政がくるしいといいながら、一千億円も投入して、貸ししぶり、貸しはがしに苦しむ中小業者の役にも立たない銀行をつくることは、ただちに中止すべきと考えますが、知事、どうですか。
 そもそも、ポートフォリオなどの融資や、ICカードなどの商品についても、いずれも他の民間の金融機関ですでにとりあつかっていたり、計画されているものばかりです。こういう銀行であったら、それこそあなたが、つねづねいっているように、「民間」にまかせておけばよいことではありませんか。
 一千億円というお金をムダにつかうことなく、そのごく一部をつかうことで、既存の制度融資の拡充につとめることこそ、現実に中小企業の救さいの役にたちます。
 おおくの中小業者がもとめているのは、制度融資の改善、拡充であり、多重債務者のためのプロパー融資を含めた借り換え融資の実現、年越しのための別枠の緊急かけ込み融資、さらには、連帯責任をもとめられる第三者保証の廃止などをこそ、ただちに実行に移すべきと、考えますが、答弁をもとめます。

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三十道府県で少人数学級を実施、都としても来年度から実施を

 あらためて、知事が、「住民の福祉の増進」という自治体の長としての立場にたちかえって、切実な都民要求にこたえた来年度予算編成をおこなうことをここで要望しておくものです。
 そこで、私は、重要課題となっている子育ての問題にしぼって、提案をおこないます。
 教育の危機がさけばれ、学校のあり方が各方面から問われるなかで、親や教師の少人数学級への願いが全国の自治体をうごかし、いまや、三十道府県で少人数学級にふみだしています。これらの府県がまとめた、少人数学級の教育効果、検証などの報告を読むと、どこでも、子ども、親、教員からおおきな歓迎の声がだされています。
 親からは「少人数で先生の目がゆきとどきありがたい」、「子どもが学校へ喜んでいくようになった」。教員からは「気持ちにゆとりが生まれた」、「勉強が苦手な子にも、しっかり教えることができるようになった」などの声です。そして欠席平均日数がへり、保健室の利用者が少なくなり、計算などの小テスト達成率が上がったなどの例が報告されています。
 サミット参加国がどこでも一学級二十五人前後となっているように、少人数学級は世界のながれとなっています。都内では、都民から、百二十万人ちかい署名が寄せられているのをはじめ、市長会、町村長会、市教育長会などから、少人数学級をもとめる要望が東京都にだされています。
 知事、山形県知事は「橋の一本二本、がまんしても、小学校で三十人学級を実施する」そういって導入しました。このながれがさらにひろがり東京が最後の県になってしまう可能性もでてきています。国も、二〇〇一年から、都道府県の判断と財政負担によって、自治体独自に少人数学級を編成することを可能としました。河村文部科学大臣は、記者会見で来年度、少人数学級の制度を、運用をゆるやかにして、少人数指導のための加配教員を少人数学級用の教員としても選択できることを検討しているとあきらかにしました。
 全国のながれ、世界のながれからみても、子どもたちのゆたかな教育を保障するため、都としても、来年度から、三十人学級にふみきるべきではないでしょうか。明解な答弁をもとめます。

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乳幼児だけでなく小学生にも医療費助成をおこなうことは、少子化対策の重要課題

 次に提案したいのは、小学生の医療費の無料化です。
 小学生になると病気になる率はひくくなりますが、わかい子育て世帯にとって、子どもが病気になったときの医療費の負担はおおきいものです。また、小学校低学年は乳歯から永久歯にはえかわり、奥歯もはえてくる時期であり、予防と早期の治療がとりわけ大切な時期です。都の患者調査によれば、小学校低学年の歯科の患者数は、乳幼児にくらべ三倍にはねあがっています。
 周知のようにドイツやイギリスなどではすべての子どもの医療費は無料ですが、日本でも神奈川県では、全市町村が中学校卒業まで入院医療費を無料にしており、小学生以上になんらかの医療費助成がある自治体は、全国で八十八にのぼります。都内でも私の地元北区は、来年度から、小学生の入院医療費を段階的に無料化する子ども医療費助成制度の創設を決めました。区長は「小学校にあがっても子育てしやすい北区にすることで、子育て世帯に定住して欲しいと考えた」と語っています。二十三区では、ほとんどの区が乳幼児医療費助成について小学校入学前まで所得制限なしを実現しており、小学生に拡充していく気運がひろがっています。
 乳幼児だけでなく小学生にも医療費助成をおこなうことは、少子化対策の重要課題です。
 いまこそ都としても、小学生の医療費の無料化にふみきるよう提案するものですが、所見を伺います。

