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2010年第1回定例会 予算特別委員会討論 3月28日

吉田信夫(杉並区選出)

 日本共産党を代表して第1号議案、平成22年度一般会計予算外10議案に反対し、第20号議案、東京都中央卸売市場会計予算にたいする修正案及び、第1号議案外4会計の編成替えを求める動議に賛成する立場から討論をおこないます。

 初めに、今議会の最大の焦点となっている築地市場の豊洲移転問題についてのべます。都は市場会計予算に豊洲移転の土地購入費を含む関連経費1281億円を計上しています。最悪の土壌汚染が明らかな東京ガス跡地に食の安全がなによりも求められる築地市場を移転することは、都議選で「移転ノー」という意思を示した都民に挑戦するものであり、絶対に認められません。
 そもそも、都が移転のための錦の御旗としている豊洲の土壌汚染対策は、多くの専門家から、とても安全化できるといえるものではない、と酷評されているものです。たとえば、不透水層が連続しているから地下深く汚染はひろがらないという言い分も、1万8千本の杭が汚染物質拡散の通り道になっているかどうかの調査すらされていません。地下水管理についても、調査も実験もおこなわれていません。適用実験の中間報告で、処理した結果のデータのみを示して「無害化できることが実証された」と宣言したことなどは、噴飯ものです。

 いま求められていることは、汚染を知りながら10年余にわたって豊洲移転に固執しつづけてきた知事と自民・公明両党が、これまでの態度を反省し、豊洲への移転にきっぱりと終止符を打つことです。都議選で「移転ノー」を公約した政党、会派が共同すれば、移転関連経費を削除できます。にもかかわらず、民主党が知事の「議会の合意に示された議会の意思についてはこれを尊重する」などという答弁をうけて、土地購入費削除の修正案を提案しなかったことは、きわめて遺憾です。また、都側が「豊洲移転が最適」と言い、後で訂正したものの、現在地再整備案の公募は考えていない、現在地再整備案について意向調査はしないと答えたことでも、議会が修正案という強制力をもって事態を打開しなければならないことは明白ではありませんか。異例の知事発言による意向調査などにかかわる市場長発言の訂正も「今後検討する」というものでしかありません。豊洲移転の安全の確認は、土壌汚染が環境基準以下になること、という答弁を引き出したことは、何の安心材料にもなりません。いま問われているのは、本当にすべての地点、すべての物質について、将来にわたって環境基準以下になるかどうかが実証される必要があります。付帯決議も現在地再整備を前にすすめる保障にはなりえないし、豊洲の安全化を保障するものでもありません。結局、民主党の立場は、豊洲移転そのものをやめさせるのではなく、現在地再整備をともかくそ上にのせればよいというものとしか考えられず、都民の願いに背を向けるものにほかなりません。
 よって、日本共産党は、豊洲移転強行を許さないために、市場会計予算から移転関連経費1281億円の削除を求めた修正案を提案しました。心ある方々のご賛同を、心からよびかけるものです。
 都が最新の技術を結集し、他県の現在地再整備の経験などを生かせば現在地再整備は可能であることを、重ねて申し述べておくものです。

 次に知事提案の予算についてです。
 いま、経済危機のもとで都民の暮らしは深刻さを増しています。それだけに来年度予算でもっとも求められていたことは、都民のいのちとくらし、雇用などを守るためにあらゆる手立てを尽くすことでした。
 この立場から見ると、石原知事が提案した予算案は、部分的には都民要望を反映した前進面はあるものの、全体としては都民の願いからかけ離れたものです。わが党は、その具体例として指摘した教育庁予算が12年間で最低となったこと、福祉保健局予算は増額されたとはいえ多くは国の基金事業を予算化されたものにすぎないこと、さらに緊急雇用創出事業についても充実どころか都独自の事業を廃止するものとなっていることを指摘しました。

