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2011年第3回定例会 文書質問趣意書 10月7日

吉田信夫(杉並区選出)

1、震災対策での予防対策の抜本的強化について

 東日本大震災を経験し、あらためて震災対策の抜本的強化、とりわけ、地震被害を軽減し都民の命と財産を守るための予防対策の強化が求められています。東日本大震災は、深刻な被害をもたらしましたが、防災施設の整備や施設の耐震化、地盤対策の強化が生命を守り被害を軽減するうえで重要だったことを示しています。以下、震災対策での予防対策強化を求める立場から質問します。

問1 予防対策の抜本的強化をはかるうえで、なによりも都が管理する都市施設やライフラインの耐震化の到達を明確にし、今後の耐震化計画を明確にすることが重要です。
@都道にかかる約1250橋梁のうち、レベル1及びレベル2対応の耐震化はそれぞれ何か所整備されていますか。残された橋梁の耐震化はどのように進めていくのですか。緊急輸送道路の橋梁を優先的に整備していますが、他の橋梁についてはどのように考えていますか。

回答
 震災時において、救援・救助活動など、初動対応を迅速に行うためには、橋梁の耐震性向上が重要です。
 橋梁の耐震対策については、阪神・淡路大震災を踏まえ、橋の長さが短く耐震補強が必要ない橋梁などを除く緊急輸送道路等の401橋の耐震化を進めています。
 平成22年度末現在、267橋の耐震化を完了しており、引き続き「10年後の東京」計画に基づき橋梁の耐震化を着実に推進していきます。

A31か所の公共バースのうち、レベル2相当の耐震化はどれだけのバースで整備されていますか。残りのバースの耐震化はどのように計画していますか。

回答
 耐震強化岸壁については、国の定める基準に基づき、整備を進めてきました。これまで、13バースの整備が完了し、現在、6バースの整備を進めています。
 残りのバースについても、着実に耐震化を図っていきます。

B東日本大震災では、都内の潮風公園や夢の島公園などで液状化が発生しました。東京湾に面した護岸の耐震化、液状化対策はどの程度実施され、どれだけ残されていますか。今後の耐震化、液状化対策はどのように考えていますか。

回答
 東京港における海岸保全施設については、液状化等に対する耐震対策を実施しています。
 平成22年度末で、外郭防潮堤は概成しており、内部護岸では約6割が実施されています。
 今後も、残る施設について対策を進めていきます。
 また、公園において液状化が発生した際には、被害状況に応じて適切に対応しています。

C東京都が管理する河川の堤防のうち、レベル1対応の耐震化がいまだに実施されてない堤防の延長距離と堤防全体に占める比率はどうなっていますか。いつまでに耐震化をすすめますか。あわせてレベル2対応の耐震化が課題となっていると考えますが、いかがですか。

回答
 東部低地帯において耐震対策が必要な堤防の延長は、約65キロメートルです。
 平成9年度から中川等3河川の外郭堤防を優先的に耐震補強を行うなど、平成22年度末までに約24キロメートルが完了しています。残る約41キロメートル、約6割については、5か年計画を策定し整備を進めています。
 東日本大震災を受け、平成23年6月には、地震や津波の専門家を含む委員会を立ち上げ、施設の耐震性等について検証を進めており、この中で、耐震性の強化について検討しています。

Dライフラインである水道施設の耐震化も急務です。水道管の耐震継手管化は48%までの目標年次は示されていますが、これを早めるとともに、100%耐震化の計画を明らかにすべきです。

回答
 水道局では、抜け出し防止機能を有する耐震継手管への全面的な取替えをこれまでも積極的に進めています。
 さらに、平成22年度から「水道管路の耐震継手化緊急10力年事業」に基づき、耐震継手管への取替計画を大幅に前倒しして、平成31年度末の耐震継手率を48パーセントまで向上させる取組を既に実施しています。
 水道管路の耐震継手化については、引き続き計画的に進めていきます。

E下水管マンホールの総数のうち耐震化はどの程度実施され、今後の計画はどのようになっていますか。避難所や新たにターミナル駅周辺優先にとどまらず、全体のマンホールの耐震化を目標に実施すべきと考えますがいかがですか。
また、すべてのマンホールの耐震化に要する事業費はどの程度となりますか。

