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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


本会議 討論 二〇〇三年十二月十七日

東ひろたか(江東区選出)

二つの「プラン」にもとづく都民施策のきりすてやめ、新銀行は中止し、くらし、福祉優先の行財政運営を


 日本共産党都議団を代表して、第二百二十七号議案「保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例」ほか十四議案に反対する立場から討論をおこないます。
 今定例会に提出された、多摩地域の保健所を統廃合するための改定条例、都立としての大森、吉祥寺の養護老人ホームを廃止する改定条例、さらには、都立大久保病院を公社化するための改定条例などは、いずれも、都民施策の切りすてと都立施設からの撤退をうちだした「第二次財政再建推進プラン」と「第二次都庁改革アクションプラン」にもとづくものであり、都民生活への影響とともに、今後の都政運営のあり方にかかわる重大な議案です。
 まず、保健所の統廃合ですが、これは、現在、多摩地域に十二カ所ある都立保健所を当面七カ所、将来的には五カ所に縮小するもので、多摩地域住民と関係市町村からつよい、反対の声があげられてきたものです。
 そもそも保健所は、健康局の「事業概要」でも「地域における保健衛生行政の中核的機関」として、「地域住民の健康の保持及び増進を図るため、地域住民の日常生活に密着した多種多様な保健衛生活動」をおこなうとされているもので、都民が健康に暮らしていくうえで必要不可欠な事業です。
 しかも、質疑のなかで明らかにされたように、保健所の役割は、都民生活の多様化にともない精神保健、難病対策などにとどまらず食品の安全、サーズ、結核、エイズなどの感染症、シックハウスなど、あらたな広がりをみせています。縮小どころか拡充こそがもとめられているのです。
 今回の統廃合がおこなわれることになれば、一つの保健所が第二次医療圏に対応する広大な地域をうけもつことになり、食品衛生法にもとづく食品監視区域はこれまでの二・五倍にひろがります。地域での講習会や訪問活動、自治体との連携などの活動も、このような広大な区域が対象では、要望にこたえることもできなくなってしまいます。
 都は、市町村との合意に達したといっていますが、あくまで「やむなく合意」したものであり、これまで市町村がいっかんして反対の態度をつらぬいてきた経過から見ても、都が力づくで押し切ったというのが事実ではありませんか。保健所の統廃合に反対するものです。
 大森と吉祥寺にある都立養護老人ホームの民間移譲による都立施設からの削除も認められません。この二つの施設は、都立の施設として広域的役割を果たしてきており、これまでもホームレスなど全都にまたがる地域からの入所者を受けいれてきました。今後、民間に移譲されることになれば、採算性が優先され、これまでのように広域的な受け入れなどできなくなることは明らかです。知事が「現場」を持つつよみというのであれば、こうした施設こそ、「現場」そのものであり、都立施設としての存続をもとめるものです。
 都立大久保病院の「保健医療公社」への移管も、都のこの分野の負担をいかに軽減するかということを最優先したものであり容認できるものではありません。
 二つのプランは、福祉施設にとどまらず、各種の都立施設をやり玉にあげて、廃止をふくむ見直しをつよくせまっています。しかし、都立の施設は、それぞれ都として運営にあたるべき独自の性格や広域性をもっているもので、そのことを正当に評価することなく、廃止だとか民営化などというのは許されません。
 「第二次財政再建推進プラン」が名指しした「長期継続」「高率」「少額」などの補助金の見直しについても、看過できない重大問題として、きびしくただしました。
 なかでも、都が強引におしすすめようとしている私立保育園などへのサービス推進費補助の見直しは、経験豊かな保育士を確保する保障をなくし、補助金がおおはばに削減するものであり、財政基盤のよわい私立保育園は、経験豊かな保育士を確保できなくなり、職員の待遇のひき下げやサービス水準の後退を余儀なくされることになりかねないものです。
