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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


都議会第4回定例会文書質問趣意書

清水ひで子(八王子市選出)

1、子育てネットワークについて

 核家族化の進行や地域コミュニティが希薄化するなかで、子育て家庭の育児の孤立化が指摘され、子育ての悩みや不安を気軽に話せるネットワークづくりが重要になっています。八王子市によせられた子育て相談件数は、1997年に767人だったものが、2003年には2,878人と、3.75倍に増加しています。 
 在宅の子育てを支援するために、八王子市では、子ども家庭支援センターを拠点施設として整備し、親子ふれあい広場、子育て学習会、子育て相談室などの取り組みをすすめており、子育てネットワークづくりの貴重な場となっています。八王子市はさらに、地域に密着したきめ細かい子育て支援を展開するために、子ども家庭支援センターの分館1号を2004年度に整備し、2号、3号館を05年度、4号、5号館を06年度に整備していく予定です。
 2003年第2回定例会に提出した私の文書質問で、子ども家庭支援センターの整備促進を求めた質問に対し、都の回答は、「平成16年度までに全区市町村への設置を進める方針です」というものでした。しかし、平成16年(2004年)11月末現在の整備状況は、都内62区市町村のうち44区市町51か所にとどまっています。

 そこでまず、地域における子育てを支える総合的な拠点である子ども家庭支援センターを全区市町村に設置する目標を、いつまでに達成するのか明らかにしていただきたい。

 子ども家庭支援センターの全区市町村設置の目標を早期に達成し、希望する自治体では2か所目、3か所目の整備をすすめること、さらに人口10万人に1か所、都内120か所ていどの新たな整備目標をつくり、整備促進をはかる必要があると思いますが、見解を伺います。


 子ども家庭支援センターを実施する区市町村に対する都の支援は、1か所につき補助基準額1700万円の2分の1にの850万円を、常勤2名 非常勤1名の配置のための運営費として補助をおこなうものです。これに対し、多摩市長会では毎年の予算要望で、「補助基準額が1700万円と定額となっているが、各センターの活動状況及び配置人員など実態が反映され、超過負担が生じないよう制度の見直しをはかられたい」と要望しています。

 市長会の、この要望をどううけとめているのですか。


 整備を促進するとともに、子ども家庭支援センターの事業内容をさらに充実するために、都の支援の強化を求めるものです。

 また、八王子市が推進している分館型、サテライト型をはじめ小規模型への補助の創設が必要です。お答え下さい。


 子育てサークルに対する支援も重要です。
 東京都は、児童館や保育所の機能を活用して、子育て相談、子育ての啓発等を実施する「子育てひろば」事業を、都内500か所に整備する計画ですすめてきましたが、現在、A型(都独自事業)300か所、B型(国事業名「地域子育て支援センター事業」)20か所の状況です。整備促進を求めるものです。
 同時に、私がとくに重視する必要があると思うのは、国が2002年度に創設した「つどいのひろば事業」です。これは、おもに0歳から3歳の乳幼児をもつ子育て中の親が気軽に交流できる機会を提供する子育てサークルなどに対し補助をおこなうものですが、都は1年遅れて03年度から「子育てひろばC型」として事業を開始しました。スタートの遅れもあり、全国76か所に対し、東京は港区、板橋区の2か所にとどまっています。04年度に7か所ふやす予算はついていますが、いまだ執行されていません。

 都として、児童館や保育所の活用を前提としない「子育てひろばC型」(国事業名「つどいのひろば事業」)の重要性を、どう認識しているのですか。

 「子育てひろばC型」(つどいのひろば事業)に対し、多くの子育てサークルから熱い期待がよせられています。早期に全区市町村に広げていく必要があると考えますが、答弁を求めます。


 同時に「子育てひろばC型」(つどいのひろば事業)の補助対象は、社会福祉法人とNPO法人にかぎられており、社会福祉法人、NPO法人以外の民間子育てサークルも対象にしてほしいとの切実な要望もよせられています。
 たとえば八王子市内のある子育てサークルは、生後3か月から1歳半までの赤ちゃん体操、親子リズムは1歳から幼稚園に入るまでの幼児が対象の親子リズムに取り組んでいます。赤ちゃん体操では、ベビーマッサージをしながら、手足を動かしたり、音を聞いたり、無理のない乳児向けの体操をして、皮膚の刺激やお母さんの笑顔、優しい声が、赤ちゃんとお母さんの結びつきを深めていきます。親子リズムでは、リズム体操で親子のスキンシップを大切にし、さらに手遊び、集団遊び、絵本の読み聞かせ、工作、外遊びなど、多彩な活動を展開しています。こうした取り組みのなかで、子育ての情報交換や悩みの交流も自然なかたちですすんでいきます。お父さんの参加も歓迎しています。
 サークルに参加した母親は、つぎのように体験を語っています。
 −−私は転勤族です。身内も知り合いも、頼る人もないまま各地を転々と引越ししてきました。寂しさと緊張でやりきれなくなっていたときに、このサークルに出会いました。幼い子どもを抱えていろいろと出かけたり、遊びにチャレンジする事は実はものすごく難しいことです。買い物に行くだけでも家出のような荷物になるし、人に迷惑をかけることのストレスも本当につらいことです。でもサークルはみなが子連れで気兼ねが不要。子どもたちが喜んだのはリズム体操。もう目をきらきらさせ汗をいっぱいかいてチャレンジする姿はすごいなーの一言でした。参加していくうちに私の肩の重みがスーと抜けていきました。笑顔が戻ってきました。「泣いたっていいんじゃない」「ケンカしたっていいよ」。子どもはそうやって大きくなるもの。当たり前なことを素直に受け止められたこのサークルとの出会いは神様からの贈り物だった。そう思って感謝しています。
 以上、紹介したのは、数多くの子育てサークルのほんの一例です。このほかにも、子育てサロンをはじめ、貴重な取り組みが、都内各地で展開されています。これらの子育てサークルは、市民センター、公民館、町会会館などを会場にしていますが、場所の確保や会場費の負担が、共通した悩みとなっています。

