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文書質問趣意書

2010年3月26日
あぜ上三和子(江東区選出)

築地市場の豊洲移転用地での土壌汚染対策について

 最初に、築地中央卸売市場の豊洲移転予定地の購入に関する基本原則についてです。
 周知の通りこの土地は、東京ガス(株)の操業に伴って発生した深刻な化学汚染が知られています。今回のこの土地を購入するための予算案が提案されたのに伴い、汚染浄化費用と実施責任の所在に関して、その原則となるべき事項について質問します。

Q1 環境汚染の浄化については、一般的に汚染者負担の原則によることが基本とされています。それに従うならば、予定地の浄化は東京ガス(株)が主体的に実施し、都は汚染物質が完全に除去されたことを確認してから、はじめて売買契約を結ぶべきものと判断されます。今回、この原則を曲げて、あえて都の予算と責任において、土壌の浄化にとりくむのはなぜですか。

A1 新市場予定地における土壌汚染については、東京ガス株式会社が、平成10年から14年にかけて調査を行い、平成14年及び17年に環境確保条例に基づき処理計画を提出し、対策を行った後、平成19年にすべての完了届の提出を終え、条例に基づく手続を完了しています。一方、その後の都の土壌汚染調査によって、新市場予定地には、ベンゼンやシアン化合物などの都市ガス製造の操業に伴う汚染物質の存在が確認されました。この調査結果を踏まえ、都は、新市場予定地が生鮮食料品を扱う市場用地という観点から、安全をより一層確保するため、法令が求める以上の手厚い土壌汚染対策を自ら行うこととしています。なお、都は、東京ガス株式会社に対して、都が実施する土壌汚染対策の経費の一部負担について、既に協議の申入れを行っており、今後、同社との協議を終えた上で用地を購入していきます。

 東京ガス(株)はかつて、場内での生物処理、加熱処理、場外での加熱処理、セメントリサイクル処理、洗浄処理など29万 m3の土壌汚染対策を行い、2006年3月から2007年4月にかけて汚染拡散防止措置完了届けを東京都に出し、東京都はこの汚染拡散防止計画で処理後の土壌は、環境基準以下であることが確認されているとの認識にたっています。しかし、2007年5月からの専門家会議が行った各種の土壌汚染調査によれば、各所から環境基準を上回る土壌汚染濃度が出ています。

Q2 東京ガス(株)の土壌汚染対策が成功したということを東京は繰り返し明らかにしていますが、その後の専門家会議の土壌汚染調査で高濃度の汚染が判明しました。この関係ついて、どういう根拠で、どのような判断をされていますか。

A2 東京ガス株式会社は、当時の指針や条例に基づき、土=壌について、30メートルメッシュで、地下3メートルまでの深さを基本として調査を行い、ベンゼンについて、20メートルメッシュで、表層土壌ガス調査などを行った上で、土壌汚染対策を実施しています。これに対し、専門家会議の提言に基づき行った調査は、敷地全域を土壌汚染対策法が定める最小調査区画である10メートルメッシュに区分した上で、ガス工場操業時の地盤面近くの土壌を採取するとともに、これまでの科学的知見から汚染物質が、程度の差はあれ地下水に溶け出すことから、地下水もあわせて採取し分析しています。これらの調査の結果、土壌又は地下水から環境基準を超える汚染物質が検出された場合は、土壌ボーリング調査することで、敷地全域の汚染状況を確実に把握しています。このように、都が行った調査は、東京ガス株式会社が行った調査とは、方法が異なることから、汚染物質の存在が確認されたものです。

Q3 2月16日の参考人質疑では畑氏は「土壌が再汚染された」という見解を示してしましたが、これについては、どのような判断をされますか。また、その具体的な根拠も示してください。

A3 新市場予定地では、深さ方向の土壌ボーリング調査で、地下水が汚染されているにも関わらず、ガス工場操業時の地盤面から不透水層上端まで、土壌が全く汚染されていない地点があることから、汚染地下水があっても土壌が汚染されるとは限らないと専門家会議委員から意見をいただいており、都も同様の見解です。都の土壌汚染対策は、土壌、地下水中の汚染物質をすべて、除去、浄化することから、土壌の再汚染は、起こらないと考えています。

