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2012年第2回定例会文書質問趣意書 6月18日

畔上三和子(江東区選出)

一、消防団活動の環境整備について

 昨年の3月11日の東日本大震災・原発事故は、私達がかつて経験をしたことのない未曾有の被害をもたらしたものでしたが、あらためて消防団及び地域防災市民組織の活動の重要性の認識を深めました。私の住む江東区においても、消防団が日常的に地域の防災活動のリーダー的役割を果たしているところですが、益々、その役割の発揮が期待されているところです。
言うまでもなく、消防団は消防組織法に基づく消防機関であり、団員は特別職の地方公務員の身分を持っていますが、同時に、隣近所顔見知りの地域住民のひとりです。  地域を良く知り、地域の防災力の要としての役割を発揮できる組織です。 
その役割の重要性から、昨年度6月補正予算では、新たに消防団の資機材が購入されたことは、一歩前進だと考えます。しかし、大地震の危険性が高まる中、早急な対策の拡充が求められていると考えます。
「地域特性に応じた消防団の取り組みをどう進めるのか」について、現在、都が諮問している運営員会において審議中とのことですが、その答申をしっかりと受け止め、施策に生かすとともに、現時点でも消防団からも強く要望されている会議室のある消防団詰め所の拡充や、資機材の整備拡充、消防団員の処遇改善など早急に取り組むよう求めるものです。
以下、具体的に伺います。

Q1.東日本大震災において、地域密着型の消防団分団の詰め所が、被災住民への情報提供の場となるなど被災者支援に大きな役割を発揮したと聞いています。
現在、会議室のある分団詰所の要望があっても、約80平米のスペースが必要とのことで、その確保が難しいのが実態です。地域によっては、「狭くてもいいから会議室がほしい」という声が上がっています。
都内にある439分団のうち会議室のある詰所をもっている分団はいくつあるのか伺います。
また、会議室を持った分団詰め所の重要性からいっても、各分団と場所やスペースの問題等についてもよく話し合い、早急に設置すべきと考えますが、いかがですか。
あわせて、具体的設置計画があれば、お示しください。

回答 特別区消防団の分団数は、439であり、このうち、会議室のある施設を持っている分団は、平成23年度末現在、309分団です。今後も引き続き、構造、老朽度、狭隆度等を総合的に勘案して、各区や関係部局等と連携し計画的に整備していきます。

Q2.万一の場合の救助活動において、その迅速性が基本です。同時に、多発的に起こりうる火災にいかに対応するかが問われるわけで、初期消火用の十分な資機材の配置が重要です。今後、どう拡充するのか、伺います。

回答 特別区の消防団活動は、平常時はもとより、震災時において果たす役割は極めて重要であることから、活動に必要な資機材等を計画的に整備してきました。今後とも特別区消防団運営委員会の答申等を踏まえ、各区や関係部局等と連携し、消防団の資機材等の整備に努めていきます。

Q3.消防団の夜間活動に対応するためにLEDバルーン型投光器を全消防団に配置したことは、前進です。同時に、救助活動において不可欠なジャッキ、バール等の救助用機材の拡充とともに、消防団員をはじめ防災ボランティアの方々等が使いこなせるための使用訓練も重要です。機材の拡充と使用訓練をどう強化されるのか伺います。

回答 特別区消防団活動の充実のため、これまでも活動に必要な資機材を計画的に整備してきたところであり、東日本大震災の教訓を踏まえ、「東京緊急対策2011」に基づき、新たに、電光標示器(LEDバルーン型投光・器)や専用の無線機を整備しました。今後とも新たに整備した資機材の活用要領等の周知を図るとともに、実践的な訓練等を推進し、消防団の活動能力の向上に努めていきます。

Q5.災害弱者対策の強化など、地域の防災力の要としての消防団の役割は、益々重要です。出動手当の引き上げ等、消防団員の処遇の改善・福利厚生事業の拡充を求めます。

回答 消防団員の処遇については、これまでも、活動実態や経済情勢等を踏まえて、報酬や出動手当について必要な改善を図ってきました。また、福利厚生についても、財団法人日本消防協会や社団法人東京都消防協会等により、見舞金や弔慰金を支給しているところです。今後とも、消防団員の適切な処遇の確保に努めていきます。