回答
 マンホールは、区部で約48万個を有しているが、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の状況を踏まえ、震災時における下水道機能や、交通機能の確保などの観点から、既に必要な対策は、実施しています。
 避難所などからの排水を受ける下水道管とマンホールとの接続部の耐震化については、既に約7割を完了しているが、残りの箇所の計画を2年前倒し、平成25年度の完成を目指しています。
 また、マンホールの浮上を抑制する対策については、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路など約500キロメートル全てを、平成22年度完了しました。
 更に平成23年度から、避難所などへのアクセス道路に対象を拡大し、実施しています。
 また、これらの取組については、ターミナル駅周辺などの対策エリアの拡大に向け、検討しています。
 なお、震災対策は、水再生センターやポンプ所の耐震化などとあわせ、平成23年度事業費として122億円を計上しています。

問2 住宅の耐震化促進は急務です。都は2015年までに住宅耐震比率を90%にする目標をかかげています。なかでも遅れている木造戸建て住宅については、最新の耐震化戸数、及び非耐震の戸数はどれだけですか。90%の耐震化達成のために、新築や建て替えを除き、耐震化支援を必要とする戸数はどれだけですか。日本共産党都議団は、耐震改修助成対象の拡大と助成額の拡充を求めてきましたが、耐震化促進のために都はどのような支援を行うのですか。

回答
 平成21年度末における木造戸建住宅のうち、耐震性を満たす住宅は約110万戸で、耐震性が不十分な住宅は約47万戸と推計されます。住宅の耐震化を促進するためには、所有者自らがその必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠だと考えており、都としては平成27年度の90パーセントの目標達成に向けて、技術的及び財政的支援を実施しています。
 東日本大震災を受け、都民の関心も高まっていることから、この機を捉え、区市町村とも連携し、所有者に対する普及啓発や技術的支援に更に取り組んでいきます。
 また、引き続き、道路閉塞や延焼による被害の危険性の高い、防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象として、木造住宅の耐震化助成を行っていきます。

問3 都が管理する都営住宅の耐震化は都の責任で早急に完了されなければなりません。全都営住宅の耐震化の進捗状況及び残された都営住宅の耐震化をいつまでに完了するのか明らかにしてください。
 また、緊急輸送道路に面する都営住宅は2010年度までに耐震化を完了する計画を示していましたが、杉並区内では環状7号に面した都営住宅でいまだに耐震化もされず、建替えの計画も示されていない都営住宅があります。全体及び杉並区内での進捗状況と計画を明らかにしてください。

回答
 都営住宅の耐震化にっいては、都営住宅耐震化整備プログラムに基づき、新耐震設計基準で設計された建物と建替え対象の建物を除いて、耐震診断を平成24年度までに行うとともに、耐震基準に満たないと判定された住宅にっいて、改修工事等を順次実施し、平成27年度までに都営住宅の耐震化率を90パーセント以上とすることを目標として進めています。都営住宅の耐震診断については、当初の予定より完了時期を1年早め、平成23年度中に完了させる予定です。
 また、緊急輸送道路沿道で対象となる都営住宅については、都全体で改修が必要な71棟の全てにおいて耐震化を進めており、設計中が52棟、工事中及び工事完了が19棟となっています。このうち杉並区内では、改修が必要な3棟について設計を進めています。

問4 予防対策のうえで、住宅や施設の耐震強化とともに、地盤そのものの強化、液状化対策の重要性が東日本大震災から浮き彫りになったと思いますが、どのように認識していますか。

同答
 宅地の所有者等が事前に対策を講じることにより、液状化などの震災による被害に備えていくことが重要であると認識しています。

問5 東日本大震災による都内での液状化発生地域について、国土交通省は地盤工学会の調査にもとづいて11区と発表しており、そのなかには都の液状化予想図で発生の可能性が低いとされた地域で多数発生しています。都はこの問題をどのように認識していますか。予想図の見直しが準備されていますが、そのためにどのような調査を行うのですか。単に液状化の可能性が高いか低いかを示すだけでなく、地域ごとの地盤や埋立の履歴など具体的に知ることができるようにすることが重要と考えますが、いかがですか。