Q4 東京ガス(株)操業時の地盤面より上部の盛土については、これまで土壌汚染調査はおこなわれていません。この盛土の量、その内埋め戻しに活用する量について、それぞれ、どのような試算をされていますか。埋め戻しするにあたって、これまでの盛土についてどのような土壌汚染調査をされますか。されない場合は、その理由と、汚染されていないことを担保する根拠を示してください。

A4 ガス工場操業時の地盤面より上部の盛土の量については、詳細調査の中で1メートルメッシュの調査地点ごとに、現地盤面の標高を測量により把握しており、これに面積を掛け、土量を算出しています。これらの盛土については、基本的に、一時仮置きをし、再度、盛土として利用することにしています。盛土部の土壌汚染調査については、詳細調査の結果、土壌または地下水からガス工場操業に由来する環境基準を超える汚染物質が検出された場合に、盛土がある地点において、絞込調査等で、ガス工場操業時の地盤面から50センチメートル上の部分の土壌を採取、分析しています。この絞込調査等の結果、汚染物質が検出された地点については、対策時に、盛土の汚染状況を確認しながら、汚染物質を処理していきます。

Q5 その他の埋め戻しに使う土ですが、他の公共工事で発生する土砂、購入土について、その搬入元、搬入量、経費について示してください。

A5 汚染土壌を掘削した後の埋戻しについては、汚染物質を除去し無害となった土壌、他の公共工事から発生する土砂及び購入土を使用することとしています。このうち、他の公共工事から発生する土砂及び購入土の搬入元、搬入量、
経費については、それぞれ工事発注時に明らかになります。

 次に、豊洲移転予定地の土壌汚染対策についてです。
 専門家会議がAP2m以下の処理土壌として算定した42万m3について、技術会議の提言では、環境確保条例117条の調査により未汚染箇所を特定できたからとして浄化対象になる土壌を22万m3に削減しました。しかし、詳細調査で深度方向まで有害物質の土壌溶出量が確認された点は、4122地点のうち411地点、117条調査地点を加えても1400地点で、全体の2/3地点の汚染状況は把握されないまま対策が取られることになります。
 もともと「汚染がない」という判断は、一定の条件の下で汚染が検出されていないことを意味するものに過ぎず、精度を上げれば、新たな汚染が見いだされることは当然です。これまでの調査では、汚染土壌の性質やサンプリング一の記載が粗雑であり、データの推計学的処理も行われていないなど、十分な精度で検証されるとは到底言えません。

Q6 これまでの調査結果から、豊洲には小規模・高濃度の汚染スポットが散在するという特徴が明らかですから、小規模・高濃度汚染スポットが多く残されたままになる可能性が十分あります。このことについて、どのような認識をお持ちですか。その根拠についても、合わせて示してください。

A6 豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の検討に際し、まず平面方向の汚染状況を把握するため、敷地全域を土壌汚染対策法が定める最小調査区画である10メートルメッシュで区分した4,122地点で、東京ガス株式会社の工場操業時の地盤面から深さ50センチメートルの土壌及び地下水を採取し分析する、詳細調査を実施しました。この手法は、専門家会議が科学的知見から定めたもので、汚染物質が地表から地下へ浸透していくことから、ガス工場操業時の地盤面付近の土壌を調査するとともに、汚染物質が程度の差はあれ、地下水に溶け出すことから、地下水中の汚染物質を調査することで、汚染が把握できることによるものです。さらに、深さ方向の汚染状況を把握するため、詳細調査で汚染物質が検出された1,475地点で、ガス工場操業時の地盤面から不透水層上端まで、深さ方向に1メートル間隔で土壌を採取し分析する絞込調査及び環境確保条例に基づく調査を実施しています。これら都が実施した調査により、敷地全域について、平面方向、深さ方向とも汚染状況を確実に把握しています。この調査結果に基づき、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策として、土壌、地下水中の汚染物質をすべて、除去、浄化することから、汚染物質が残ることはないと考えています。

