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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


2004年第1回定例会 文書質問

大山 とも子(新宿区選出)

一、都営住宅の活用について

 都営住宅の新規建設が停止され、石原都政は発足以来、2004年度予算も含めて5年間、都内に新規建設による新たな都営住宅をただの1戸もつくってきませんでした。とりわけ新宿区内では、1978年以来1戸の新築住宅もつくられていません。そんな中で、都民にとって、都営住宅が増える唯一の機会が建て替え事業です。
 現在、新宿区内では百人町にある戸山アパートの建て替えが順次終了しており、シルバーピアは公募に出され、従前居住者以外に新たな居住者が入居することができ、喜ばれています。しかしシルバーピア以外は、従前居住者の戻り入居のみで、多くの住戸が空き家のままとなっています。その空き家は3月現在約120戸あります。「せっかく建て替えた都営住宅をどうして空き家にしておくのか、都民の大切な財産ではないか」という都民の批判は、当然のことです。
 また、同じ新宿区内で弁天町アパートが現在建て替え工事が進められており、もうすぐ出来上がるところです。工事を間近で見ている近所の方々は、申し込めることを心待ちにしていました。ところが、ここも事業用として公募に出さないといわれており、戻り入居以外の住戸は空き家のまま放置されることになることが心配されます。「どうして公募しないのか」と、ここでも多くの方々から疑問と批判の声が寄せられています。
 住宅局は、百人町も弁天町も事業用で2年間は公募に出さないといいますが、その一方、この2年間で、新宿区内にも周辺区にも建て替え計画はないことを認めています。しかも、すでに百人町アパートでは、2年をこえ長いところで3年も空き家のままになっている状況です。

Q1、百人町アパートでは、2004年3月1日現在、どの住戸が空き家になっているのか、その中で事業用はどこか、明らかにしていただきたい。

Q2、弁天町アパートの総戸数は84戸と聞いていますが、戻り入居を予定しているのは何世帯か、直近の状況をお答えください。

Q3、百人町アパート、弁天町アパートの空き家は事業用との説明ですが、具体的にどこの事業用に使うのか、明らかにしてください。

 新宿区内はもちろん都内では、若い世帯も高齢者も都営住宅を必要としている人は増えており、都営住宅に入りたいというのは本当に切実な要望となっています。
 新宿区は住宅相談を行っていますが、住み替えを希望する理由は立ち退きを求められているケースとともに、家賃が高い、環境改善などが高い割合を占め、年齢層は60歳代70歳代が半数以上を占めています。また、希望家賃は6万円未満で半数以上を占めています。しかも、住宅相談はするものの実際に住み替えることができた方は、今年度ではわずか7世帯のみです。つまり、都営住宅階層の方々が住居を借りようとしてもほとんどないということなのです。
 私どもの住宅相談会に来所する方も、4.5畳や6畳一間に居住している高齢者が少なくありません。また、離婚して、保育園と小学生の3人の子どもを育てているお母さんは、登録型の派遣労働者で複数の派遣会社に登録し、パソコンの技術も専門学校に通ってスキルアップしたが、昨年の8月以降仕事があったのは3週間のみという状況です。離婚前に借りているマンションのため、家賃は15〜16万円、家賃がおおきな負担になっています。蓄えもほとんどなくなり、何とか都営住宅に入れないかと必死です。社会経済状況から言っても、都営住宅は切実に求められているのです。また、年金に入っていない67歳の女性は、午後から飲食店の洗い場で夜中の12時頃まで働いています。夜が遅い仕事なので、風呂が無いと困るので、住んでいるアパートは9万円の家賃です。「いつまで働いていられるか心配です」と、彼女は語っています。そのほかにも高齢の単身者が多く、長年通っている病院の近くから離れられない、友達と離れたくないなど、住みなれた地域から離れることは簡単にはできません。
 このように、都民の切実な住宅要求を見るならば、都営住宅の空き家をこのまま放置しておくことは絶対に許されません。現在工事中の百人町4丁目第2アパートだけでも304戸が予定されており、移転予定の世帯は約180世帯です。十分、公募に出せる数はあるはずです。

Q4、百人町アパート、弁天町アパートとも早急に一般公募に出すことが切実に求められています。事業用だといっても、現時点で具体的な使い道がないのですから公募に出すべきです。また、具体的な使い道があるなら必要な戸数を精査し,それ以外は直ちに公募に出すことを求めます。お答え下さい。

 北新宿地区再開発事業では、当初再開発住宅をつくると約束していたにもかかわらず、約束を破って再開発住宅はつくらないことになってしまいました。直線距離にして1km程度しか離れていない百人町アパートには、事業用だという理由で確保されている空き家が多くあるにもかかわらず、はるか離れた亀大小、また白鬚などの再開発住宅を紹介しているのも、おかしなことです。区内にある都営住宅はほとんど紹介されません。
 その結果、98年5月の段階でこの地域に221人いた借家人のうち、区の事業用住宅含め区内に残ることできたのは、予定を含めてわずか13人のみです。住民は追い出さない、住み続けられる地域をつくるという当初の都の説明にてらしても全く約束違反と言わざるを得ません。仕事上からも新宿を離れられないという方は、仕事が休みのときには不動産屋を回っています。友達がいないところにはとても引っ越せないという高齢者など、多くの方々が途方にくれています。
 百人町アパートや弁天町アパートの空き家は事業用だと言うなら、目前にある困難な状況にこそこたえるべきではないでしょうか。

Q5、北新宿再開発での区内都営住宅への転居希望者は、百人町アパートや弁天町アパートを活用することが必要だが、どうですか。

 住宅変更を希望している人のために、空き家を活用することも重要です。
 建て替え前の戸山アパートにはエレベーターがないため、住宅変更を希望する高齢者、障害者は多くいます。しかし、戸山アパートで住宅変更を出しても建て替えた百人町アパートへの住宅変更は、空き家があるにもかかわらず認められず、長期間待たなければなりません。
 4階に住んでいる夫婦は、妻が心臓病で2度も入院し4階までの階段の上り下りはとても困難です。建て替えによる住み替えまではまだ2年もあるので、昨年の7月に住宅変更を出しましたが、いまだに住宅変更はできず、通院さえも大変な状況になっています。いずれにしても建て替えれば新しいところに住み替えるのですから、すでに出来上がって空き家になっているところに変更してくれてもよいではないか、という思いはごく自然ではないでしょうか。
 このようなケースはこの方だけではありません。戸山アパートで住宅変更を提出している方は2004年3月時点で17人、待ち期間の一番長い人は、3年以上にもなっています。住宅変更の理由は切実なものばかりです。

Q6、戸山アパートで、住宅変更を提出している方には、百人町アパートの空き家になっているところを紹介することを求めますが、いかがですか。

Q7、この問題は新宿区内だけの問題ではありません。空き家の状況を全都的に調査し、活用することを求めます。

Q8、同時に、空き家の活用だけでは都民の都営住宅要求の根本解決はできません。都営住宅の新規建設、とりわけ25年間も新規建設が行われていない新宿区内に早急に新規建設を行うことを求めます。

 以上、述べましたように、都民福祉の基本である住宅問題解決に直ちに踏み出すことを求めて質問を終わります。