回答
 現在の液状化予測図は、地質調査データに基づき、地表面から深さ6メートルまでの浅い部分と、地表面から深さ20メートルまでの地層全体のそれぞれについて、地盤工学的な判定を行い、さらに液状化の履歴や土地利用の変遷を加味し、「液状化が発生しやすい地域」「発生が少ない地域」「ほとんど発生しない地域」の3つに分類したものです。
 御指摘の液状化発生地域は、予測図の分類では、地表面から深さ6メートルまでの浅い部分で発生しやすいが、深さ20メートルまでの地層全体では液状化しにくい、いわゆる「発生が少ない地域」であり、概ね浅い層で液状化が発生したものと認識しています。
 液状化予測図の見直しは、東京都土木技術支援・人材育成センターを中心に検討を行うとともに、液状化した箇所の近隣で新たに地質調査を実施し、その結果を活用することで一層の精度向上を図っていきます。
 また、都は、公共事業に伴い実施した地質調査データを数多く保有していることから、民間建築などの際に参考となるよう地盤情報を提供してきており、東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページ上に液状化予測図とともに約7,000本の地質柱状図を掲載しています。今後とも、これまで同様、広く都民へ情報提供していきます。

問6 液状化にたいする予防対策は、個人の努力だけでは困難です。戸建て住宅の地盤調査、地盤強化策の技術的支援、さらに経済的支援が求められています。国に求めるとともに、都として検討すべきです。

回答
 建築物の液状化被害に備えていくためには、建物の所有者や建て主が事前に対策を講じていくことが重要です。
 このため、都は、平成23年7月に建築物液状化対策検討委員会を設置し、具体的な対策事例や地盤調査データを活用した情報の提供について検討しています。
 なお、都としては、建物の倒壊による道路閉塞を防止するための緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化や、木造住宅密集地域の早急かつ確実な整備をするための防災都市づくり推進計画に定める整備地域における木造住宅
を対象とした耐震化など、極めて高い緊急性や公共性を備えている場合に的を絞って助成を行っています。

問7 東日本大震災では、都が管理する公園や埠頭などでも液状化が発生しました。こうした都が管理する施設の液状化対策をどのように進めていくのですか、明らかにしてください。

回答
 液状化対策については、都は、橋梁や護岸など主要構造物の整備にあたり、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示した「液状化予測図」や地質調査、道路橋示方書などの技術的基準に基づき、必要があると認められた場合には、地盤改良や基礎部分の強化などの対策を実施してきました。
 このため、今回の地震においては、都が管理する都市施設の主要な構造物について大きな被害は認められませんでした。
 引き続き、液状化対策を積極的に実施し、災害に強い都市づくりを進めていきます。

問8 東日本大震災では造成宅地で地滑り等による住宅被害が多数発生しており、東京にとっても多摩地域の丘陵地など造成宅地の地盤対策の重要が浮き彫りになったと考えますが、どのように認識していますか。

回答
 都は、宅地造成に伴う崖崩れや土砂の流出による災害防止を図るため、多摩地域の丘陵地等を、宅地造成等規制法に基づく宅地造成工事規制区域に指定し、造成工事を行う事業者に対して、法令に基づく技術的基準に従い、指導及び許可等を行っています。今後も引き続き、法令等に基づき、造成宅地の安全に努めていきます。

問9 国は、大規模盛土について地盤の危険度を示すマップを公表し、宅地の保全を促すとともに、防止工事を進める事業を実施しています。都もこれにもとづいて昨年度までに大規模盛土造成マップを公表する計画をたてていましたが、なぜ実施されていないのですか。国の動向に左右されることなく、都としてマップの公表を行うべきです。

回答
 大規模盛土造成地マップは、宅地の耐震化を促進するため、大規模な盛土が行われた造成地について、その位置を地図上に表示するものです。
 都は、これまで、国の通知を受けて、大規模盛土造成地マップ作成のための調査を実施してきましたが、現在、国において、大規模盛土造成地マップの作成を含めた宅地耐震化事業の進め方の抜本的な見直しが行われている段階です。

問10 宅地造成から数十年が経過した地域が多くあり、擁壁の劣化が心配されます。国土交通省も擁壁劣化の危険性を指摘し、点検が必要なことを示しています。都としてどのように認識し、対応しますか。