 これまでの調査によると、「不透水層」の上端である調査最下点でも環境基準を超える汚染が明らかになっています。

Q7 東京都は、「不透水層」付近まで汚染が達している場合は、「底面管理」をおこなうとしています。これまでの専門家会議の調査結果から、都が「底面管理」の必要性があるとしている地点のすべての地点名を示してください。

A7 深さ方向の土壌ボーリング調査の結果、不透水層が確認されていない2地点や、2深度で汚染がないことを確認できていない地点などについては、対策時に、深さに関わりなく、汚染物質が2メートル続けて検出されなくなるまで、土壌中の汚染物質を確認し除去していく、「底面管理」を行っていくこととしています。このような地点は、これまでの調査結果から、約380箇所あると認識しています。

Q8 その「底面管理」する判断基準についてですが、これまで行った調査結果は「不透水層」の上端である調査最下点までしかわかりません。より深部の地点での土壌汚染調査が必要となるわけですが、より深部の土壌に環境基準を超える汚染があるかないかを、どのようにして確認し、どのように汚染土壌を除去していくのですか。

A8 深さ方向の土壌ボーリング調査の結果、不透水層の上端付近で、2深度で汚染がないことを確認できていない地点については、対策工事に際して、まず、当該地点の周囲を止水矢板で囲み、汚染の拡散を防止したうえで、確認されている汚染土壌及び地下水をすべて除去します。次に、汚染土壌を除去した底面から、1メートル単位で汚染物質の有無をボーリングにより確認し、汚染が検出されれば除去するという手順を、汚染物質が2メートル続けて検出されなくなるまで続けていきます。

Q9 技術会議の提言では、「底面管理」についての経費について記述がありませんが、どの程度を見積もっているのですか。

A9 豊洲新市場予定地での不透水層は、これまで行った地質調査や土質試験の結果、土壌の特性から、極めて水を通しにくく、敷地全体としてみた場合、汚染の可能性は低いと考えています。このようなことから、底面管理の経費は、不透水層上端付近から汚染物質が検出されている地点については、不透水層内が1深度汚染されているものと想定し、対策土量を算出した上で見積もっています。

 次に、地下水管理についてです。
 都は、地下水管理について「地下水位の高低差や地下水の流れの影響を受けない」など、豊洲の地下水の実態について非常に単純化して、対策を取ろうとしています。このままでは、地下水管理は失敗に終わる危険性が極めて高いものになります。
 なぜなら、地下水の浄化について、2月18日の参考人質疑で専門家の畑氏は「プールのようなものではまったく現場はない」「フラットじゃないところで地下水を一定に管理することは非常に難しい」「土壌中の水分を絞り出すことは非常に難しい」と発言しているからです。汚染を残したままの封じ込め対策では、地下水管理は長期にわたることも、専門家が指摘しています。
 事実、市場当局から「微生物処理成功事例」としてわが党に提供された土木学会誌に紹介されている「石炭ガス製造工場跡地における土壌汚染状況と対策方法の一事例」については、名古屋市当局に確認しましたが、汚染物質を残しているため、3年たっても地下水は浄化されていませんでした。
 豊洲の地下水管理が成功するかどうか、今おこなっている「適用実験」で実証し、その客観的データを都民に明らかにすることが重要になります。具体的には、各地点の地層、地下水の存在量、水位、地下水の流れを揚水実験や圧入実験で把握すると同時に、揚水・圧入の様子をデータとして把握して、公表すれば済むことです。ところが、今回の「適用実験」の仕様書を見ると、都は地下水管理について、浄化できるかどうかの実験にとどめるものになっています。
 豊洲では、各地層が複雑に入り乱れ、各地層ごとの透水係数が異なり、そのうえ最上部のYc層部分は一様に連続しているわけではありません。したがって、地下水の水頭レベルは、不均一になることは明らかです。
 これでは、実際に徐染工事としての揚水作業を始めても都がこれまで示してきたモデルでは検証不可能になる恐れがあります。

