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2011年第2回定例会 文書質問趣意書 2011年7月1日

畔上 三和子(江東区選出)

一、 津波対策について

@津波が湾岸の工業施設や湾内の船舶を襲った場合について

 三月十一日に東北地方を襲った大津波は、政府の想定を大きく超える規模のものでした。この日、東京湾でも、都の想定である最大一・二メートルを超える一・五メートルの津波が観測されました。今後、東京湾における津波の高さをどの程度に想定すべきかは、専門家を含む集団的検討を始めているとのことですが、東京において私たちが直視しなければならない問題の一つは、東京湾の津波が、首都圏全域に、想像を絶する深刻な被害と影響を及ぼす大災害を引き起こす危険性です。

 仮に数メートルの高さの津波が東京湾を襲った場合、津波が湾岸のさまざまな施設を破壊したり、燃料タンクを破損させたりして大規模火災を発生させる危険性があることが、研究者によって指摘されています。

 東京湾には巨大な臨海コンビナートがあり、燃料備蓄施設、石油精製施設、化学物質合成施設や、それにつながるパイプ群が密集しています。一万キロリットル以上の石油タンクが、神奈川県に二百三十基、千葉県に二百六十八基あり、東京都には東京電力大井火力発電所に三万キロリットルの石油タンクが二基あります。この発電所にはタンカーが週に二、三回来て給油していると聞いています。また、化学物質の中には、致死性の有毒ガスを漏出させるものもあるでしょう。羽田空港の滑走路のすぐ近くには、川崎市内ではありますが、民間企業の研究用原子炉もあります。

 東京湾には、常時、多数の船舶が航行または停泊しています。これらの船舶が津波に押し流され、港湾施設、燃料施設等に衝突したり、乗り上げたり、互いに衝突したりして重大な事故を引き起こす危険もあります。津波と一緒に陸に向かい、防潮堤、水門、陸閘(りくこう)などの海岸保全施設を破壊して(地震の強い揺れでこれらの施設はすでに破損していることも考えられる)、ここから津波氾 濫が始まる危険もあります。津波は江戸川、荒川、隅田川、多摩川などに河口から進入するので、これに伴って小型船舶も一緒に遡上し、橋などが破壊されます。

Q1. 知事はすでに、東京湾にも大きな津波が襲う可能性があることを繰り返し指摘していますが、大津波による甚大な災害から東京を守るためには、東京湾に化学工業施設、石油関連施設等や船舶が、過度に集中している現状を踏まえて、対策を講じることが急がれるのではないでしょうか。

A1. 東京湾の津波について、都は既に、東日本大震災を踏まえ、津波の専門家の参加を得て、従来の想定について、最新の分析手法やデータを用い、再検証を行うこととしています。なお、国は、東日本大震災で被災した危険物施設や石油コンビナート施設の実態調査と対策の検討を開始しました。

Q2. 三月十一日の地震では、千葉県市原市の湾岸部で、コスモ石油千葉製油所のLPGガスタンクの火災事故が発生しました。東京消防庁が、これに12隊101名を派遣し、消火及び冷却活動を実施していますので、都として、事故の原因と被害状況を含む全容を説明し、地震や津波との関係でどのような教訓を導き出すべきか、お示しください。

A2. 危険物施設を含めた火災原因調査については、消防法に基づき、当該火災の発生した地域を管轄する消防本部や国が実施することになっています。国は、地震や津波で被災した危険物施設や地盤の液状化の実態調査と対策の検討を開始しました。今後とも、都は、災害時に相互応援を行う九都県市と連携して、必要な情報を収集していきます。

Q3. 東京都として、東電大井火力発電所をはじめとする都内の巨大燃料貯蔵施設等の総点検を行なうこと、さらに、千葉県、神奈川県、千葉市、横浜市、川崎市などと共同で、または連携して、湾岸部全域の危険施設にたいする総点検を行なうとともに、当該企業にたいし、地震、津波対策、火災防止策を抜本的に強化させることを求めますが、いかがですか。