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イラクへの自衛隊派兵と自衛隊の戦闘行為容認発言は撤回を

 最後に、自衛隊のイラク派兵にかかわる知事の発言についてです。
 本日、小泉内閣は、米国から求められるまま、イラクへの自衛隊派兵に関する基本計画を閣議決定しました。これは、イラク国民にとっても、日本国民にとってもとりかえしのつかない災いをもたらす最悪の選択です。
 泥沼化したイラク問題の道理ある解決の方向は、一日もはやく米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道復興支援にきりかえること、国連中心の枠組みのもとでイラク国民にすみやかに主権を返還し、米英軍を撤退させることであり、日本にもとめられているのは、そのための自主的な外交努力をつくすことです。わが党は、憲法をふみにじる自衛隊のイラク派兵をやめさせるため、広範な国民のみなさんとともに力をつくす決意であることを表明するものです。
 ところが石原知事は、去る十二月一日の記者会見で、イラクへの自衛隊派兵を当然視したうえで、「平和目的で行った自衛隊がもし攻撃されるなら堂々と反撃してせん滅したらいい」と発言しました。そればかりか、七日には、外国の軍隊が攻撃されたときも自衛隊が援助する、すなわち、外国の軍隊といっしょにたたかうんだとまでいいました。まさに、憲法を二重三重にふみにじる絶対にゆるされない発言です。
 民間人を無差別に殺傷するテロが許されないことは当然ですが、イラクでテロと暴力が蔓延する事態をつくりだしているのは、米英軍による無法な侵略戦争と不法な占領支配にあります。この不法な占領支配に、日本が軍事力をもって荷担することは、米英軍の軍事占領に反対しているイラク国民はもとより、イスラム諸国民全体からも、日本が憎しみの対象にされるという、とりかえしのつかない結果をもたらすことになります。また、日本と東京がテロの標的とされる危険をみずから招きよせることになりかねないではありませんか。
 しかも、イラクの状況は、米軍自身「全土が戦争状態」と認めざるをえないほど、深刻化の一途をたどっています。ここに自衛隊を派兵すれば、戦闘行為につながる危険を自らつくりだすことはいうまでもありません。
 知事の発言は、戦争をしない軍隊はもたないときめた憲法第九条をふみにじり、日本の軍隊が戦後はじめて他国の領土で他国民を殺害するという、おそろしい道に日本を引きこむことを督促するものであり、憲法、そして都民のいのちと安全をまもるべき知事として、断じて許されるものではありません。
 すでにわが党は文書をもって撤回をもとめましたが、あらためて知事のイラクへの自衛隊派兵と、自衛隊の戦闘行動を容認する発言の撤回をもとめるものです。答弁をもとめ、再質問を留保し、質問を終わります。