Q10 技術会議提言の揚水ポンプの位置と台数で、敷地全域にわたり地下水をくみ上げ、浄化が可能であるとする証拠を、具体的データで示してください。

A10 技術会議の提言では、地下水の汲み上げについて、周辺区域からの水分の浸み込みを確実に遮断するために、各街区の周囲に遮水壁を設置した上で、新市場予定地付近の過去32年間の1日当たりの平均降雨量に基づき、降雨により道路などから地下に浸透する水量の割合と敷地面積から地下への浸透量を算定し、地下水位を一定に維持するために必要な揚水量を定めた上で、ポンプ1台の揚水能力から、必要な台数を求め、将来の市場施設の配置などから井戸の設置位置を定めています。汲み上げた地下水は、処理施設で浄化した後、下水道へ放流することにしており、処理施設の貯留槽の容量は、水質分析に要する期間である1週間分の降雨による地下への浸透量とその汲み上げ水量の貯留を考慮して定めています。

Q11 揚水井戸、貯水槽の配置図と、平常時、異常気象時ごとに、それぞれの負荷量、水位を記載して、示してください。

A11 揚水井戸、貯水槽の設置数や容量などの計画に際して、集中豪雨や台風などの異常気象時を除く平常時においては、過去32年間の1日あたりの平均降雨量のデータから、地下への雨水浸透量を算定し、地下水位を管理水位A.P.プラス2メートルとするよう、必要な揚水井戸数や貯水槽の容量を定めています。また、集中豪雨や台風時への対応については、過去10年間の1時間当たり最大降雨量が50ミリメートルを超過する降雨の実績データなどから、地下への雨水浸透量を算定し、これを地下に一時貯留できる措置として、目常維持していく地下水位を、管理水位A.P.プラス2メートルから20センチメートル下げることにしています。なお、揚水井戸、貯水槽の配置図については、ホームページの技術会議資料の中に掲載しています。

Q12 地下水の遮水壁について、道路側には鋼管矢板、護岸側のソイルセメントと遮水材を組み合わせた新構造の遮水壁とのことですが、国内での施工例、研究論文を示してください。

A12 豊洲新市場予定地で採用する遮水壁のうち、鋼管矢板の遮水壁については、都の中央防波堤外側処分場や山口県の東見初処分場などの海面廃棄処分場をはじめ、国内で多数の実績があり、研究論文も土木学会などで発表されています。また、新構造の遮水壁についても、国土交通省の鶴見川遊水地や市川市の防災公園などで汚染土壌の封じ込め対策として採用されている実績があり、研究論文も地盤工学研究会などで発表されています。

Q13 震災時についての遮水壁への影響をどのように検証をしていますか。震災時でも問題が起きないとするなら、そのデータなど具体的な根拠を示してください。

A13 土木工事で広く利用されている、社団法人日本道路協会が編集、発行している道路土工カルバート工指針によると、遮水壁などの地中に設置する地中構造物は、「地震に際して周辺の地盤の変形に追従し、一体となって挙動する」と示されており、地震による影響は小さいと考えています。

 2007年6月の経済港湾委員会では新市場建設調整担当部長が「豊洲の新市場予定地は埋立地であるということから、地盤対策が重要であるということは十分認識してございます」と答弁しています。

Q14 豊洲の地盤沈下が起きることは、これまでの調査で明らかになっています。その上、土壌汚染対策として強制的に地下水を吸い上げるわけですから、さらに地盤沈下の危険があります。それぞれ、どのような地盤沈下対策をとるのですか。その予算見積もりも合わせて示してください。

A14 新市場予定地の盛土による地盤沈下への影響については、平成18年度に、調査、推計しています。解析の結果、平成14年から18年にかけて盛土を行った5、7街区では、地盤沈下の現象はほとんど見られず、土質は安定しています。また、今後、2.5メートルの盛土を行う6街区では、推定最終沈下量は58.9センチメートルとなっていますが、盛土を施工してから2年間で最終沈下量の約94パーセントが沈下し、ほぼ終息すると分析しています。こうした分析結果から、土壌汚染対策工事により、盛土を行ってから市場建物の建築工事が完了するまでに2年以上の期間があるため、沈下には十分な時間が確保でき、市場の整備にあたって地盤沈下の影響はないと考えています。対策経費算定に際しては、予測される沈下の分の土を余分に盛る対策を講じることとしており、この費用を見積もっています。地下水の汲み上げによる地盤沈下について、地下水の汲み上げに際しては、街区周辺に遮水壁を設置し、汚染箇所ごとに鋼矢板で囲むことにより、水の浸み出しを防ぐことで、地下水位低下による新市場予定地周辺地域や、敷地全域への影響を防ぐことにしています。こうした措置を講じたうえで、汚染土壌掘削については、地下水を汲み上げ、土壌掘削した後、ただちに埋戻し、清浄水を注入します。また汚染地下水浄化については、地下水位を一定に保った上で、水の汲み上げ、注入を繰り返すことから、地下水汲み上げによる地盤沈下は、ほとんど生じ
ないと考えています。したがって、経費についても、特別考慮する必要はないと考えています。