 知事が保育水準を問題とするのであれば、おこなうべきは、保育を後退させる見直しではなく、ゼロ歳児保育や延長保育などの事業の拡充と、職員がはたらきつづけられ、経験豊かな職員の配置による保育の質の両方の確保という、わが党の提案こそが問題解決の道であることを重ねて表明しておくものです。
 都はまた、私学助成を三十項目の見直しの一つとして例示するとともに、すでに区市町村に対して、十八項目から二十八項目の各種補助金の見直しを提案しています。
 このように、二つのプランにもとづく、各種の補助金の見直しが「聖域」なしにおこなわれるようなことになれば、福祉をはじめとする都民のための施策は、のきなみ国基準なみ、もしくは国基準以下の水準に後退させられることは明らかです。
 そもそも、都単独の独自補助や国の補助への上乗せなどをはじめたのは、国の施策の範囲では、家賃や物価など全国と比べて割高な東京に暮らす都民のくらしや福祉をまもることが困難だったからにほかならず、その役割は今日なお減じていません。
 石原知事がすすめるこれらの「改革」は、住民サービスからの撤退と公共分野の民間へのあからさまな開放をもとめた経済同友会など財界の意向にそったものであり、そのやり方をふくめて都民とのあいだの矛盾と怒りをひろげずにはおかないでしょう。
 戸倉ダムの中止など、むだな公共事業の見直しは押しとどめることのできないおおきな流れになっています。こうしたもとで都政にもとめられることは、今日の都財政難の真の原因である「都市再生」をはじめとする大型公共事業をどう見直すのかということです。しかし、石原知事は過大な水需給計画にもとづく八ツ場ダムの負担金の二倍化という、とんでもない国の要求に唯々諾々としてしたがうことを表明、これに同意する案件を議会に提案しました。また、議会中には、羽田国際空港の再拡張のための千億円の無利子貸付をこれもいとも簡単に承認してしまいました。また、都は首都高速道路品川線の事業化にむけた大橋ジャンクション地域の再開発など、巨額の財政支出をともなう大型公共事業をあいついで着手しようとしています。
 これでは都財政の立て直しどころか、これまで以上に借金依存型の都政運営を余儀なくされることになるではありませんか。あらためて都民のくらし、福祉優先の行財政運営に立ち返ることをもとめておくものです。
 さて、今定例会でおおきな議論となったのが、新銀行の問題です。
 この問題で、わが党は、金融機関や専門家、金融庁などからのヒヤリングや調査にもとづいて、独自に都が発表したスキームの分析をおこない、必要な引当金が計上されていないことなど具体的事実にもとづいて質しました。
 出納長室は委員会でのわが党の質問に対して、「破たん懸念先には貸さない」と答弁し、はじめて公式に、新銀行が貸ししぶり、貸しはがしに苦しむ中小業者に貸しださないことを認めました。
 くわえて、ゆるされないことは、出納長がわが党の質問に対して、地銀の一般の貸し倒れ引当率が〇・九%であるのに対して、新銀行がその三倍引き当てているといって、新銀行が貸し渋り、貸しはがしに対応しようとしているかのように強弁したことです。しかし、事実は、出納長室がその後、提出した資料がしめしているように、全体の引当率は地銀、新銀行とも同水準であり、くわえて、貸し渋りや貸しはがしの被害をうけた中小業者に貸しだすとすれば、当然、引き当てなければならない個別貸し倒れ引当金が、地銀は一・六%であるのに対して、新銀行は〇%と一円も予定していないということです。
 知事、銀行という金融業は、「住民の福祉の増進」を使命とする地方自治体が手を出すべきものではありません。しかも、知事が公約した貸ししぶり、貸しはがしにはまったく役立たないものであることが、ここまで明らかにされた以上、新銀行をただちに中止すべきであります。
 最後に、小泉内閣が自衛隊のイラク派兵を決めたことに対して、批判と反対の声が国内外でたかまっています。ところが、石原知事はこうした声に耳をかたむけるのではなく、イラク派兵をあおり、もし自衛隊が攻撃をうけたら相手を「殲滅」すべきであるとか、さらに外国の軍隊が攻撃された場合も反撃すべきなどという発言を撤回することなく、くり返しています。これは、戦争をしない、武器をもたないとした憲法をあからさまに踏みにじるものであり、自治体の長として、断じて、許されないものです。
 わが党は、自衛隊のイラク派兵に断固反対するとともに、石原知事の知事の立場を利用した反動政治の推進をゆるさず、くらし、福祉優先の都政を実現するために全力をつくす決意を表明して、討論を終わります。