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2010年第1回定例会 予算特別委員会 しめくくり質疑 3月27日

大山とも子(新宿区選出)

現在地再整備検討の組織について

○大山議員 築地市場の豊洲移転問題について質疑します。
 来年度予算案の大問題は、築地市場を豊洲に移転させるための、豊洲の土地購入経費をはじめとした移転関連の経費が予算化されていることです。
 都民の大切な台所である市場の第一の役割である「食の安全を確保する」ということから考えて、豊洲に移転することに多くの都民が反対してます。昨年の都議選の時に、東京新聞が行った世論調査では、57%の人が豊洲移転反対です。昨年の11月に産経新聞が行った世論調査では、築地での再整備賛成が約7割に上りました。また、「市場を考える会」が行った調査では、水産仲卸業者の73%が移転に反対。市場の労働組合の調査では、青果の仲卸業者の92%が築地での再整備を望んでいます。
 にもかかわらず、知事は現在地再整備については、種地がなく営業を続けながらの工事が困難なことや、市場に求められている新たなニーズに対応できないことなどから、不可能だと、かたくなに拒否してきました。
 その一方で、多くの専門家の批判が寄せられている豊洲の土壌汚染対策について、一部の「最高権威の学者」の言い分だけを金科玉条に、「人が生涯この地に住み続けても健康への被害はない」などと豪語して、汚染地への移転を強行しようとしているんです。
 知事に伺います。知事は先ほど民主党の質問に対し、現在地再整備の検討について、「議会の検討への協力と執行機関としてこれに対応するためにも、現在地再整備検討の組織を設けて行く必要もあると思います」と答弁しましたね。
 知事、伺います。都としての現在地再整備検討の組織はどのようなものなんですか。議会に協力する窓口なのか。それともしっかりした規模を持った機構を作るのですか。また、その組織とは中央卸売市場に作るのですか。それとも知事部局に作るのですか。知事、答弁をお願いします。知事が答弁したことですので、知事にお願いします。

○岡田中央卸売市場長 今の組織のお話でございますが、今後検討してまいります。

○大山議員 さっき知事が答弁したんですね。今、市場長は「今後検討する」。これから検討するというんでは、評価もできない。不確かなものとしかいいようがありません。
 たとえ一定の組織を作るにしても、窓口にすぎないのか、現在地再整備を検討できるしっかりした組織になるのかというのでは、大違いなんですよ、知事。知事部局にちょこっと作るというのでは、担当部局である中央卸売市場は豊洲移転推進に専念をする。その一方、現在地再整備案については知事部局の一部で一握りの人たちが作るということになり、現在地再整備の検討は形だけのものになってしまいます。しかも「時間がない」とか「早期にまとめることが必要」というのでは、拙速にやれということではないんですか。そんなことでは、よい案が作れるわけがありません。早期というのは、どの程度の時間を指しているんですか、知事。

○岡田中央卸売市場長 先ほども答えましたけども、組織につきましては議会の検討の協力のため、あるいは執行機関としてこれに対応するための組織として、検討してまいります。早期と言いますのは、できるだけ早くということでございます。

○大山議員 それがどういう組織なのかと言っているんですよ。中央卸売市場に作るのか、それとも知事部局に作るのか。どっちなんですか。

○岡田中央卸売市場長 同じご答弁になって申し訳ございませんけれども、これから検討させていただきたいという風に思っております。

現在地再整備案の作成について

○大山議員 まっったく中身も分からない。そして早急に。築地市場の現状からいって時間がないというんだったら、きちんと危険な個所だったら補強して修理すりゃいいわけですよね。拙速にやれというんだったら形だけのものになってしまうじゃありませんか。
 知事ね、今度こそ、答えてください。知事の言う、執行機関としての現在地再整備検討の組織で、都として責任を持って現在地再整備を検討して、議会や都民に示すんですか。知事の答弁ですから、知事、ちゃんと答えてください。

○石原知事 都の方針はですね、基本的にはですね、先端の技術を駆使して、汚染の――中間報告も出ておりますけど、豊洲に移転が可能であることを前提に考えているわけであります。ただ、議会の方からそれに並行して築地の再生ということも考えてほしいというからですね、これは議会側のオファーでありますから、あなた方が具体的にどういうオファーをするかによってこちらの対応も変わってくるわけです。