二、都教育委員会の障害者雇用の拡充について

 障害者の雇用の促進に関する法律の第6条では、「国及び地方公共団体は、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない」としています。同時に、国及び地方公共団体が、障害者雇用の量・質両面での向上に自らが実践し、そのイニシアチブを発揮することが強く求められているのだと思います。
 都教育委員会の2011年末の障害者雇用の状況は、算定基礎の教職員数43,110名のうち障害者は682名、雇用率は1.58%で、法定雇用率2.0に到達していません。そればかりか、この3年間で障害者雇用数は42名も減少しています。
 厚生労働大臣は今年3月30日、都教育委員会に対し、障害者採用計画を適正に実施していないとして、実施を勧告しました。この5年間で4回目の勧告になります。
Q1.こうした勧告をどのように受け止めているのでしょうか。また、法定雇用率達成のために、具体的にどのようなとりくみを実施する予定なのか教えてください。

回答 都教育委員会は、これまでも障害者雇用の促進に努めてきましたが、その結果として、厚生労働大臣の適正実施勧告を受けたことは重く受け止めています。都教育委員会は、これまでも教員採用選考において障害のある受験者も他の受験者と全く区別なく募集し、また、障害のある受験者には、試験時間の延長など受験時の配慮を行い、採用に努めてきました。他方、平成21年度に全国で教員免許状を取得した約10万3千人のうち、障害者は88人と極めて少ないことから、教員の採用を中心とした法定雇用率の達成には限界があるのが現状です。今後は、教員の採用はもとより、平成24年度から全庁的に導入された障害者非常勤職員制度を活用して事務補助職員を採用するなど、障害者雇用の促進に努めていきます。

 都教育委員会は、2013年度末の障害者雇用率を2.0%とする障害者採用計画を、国に提出しています。これを達成するために、定年退職者等の補充もふくめ今後300名近くを採用し、障害者雇用数を881人にしなければなりません。また、厚生労働省は、2013年4月1日から教育委員会の法定雇用率を2.2%に引き上げるとしており、いっそうの雇用推進がもとめられます。
 都教育委員会はこれまで、教員採用試験における点字による出題など障害者への配慮や、教員以外の職員に、知事部局にくらべて多くの障害者を雇用するなどのとりくみをおこなってきました。今年度からは都教育委員会版チャレンジ雇用として、非常勤職員として3名(雇用率の算定にあたっては1.5名とカウント)の知的・精神障害者を雇用しています。一方で2010年6月から2011年12月までに採用した障害者数が32.5人、採用者全体に占める割合が0.4%ですから、法定雇用率を達成するためには、これまでの延長にとどまらない積極的な雇用対策をすすめる必要があります。

 第1に、教員採用の改善についてです。特別支援学校の保護者や障害者団体などからは、子どもと同じ視覚障害や聴覚障害などをもった教員がいてくれると大変心強いので、ぜひ採用してほしいという声が寄せられています。
 東京都の2012年度採用選考には44名の申し込みがありましたが合格は5名でした。これは全体の名簿搭載者数3,983名の0.12%にすぎません。倍率も8.8倍で全体の平均4.5倍より高くなっています。

Q2.たとえば徳島県では、身体障害者を対象とした特別選考を行い、来年度は全体で220名程度の採用予定のうち身体障害者を3名程度採用するとしています。山口県でも323名程度のうち6名程度の身体障害者を採用するとしています。東京都でも、試験への配慮に加え、教員採用において「障害者枠」をつくり、障害者雇用を促進することを検討してはどうですか。