 土壌汚染の封じ込め対策をする以上、液状化対策にも、その配慮が必要です。
 技術会議の提言では「砂杭締め固め工法」「格子状固化工法」で経費45億円と示されているだけです。
 技術会議の安田氏は、2月16日の参考人質疑で、格子状固化方式については「セメント系の固化材等を用いまして格子状に地盤を固化することによりまして地震時の地盤の剪断変形を抑え、液状化の発生を防止する」と紹介しました。
 その他、「砂杭締め固め工法」「格子状固化工法」の具体的な方法については、「築地場の移転整備 疑問解消BOOK」の13頁でイメージ図で紹介されている程度です。

Q15 液状化する土壌の判定する資料として、これまで明らかになっている資料は、2006年におこなった8本のボーリング調査による地盤解析報告書によるものですが、3街区の液状化の可能性についての判定の検討結果を示してください。

A15 平成18年度に行った液状化に関する分析結果は、5街区、6街区、7街区に共通した特性として、砂質土で構成されている地層では、一部を除いて液状化する、あるいは液状化する可能性が大きいと予測しています。また、中間土と呼ばれる砂質シルトが主体の地層や粘性土で構成されている地層では、液状化しないと予測しています。技術会議では、こうした分析結果に基づき、液状化防止のために砂質土層が厚い6街区及び7街区では、このような場合に、一般的に用いられる、地盤中に砂杭を打設する工法を採用しています。一方、5街区では、砂質土層が薄く表層にあるため、締固めによる液状化防止の効果が発揮されにくいことから、固化材を用いて地盤を格子状に固める工法を採用しています。

Q16 液状化する土壌は、すべて改良するのですか。それとも一部で残すこともあるのですか。残す場合には、噴砂、地割れなどで、汚染土壌が地表に出る可能性があるわけですが、それに対してどのような検証をした上で、どのような対策をとるのですか。その根拠も合わせて示してください。

A16 新市場予定地の液状化対策については、建物部分以外となる場内通路、駐車場、緑地となる区域について、砂質土、粘性土の区別をせず、砕石層を設置する位置から不透水層の上端までの間の土壌を対象に実施します。残る建物部分については、建物自体を基礎杭により支持した上で、建物外壁から内側の一定範囲を、建物部分以外と同様の液状化対策を実施するとともに、建物底面を厚いコンクリート版で覆います。こうした措置をとることで、仮に液状化現象が生じても、地表に土壌や地下水が噴出することはないと考えています。

Q17 表層の液状化対策方式は、専門家会議の時は全面固化方式を提言していますが、技術会議は格子状方式を提言しています。この変更について、どのような検証がされていますか。

A17 専門家会議では、都が土壌汚染対策を実施するに際し、確実に液状化対策が可能な工法を選定していくことを前提に、土壌汚染対策を提言しています。技術会議は、この液状化対策について、震災時に地盤がゆるみ、その結果、地下水や液状化した砂が地上に噴出することがないよう、各街区の土質特性に応じた工法を具体的に提言しています。5街区では、地震時に液状化の可能性が高い砂質土層が薄く表層にあるため、セメント系固化剤等を用いて、地盤を格子状に固めて、地盤の変形を抑止する格子状固化工法を採用しています。この格子状固化工法は、阪神・淡路大震災においても液状化が発生しなかったことが確認されているなど、地盤全体をセメントで固めるという全面固化工法と比べて同等の実効性があり、施工性や経済性にも優れるものであります。