○大山議員 結局、東京都は検討しないということですか。東京都が責任を持って、再整備案を出すということなのかどうか、ということです。

○佐藤副知事 先ほど知事がご答弁申し上げた通り、議会において現在地再整備の検討がなされる場合には、議会の検討への協力のためはもとより、執行機関としてこれに対応するためにも、現在地再整備検討の組織を設けて行くということでございます。

○大山議員 対応するためにも検討の機関を作る。都として案はきちんと出すんですか。私がこの点にこだわるのはね、実現可能で業者も納得できる現実的な現在地再整備案をつくる上で決定的に重要なことだからなんですよ。議会だけでなくて、東京都自身がその気になって、必要なお金も出して、世界に誇る日本の技術を総結集して再整備案を作るかどうか。これが重要な所なんです。
 それというのも、世界に誇る日本の現在の技術を結集すれば、必ず実現可能な案は出るし、業者の利害関係の調整など困難な課題も、東京都が何としてもまとめていく、やり遂げるという決意があれば、克服して必ず築地に新しい、すばらしい市場が実現できるからなんです。
 しかしね、今朝の新聞を見ると、知事が昨日、現在地再整備について、「今までさんざんやってきて、できないと結論が出た問題。二度手間だ」、こう述べたと報道されているんですね。これが事実なら、議会に協力とか、執行機関に検討の組織をつくると言っても期待ができません。
 知事、知事が述べた新聞記事の話ですから、知事がちゃんと答えてくださいね。昨日のマスコミに対する発言は事実なんですか。それとも現在地再整備は不可能であるとのこれまでの答弁を、民主党さんが言うように大転換させたんですか。知事の発言ですので、知事自身が答えてください。

○石原知事 確かにそのように申しましたがですね、この空白の時間内に議会側から強い要請がありましたから、そのようにおっしゃるならご協力しましょうということです。

○大山議員 まあ、やるなら協力しましょう《知事「当たり前だよ」》、ということですね。まあ大転換しているのかというと、ちょっと疑問が残りますけれども、繰り返して強調しますけれども、知事が現在地再整備は不可能という考えを変えていないのだったら、議会の現在地再整備に協力する、それから検討する組織をつくると言っても、どのようなものになるのかというのは、はなはだ疑問です。たとえば市場長は3月11日に行われた本特別委員会で、21世紀プロジェクトが発表した現在地再整備案について、「財源的にまかなうことができない」とか「物流効率がいちじるしく低下する」とか「建設費が増大して市場業者の負担が増える」など、口をきわめて批判しましたね。
 そこで市場長、今後は議会に協力するため、現在地再整備がいかに実現不可能か力説する立場から、実現可能な案を作るために協力するという立場になるんでしょうか。

○岡田中央卸売市場長 先生のお話は少し違うんではないかと申し上げます。まず21世紀については、私どもは正確にご説明を受けておりませんので分かりません。ただ、いただいている資料だけからいうと、いくつかの問題点がありますという形で、たとえば期間の問題についても問題があるのではないかということをご指摘させていただいたという風に思っております。財源面だとか何かについて、その時ご指摘した覚えは、私はございません。
 それから私どもは、現在地再整備につきましては、過去に400億円というぼう大な経費を投じて実施したけども、その結果中断してしまったということ、その後さまざまな検討を尽くしたけども、大部分の市場の関係者が最も合理的な選択として最終的に豊洲を選択したといったような、そうしたこと、あるいは築地の現状を考えれば、私どもとしては豊洲へ移転するというのが最も最適な方法ではあろうとは考えてはおりますが、これから議会の方で現在地再整備につきましてご検討いただくわけですので、我々としてもできる限りのご協力をさせていただくということでございますし、またそのための組織というものがこれから検討していくんだろう、そういうことだろうと考えております。

○大山議員 400億、400億ってね、何かというと400億っていいますけれども、自分たちが責任を持ってやらなかったことを棚に上げて何を言っているのかと。400億円で作った駐車場、今ちゃんと使っているじゃないですか。
 市場長は民主党の「現在地再整備にしろ、豊洲移転にしろ、市場事業者の合意が必要」という質問に対して、「今年1月から個別面談をしている、今後とも理解を得られるよう努力していく」と答えました。しかし、今やっている面談というのは、豊洲移転を前提とした面談ですね。これではこのまま面談を続けても豊洲移転だけについての合意です。議会としての現在地再整備案が出たら、改めてこうした面談も含めて新たに合意形成のために必死の努力をするということですね。

