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二〇〇九年第四回都議会定例会   本会議討論   二〇〇九年一二月一六日

大山とも子(日本共産党・新宿区選出)

 私は、日本共産党都議団を代表し、第百八十二号議案・中央環状品川線大井ジャンクションの契約ほか三議案に反対する立場から討論します。

 今定例会では、清瀬・八王子小児病院及び梅ヶ丘病院の存続問題が大きな焦点となり、質疑を通じて、三小児病院の存続の必要性がますます明らかになりました。
 第一は小児救急です。清瀬小児病院の代替とされている多摩北部医療センターは、時間外救急を今年度の推計で約五千六百人受け入れています。その上、清瀬小児病院で受け入れている年間一万二千人の時間外救急患者をとうてい受け入れることはできません。だからこそ、都は時間外救急体制を一系列増やすと言わざるを得なかったではありませんか。しかし、これも「努力する」というものに過ぎない上、たとえ増やせても、せいぜい五千人程度にすぎません。清瀬小児病院の廃止は北多摩北部地域の小児救急に大穴を開けるものです。
 八王子小児病院は時間外救急を年間六千三百人、一日平均十七人以上受け入れています。代替とされている市内の二つの大学病院の救急受け入れは、一日交替で実施されていて、両病院ともいまでも大変混雑しており、八王子小児病院の代替はできません。入院患者についても、たとえ両病院で十二床増やしたとしても、一日約六十六人の八王子小児病院の患者を受け入れられないことは明白です。都が新たな小児科の開設を口にせざるをえなくなったこと自体、この事実を認めるものに他なりません。しかも、都はその病院でどのような医療体制が組めるのか具体的なことはまったく示すことができませんでした。

 第二はNICUについてです。清瀬・八王子両小児病院を廃止することで、北多摩北部医療圏と八王子市内のNICU病床がゼロになります。ところがこの問題についても、知事は答弁すらできない有様でした。
 都は国の新しい整備基準を受け、NICUを出生一万人あたり三十床を基本とすると表明せざるを得ませんでした。だとすれば多摩地域で六十床のNICUを増やさなければならないのに、清瀬・八王子両小児病院の廃止で十五床もなくすのです。この問題を質したのに対しても、都は説明もできませんでした。

 第三に梅ヶ丘病院については、小児精神科の病院としての最低限の条件とされた、独立した建物でさえないことが明らかになりました。梅ヶ丘病院の子どもたちにとっては、廃止統合は療養環境の大後退でしかないことは明確です。

 都が医師不足などを理由に、三小児病院存続は「ないものねだり」と言ったことは断じて許されません。わが党は小児三病院をそのまま残したとしても、都の計画によれば、小児総合医療センターに医師五十人程度、看護師百人程度が配置できることを示し、同センターを段階的に開設すればよいことを明らかにしました。これについても都は小児総合医療センターをフルオープンさせることを前提にした答弁をくりかえすだけで、まともに答えられませんでした。
 すでに三小児病院では、外来の診療規制や病棟の閉鎖が行なわれ、患者の行き場がなくなるなど大きな混乱が起きています。八王子小児病院では、市内に住んでいるダウン症の三十歳の患者が東村山の病院を紹介され、通いきれないと途方にくれています。
 清瀬小児でも二つの病棟が閉鎖になったことで、入院している子どもたちが大きな影響を受け、外来も新規は断わられ、周辺の病院で対応できないことが大問題になっています。
 梅ヶ丘病院は八病棟あった病棟を五病棟にしてしまいました。そのため、転院させられた患者が一日九千円の病院に三か月しか入院させてもらえない上、動けないように縛られてしまったことも報告されています。年齢制限で、大塚にも府中にもかかれない患者もいます。
 三小児病院を廃止しようとする都の暴挙によって、すでに子どもたちや家族が翻弄(ほんろう)され、大きな混乱と治療の停滞、成長・発達への阻害さえ、もたらされているのです。すでに起きているこうした深刻な事態を知事と都議会各会派は正面から受けとめるべきです。
 すべての会派に呼びかけます。子どもたちの命を守るため、都議会の責務を共に果たそうではありませんか。

 ますます深刻な雇用状況のもと、わが党は、失業者に対して住まい、仕事、生活の総合的な支援が必要であり、総合的な相談の窓口を都として開設することや生活資金の支援、生活保護の拡充、現在実施中の緊急雇用の目標達成などを提案しました。
 このなかで国立オリンピック記念青少年総合センターなどの宿泊場所確保に全力をあげることを求めたことに対し、年末年始に相談場所を兼ねた大型宿泊施設を提供するよう、国に要望していると答弁したことは重要です。

 新銀行東京については、今議会に二〇一〇年三月期中間決算が報告され、知事は十億円の「黒字」だとして、「健全化に向かっている一つの立派な証左」と述べました。しかし、実態は、不良債権比率が五%も増大しており、業務利益は実質十四億円の赤字です。改善といっても、融資減少にともなう貸倒引当金の戻り益などによるやりくりと、日本銀行からの借入金を有価証券の運用にあてることで息をついているのが現実です。
 しかも、今年度の中小企業への新規の融資はわずか二百三十一件という有様で、中小企業支援という目標からますますかけ離れています。資金の回収が可能ないま、ただちに清算処理に入ることを求めるものです。

 築地市場の豊洲移転について、わが党は、委員会質疑を通じて、移転予定地の購入が、来年度千三百四十億円もの起債償還に迫られている臨海開発事業会計の資金確保のためであることを指摘しました。豊洲移転の真の目的は、破たんした臨海副都心開発の救済にあると言っても過言ではありません。
 移転先にありきではなく、建築業界、専門家、都民からひろく意見をもとめ、改めて、現在地再整備を検討するようつよく求めるとともに、二つの特別委員会において、参考人招致をふくめ、徹底した論議をつくすことを表明しておくものです。

 知事が二〇二〇年のオリンピック再立候補を表明したことに都民の批判が広がっています。いま都がやるべきは、オリンピックの再立候補でなく、二〇一六年オリンピック招致活動の全容を都民に示すことであり、都民のくらしや福祉を守ることに全力をつくすことではありませんか。
 知事が、オリンピック招致に使った一五〇億円以上の経費は「痛くもかゆくもない」「都民サービスに影響しない」などと述べたことは、とんでもないごまかしです。これまで、東京都自身、高齢者福祉など都民サービスを九百億円以上も削ったと述べていたではありませんか。しかも、盛り上がらない招致機運を高めようと、オリンピックムーブメントなどに招致関係費用の七割以上を注ぎ込むなど、ムダ使いとしかいいようのない税金の使い方をしました。この点についても、知事はなにひとつまともに答えることはできなかったです。

 今定例会に提出された首都高中央環状品川線の工事契約議案は、本来東京都が負担する必要がないものまで税金を投入してつくろうというものです。このようにオリンピック再立候補は、一b一億円の外環道をはじめとする巨大開発をあくまで推進し、招致の名で浪費をすすめようとするものに他ならず、二〇二〇年オリンピックへの再立候補は断じて認められません。

 最後に、今議会で、教育長が小一プロブレム、中一ギャップに対応するとして、教員を加配して学級規模の縮小も可能とすることなどを検討すると表明したことは重要です。わが党は、都民の粘りづよい運動と結んで少人数学級をいっかんして要求してきた党として、歓迎するものです。少人数学級をさらに発展させることを要望し、討論を終わります。

以上