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【再質問】

 知事に再質問をいたします。
 まず第一に、認証保育所の問題です。
 知事は、都政の強みは現場を持っていることだとおっしゃいましたが、私立認可保育園の現場について、全く知事はわかっていません。認証保育については知事は相変わらず礼賛をしていますが、利用者の大多数は、質の高い認可保育園に入りたくても入れないために認証保育所を利用しているのが実態なんです。このことをはっきり申し上げておきたい。
 それから、新銀行についてですが、私は、金融庁からの聞き取りや金融専門家の協力も得て、新銀行のスキームの分析を行って、このスキームでは、貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいる業者の救済とならないことを指摘しました。ところが、知事はこのことに全く答えていません。
 改めて聞きますが、新銀行のスキームで想定している程度の引当金では、多くの要注意先や要管理の企業の融資の要望にこたえることができないことは明らかであります。
 もう一つ、成長産業や優良企業だけではなく、貸し渋りでどこに行っても融資を受けられない商店街の八百屋さんや魚屋さん、不況業種の建設業者の場合でも融資するのかどうか、以上二点について明らかに、明確に答えていただきたい。
 最後に、イラクについての発言についてですが、もちろん、無差別に民間人を殺傷するようなテロが許されないことは自明のことです。しかし、だからといって、イラクに自衛隊が出かけていって武力でせん滅しようとするなどというのは全く言語道断です。
 しかも、自衛隊が平和目的で行くといいますが、イラクは今、事実上の戦争状態です。実際には、平和目的どころか、米英の占領支配に加担をするにほかなりません。占領支配に協力をするようなやり方でのイラク派遣が憲法違反であることは明らかです。知事があくまで、憲法は認めない、超法規だというなら、民主国家の知事としての資格がない。
 あなたはやめるしかありません。(拍手)