回答
 造成地の擁i壁にっいては、宅地造成等規制法などにより、所有者や管理者において、常時安全な状態に維持するよう努めるものとされています。
 なお、宅地造成工事規制区域内の宅地については、地元市が調査を実施しており、都はこれを受けて、危険な宅地と判定される場合には、その所有者や管理者に対し、宅地造成等規制法に基づく勧告等を行っています。

問11 予防対策のうえで、欠落しているのが、湾岸部に林立する石油タンク等が地震、津波で破損し東京湾に石油などが流出することへの対策です。最近公表された国土交通省の検討会報告では、石油等が東京湾に広がれば、燃料や物資を輸送する船舶が往来できなくなり東京の経済に深刻な影響を及ぼすことを指摘しています。都として報告書の指摘をどう受け止めますか。
 都は国の調査をまって対応するとの姿勢をとっていますが、総務省消防庁の調査は、肝心の、地盤全体の調査、液状化の危険性についての調査は実施していません。それで十分だと判断するのですか。
 湾岸部の県市と共同し、地盤の点険、調査を実施すべきです。

回答
 石油コンビナートなどの危険物施設等の安全対策は、国と事業者に適切に対応すべき責務があり、九都県市として、これまでも石油タンクなどに被害を及ぼす長周期地震動対策等の一層の推進について、国に要望を行ってきました。
 平成21年に国土交通省の「臨海部の地震被災影響検討委員会」が報告書等を取りまとめたことは承知していますが、一方で、総務省消防庁においては今回の震災による石油タンク等の火災被害を踏まえ、全国の被災した施設の実態調査を現在行っているところであり、平成23年12.月を目途に対策の取りまとめを行うこととしています。
 都としては、この検討結果を踏まえ、九都県市で連携し、対策の更なる充実を国に働きかけていきます。

以上

2、日大光が丘病院をめぐる対応について

 日本大学が、来年3月末をもって練馬区内にある日大医学部付属練馬光が丘病院から撤退することを7月に突如発表しました。日大光が丘病院は18診療科、342床を擁し、小児救急では年間8千件の小児救急を受けいれるなど、練馬区民はもちろん杉並区をはじめ周辺地域の住民にとっても大きな役割を担ってきました。
 練馬区は後継の運営主体を決定しましたが、住民のなかからは、医療水準の後退を危惧し日大光が丘病院の存続を求める声がひきつづき広がっており、こうした住民の声は当然のものと思います。
地域医療の水準の後退、小児救急の後退が起きないよう、東京都としも責任を果たすことを求め以下質問します。

問1 日大は練馬区と30年間の契約を結んでおきながら、経営難を理由に一方的に病院の撤退を打ち出しました。練馬区は人口10万人当たりの病床数は269床で23区で最下位です。こうした医療過疎ともいえる状況を承知しながら、約束をたがえて一方的に撤退することは大学病院としての社会的責任が問われる問題です。こうした事態を放置することは、練馬区だけでなく東京の地域医療全体にとっても重大な問題であり、東京都としても見過ごせない問題だと考えますが、いかがですか。都として日本大学にたいし、社会的責任を自覚し、光が丘病院の一方的撤退を撤回し、練馬区と協議を尽くすよう働きかけるべきです。

回答
 地域医療の確保は、まず、住民に身近な区市町村が具体的な役割を果たす必要があります。
 そのため、都は、日本大学が撤退を表明後、直ちに、練馬区に対し、地域医療の確保に向け日本大学と協議するよう要請するとともに、日本大学に対しても、区と十分協議するよう依頼してきました。
 平成23年9月16日に練馬区が後継の運営主体を公益社団法人地域医療振興協会(以下「地域医療振興協会」という。)に決定したことから、都は、目本大学及び地域医療振興協会に対し、円滑な引継ぎを行うよう依頼するとともに、練馬区に対し、地域医療の確保に向け、適切に対応するよう指導しています。

問2 都は、日大光が丘病院に休日全夜間小児救急事業を委託してきましたが、日大の撤退はこの事業委託の廃止にもつながりかねず、空白の地域が生まれかねません。都はこうした事態をどう認識し、日大にたいしてどのような対応をしてきたのですか。

回答
 都は、全都的な立場から、入院治療を必要とする救急患者に対応する診療体制と、365日24時間救急入院が可能な病床が確保できるよう、都全域を対象にして、休日・全夜問診療事業(小児科)の実施のための契約を医師会と締結しています。