A3. 危険物施設を設置する地盤や構造については、国が厳格な技術基準等を定めており、施設を設置する事業者は、この基準等に従い安全対策を講じる責務があります。今回の東日本大震災においては、東北地方に加え、東京湾沿岸など広範囲で石油タンク等に被害が発生したことなどから、国は、地震や津波で被災した危険物施設や地盤の液状化の実態調査と対策の検討を開始したところです。東京湾内における石油タンクの安全対策については、これまでも九都県市で連携して国へ要望してきましたが、今般の国の検討状況を踏まえ、改めて国へ要望しました。

Q4. これらの緊急対策と同時に、ゆとりと防災を優先させた港づくりに転換する必要があるのではないでしょうか。

A4. 東京港では、平成17年に改訂した第7次改訂港湾計画に基づき、物流・交流・環境・安全の4つの機能が融合した魅力あるみなとの実現に向け、取組を進めており、物流機能に加え、海上公園等のオープンスペースも計画的に配置しています。また、防災面では、高潮や大規模地震による浸水被害から、都民の生命、財産を守るため、海岸保全施設を引き続き整備していくとともに、首都圏が被災した場合には、緊急物資の迅速な輸送を確保し、大都市としての経済活動が停止しないよう、耐震強化岸壁や、ふ頭と背後地とを結ぶ緊急輸送道路の整備を着実に進めています。

A津波による水害が都心およびゼロメートル地帯を襲った場合について

 東京湾での津波がもたらす災害の問題として、二つめに直視しなければならないのは、都心部およびゼロメートル地帯が、津波や水害に対して脆弱な構造になっているという問題です。

 東京湾を「想定外」の高さの津波が襲えば、ゼロメートル地帯は一面の海原になる可能性があります。船舶、壊れた住宅や家具、倒れた街路樹、自動車などが一緒に移動すれば、きわめて大きな破壊力を持ちます。

 また、ゼロメートル地帯あるいは江戸時代に湿地帯や海中に位置していたことになる地下鉄の駅は、東京メトロと都営地下鉄あわせて約七十あるといわれています。これらのどこか一つの駅から、地上の津波氾濫水が地下空間に侵入すれば、その駅だけでなく、他の駅まで水没する危険があります。

 ゼロメートル地帯では、氾濫水が二週間以上、たまったままでいる危険性が指摘されています。これにより、ライフラインの途絶で避難生活が不可能になるなど、個人・家庭・地域の生活環境の維持が極めて困難になります。学校・企業・自治体・病院・福祉施設などの活動の停止や、施設内での孤立が生じます。東京・首都圏のゼロメートル地帯は、面積が約百二十平方キロメートル、人口が約百八十万人に達します。この広大な地域に人が住めなくなり、百万人を超える避難者を他の地域・自治体が受け入れなければならなくなります。

Q5.津波による氾濫水が、ゼロメートル地帯に及ぼす影響について、どのような認識をもっているのか、伺います。

A5.今回の大震災では、これまでの予測した規模を超えるマグニチュード9.0の地震が発生したことから、東京における大津波の発生の可能性について、国の中央防災会議の動向等を注視するとともに、大地震の際に堤防等の防災施設が安全に機能するか早急に検証することが必要と考えています。

Q6.津波による氾濫水にさらされる可能性の高い場所にある地下鉄、地下街等の総点検を実施し、緊急対策をとることを求めます。いかがですか。

A6. 都における防潮施設は、国内最大級の伊勢湾台風や、想定される津波高が最も大きい関東地震に対応できるよう、整備してきました。東京の地下鉄、地下街等では、東北地方太平洋沖地震により発生した津波による被害は発生していません。国においては、震災後に、首都圏における地下トンネルを有する鉄道について現行の対策を検証し、必要に応じて改善を図ることを目的とした"「首都圏の地下鉄道の浸水防止対策協議会」を設置し、検討を進めています。今後は、地下鉄や地下街等、都市施設について、平成23年6月に庁内関係局で設置した「地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会」や国の中央防災会議、「首都圏の地下鉄道の浸水防止対策協議会」などの動向を踏まえ、適切に対処していきます。