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【答弁部分】

〇知事(石原慎太郎君)
 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 初めに、保育における現場実態の把握についてでありますが、東京都の強みは、国と違いまして生々しい現場を持っていることであります。福祉施策においても、現場の実態を把握し、適切な対応を行うことが大切であると思います。
 大都市東京としての現場の声を踏まえて創設した都独自の認証保育所は、都民ニーズにこたえ、発足後わずか二年で百八十九カ所も開設となりました。これはたしか共産党は最初から反対でありましたでしょうがね。この結果を見ても、あなた方がいかに大方の正義からずれているか、大きな現実からずれているかの一つ証左だと思います。
 現行の認可保育所は全国画一的な制度でありまして、多様な保育ニーズにはこたえておりません。また、現行のサービス推進費補助も画一的な補助でありまして、質の高いサービスの提供には結びついておりません。利用者本位の新しい福祉を実現するためには、これら都民ニーズに対応できていない制度は何としても改革すべきであります。
 今後とも、福祉改革を強力に推進するとともに、国に対して保育所制度の抜本的な改革を強く求めてまいります。
 次いで、固定資産税などの軽減措置についてでありますが、小規模住宅用地などに対する都独自の軽減措置のあり方については、社会経済状況の変化などを踏まえた不断の見直しが必要であると考えております。
 平成十六年度の取り扱いについては、景気の状況、都の財政状況、国の税制改正の動向なども勘案し、判断していくつもりでございます。
 第二次都庁改革アクションプランについてでありますが、厳しい都財政の中で、治安対策や少子高齢化への対応など、都政を取り巻く課題は非常に多うございます。
 東京の再生と都民サービスの充実を目指し、アクションプランを策定したものでありまして、その着実な実施により、都民ニーズに的確にこたえられる都庁づくりを進めていくつもりでございます。
 次いで、都財政の立て直しと第二次財政再建推進プランについてでありますが、まず、これから進めようとしている財政再建は、お話のように都民施策の切り下げなどではなくて、都民ニーズの変化にこたえ、東京の活力を呼び戻す施策の財源を生み出すための将来を見通した積極的な取り組みであります。
 このためには、経常的経費、投資的経費を問わず、あらゆる施策及びその執行体制などについて新たな発想で見直すなど、財政の弾力性を回復して持続可能な都財政を構築し、都の実情に合った施策を自主的に展開できる基盤をつくっていくことが重要であり、それが都政の構造改革であると思います。
 また、国直轄事業や首都高速道路の整備は、東京における社会資本の整備に必要な緊急性の高い事業であります。
 今後とも、国と連携して進めてまいりますが、これまで以上に事業の内容や負担割合などに都の意向が十分反映されるよう、積極的に働きかけてまいります。
 次いで、ダムの開発についてでありますが、繰り返して申しましたけれども、水はまさに政の根幹でありまして、安定的な給水を確保する上で必要な水源を開発し確保することは、国や自治体の重要な責務であります。これまでも、水源地の理解と協力を得ながら、国や関係自治体とともに必要なダム開発を推進してまいりました。
 水源確保については、将来の水需要や渇水に対する安全性などを総合的に検証し対応しておりますが、八ッ場ダムは必要不可欠なダムと承知しております。
 一方、戸倉ダムにつきましては、参画を見直す方針であります。
 新銀行の設立についてでありますが、共産党は、よろず経営能力があるとはとても思えません。極めて保守的な、非革命的な政党と私は承知しておりますが、新銀行は、貸し渋りや貸しはがしに苦しむ中小企業に対して、地域金融機関と連携し、生きた資金を迅速かつ円滑に供給するため、これまでにない新たな金融商品を積極的に提供してまいります。
 また、交通機関や百貨店などと提携した全く新しい多機能ICカードの発行によりまして、生活に密着したさまざまな場面で利用できる新しいサービスを生み出し、豊かな都民生活の実現に貢献するものであります。
 これを中止する考えは全くございません。
 次いで、イラクへの自衛隊派遣についてでありますが、この間、曽野綾子さんが、アラブ系のテロについておもしろい分析をしております。
 彼らが攻撃の対象としているのは、アメリカ、イギリス両国に関係ある者、両国と友好関係にあるアラブの国や組織、国連関係機関、赤十字、キリスト教、国内では、対立部族、宗派の違う者、利害関係で対立している者、外国資本と関係ある者、アメリカや西側で教育を受けた官吏、警察官、アラブ名前でない者、肌の白い人、ひげのない男、金持ち、身持ちの悪い女、理由はないが気に食わないやつ、一切合財すべてをねらい撃ちの対象にしており、つまり、ほとんどの世界を相手にテロを行っているわけで、結局、せんじ詰めれば、彼らの目的は、この世の中に無秩序を招来するということなんでしょう。
 実態を見ますと、彼らがあの暴力行為を阻止して守るべき市民というのはどこにあるかわからない。つまり、守るべき市民はない。これは結局、非常にその行為が無責任というものにならざるを得ない。
 今回、イラクの再興のために、病院であるとか学校の復興あるいは道路、橋の修復、そういったもののサポートに自衛隊は行くわけでありますけれども、これはあくまでも、だれのためでもない、イラクの国民のためのものでしょう。それを妨害するのは、これはすなわち、イラクの国民にテロたちは反逆し、彼らを損なおうとしている。これを守るということは、私は、だれのためでもない、イラクの国民のために自衛隊は行動するわけですし、それを否定するいわれは私は全くないと思います。
 こういう国際情勢にあって、我々が、テロ防止も含めてイラクの復興再建に全力で取り組むのは、国際社会の一員として当然の義務であります。ゆえにも、テロ、おどしに屈することなく(発言する者あり)国連自体が攻撃されているんだよ。復興支援のため自衛隊を派遣することは、イラクの平和実現のためにも、テロ撲滅のためにも不可欠であると思います。万一攻撃された場合は、イラクの国民のためにも正々堂々と反撃することは当たり前ではありませんか。
 かつて、司馬遼太郎さんが、日本人というのは不思議な国民で、ある種の日本人にとっては、いたずらな観念の方が、はるかに目の前の現実より現実性があるんだということをいっていましたが、確かにそうであります。あなた方が今死守しようとしている、社民党もそうですけれども、日本の憲法なるものは一体いつの時点でだれがつくったかということを反省したい。
 田中美知太郎さんという哲学者は非常にいいことをいわれました。憲法に、平和を標榜し、平和をうたうことで平和が維持されるなら、こんなやすいことはない。だったら、日本はいつも毎年台風に傷められておりますけど、日本に台風は来るべきでないと憲法にうたったら台風が来ないか、日本は有数の地震国でありまして、日本に地震はあってならないと憲法にうたうことで地震が起こらないか、そんなことはあり得ないでしょう。
 あなた方は、そうやって前回の選挙も、要するにそういう表示したように、いたずらな全く現実性のない観念にすがることで自分自身をへずっていくわけで、遠からず、社民党も共産党も消えてなくなるかもしれませんが、私、それはむべなるかな、歴史の蓋然、必然だと思っております。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。