 こうした、法人格をもたない小規模な子育てサークルを支援するため、「つどいのひろば事業」の補助対象をひろげるよう国に要望するとともに、都独自に「子育てひろばC型」の補助対象をひろげることもふくめ、何らかのかたちで場所の提供、会場費等の補助などの支援をおこなうことを提案するものです。お答え下さい。

 また、多摩市長会は、「子ども家庭在宅サービス事業補助として、子育てグループの育成・支援子育て講座等の開催など、在宅の子育て支援事業に対する補助制度を創設されたい」と要望しています。

 区市町村が取り組む子育てグループの育成・支援事業に対する都の経常的な補助制度を、ぜひ創設していただきたい。見解を伺います。


2、学童クラブについて

 働く親たちが安心して働つづけることができる、なくてはならない場所として学童クラブがつくられ、都は1965年に補助要綱にもとづく事業を開始しました。そして学童クラブは、多くの関係者のねばりづよい運動のなかで、1998年に放課後児童健全育成事業として法制化されました。しかし、核家族化や共働き家庭の増加などにより希望者は増えつづけているのに対し整備が追いついていないことや、国が設置・運営の最低基準をしめしていないうえ、国庫補助がきわめて貧弱なことなど、課題は山積しています。
 東京都は、国よりもはるかに先駆けて学童クラブの整備にとりくんできた先人たちの努力の結果、小学校数比の設置率は95%と全国最高ですが、依然として待機児童は増えつづけており、いっそうの整備促進が急務となっています。

 都福祉局(当時)は2004年3月末に、「次世代育成支援行動計画」の子育て支援事業にかかわるガイドラインを区市町村にしめしたなかで、学童クラブについて「待機児童が平成15年には1590人に増加しており、早急に解決すべき課題である」と指摘し、「待機児の解消」に留意して計画を策定するよう求めています。区市町村に求めるのであれば、まず東京都として、学童クラブの待機児解消にむけ、増設をすすめる都の姿勢を明確にすべきと考えますが、答弁を求めます。

 また、策定をすすめている「東京都次世代育成支援行動計画」のなかで、学童クラブの待機児解消にむけた整備計画の数値目標、さらに年次計画と予算の裏づけを明確にしめす必要があると考えますが、見解を伺います。

 東京の学童クラブは、待機児が増えているだけでなく、大規模化していることも深刻な問題です。多摩地域では、1学童クラブの平均児童数が50人を超えている自治体が22自治体におよびます。小金井市には9つの学童保育所がありますが、40〜100人の定員で、半数近くの学童クラブで定員を超えて児童を受け入れている状態です。その結果こども一人あたりの面積が0.9〜1.0平方メートルという学童クラブも存在しています。これが、学童クラブにとって適正な状態だと考えますか。お答え下さい。


 このような問題が、なぜ生まれるのか。それは、国が設置・運営の最低基準をしめしていないだけでなく、東京都も補助要綱で、指導員を2人以上配置する、設備は衛生、安全、適切な遊び場を確保するとだけ定めているだけで、必要な床面積や、指導員1人に子ども何人という基準をしめしていないからにほかなりません。
 私は、全国ではじめて県として学童クラブの設置・運営基準をさだめた埼玉県に行き、話を直接聞いてきましたが、たとえば学童保育のスペースを生活(休息・遊び・学習など)する児童1人につき設備部分を除いて1.65平方メートル(畳1畳分)以上の広さを確保することをはじめ、運営内容、施設・設備、指導員の業務などの基準が具体的にしめされています。これは、市町村や学童クラブ当事者団体との検討を重ね、意見を十分に聞いて策定されたことも重要です。

 私は、学童クラブに全国に先駆けて取り組んできた東京都が、児童1人あたりの必要な床面積、適正規模、指導員1人あたりの児童数をはじめとした学童クラブの設置・運営基準を、明らかにすることを求めるものです。

 都は、1965年に定めた補助要綱が、都としての設置・運営基準にあたるものとの見解を表明していますが、少なくともその内容を、充実・強化する必要があるのではありませんか。

 学童クラブの当事者団体が、設置・運営基準の必要性をくりかえし訴えていることを、東京都はどううけとめているのですか。お答え下さい。

 また、国に対して、放課後健全育成事業の設置・運営の最低基準を明確にしめすよう求める必要があると思いますが、見解を伺います。

 内閣総理大臣主宰の「少子化への対応を考える有識者懇談会」が1998年だした提言では、「対象年齢の拡大、実施時間・期間の充実、実施箇所の増、生活空間の改善、指導員に係わる資格制度の創設」など学童保育の充実を図ることを、「早急に検討・実施すべき」事項としています。この内容を、国と自治体が、ただちに具体化すべきです。
 学童クラブの基準がないまま、指定管理者制度への移行や、全児童対策事業との統合などが次々推進されている事態に、都として歯止めをかけることをつよく求めて、質問を終わります。

以 上