Q7.このように水害に弱い構造が指摘されている東京で、どのような津波・水害対策を講じていくのか、取り組みの状況と方針を伺います。

A7. 都では、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風を想定し、これに対応できるよう防潮堤の高さを決定の上、高潮対策を実施してきました。今回の大震災では、これまで予測してきた規模を超える地震が発生したことから、既に、関係局が連携して緊急に取り組むべき対策にっいて、検討を開始しており、国の中央防災会議の動向等を注視しつっ、従来の施設の整備水準を上回る予測がなされた場合は、必要な対策を検討していきます。

Q8.江東区は高層マンションの入り口を避難時には開放し、周辺住民が高いところに避難できるように各マンションに要請するとしています。都としても、高層マンションやオフィスビルに協力を要請し、マンション住民や管理者の意見も聞いて、必要な援助を行なうことを求めます。いかがですか。

A8. 災害対策基本法では、災害発生時等における住民への避難勧告等については、一義的には区市町村長の権限とされており、区市町村が、地域住民の安全確保の観点から、発災時の避難場所の充実を図ることは、重要であると考えます。江東区における津波発生時の高層マンション等への避難誘導については、現在区において検討を進めている過程であり、都としては、引き続き、区の検討状況を把握していきます。今後とも、訓練の実施等を通じて区市町村と連携し、都民の安全確保に努めていきます。

B津波に備える防災教育について

 津波をはじめとする防災・減災対策においては、ハード面とともにソフト面が重要です。東日本大震災では、指定避難所に避難した多くの方が津波にのまれました。強固な防潮堤や湾口防波堤も壊され、歯止めにはなりませんでした。他方、「想定に縛られず、自分ができる最大限のことを尽くす」という観点から、系統的で実践的な津波防災教育を行なってきた釜石市では、市内の小中学校生徒の主体的な判断による避難を促し、犠牲を最小限に留めることができました。
国と自治体は、地震や津波に対する的確な被害想定を行ない、堤防などのハード面を十分に備える責任があります。同時に、想定を超える災害に対しても住民および滞在者が的確に行動できるように、平時から系統的に支援することもまた、行政の重要な役割です。

 この見地から、子どもたちへの防災教育や都民への周知徹底が重要です。その際、その内容が、実際に役立つものであるためには、科学的知見に裏付けられ、誰もが納得でき、自主的・自発的な行動力を生み出すものでなければなりません。

Q9.防災教育をすすめるにあたっては、副読本「地震と安全」の内容を、専門家、研究者、教育者等の英知を結集し、都民参加のもとに具体化することを求めます。

A9. 都教育委員会は、副読本「地震と安全」を、従来から地震学を専門とする監修者の下に、都内公立学校の校長・教員による作成委員会を設置して発行してきており、「安全チェック表」、「地震発生時の安全行動」、「災害ボランティア活動」等を掲載することで、家庭や地域と連携した防災訓練にも活用できるよう工夫してあります。
今後ともこうした取組を継続していきます。

Q10.とりわけ湾岸地域、ゼロメートル地帯での防災教育では津波対策の教育も重要です。幼いころから身体で覚える防災教育が大切である点も踏まえた内容にするよう求めます。

A10. 副読本「地震と安全」では、従来から、津波の危険について取り扱ってきており、引き続き、地域や学校の実態に応じて、様々な災害や状況を想定した防災訓練を実施するよう、各学校を指導していきます。

Q11.今回の補正予算で、東京消防庁が「津波等に対する都民の防災意識を高めるため、啓発用のビデオなどを作成する」とのことですが、その内容についても、上記のような研究や教育実践が十分に活かされるよう要望します。あわせて伺います。

A11. 東日本大震災においては、東北地方を中心とした太平洋沿岸地域に、想定を超えた津波による甚大な被害が発生し、都民の地震や津波への関心が高まっています。このことから、東京湾で津波や高潮等が発生した場合の危険性や、取るべき行動を働きかける啓発用ビデオを作成し、都民の防災意識の高揚を図っていきます。作成に当たっては、専門家や識者などの意見を伺うとともに、津波による被害映像等を活用するなど、啓発効果の高い作品にしていきます。また、作成したビデオは、各消防署が幼児期からの発達段階に応じた内容で実施している「総合防災教育」の教材として、小・中・高校などで活用するとともに、防火防災訓練や防火座談会などで放映し、広く都民に周知することとしています。