〇教育長(横山洋吉君)
 三十人学級についてのお尋ねでございますが、他の道府県が地域の実情に応じて学級編制の弾力化を実施していることは十分承知しておりますが、都教育委員会としましては、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要であると考えておりまして、学級編制基準は、国の標準も踏まえて引き続き四十人とすることが望ましいと考えております。
 一方、義務教育における基礎、基本の定着が重要な課題でありますことから、きめ細かな指導を行うため、教科等の特性に応じ、習熟度別学習集団など、学級とは異なる多様な学習集団が編成できるよう少人数指導の充実に努め、教育の向上を図っているところでございます。

〇生活文化局長(三宅広人君)
 私学助成についてのご質問にお答えいたします。
 都は、これまでも、公立学校の運営経費を基礎とした標準的運営費方式を踏まえつつ、時代の変化に即応しながら、より適正かつ効果的な補助のあり方について見直しを行い、施策の展開に努めてまいりました。
 今後とも、社会経済状況の変化に対応しつつ、適切に対処してまいります。

〇福祉局長(幸田昭一君)
 福祉施策に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、心身障害者児通所訓練等事業についてでございますが、都は、法外の小規模作業所などについて、法内の小規模通所授産施設と同水準の運営費補助を行っておりますが、これは国の補助基準額を大幅に上回るものであり、加えて、独自に施設整備費の補助も実施しております。
 今回の見直しは、特別区においては補助率が平成十二年度から二分の一となっていることなどを踏まえ、市町村への補助率を現行の三分の二から二分の一とすることを提案したものであります。補助水準を変更するものではなく、小規模作業所の運営に影響を与えることはないと考えております。
 次に、保育に関する民間社会福祉施設サービス推進費補助についてでございますが、都は、これまで、認可保育所に対して、ゼロ歳児保育や延長保育を実施するために、国基準を大幅に上回る手厚い独自の運営費補助を行ってきましたが、現状の実施率は低く、都民が求める切実な保育ニーズに十分こたえていないのが現状であります。
 また、現行の民間社会福祉施設サービス推進費補助は、職員の平均経験年数に基づく補助となっておりますが、職員の経験年数が長いからといって、質の高い保育サービスの提供につながっているとは必ずしもいえないと考えております。
 こうしたことを踏まえ、今回の再構築は、都として望ましいサービス水準を確保するとともに、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われる仕組みとするものであります。
 この再構築により、各施設において、都民ニーズに応じた多様な保育サービスが提供されるとともに、施設運営の中核を担う質の高い人材を確保することも十分に可能であり、保育の質の低下につながるとの批判は当たりません。
 次に、保育所に対する補助の拡充についてでございますが、都は、真に必要な認可保育所の整備については、保育の実施主体である区市町村の要望を踏まえて、これまでも的確に対応してまいりました。
 また、先ほど述べましたように、認可保育所に対しては、都独自の手厚い運営費補助を行ってきましたが、ゼロ歳児保育や延長保育など、都民ニーズに十分にこたえていない状況にございます。
 今回の民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築は、こうした取り組みについて、努力加算を設けることにより、施設のサービス向上に向けた努力が真に報われる仕組みとするものでございます。
 次に、民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築案についてでございますが、今回の再構築に当たりましては、これまで、現場で、利用者のニーズや状況を把握されている施設代表者の方々と懇談会を設け、昨年の八月から十二回にわたりまして、真摯に意見交換を積み重ねてまいりました。
 その結果、既に十一月の懇談会で施設代表者との合意を得ており、再検討する考えはありません。
 最後に、小学生の医療費の無料化についてでございますが、これまでも、都は、子育て家庭への経済的支援を目的として、乳幼児医療費助成制度の充実を図ってまいりました。
 対象年齢については、平成十三年十月に、小学校就学前までに拡大をしており、さらに拡大する考えはございません。