 この事実にもとづく指摘にたいし、公明党は予算を「斜めに見た質問」だと誹謗し質問しましたが、それに対する局長答弁はいずれも、わが党の指摘した事実そのものを否定できませんでした。
 教育長は、教育庁予算が減少している事実は認めつつ、基本的には児童生徒数の減少にともなう教員数の減少など給与関係費がへったためだと強調しました。しかし、これをもって教育費をへらしたことを合理化することはできません。都としてとるべき態度は、教育費をへらすのではなく、日本の未来を担う子どもたちの教育環境を充実すること、すなわち、30人学級の実施や、いまだにカーテンで仕切られる教室が放置されている特別支援学校の教室不足、学校不足の解消などだったのです。加えていえば、児童生徒数は2004年度から2万3千人以上も増えているのに、予算をへらしているではありませんか。
 福祉保健局長の答弁で、国の基金事業による増額が547億円にのぼり、増額の76%を占めていることが確認されました。だからこそ、増えたといってもほとんどは国の事業の予算化だと指摘したのです。しかも、特養ホームの待機者が4万4千人におよぶにもかかわらず、特養ホームの整備費補助は27億円もへらしているのです。
 また、緊急雇用創出事業についても、産業労働局長は、都の独自事業を打ち切ったことを否定できませんでした。国の交付金によって事業規模全体は増加したと答弁がありましたが、失業が増大しつづけているだけに、都独自事業はさらに充実することこそが求められているのです。

 都民の痛みや都政のさまざまな問題点に目をふさぎ、行政を擁護することを最優先にする立場は、政党としてのあり方が問われるものだと指摘しておきます。

 さらに、この本予算特別委員会の開催中に都立3小児病院の廃止が進められたことは断じて許されません。わが党は、都立3小児病院の廃止は地域医療、小児救急に大穴をあけることを指摘してきましたが、現実に廃止された小児病院の患者が、3月に診療を希望したにもかかわらず予約がとれたのは、なんと5月下旬という事態が相次ぎ、重い障害をかかえた患者さんが行き場を失う事態がうまれています。都民のいのちを守ることは都政の最優先課題であり、都立3小児病院の再開を強く求めるものです。

 もう一つの重大問題は、浪費的投資がますます増大している問題です。都は幹線道路などの大規模事業だけでなく、中小企業の受注機会の拡大や雇用創出のためであることを強調しました。しかし、外環道路にはじめて77億円の事業費が計上され、首都高速道路整備は113億円の増、区部環状、多摩南北の幹線道路関係が56億円も増額されています。この幹線道路関係の3分野だけで246億円も増額で、全体の増額の67%を占めているのです。
 さらに、オリンピック東京招致に失敗したにもかかわらず、4000億円の準備基金を、外環道などの大規模開発のために温存していることも許されません。先ほど提案した来年度予算組み替え案で示したように、都民生活防衛のための緊急対策が求められている時だけに、不要不急の経費を削減し、オリンピック準備基金は都民のくらしと雇用、中小企業支援にこそまわすべきです。

 次に、オリンピック招致活動の浪費についてです。2016年オリンピック東京招致活動は都民の支持をえられず、失敗しました。当初55億円とされた招致経費は、オリンピック招致を目的とした各種スポーツイベントなどを加えれば200億円を超えるお金が使われたのです。
 オリンピックの名でこれだけのお金を使い、その多くが浪費としか言いようのないものであったにもかかわらず、知事は「痛くも痒くもない」と発言し、「反省」の弁は一言もありませんでした。わが党は、本予算特別委員会でオリンピックを名目にした浪費の一例として知事の海外出張を取り上げました。その中で、都民の批判で発表された経費節減策はないがしろにされ、条例規定をはるかにこえた高額のホテル代が常態化していることなど、浪費ぶりを明らかにしました。なかでも北京での128u1泊24万3千円の最高級スイートルームを、ほかに都の設定した条件にかなう安い部屋があったにもかかわらず利用した問題は、言い逃れができないものでした。

 この質疑を通じて、オリンピックのためなら、都みずからが定めた規定や方針が平然と破られるモラル破壊とも言える事態が都政にあらわれていることが明らかになりました。このことは、理事者の答弁の一部にもあらわれています。海外出張問題で、知事にかわって答弁にたった知事本局長が、質問にはまともに答えず、同じ答弁だけをくりかえし、ひたすら知事を擁護することに終始した態度は、理事者としての公平性に欠ける許されざる態度です。築地市場問題で、市場長が質問にはまともに答えず、聞かれてもいないのに自らの主張をくりかえす態度に終始したことも許せません。こうした態度は都議会の審議を形骸化する、あってはならないものであることを厳しく指摘し、討論を終わります。

以上