問3 日本大学による光が丘病院の廃止が3月末をもって強行されれば、次の運営者が手続きしたとしても、許可を取得し開設できるまでの間は、一定の空白期間が生じてしまいます。こうした可能性について都はどのように認識し対応しますか。

回答
 地域医療の確保は、まず、住民に身近な区市町村が具体的な役割を果たす必要があります。
 都は、練馬区に対し、日本大学医学部付属練馬光が丘病院(以下「練馬光が丘病院」という。)に入院中の患者への対応を含め、医療の空白期間を生じさせることのないよう、計画的な対応を指導しています。

問4 日大光が丘病院は、区内の他の大学付属の医療機関とくらべても差額ベッドは低くおさえ、小児科だけで15人の常勤医師を確保するなど、手厚い医師・看護師体制をとる努力を行ってきました。
単純に採算が優先されれば、医療水準の後退、患者負担の増大を招くことは明らかです。地域医療の水準確保、住民負担の軽減のために採算を犠牲にしても努力することにたいし、都として一定の支援策が必要ではないでしょうか。

回答
 練馬光が丘病院が行っている行政的医療については、これまでも、国及び都の基準に基づき支援を行っており、新たな補助を行う考えはありません。

問5 多摩地域の自治体立病院にたいして都は運営費補助を実施しており、病床300床の日野市立病院には年間約3億3千万円、290床の稲城市立病院には3億4千万円の補助金が昨年度支給されています。区部の公立病院や区が契約を結んで運営されている公立に准じた位置づけの公的な病院にも運営費補助を検討すべきではありませんか。

回答
 市町村公立病院運営費補助金は、多摩及び島しょ地区における地域医療の確保と向上に資することを目的として市町村が設置する、病院の運営に対し補助を行なっているものであり、新たな補助を行う考えはありません。

問6 日大光が丘病院が、休日、夜間帯で受け入れる小児の救急車搬送件数は昨年度1113件です。これは、全都の受託病院の平均受け入れ件数472件の2倍をこす件数です。しかし都からの委託金はあくまでも1ベッド確保と医師1名の確保への定額委託金にすぎず、受け入れ件数はまったく無視されています。委託金のこうした算定方式を改め、受け入れ件数が反映できるようにすべきではありませんか。

回答
 都では、休日・全夜間診療事業(小児科)により、指定医療機関に対して、入院治療を必要とする救急患者に対応する診療体制と、病床の確保に必要な経費を支出しています。患者の受入実績に関しては、診療報酬制度の中で措置されるものです。

問7 練馬区が人口10万人当たりの病床数が23区平均の3分の1以下という状況で医療過疎ともいえる事態が長年続いています。このため練馬区は200床以上の病院を日大光が丘病院を含め3病院から5病院に整備する中核5病院構想を昨年末発表しました。すでに年度内に2病院用地を確保するとしていますが、最大のネックが病床の確保です。練馬区などの病床不足地域に安定的な病院整備ができるように、現行の2次医療圏の設定を見直すよう求めます。

回答
 都では、東京都保健医療計画(平成20年3月改訂)において、住民の日常生活行動の状況、交通事情、医療資源の分布等を総合的に勘案の上、複数の区市町村からなる二次保健医療圏を設定しています。現時点において、現行の二次保健医療圏を見直す考えはありません。

問8 東日本大震災の重要な教訓の一つは、地震や津波から助かったにもかかわらず適切な医療が施されず、命が失われるという2次災害がおきていることです。こうした背景には、国の社会保障、医療政策の後退によって、病院の崩壊、地域医療の崩壊が全国的におきていることがあります。また東京都が都立3小児病院の廃止を強行したことも重大です。
 国にたいし診療報酬の抜本的な引き上げなどを求めるとともに、都として都立病院の廃止や独立行政法人化などは行わないことを求めます。

回答
 都はこれまで、医療提供体制や医療人材を確保する観点から、必要な診療報酬の改善について、国に対し、繰り返し提案要求しています。
 また、都立病院は、将来にわたり都民の皆様に対し安定的かつ継続的に行政的医療を提供する役割を担っています。その役割を果たすため、都立病院のあり方にっいては、常に検討していく必要があると考えています。

以上