Q18 安田氏は、参考人質疑で、技術会議提言よりも、液状化対策の材料について、より具体的な説明をしましたが、技術会議の経費45億円の根拠があるはずです。専門家も、技術会議の提言には具体性がなく、これでは対策効果の検証ができないと言っています。都は、技術会議提言について、その具体的な内容を示して、多くの専門家の検証に耐えるかどうかを確認する必要があると思いますが、いかがですか。

A18 技術会議では、技術・工法の選定に際し、汚染土壌対策や液状化対策など工種ごとに、専門家が、提出された科学的根拠、実証データ、施工実績などにより検証を加え、実効性に優れた技術・工法を具体的に定め、提言しています。なお、公募のあった技術・工法で評価の高いものについては、その概要をホームページで公開しており、その内容について容易に確認できます。

 液状化対策として「セメント系の固化剤」を用いることについては、1月19日の参考人質疑にたった平田氏は「ベンゼン汚染があるところでは、基本的にコンクリートで固めるというふうな対策はできない」「環境上許されていない」との発言をしています。

Q19 技術会議のやろうとしているセメント系固化剤をもちいた「格子状固化工法」は、この点については、どのような検討をして提言されたものですか。土壌汚染対策工程と液状化対策工程、地下水管理システム作成工程とはどのような関係になっていますか。それぞれの根拠資料も示してください。

A19 土壌汚染対策法では、ベンゼンなどの揮発性のある有機化合物を封じ込めや不溶化などの措置としてコンクリートで固める対策が、認められていません。技術会議では、こうしたことを視野に入れ、工事手順を定めており、土壌、地下水中のベンゼンなどの汚染物質を除去、浄化した上で、液状化対策を行うことにしています。液状化対策を実施した後に、地下水の上昇を防ぐ砕石層の設置や、地下水位を計測していく井戸など、地下水管理に必要な施設などを整備していきます。

2、定時制高校の2次募集について

 定時制高校は、働きながら学ぶ生徒やさまざまな事情のある生徒を受け入れ、高校進学を保障する場となっています。特に3月末に実施される2次募集は、高校進学を希望する生徒にとって新年度を迎える前の最後の砦です。ところが25日に発表された都立高校の定時制2次募集の応募状況は、募集が1,230人なのに対し、応募は1,541人で、311人も募集を上回っています。倍率は1.25倍です。
 日本共産党はこの間、定時制への応募が高倍率になる学校や地域が生まれていることを繰り返し指摘し、募集を増やすよう求めてきました。今年は全日制も含め、これまでにもまして厳しい事態となることが予想され、2月には、募集枠の拡大や経済的支援の充実を求める緊急申し入れも行いました。
しかし都教委は、全体として枠は用意されている、2次募集が不合格でも4月以降の3次募集4次募集があるといい、募集増などの対策をとらずにきました。しかし今回とうとう2次募集の倍率が1倍を超え、3次4次募集もほとんどないと予想されます。子どもたちの進学の願いをかなえることのできない事態となってしまったのです。さらにまだ通信制があると言うかもしれませんが、毎日学校に通って勉強し高校生活を送りたい生徒に対し、通信制があるからよいというのは通用しません。

Q1、希望者全員の高校進学を保障することは東京都の重要な課題だと思いますが、いかがですか。

A1 高等学校への進学を希望する意欲と熱意のある生徒を一人でも多く受け入れることは、都民の期待に応えることと考えています。

Q2、今春の定時制高校の2次募集の応募倍率が全体で1倍を超え、多くの不合格者を出さざるをえなくなっている事態をどう考えているのですか。

A2 「高等学校定時制課程の入学者選抜について」(平成22年3月10日付21文科初第698号文部科学大臣政務官名通知)により、都道府県においては可能な範囲内において、弾力的な取扱を検討するよう通知がありました。これまで合格者数は、入学手続辞退者数を見込んで決定していましたが、今年度は、「高等学校定時制課程の入学者選i抜について」(平成22年3月26日付21教学高第2292号)により学校に通知し、中途退学者数及び原級留置者数等を考慮した上、教育環境に支障のない範囲において、合格者数を弾力的に決定し、意欲と熱意のある生徒を一人でも多く受け入れるよう努めています。