二、液状化対策について 

 今回の東日本大震災では、東京でも、砂混じりの水の噴出、道路などの陥没、住宅の傾斜や沈下など、いわゆる液状化現象が、予想を超える広がりで発生しました。日本共産党都議団の調査では七区におよび、新聞記事によれば地盤工学会の調査では、東京湾岸部の被害面積は約四十二平方キロメートルで、山手線の内側の面積の半分以上に相当し、世界最大ということです。

 最も多かった江東区では、臨海部を中心に二十一箇所で被害があり、都営辰巳団地では、土砂の噴出、建物のひび割れなどがいたるところで発生し、下水道管の破損により水洗トイレが使えなくなったところもありました。新木場の埋め立て地では、歩道ブロックが浮き上がり、電柱が傾きました。有明テニスの森の人工芝コートの一部では液状化が認められました。臨海副都心に建設中の都立産業技術研究センターの新本部の建物は、地盤対策をほどこした施設とされていたにもかかわらず、外構舗装の沈下や建物本体と共同溝との接続部分の損傷などの被害を受け、修復工事に最低でも三カ月必要な状況になりました。豊洲の新市場予定地では一〇八箇所で液状化が発生し、築地市場の移転先としてふさわしくないことが重ねて証明されました。

 江戸川区では、盛り土の高台である清新町一、二丁目で、大量の水と土砂が激しく噴出し、地盤が陥没しました。巨大な高層住宅の足元に「ぬけあがり」が生じ、戸建て住宅が不同沈下を起こして傾き、十二棟が大規模半壊や半壊等と認定されました。

 住宅の液状化被害は、ただちに人命を奪ったり、家屋を一挙に破壊したりすることがなくても、たとえわずかな被害によっても、家屋の傾きが住人の健康に有害な影響を及ぼすことから、実際には住むことができなくなり、財産にも深刻な損害を与えます。社団法人・日本建築構造技術者協会の調査によれば、家屋の傾き〇・三四度で人は「傾きを認識」し、〇・五七度で「苦痛を感じ」、〇・八六度で「気分が悪くなるなど健康に被害」が及ぶとのことです。
 こうした中、都が住宅再建、地盤強化に対する支援を決めたことは重要です。

Q1.支援の内容は具体的にどのようなものですか。

A1.東日本大震災は、広域にわたり甚大な被害を及ぼしており、自治体ごとの対応ではなく、国が統一的な対応を行うべきものであることから、都は、同一の災害で被災した全ての地域が支援の対象となるよう、平成23年6月に国に提案要求しています。提案要求が実現するまでの間については、特例措置として、区市町村が行う住宅被災世帯への支援に対する補助を実施しています。

Q2.液状化で被害を受けた都営辰巳団地の建て替え計画は前倒しで実施し、宅地の地盤強化を図ることを求めますが、伺います。

A2. 辰巳一丁目団地では、液状化により、断水、排水管の破損などがありましたが、建物本体の被害はありませんでした。建替えについては、居住者の移転のための期間を確保することが必要であり、また環境アセスメントなどの法手続を経て、建設工事に着手することから、前倒しする考えはありません。建替えに際しては、既に必要に応じ建物の液状化対策を実施することとしています。

 先に紹介したNHKの番組は、平成九年度作成の「東京の液状化予測図」を示し、東京湾北部を震源にした首都直下地震が起きると、首都圏で液状化で被害を受ける住宅は、全壊だけでも三万三千棟にのぼるとの想定を紹介しました。今回被害を受けた一万七千棟のうち、全壊したのはごく一部であり、三万三千棟が全壊した場合は、半壊などの住宅を合わせると、被害はより甚大になって、対策が急がれていると警告しました。この警告を正面から受けとめる必要があります。
この点で、都が「東京緊急対策二〇一一」の中で、液状化予測図の修正を行なうとしているのは、当然必要なことです。たとえば、先に紹介した江戸川区清新町は、現行の液状化予測図では「液状化が発生しやすい地域」とは予測されていない地域でした。