○岡田中央卸売市場長 卸売市場は一般の施設と違いまして、その運用というのは業界の皆様方の負担しております使用料で運営されている、というのが第一でございます。それからまた業界の皆様方の営業が行われている業務施設であると、こういうことでございます。したがいまして業界の皆様方の理解あるいは協力ということがなければ、施設整備はすることができないということが大前提でございますので、これまで施設整備を行う時について、業界の皆様方と協力してきたし、たとえば施設計画を作る時にもそうやってまいりましたということでございます。
 現在私たちがやっております個別面談というものは、まず業界の皆様方の経営実態がどういうものであるのかということを把握する、あるいは移転ということを行った時につきまして、どういう希望が都にあるのかということを聞いていって、それを今後の支援策を検討する際のものにするということでございます。したがいましてその際には、たとえば築地のなかでも移転に賛成している方、あるいは反対している方、そういったことにつきましては全然考えずにぜひお声をお聞かせいただきたい、ということで我々は聞いております。
 それから意向調査につきましては、これまでも数々と同じご答弁をさせていただきましたけども、業界の皆様方の大部分がもう明確に移転を希望しているということ、それからそれにつきましては個々の団体を構成する組合員の総意であるといったようなことから、我々としては意向調査については実施するという考え方はございませんということをご答弁申し上げますので、また同じご答弁になろうかと思います。

○大山議員 支援策と言っても、築地で再整備するのと、案が具体的に出て支援策を考えないとできないわけですよ。いま豊洲に移ると言うので支援策は何がいいですかと聞いてるわけですね。だからきちんとどこに決まったらそれに合わせて支援策というものは当然出てくるものですよ。

現在地再整備案の公募について

○大山議員 知事に伺いますけれども、現在地整備を実現するためには、まず何よりも世界に誇る日本の技術を総結集することが重要です。そのためにも必要な対価も支払って現在地再整備案を公募すべきだと思いますが、知事どうですか。

○岡田中央卸売市場長 同じお答えをするようで全く申し訳ございませんけども、これにつきましては今議会でも代表質問、あるいは委員会でもご答弁申し上げましたけども、現在地再整備につきましては過去に工事を推進したけど中断したということ、それからさまざまな案を検討したものの、再整備は実現困難だとの結論に至り、先ほど申し上げました業界の大多数の方々は最終的に豊洲の移転に合意したといったようなこと、それから先日の経済港湾委員会の参考人招致においてご覧頂いたと思いますけども、業界の代表者からは早期の移転を望む声だとかが多く聞かれていると言ったようなこと、さらには築地市場の老朽化がすでに限界に達しておって、アスベストの問題ですとか耐震性の問題と言った安全性にも問題があるといったようなこと、こうしたようなことから、豊洲への移転が最善の道であろうと、私どもは考えております。したがって現在地再整備案について、お話しのような公募するということは考えてございません。

○大山議員 今の答弁ですと、今までの話が全く根底からひっくり返っちゃうんじゃないですか。だって結局、自分たちは豊洲の案が最高なんだ、そこしかないんだって言ってるわけだからね。しかも知事は結局立てないわけですよ、こういうことでね。
 いろいろ言って現在地再整備案について公募さえもやろうとしない。これは本当に無責任ですよ。食の安全を守るべき知事として、あってはならない態度ですよ。知事としての資格がまたまた厳しく問われると。
 知事、ちょっと聞きますけれども、技術的には現在地で整備することは十分可能であることは、いろんな方がおっしゃってるんです。たとえば新宿駅南口、あれだけ電車の線路が通っている所、人も車も通っている所で人工地盤を作ってバスターミナルを作る工事をしているじゃありませんか。この工事をしているゼネコンのホームページを見ました。「新宿駅南口の工事で鉄道の営業を妨げることなく線路上空から人工地盤を作るためのくい打ちの新しい工法で実用化した」、誇らしげに書いてありましたよ。
 知事は土壌汚染対策技術については、専門家会議や技術会議の報告を天まで持ち上げています。では伺いますけども、再整備にかかわるこうした技術についてはどう評価しているんでしょうか。現在地再整備を進めるためには、案を作るためにも権威ある一部の学者だけの知恵を借りることでよしとするのではなくて、広く公募したうえで、よりよい案を業者の意見も踏まえて練り上げることが必要だと思います。そういうこともやらないで、一応案は出した、豊洲移転を進める隠れ蓑にするようなやり方、これは断じて許されないわけです。知事、どうですか。日本の技術、どう評価しているんですか、土木技術、建設技術。

