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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


2004年第2回定例会 文書質問趣意書

かち佳代子(大田区選出)

介護保険について

 いま、政府が2005年の介護保険制度見直しにむけて、検討している内容は、利用料負担の引き上げや、介護度が軽い人のサービス利用の制限、特別養護老人ホームの利用を重度の人に限定し、さらに家賃をとること、保険料を払う人を40歳以上から、20歳以上にひろげるなど、国民、都民の願いとはかけ離れたものです。

 日本共産党は、こういう方向ではなく、保険と福祉を統合し、負担の軽減とサービスの充実、特養ホームやグループホームの整備促進、リハビリや介護予防の拡充など、だれもが安心して利用できる改革をすすめるべきと考えます。
 この間、目減りする一方の年金制度の中で、介護保険料は都内8割りの自治体で値上げされ、医療費負担も、定率制へと高齢者の社会保障費の負担はますます重くなっています。こうした中で、介護保険の保険料・利用料の軽減対策を求める声が、一層高まっています。

 日本共産党都議団は、高齢者の介護状況調査をすすめており、183人からの聞き取りを行いました。ショートステイが必要な時につかえない、ヘルパーさんがころころ変わる。特養ホームに1日も早く入りたいなど、切実な要望が浮き彫りになりました。そのなかでも圧倒的多数の共通した声は、保険料、利用料のこれ以上の負担増だけは、やめてほしい、なんらかの経済的支援が必要だというものでした。
 7割に及ぶ人が、保険料が重いと答えています。「所得に応じた、もっときめ細かい制度にしてほしい」などの声がよせられました。月額わずか2万4千9百円の年金から、3千2百円の保険料を払っている人もいました。

 国が実施している保険料、利用料の低所得者対策では不充分だということは、全国市長会の一致した見解となっています。東京都も、政府に提出した介護保険制度の見なおしに向けた「提言」のなかで、「現行制度においては、住民税非課税者層に含まれる相当程度生計が困難な方に対する保険料を軽減するしくみがなく、…必ずしも充分とは言えない状況にある」を指摘しました。そして「保険料の第2段階に属する者のうち特に低所得である者について・…第1段階に相当する額等へ軽減して賦課するしくみを導入すること」を提言しました。


  ところが、今定例会のわが党の代表質問で、都独自の保険料軽減制度の創設を求めたことにたいし、福祉局長は「介護保険制度においては、低所得者に配慮した所得段階別の保険料設定・・・などをおこなっている」として「さらなる軽減措置を実施する考えはない」と答弁しました。この答弁は、東京都自身の政府にたいする「提案」の立場さえ否定するものではありませんか。

  国か都か、どちらが実施するかは別にして、少なくとも保険料の第2段階に属するもののうち特に低所得である者について、第1段階に相当する額等へ軽減する、さらなる軽減措置を実施する必要性があるのではないですか。

  保険料の軽減措置について、国を動かすためにも都が率先して必要な軽減措置を実施することは意味がないと考えているのですか。

  保険料の第2段階に属する者のうち特に低所得である者について、第1段階に相当する額等へ軽減する等の措置について、都独自に実施するためにはどんな方法があるのかの検討ぐらいはすべきです。

 以上、4点についてお答えください。

 私たちの介護状況調査では、利用料についても「食費や生活費をきりつめて利用料をはらっている」「これ以上の負担は絶対反対。生活していけない」「貯金を取り崩しながらなんとかやっているが、もう、底をつきそう」「お金のあるなしにかかわらず、サービスが利用できるようにしてほしい」など、切実な声がたくさんよせられました。

 都は生計困難者の利用料軽減制度を実施していますが、利用者がわずか2千人で、広がっていません。しかも、今年度末にやめる計画です。これに対し、都の議会局がまとめた区市町村アンケートによれば、圧倒的多数の自治体が、「所得要件、資産・貯蓄要件の緩和や、事業者負担をなくしてほしいなど」を都に要望しています。「現行制度ではあまり役にたたない。」など厳しい意見もだされています。


  都の生計困難者にたいする利用料軽減制度は、こうした都民と自治体の声をふまえて抜本的に拡充し、来年度以降も継続すること、さらに区市町村が独自におこなっている利用料軽減への支援をおこなうことが必要です。所見を求めます。

  また、政府は、利用料負担の2割、3割への引き上げを検討していますが、そんなことは絶対にしないよう、きびしく要請すべきです。所見を伺います。

 実態調査のなかでも、現在不足していると思われるサービスの第1位が特養ホームです。
「4年前に申請しているが、いまだに入れない介護度5の女性」や対象者が介護度5であり、介護者の娘さんも障害一級という情況であっても、特養ホームにはいれず「もう限界です」とうったえている悲惨な例、「介護度4でずっとまっているが、ケアマネに介護度5になったらいれてやるといわれた。状態悪化を待つような、制度はおかしい」と怒りをあらわにする人もありました。いずれも、圧倒的な施設不足からの矛盾です。

 国は、介護保険の施設予算の縮減の中で、都における今年度17件の特養ホーム建設申請に対し、9件を不認可にしました。これでは都の「保健福祉計画」における、H19年度までの施設計画すら、おぼつかない状況です。
 利用者にとって、選べる介護というなら、その基盤整備をまず、行うべきです。


  東京都は特養ホームの充足状況をどのように認識されているのですか。

  また、国の横暴な特養建設抑制に、きっぱりと意見をいうとともに、独自にも、整備促進の努力をすべきですが、見解を求めます。

  昨年、東京都は特養ホームへの優先入居基準を示しました。区市町村でもそれをモデルに独自の基準を設定しましたが、これは、あくまで緊急性の高い人に対する共通の優先入居基準を決めたものであり、緊急性が相対的に低い結果が出た人を、はじめから待機者から除外するようなやり方は絶対してはならないと考えますが、見解を伺います。

  また、都が示した優先入居規準は、経済的困難に対する配慮を盛り込むなど改善が必要です。お答えください。

 国は、これからの特養ホームは、「新型特養」「ユニットケア」で「ホテルコスト」を徴収することを強くうちだしています。個室のための補助金はなく、個室料金4〜5万円/月の徴収で、借り入れ金の返済をせよというものです。利用者にとっては、利用料と個室料で月約10万円以上の負担です。高いところでは7万円のうわのせというところもあります。

 私は、先日、江戸川区にある社会福祉法人の改築中の、「新型特養とユニットケア」の特養ホームを尋ねました。
 理事長は「もし、ホテルコストを徴収すれば、ここにいられなくなる人がでてくる。これまでの信頼関係をこわすことはできない。社会福祉法人としての使命からしても、新たな負担を強いることはできない」と話されました。

 個人の尊厳やプライバシーを守る立場からしても、画一的なケアではなく、個室化や、きめ細かいケアができる「ユニットケア」は、これからの特養ホームにとって必要条件ではありますが、その負担を、収入のない利用者に求めることによって、低所得者は追い出されるという状況をうみだします。いま必要なのは、従来型も含め、絶対数を確保することです。
 埼玉県では、現状での特養不足の認識から、既存特養の増築においては、国の補助金がでないため、県単独での従来型特養ホームの整備助成に取り組んでいます。


  ホテルコストをとらなくても整備可能な、「新型特養ホーム」の建設補助を国に求めるとともに、都の補助金制度を創設すべきですが見解を求めます。

以上