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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


2004年第1回定例会  文書質問

清水 ひで子(八王子市選出)

30人学級の実施について

 わが党は30人学級について、その必要性の根拠も示して、これまで繰り返し実施を求めてきました。これに対し教育庁は、学習集団としての少人数学級についてはその効果を認めていますから、のこされた不一致は生活集団として、少人数学級が適切であるどうかという問題です。

 わが党は本会議代表質問で、社会の激変が子どもたちの心と生活に大きく影響し、心の不安定な子どもや、学校の授業に集中できない子どもが増え続けている問題などを指摘し、学校での子どもの集団の基礎単位である学級を、生活集団としても、担任教員の目がゆきとどき、きめ細かく個別に対応できる規模にしていく必要があることを明らかにしました。
 さらに最近の研究や調査では、少人数学級は、生活集団としても子ども達にとって良い効果があることが明らかになってきています。
 第1に、学級崩壊の増大をどうふせぐかという問題で、25年間にわたって全国の子どもの「体」を調査している日本体育大学名誉教授の正木健雄氏は、「集中力が弱く落ち着きもない」いわゆる「そわそわ型」の子どもは、小学校に入るとぐっと減っていくというのがこれまでの傾向でしたが、最近は、小学校に入学しても「そわそわ型」の子どもが4割から5割に及んでおり、「そういう子は教師の話を1分くらいしか聞き続けられない」と報告しています。「小学校低学年で問題の学級崩壊の実態はこれだ」と述べています。
 さらに最近指摘されているのが、学校の授業に集中できず動き回る「多動性」などの子どもが増えている問題です。「知的な発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難を示す」と通常学級の担任等が回答した子どもが、都の調査でも4.4%存在しています。特別支援教育が始まったとしても、この子どもたちの大部分は、通常学級に在籍します。こうした教室を飛び出したりする子どもの周りに、そわそわ型の子どもたちが学級の半数もいることは、事態を深刻にしています。だからこそ、少人数学級にして生活集団も小規模にして、きめ細かい対応をすることが求められているのです。
 国立教育政策研究所の研究でも、生活集団としての少人数学級の効果が明らかにされています。たとえば、「友達のせいで授業に集中できない」とか「間違えたときに笑われたり、冷やかされた」などの、いわゆるネガティブな経験は、少人数学級ほど少なく、大人数の学級ほど多くなっています。逆に、「友達が困っているときに、誰かが助けた」とか、「自分のクラスはまとまって感じる」などのポジティブな意見は、少人数学級のほうが大人数学級より多いという違いが明らかにされています。これは、小中学校ともに共通していると指摘されています。
 実際に少人数学級に踏み出した自治体では、教育実践としても成果が確認されています。長野県では学習効果とあわせて「基本的生活習慣が定着した」「仲良く遊んだり、学級の問題をみんなで話し合うなど、学級のまとまりがよくなった」など、生活集団としての効果が確認されています。山形県でも同様の報告がされています。
 生活集団の問題をもって、少人数学級をこばむ理由はどこにも見あたりません。

:知事、すでに少人数学級に踏み出している道府県は、知事の決断でスタートしています。都として少人数学級に踏み出すよう知事が決断すべきですが、答弁をもとめます。
 また、少人数学級にふみだした山形県の知事は、「橋の1つや2つ遅らしても」と、子どもたちの教育に、優先して税金を使うことを表明しています。たとえ財政が厳しくても、子どもたちの教育に財政を使う、ここに自治体として求められる原点があります。知事がこの原点に立ちかえることをつよくもとめておくものです。

 昨年、文部科学省は、少人数指導のための加配教員を少人数学級に振り向けることを認め、その意向調査を都におろしました。それについて都教育委員会は、区市町村の意向を聞くこともなく、「該当なし」と文科省に回答しました。このことについて区市町村の教育委員会は、都の態度を認めているわけではありません。区市町村側は、今後、重要事項については、十分意思疎通を行うよう要求しているし、少人数学級についても引き続き求めています。
 こうしたもとで、文部科学省の措置をうけて、30人学級をはじめとする少人数学級に踏み出す自治体が全国的に広がり、この春から43道府県と大勢を占めるにいたっているのです。
 このように少人数学級は、全国の大きな流れとなっており、このままでは、東京の子どもたちだけが取り残されることにもなりかねません。東京でも30人学級をもとめる声はおおきく広がっており、昨年も125万人を超える署名が東京都に提出されるにいたっています。
 わが党の代表質問に対し教育長は、「30人学級について…この問題は画一的に考えるのではなくて…それぞれの自治体が地域の実情に応じ創意工夫することが重要であると考えております」と答弁しています。だとするならば、区市町村の自主性に委ねたらよいのではありませんか。地方分権の流れからも当然のことです。しかも、文部科学省が認めた少人数加配を活用した少人数学級は都の新たな財政負担を伴なわず実施できるものです。

:少なくとも、文部科学省の少人数加配を活用して少人数学級をやりたいと希望している区市町村については、踏み出せるように応援すべきと考えます。答弁を求めます。

 以上