 先に津波対策のところで指摘した、臨海コンビナートなど工業施設や燃料貯蔵施設が密集している東京湾の対策は、液状化問題でも重要課題です。大井火力発電所では、三月十一日の地震で石油タンクに損傷はありませんでしたが、配管に不具合や損傷が生じ、停止して修理し、稼動を再開したのは三月十七日だったとのことです。タンクの支柱は「N値五十」の「強固な地層」まで達していますが、配管には支柱がありません。地盤の液状化対策としては、現行法の基準にもとづく「締め固め」や側方流動対策はしていますが、今回の教訓を踏まえて見直す必要があります。タンクが浮き屋根式であることも心配な点です。

 なお、先にも触れた市原市のコスモ石油千葉製油所のLPGガスタンク火災の原因についても、余震の際のガス配管の破損によるものとの指摘があります。原因を徹底的に検証し、民間企業であっても情報を全面的に公開して、教訓を共有する必要があります。

Q3.今後見直しが進められる東京都の地域防災計画をはじめとする防災対策においては、液状化被害を重視することが不可欠と考えますが、いかがですか。

A3. 東京緊急対策2011では、東日本大震災の教訓を踏まえ、東海・東南海・南海三連動地震も視野に入れた地域防災計画の修正を掲げており、その中で、液状化対策についても検討すべき項目の一っとしています。

Q4.新たな液状化予想図の作成と、液状化対策の策定にあたっては、実際の液状化発生状況の綿密な調査、地盤の科学的・歴史的分析、建築物への影響の総点検が必要と考えますが、いかがですか。

A4. 液状化対策については、都は、橋梁や護岸など主要構造物の整備にあたり、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示した「液状化予測図」や地質調査、道路橋示方書などの技術的基準に基づき、必要があると認められた場合には、地盤改良や基礎部分の強化などの対策を実施してきました。このため、今回の地震においては、都が管理する都市施設の主要な構造物について大きな被害は認められませんでした。現在の液状化予測図は、地質調査データに基づき、地表面から深さ6メートルまでの浅い部分と、地表面から深さ20メートルまでの地層全体のそれぞれにっいて、地…盤工学的な判定を行い、更に液状化の履歴や土地利用の変遷を加味し、「液状化が発生しやすい地域」「発生が少ない地域」「ほとんど発生しない地域」の3つに分類したものです。江戸川区清新町は、予測図の分類では、地表面から深さ6メートルまでの浅い部分で発生しやすいが、深さ20メートルまでの地層全体では液状化しにくい、いわゆる「発生が少ない地域」であり、おおむね浅い層で液状化が発生したものと認識しています。
 今後、東日本大震災による新たな知見について、地盤の専門家などから意見を聞きながら、液状化対策検討の基本となる「液状化予測図」の見直しを行い、公共施設管理者などに提供していくこととしています。一方、一部の木造住宅については、液状化による被害が生じたため、建築物を対象とした対策の指針などを作成し広.く都民に情報提供していくこととしています。

Q5.液状化の起こりやすい地域での建築工法と地盤改良の方途、側方流動の防止策等について、専門家の英知を結集することを求めます。いかがですか。

A5. 都は、建築物を対象とした液状化対策を検討するために、平成23年7月27日に専門家を含めた検討委員会を設置し、既に、今回の地震で生じた被害や地盤の状況についての調査や、地域の地盤特性に応じた対策の検討を始めています。

Q6.液状化の危険が浮き彫りになった臨海部では、高層マンション等の新たな建設は行なわないなど、安全最優先でまちづくりのルールを確立する必要があると考えますが、いかがですか。

A6. マンションなどの高層建築物については、建築基準法において、建設する際に地盤調査を行い、地震時に液状化するおそれのある場合には、液状化による地盤の変形等に対して、建築物等に有害な損傷や変形、沈下が生じないことを確かめることになっています。こうした規定により、液状化に対する高層マンションの構造上の安全性については、十分に確保されています。

三、都内に避難している東日本大震災の被災者への支援について

 3.11から三カ月以上がたっていますが、今なお避難生活を余儀なくされている方々が八万人を超え、都内にも多くの被災者が避難生活を送っています。
とりわけ福島第一原発事故からの避難者は、着の身着のままでの避難をし、自宅があるのに家を見に戻ることさえ禁止され、いつになったら戻れるのか全く分からないという状況になっています。