Q3、今春については、緊急に学級増を行ってでも、2次募集の追加合格や3次4次の募集を行い、希望する生徒を受け入れることを求めますが、いかがですか。

A3 高等学校定時制課程第二次募集の結果、定員に満たなかった高校について、第三次募集として65名の募集を行いました。さらに、教員体制等の都立高校の教育資源を最大限に有効活用し、300名の追加募集を行いました。

 こうした定時制への希望が増えている背景には、1つは「子どもの貧困」といわれる子育て世代の経済状況の悪化があります。同時に、都教委が「都立高校改革」により、定時制高校を統廃合してほぼ半分に減らしてしまったことも見過ごせません。特に多摩地域では夜間定時制が少なく、通学可能な場所に入れる学校がないとの声が上がっています。例えば八王子市では、4校あった夜間定時制高校が、昼夜間定時制高校である八王子拓真高校1校に統廃合されました。八王子拓真高校は1次も2次も応募倍率2〜3倍の狭き門で、しかもこの学校に不合格だったとしても近くに行ける定時制高校はないのです。
 また都教委は統廃合計画をつくった時、これまでだったら夜間定時制に入れた子どもたちが入れなくなるのではないかという都民の心配に対し、新しくつくる昼夜間定時制には、統廃合する夜間定時制に在籍する生徒数と同じだけの定員を確保すると説明してきました。しかし、その昼夜間定時制の定員を全日制の計画進学率の枠に含め、試験の日程も全日制と同じにしているために、事実上、定時制の定員枠がせまくなっていることも重大な問題です。

Q4、定時制の新設や閉課程校の募集再開、既存校の学級増などを行い、定時制の募集を増やすことを求めます。いかがですか。

A4 定時制課程の新設、閉課程校の募集再開については考えていません。

 定時制希望者のなかには、本当は全日制を希望していても、近くに行ける高校がない、私立高校の高額な学費負担が難しいなどの事情から、定時制に進まざるを得ない生徒がいます。全日制高校の計画進学率は96%ですが、実績進学率は91.4%(09年度)と4.6%も下回り、しかもここ数年低下傾向にあります。
計画進学率や公立私立の高校の受け入れ分担などを話し合う公私連絡協議会では、「実績進学率を向上させるため、実効ある対策を協議する」との申し合わせが毎年行われていますが、進展が見えてこないことや、公私連絡協議会が都と私立学校の経営者の協議の場であることから、もっと当事者である生徒や保護者の意向をくみ上げる場をつくってほしいとの声があがっています。

Q5、公私連絡協議会では、「実績進学率を向上させるため、実効ある対策を協議する」ために、どのようなメンバーで、いつ、何回、協議会等をもち、どのような話し合いを行ってきたのかを教えてください。また今後の予定を教えてください。

A5 「東京都と東京私立中学高等学校協会との連絡協議会」(「公私連絡協議会」)の本会議は、知事部局職員2人、教育委員会職員6人、東京私立中学高等学校協会が指定する者7人で構成され、また、専門委員会の委員は、知事部局職員2人、教育委員会職員5人、東京私立中学高等学校協会の代表5人で構成されています。第三次中期計画及び平成22年度就学計画の策定に当たり、平成21年3月以降、専門委員会を4同(3月、5月、6月、8月)、本会議を1回(8月)それぞれ開催し、計画進学率及び公私分担割合について協議を行っています。この中で実績進学率向上のための対策について協議しています。今後も、概ね同様のスケジュールで協議を行っていきます。

Q6、全日制高校の実績進学率を向上させるために、当事者である生徒や保護者をはじめとする都民参加で議論を行い、実効ある対策を検討したらいかがですか。

A6 東京都中学校長会が毎年12月に都内公立中学校3年生を対象として「志望予定調査」を実施し、生徒及び保護者の進路希望を把握しています。公私連絡協議会において、「志望予定調査」を踏まえ実績進学率の向上のための対策を協議していることから、生徒や保護者を公私連絡協議会の委員に加えることは考えていません。

以 上