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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


本会議 中途議決・討論 二〇〇四年三月十一日

池田 梅夫(豊島区選出)

二〇〇三年度補正予算案・・・事業費のすべてが大型開発中心

 私は、日本共産党を代表して第百五十四号議案「平成十五年度一般会計補正予算」および「東京都組織条例の一部を改正する条例」ほか、四議案に反対する立場から討論をおこないます。
 未曾有の不況とリストラ、小泉政権による年金、医療をはじめとする、社会保障の連続的改悪など、都民のくらしと営業は、年をおうごとに、その深刻さをましています。また、多国籍企業のためのグローバル化の進展のもとで、富めるものは、ますます富み、貧しきものは、ますます貧しさをますという、経済の二極化がすすみ、都民の生活をいっそうきびしものとしています。
 憲法二十五条がさだめた、「健康で文化的な最低限の生活」すら、維持できないような事態が進行し、「年金だけではくらしていけない」「医者にかかりたくてもかかれない」「失業保険がきれてどうしたらよいのか分からない」などの声が、まちにあふれています。
 このようなときに、都政にもとめられていることは、たとえ財政がきびしくても、地方自治法の「住民の福祉の増進」の精神にたちかえって、 福祉、医療、教育、中小企業など、都民のくらしと、営業をまもるために全力をつくすことです。
 ところが、石原知事が提案した補正予算案は、「都市再生」が、最大の柱として位置づけられ、失業者のための生活支援や雇用対策、介護保険の負担の軽減や、小学生への医療費助成、三十人学級、商店街支援、鳥インフルエンザ対策など、都民が切実にもとめている施策の拡充には、一円の予算も計上されていません。
 その一方で、骨格幹線道路に三百八十五億円、首都高速道路への出資に百十四億円など、事業費のすべてが、大型開発を中心とした投資的経費でしめられ、補正予算とはいえ、このような予算の編成のあり方は、かつてないことであり、異常というほかありません。
 また、知事は、わが党の代表質問に答えて、「就任以来、将来の財政負担に配慮して、都債の発行を抑制」しているといわれましたが、この補正予算では、大型幹線道路などの借金を中心に、五百十二億円も都債がつみましされ、二〇〇三年度の都債発行額は、知事が最初に編成した二〇〇〇年度よりも、一千億円もうわまわる四八六二億円にたっしています。借金返しのための公債費も、一般会計予算の一割の四千七百億円にふくれあがり、都民施策をおおきく圧迫するものとなっています。
 二〇〇三度補正予算案は、大企業とゼネコンのための、公共事業拡大予算というべきものであり、この方向をつづけるならば、都民施策はおおきく犠牲にされ、都財政も再建どころから、借金依存をいっそうつよめるものとならざるを得ません。
 組織条例の一部改正案は、都市計画局と住宅局、建設局の一部を統合し、「都市整備局」とするものですが、これは、石原知事が財界と一体となっておしすすめている「都市再生」を本格的に推進するための組織整備という性格の色合いがつよいものであり、くわえて、重大なことは、都民生活の根幹にかかわる住宅局を廃止することです。
 都は、これまでに都民の住宅要求に背をむけ、都営住宅の新規建設から撤退してきましたが、委員会の質疑をつうじて、この組織改定によって、「都市再生」の名のもとに、公的住宅にたいする都の責務がなげすてられ、住宅行政そのものが、後景におしやられる危険が明らかにされました。
 福祉局と健康局の統合は、この間の、「財政再建推進プラン」と「都庁改革アクションプラン」にもとづく、福祉、医療分野の施策の「見直し」、きりすてのいっかんとして実施されるものであり、統合によるメリットどころか、さらなる都民施策の後退につながることはさけらません。
 提案されている補正予算案、および組織改正条例案は、いずれも、石原知事の「都市再生」をおしすすめるための提案であり、この方向は、都民のくらし、都市環境、都財政などをいっそう悪化させ、矛盾を拡大せざるを得ないことを指摘して討論を終わります。