〇産業労働局長(有手勉君)
 制度融資の拡充についてのご質問にお答えいたします。
 都は、国に先駆けまして、中小企業者の方の借りかえ需要にこたえ、借りかえ融資を昨年十月から実施しておりますが、お話の金融機関のプロパー融資を都の借りかえ融資に含めて一本化する制度は、金融機関の自己責任で融資した部分まで都が損失を補てんする義務を負うことになるため、実施できないと考えております。
 緊急の資金需要についても、昨年十月より、つなぎ融資を実施しておるところでございます。
 また、制度融資の場合、第三者保証につきましては、五千万円以下の融資の場合は、原則として不要としてございます。
 このように、都は従来から、中小企業の資金需要を的確に把握し、制度の改善、拡充を図ってきたところであり、今後とも適切に対処してまいります。

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【再質問答弁】

〇知事(石原慎太郎君)
 再質問に事欠いて、わけのわからない、つまらない演説をしない方がいいよ、本当に。
 あなたは金融庁、金融庁というけど、あなたは金融庁をそんなに信頼しているんですか。あんなものは当てにならないから、私は新銀行をつくる決心をしたんです。それについては(発言する者あり)知っていますよ。論拠はあるんで、詳しいことは出納長から説明をさせます。
 それから、ついでですよ、憲法、憲法とおっしゃるが、あの憲法を共産党は最初反対したじゃないか、上程されたときは。
 いずれにしろ、あなた、見てきたらいい。トム・クルーズの主演している「ラスト サムライ」というのがある。若い人たちは泣いているよ。何に感動するかといったら、君らも含めて大方の日本人が忘れたものを思い出させてくれるから。侍、武士道というものはやっぱりこの日本から失われていること。だから、自衛隊が行って、友軍が攻撃されているときに、それを助けなかったら侍じゃないんだよ。国民全体が、日本、国が恥をかくんだ。
 引当金については、出納長から詳しく説明いたします。
   〔発言する者あり〕

〇出納長(大塚俊郎君)
 新銀行関連の質問についてお答えを申し上げます。
 PL、BS、あのスキームの中に入っておりますから、それを前提に一定の検証なり何なりは恐らくされたんだというふうに思います。ただ、残念ながら、あのPL、BSを見ただけで、曽根議員がおっしゃっているような結論を出すためには、一定の仮定と前提で、本当に乱暴にデータを整理しないと出てこない。
 引当率のお話で申し上げますけれども、例えば地銀の一般貸し倒れ引当率、平均で〇・九%です。それは(発言する者あり)〇・九%です。私は数字を持っておりますので。その〇・九%という数字は、全体の融資の中で、いいものもあれば悪いものもあり、あれこれある中で〇・九%の引当率。これに対して新銀行の引当率は、一般貸し倒れ引当率ですけれども、それだけで申し上げますけれども、地銀の三倍の引当率をあのPL上は積んでおります。ですから、融資金額全体では、三期目の数字というのは約九千億円ということでPL上は出しておりますけれども、その九千億円は、やはりいろいろなポートフォリオの中での九千億であります。
 ですから、その貸し倒れを二・六%を想定した引当率というのが、この金融界の中でいかに高い引当率かということは、これは金融庁のどなたにお聞きになったんだかわかりませんけれども、そんなふうなことをおっしゃるはずがないというふうに、もし仮に金融庁が、これだったら絶対に、貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小零細企業に貸せないというふうに金融庁のどなたがおっしゃったんだかわかりませんけれども、もし名前がわかるんでしたら私にお教えいただきたい、後ほどで結構です。
   〔発言する者あり〕