回答 平成21年度に全国で新規に教員免許状を取得した約10万3千人のうち、障害者は88人、比率にすると0.08パーセントと極めて少なく、都の教員採用選考を受験する障害者も毎年30人から40人程度と少ないのが現状です。都教育委員会は、教員採用選考において、障害のある受験者も他の受験者と全く区別なく募集しており、広く門戸を開放しています。障害のある人の受験に関しては、一般の受験者と比べて不利にならないよう、障害の種類や程度に応じて、点字や拡大文字の使用、試験時間の延長、手話通訳の配置などの配慮を行っており、「障害者枠」を設ける考えはありません。今後も、様々な配慮を行っていることを積極的に周知することにより、受験の促進を図っていきます。なお、都教育委員会では「障害者枠」を設けていないことから、「倍率も8.8倍で全体の4.5倍より高くなっています。」との考え方は、当たらないと考えます。

Q3.また、佐賀県などでは、身体障害者特別選考において、一次試験の一般・教職教養試験を免除しています。愛知県も、大学の推薦があれば一次試験を免除する制度をはじめました。こうした制度の検討も求めますが、いかがでしょうか。

回答 都教育委員会は、教員採用選考第一次選考において、一一定の条件を満たしている受験者に、教職教養試験等を免除しています。この教職教養試験等の免除は、教職経験や社会人経験等を有することが、教員としての一定の有用な能力として評価ができることにより行っています。そのため、障害者であることをもって、同様の免除を行う考えはありません。

 第2に、教員以外の職員の採用についてです。東京都では障害者の正規採用は身体障害者のみを対象としていますが、障害者団体などからは、知的障害や精神障害も正規で雇ってほしいと要望がだされています。また、身体障害もふくめ、障害のない人と同じ仕事内容での採用も大事だが、同時に、障害の特性や体力などにも応じた仕事内容での採用も行ってほしいとの声も寄せられています。知的障害や精神障害は非常勤でしか雇わないのはおかしな話ですし、正規で働きたいなら障害のない人と同じ仕事をするべきということだとしたら、結局は、障害者は社会的に不安定な弱い立場でも仕方ないという差別につながります。教育委員会の雇用率を高めるためにも、知的・精神障害者の正規雇用の取りくみは重要です。
 静岡県では、知的障害者を図書館などの本の整理やデータ入力などの技能労務職員として雇用しています。三重県では、非常勤職員として採用した知的障害者を1年後に一般事務職として正規雇用し、データ入力やコピー用紙の管理、文書配布などをしてもらっているとのことでした。

Q4.都として、知的障害者や精神障害者も正規雇用し、教育委員会もふくめ全庁的に従事してもらえる仕事を発掘し、配置するべきだと考えますが、いかがですか。

回答 都では知的・精神障害者の就労を支援するため、平成20年度より臨時職員として雇用するチャレンジ雇用に取り組んでおり、今後、就労する職場の拡大にも努めていきます。さらに、より長期間の雇用を確保するため、平成24年度は都教育委員会も含め全庁を対象に障害者非常勤職員制度を創設しています。今後、本制度も活用しながら、引き続き知的・精神障害者の雇用に取り組んでいきます。

Q5.都の教育委員会版チャレンジ雇用は、教育事務補助として非常勤職員を採用していますが、今後、障害種と採用人数を拡大し、幅広く公募するとともに、正規雇用に結びつけられるようにすべきだと考えますが、所見を伺います。

回答 都教育委員会は、平成24年6.月から、3名の都立特別支i援学校卒業生を会議等の資料の印刷及び製本、各種データのパソコンへの入力などの業務に従事する非常勤職員として採用しました。このチャレンジ雇用は、働く意欲と能力を有する知的障害のある都立特別支援学校の卒業生の就労支援を図るために、都教育委員会において非常勤職員として勤務したのち、一般企業等への就労を目指す取組です。平成24年度の就労状況等も踏まえながら、今後とも障害者雇用の取組を進めていきます。

 今後新たに精神障害者雇用を義務化することも検討されています。例えばてんかんをもつ人は採用試験において、仕事は支障なくできるのに誤解と偏見の目で見られたりして大変だというお話も伺いました。精神障害者は、働きたいのに働く場が少ないのが現状です。