○岡田中央卸売市場長 今ご指摘の人工地盤でございますが、これは平成3年の時に、現在の中断いたしました再整備計画を行った時に、ローリング方式なんですけども、その際に人工地盤方式は検討しております。ただ人工地盤方式の方が危険性が高い。つまりその、営業上の問題、それから危険性が高いということで、現在のローリング方式にしてきたということがございます。
 また、人工地盤方式ということについて、たとえば駅でできてるということですけど、建物においてそういったような形でやっているものについては、現在私どもは日本にそういった例があるかということについては、残念ながらそういう例があるという風には聞いておりません。

○佐藤副知事 今後の関係についてのご質問ですけれども、それは和田副委員長に対する知事の答弁にもとづいてのお話のことだと思いますけれども、先ほども申し上げました通り、知事のご答弁では、「議会において現在地再整備の検討がなされる場合には」ということで、今後の話をしております。それに対応する組織の考え方と致しまして、検討への協力のためにはもとより、執行機関としてこれに対応するためにも現在地再整備の検討の組織も設けている必要があるということで、それの内容等々、検討等々については当然ながら、場合という設定としてのお話ですので、今後のことになろうかと思います。

○大山議員 早く早く答えを出してもらわないといけないんだと言っておきながら、いまだに具体案がないわけですよ。何を信頼しろというのですか。技術は日進月歩でしょ。ですから前に検討したんだといって、そういう古い話はしないで下さいよ。良い案を作った後も、行政が業者と一体となって業者の要望を聞いて、利害を調整して必要な知恵とお金を出していく。これが必要なんですよ。
 そもそもかつて現在地再整備を始めたのに、どうして破たんしたのかと言えば、東京都の責任が大きいわけですよ。当時、中断に至った理由というのは立体構造、仮設施設の建設費等コストの増大と、それに伴う使用料の上昇、駐車場不足、物流動線制約等による営業への大きな影響、誰がいちばん最後まで現在の施設に残るかなどという利害の対立などなんです。でも、こうした理由は、都がその気になって力を出し、財政投入すれば克服できるものだったのです。にもかかわらず、都はやろうとしなかった。しかも石原知事になったら、こともあろうに土壌汚染地であることを百も承知で、豊洲移転を決めてしまったんです。
 知事はこれもまた、知らないかもしれませんが、大阪ではさまざまな対立や問題を克服して、重層化による再整備を実現できています。大阪でも建て替えにあたって、業界内では割れるような意見が出た。つらいことはたくさんあったが、「築地のようになるんじゃないか」「絶対に話を割りたくはなかった」、だから「促進協議会はしっかりしていた」と、市場再整備70周年誌で言っているんです。さらにその記念誌のなかには座談会が載っていて、「大阪氏の指導力もあったし業界の協力もあった」「専用の橋をつけてほしいと要望したら、16メートル幅のスロープ動線をつけてくれて、あの時は私はうれしかったね」「市もよう言うことを聞いてくれたと感謝している」と書いてある。これが大事なんですよ。
 知事に質問しますけれども、検討をした築地の市場の敷地は20ヘクタールですから、総2階にしたら人工地盤で40ヘクタール確保できるんですよ。それを再整備案をきちんと知恵を出して、東京都がお金も出してやるべきなんです。それもやらないというんでしょうか。

○岡田中央卸売市場長 まず事実に認識の違いがあるのではないかと思いますけれども、前回の現在地再整備案が狂った最大の理由というのは、業界のなかでの営業に対する影響が大きくてできなかったというのが最大の理由であって、建設費が増大とか、そういうことではないだろうと思っております。
 それから大阪ができたからということで、築地でできるかということは、論理としては強引なのかなあ。大阪の場合は、業界の一致があったということですから、築地は違うだろうと思っております。そういう状況につきましてご認識いただければと思っております。

以上