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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


2004年第2回定例会 文書質問趣意書

丸茂勇夫(大田区選出)

中小建設業の支援について

 都内中小建設業の支援について、今定例会の本会議一般質問で、業種別の振興プランや経営革新のための支援プログラムの策定をはじめとする提案をおこなったところですが、不況と下請けいじめ、ダンピング競争などに苦しむ建設業者からは、これらにとどまらず、多岐にわたる要望が寄せられています。
 そこで、中小建設業者の生きのこりと、その健全な育成のための具体的対策について、都の対応をもとめるものです。

1、官公需法改定に対する都の見解について

 「官公需についての中小業者の受注の確保に関する法律」(官公需法)は、1966年に施行され、その目的を、国等が物件の買い入れ等の契約を締結する場合における中小企業の受注の機会を確保するための措置を講ずることにより、中小企業の発展に資すると定めています。
 いま、官公需法をめぐって、財界・大手建設業は、建設業に市場開放を求め、官公需法を見直し、市場競争に持ち込もうとしています。政府においても2003年7月の閣議決定で、官公需法の改定の検討をうちだし、この2004年3月には「規制改革・民間開放推進3カ年計画」を閣議決定し、3カ年かけて見直しに取り組むとしたことは重大です。
 これでは、中小建設企業を弱肉強食の社会にさらし、崩壊の道しかないと中小企業団体中央会、全国中小建設業協会などが見直しに反対しています。フランスでは、法律で、組合、職人等に関する規定をさだめ、入札書で中小業者に優先権が与えられる仕組みがあり、自由経済のアメリカでも中小企業法で、経済システムの本質は自由競争としながらも、中小企業の利益を可能な範囲で保護し、支援し、助言し、助成すべしと定めているのであります。
 中小建設業者は、長引く不況と過度の競争の狭間にあって、生きのこりのための必死のとりくみをすすめているところであり、中小建設業団体は、官公需法は中小企業にとってはなくてはならない政策であり、法の見直し・廃止は死活問題であり、到底認められないとしています。現在のところ、法の見直しを許さないという中小企業の声が押しとどめていますが予断は許されません。
 そこで、東京都として、官公需法の改悪をおこなわないよう、国に対して意見をあげる必要があると考えますが、見解を伺います。

2、都内中小建設業への優先発注について

 バブル崩壊後の、長期にわたる不況のもとで、大手建設業者が中小建設の分野まで進出したり、東京に全国の建設業者が参入し、草刈り場の様相を呈するなど、都内中小業者の仕事がおおはばに減少する事態が生まれています。
 そこで、都として、分離分割発注にいっそうつとめるとともに、都の大規模工事において、中小建設業の受注機会をふやすためにに、中小企業同士のJVよる大規模工事への参入を認め、受注の機会をひろげるように改善することを求めるものですが、お答えください。
 また、都は、他県からの参入にきわめて寛大だとの声が寄せられています。県によっては、受注希望型競争入札制度を条件として、競争が確保される範囲内で県内発注を原則としています。
 こうした取組を参考にし、都内中小建設業への地元発注、優先発注に努めるべきと考えますが、所見を伺います。

3、協同組合などの建設業の管理技術者について

 中小建設業者が、互いの仕事の確保や技術の交流などのために結成している協同組合から寄せられている要望のひとつが、管理技術者の規定の改善です。
 現在、建設工事の管理工事者は、3ヶ月以上の雇用関係を結んでいることなど恒常的に配置されていることが条件とされており、組合員企業の集合体である協同組合の場合にも、この規定を一律的に適用していることについて、改善をもとめているものです。それは、協同組合の性格上から、団体として管理技術者を常駐させることは困難であり、実際の工事は、組合員企業が施行にあたることから、その企業の監理技術者を出向させることで、協同組合受注の工事についても対応することが可能となるからです。この点について、国土交通省では、一定の要件を満たせば在籍出向を認めています。
 協同組合の受注工事については、転籍出向技術者の変更の特例を設けるなど柔軟な対応をもとめる要望は切実です。国と協議し改善すべきと考えますが、お答えください。

4、確認事務の支援について

 国の防災密集地域の整備方針を活用した木造住宅の耐震補強工事は、都と区市町村との連絡協議会の準備会がつくられるなど、とりくみがはじめられています。この問題で、事業執行にあたって必要とされる建築確認について、確認事務の権限を持たない自治体について、改善してほしいという要望が寄せられています。そこで、確認事務の支援策など事業をスムーズにすすめるための都としての対応が求められると考えますがどうか、伺います。

5、企業再生について

 経営上やむなく事業の縮小・撤退を余儀なくされた場合の対策・支援は急務です。
 第1に、経営者に対しては、アドバイザーの派遣により、情報収集と経営の分析、さらには円滑な事業継承などの対応について、相談体制を確立すること。
 第2に、雇用の確保と従業員の再就職の問題では、休業補償や職業訓練経費の一部助成などをおこなうこと。
 第3に、企業の分社化や共同子会社化、企業再生計画などとあわせた、設備・運転資金の融資策などの支援の仕組みづくりをおこなうこと。
 などが欠かせないと考えますが、どうか。見解を伺います。

6.公契約条例の創設について

 不況と下請けいじめ、さらには、業者間のダンピング競争などの激化のもとで、公共工事に従事する建設労働者の賃金未払いが深刻化しています。
 この問題では、ILO94号条約で、公契約における労働条件確保を定め、現在58カ国がその立場からの法制度を制定していますが、日本では法制定も条約の批准さえもおこなれていません。
 こうしたもとで、劣悪な雇用関係と労働条件の改善をもとめる声が高まり、公契約条例の制定を求める運動が広がっています。すでに、函館市では要綱をつくり対応を開始し、都内では府中市が検討をはじめているとのことです。
 そこで、東京都も早期に公契約条例をつくり、建設産業に働く労働者の要求に応えるべきと考えますが所見を伺います。

以上