Q6.東京都及び都教育委員会が積極的に精神障害者の雇用に努めることを求めます。

回答(総務局) 都では精神障害者の就労を支援するため、平成20年度より臨時職員として雇用するチャレンジ雇用に取り組んでおり、今後、就労する職場の拡大にも努めていきます。さらに、より長期問の雇用を確保するため、平成24年度は障害者非常勤職員制度を創設しています。本制度も活用して、引き続き精神障害者の雇用に努めていきます。

回答(教育庁) 都教育委員会は、平成24年度から全庁的に導入された障害者非常勤職員制度を活用して、知的障害のある都立特別支援学校の卒業生を非常勤職員として採用しましたが、この障害者非常勤職員制度は、知的・精神障害者を対象としています。一方で、教員の採用については、引き続き、障害のある受験者も他の受験者と全く区別せずに募集しています。

Q7.障害者雇用の量とともに、雇用の質を確保することが重要です。就業上必要な支援を明らかにし、障害者が長く安心して仕事を続けられるための合理的配慮が提供できるようなしくみを整備すべきだと考えます。また、精神科ソーシャルワーカーなど専門家を配置して、障害者本人や職場の同僚などの相談にのることのできるしくみも必要と考えますが、いかがですか。

回答(総務局) 都の知事部局においては、職員本人や管理監督者等が、精神保健について随時相談できる体制を整えるため、現在、精神科医、心理職及び精神保健相談員の専門スタッフを配置しています。この専門スタッフは、障害を持つ職員が抱える職場適応上の問題や精神的な問題などの相談にも応じており、適切な助言指導を行うことで、職員にとって働きやすい職場環境づくりに寄与しています。

回答(教育庁) 都立学校では、島しょの一部の学校を除く全校において産業医を選任し、労働者の健康の保持増進を図る中で、精神保健を含めた健康相談を行っています。また、都教育委員会では、教職員からのメンタルヘルスに関する様々な相談窓口を設置するほか、臨床心理士の派遣によるメンタルヘルスに関する個別相談などを実施しています。

 都では、東京都障害者就労支援協議会を設置し、都内の障害者雇用を推進していますが、都庁各局を初めとする公務職場のなかでは特に、教育委員会の障害者雇用率の達成が難しい現状を考えれば、教育委員会の特徴に合わせた仕事の開拓や工夫に知恵をしぼることが求められています。
愛知県教育委員会では、必要に応じて外部人材も参加できる雇用対策協議会を設置しています。下部組織としてプロジェクト会議も設置し、雇用促進に努めているとのことです。

Q8.都教育委員会においても、雇用対策協議会を設置し、教育委員会内部だけでなく、各障害種別の障害者団体や特別支援学校の保護者、学識経験者などを加えて、教育委員会の障害者雇用促進の方策を議論することを求めますが、いかがですか。

回答 都は、平成23年12月に策定した「2020年の東京」で、今後10年間で約3万人の障害者雇用の増加を新たな目標に掲げ、更なる雇用の増加を目指すこととしています。この目標の実現のために設置されている東京都障害者就労支援協議会において、都、都教育委員会、特別支援学校関係者、学識経験者、企業等の関係機関が連携し、障害者雇用の推進に係る様々な課題についても議論しています。

Q9.同時に、法定雇用率達成のための具体的方策や、どんな仕事で何人雇用するかの目標を明確にし、都民に公表・PRして、とりくみを促進してはいかがですか。

回答 都教育委員会は、これまでも教員採用選考において障害のある受験者も他の受験者と全く区別なく募集し、また、障害のある受験者には、試験時間の延長など受験時の配慮を行い、採用に努めてきました。また教員以外の障害者雇用率は4.6パーセントとなっており、法定雇用率を上回る配置を行っています。今後とも、教員採用において様々な配慮を行っていることを引き続き積極的に周知するとともに、教員以外の職種については、平成24年度から全庁的に導入された障害者非常勤職員制度を活用するなど、法定雇用率達成に向けて努力していきます。

 障害者が、安定的に仕事が続けられるしくみづくりは、障害の有無にかかわらず、誰にとっても安定的に仕事を続けられる環境の整備につながります。都教育委員会が、障害者雇用の量・質ともに先進的取り組みを真剣に進めていただくことを強く求めるものです。

以 上