 被災児童生徒も都内には、約1200人(6/7現在)が、都内の幼稚園、小中高校に通っていますが「いつまで、この学校に通えるのか」と不安の声をあげています。

 江東区東雲にある公務員住宅には、5/19現在262世帯803人もの避難者の方々が入居されています。慣れない東京での生活、これまでと全く違った環境の中で、疲労もかなり蓄積されている状況です。

 いま都がやるべきは、どの被災地からの避難であろうが原発事故による避難指示・勧告を受けた人であろうが自主避難の人であろうが区別せず「先の見通しがつくまでは安心して東京で避難生活してください」というメッセージと対応です。その対応も被災状況や仕事の有無、家族構成など様々であり、抱えている問題も異なるために、きめ細かい対応が必要です。

 東雲住宅に限っていえば、これまで避難所としての扱いだったにもかかわらず、光熱水費もカーテンの設置も食費も自己負担で行なってきました。また日本赤十字の家電6品の寄贈も遅れているために自己負担で家電を購入せざるを得ない等の状況が生まれ、そのことが被災者にとっては大きな経済的負担となっています。

Q1.避難所であれば支給されるべき光熱費や食費を見舞金という形で支援することを求めますが 、いかがですか。

A1. 都が震災発生直後に開設した東京武道館や東京ビッグサイト等の避難i者受入施設は、震災に伴い緊急的に避難されてきた方を一時的に受け入れることを目的としており、都は、当該施設において、災害救助法の趣旨に基づき、光熱水費の負担はもとより、避難者の方に対し、各自で炊事ができない状況などに鑑み、食事の提供等を行ってきたところです。一方で、都営住宅や国家公務員宿舎である東雲住宅等の受入施設は、個々人の生活再建に向けて一時的な居住の安定を図ることを目的としており、上記施設とは性格の異なるものです。都は、東雲住宅等の施設について、生活を始める上で不可欠となる、照明器具、ガステーブル、冷蔵庫、テレビ及び布団を備え付けるとともに、応急仮設住宅に求められるエアコン、カーテン及び網戸についても設置を進めています。また、日本赤十字社は、洗濯機、電子レンジ、電気ポット、炊飯器等を避難者に対して寄贈することとしており、一定の炊事環境も整っています。このように、東雲住宅等の施設においては、災害救助法の趣旨に基づき、一時的な居住の安定に必要な環境整備を行ってきましたが、光熱費や食費に相当する金額を見舞金という形で支援することは考えていません。

Q2.交通費負担の軽減のために都内被災者には、都営交通の無料パスを支給することを求めますが、伺います。

A2. 都内に避難されている被災者で、70歳以上の高齢者や障害者のうち、保険証などにより年齢や避難する前の住所を確認できる方に対して、都営交通の運賃負担を軽減するための検討を進め、平成23年8月より無料乗車券を発行しております。

Q3.駐車場は有明にある駐車場を利用することとなっていますが、遠くて大変という声が上がっています。東雲住宅の駐車場を利用できるようにすべきです。

A3. 国家公務員宿舎東雲住宅に入居されている被災者には、東雲住宅内の駐車場を車の保管場所として利用いただいています。この保管場所で全ての車を収容できないことから、民間事業者の御厚意により都が無償で東雲住宅に近い有明北地区の用地を借り受け、車の保管場所を設置した上で、被災者に利用いただいています。

Q4.被災者の方々は、どのような支援があるのか、いま被災地がどうなっているのか正確な情報を求めています。都の支援内容など丁寧に情報提供するとともに、福島第一原発の現況、被災県の情報等も的確に周知できるよう連携を図るべきです。あわせて伺います。

A4. 都は福島県からの避難i者を多く受け入れていますが、原発事故収束の見通しも不透明な中、いつ故郷に帰れるか分からない方が多数いらっしゃいます。都はこれまで、随時、被災地の行政情報等を提供することで避難者と被災地をっなぐ取組を行ってきました。今後とも、被災自治体との連携を図りながら、都内避難者に被災地に関する必要な情報や避難者支援の取組などを周知していきます。

以上