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2012年第2回定例会文書質問趣意書 6月18日

かち佳代子(大田区選出)

一、放射能汚染対策について

1.都内の面的汚染について

 都は、「都内は面的には放射能汚染されていない」としていますが、その根拠は「汚染状況重点調査地域」がないことです。しかし、その根拠には、問題があります。
そもそも葛飾区は、国に提出した「汚染状況重点調査地域の指定についての意見」の中で、葛飾区は「汚染状況重点調査地域に該当」することを認めています。
Q1 汚染状況から判断すれば、都内にも面的に汚染されている地域があるということです。違いますか。

回答 葛飾区は、平成24年第二回葛飾区議会定例会において「区内33箇所の空間放射線量定点測定の結果から、区全域が面的に汚染されているものではないと考えていることから、現時点では区から国に対して汚染状況重点調査地域の指定にっいて要請する考えはない。」との見解を述べています。
 実際に、葛飾区が平成23年12月から平成24年6月までにかけて測定した区内33地点の空間線量は、最新の調査結果で、1箇所を除いて毎時0.23マイクロシーベルトを下回っています。また、葛飾区が平成23年5月から継続して測定している区内7地点の空間線量について、平成24年6月までに全ての地点で減衰傾向にあることを確認しています。
 このような状況から、都は、葛飾区が面的に汚染されているとは考えていません。

 葛飾区が「汚染状況重点調査地域」への指定を留保している理由は、汚染状況からではなく「財政負担」「除去対策にかかわる基準」が具体的に示されていないからです。
この回答を受けた国は、「(この指定希望は)汚染状況から判断するもの」であるので、区の理由には無理があるという見解を示しました。
葛飾区は、国のこの見解にたいして、何の意見も明らかにしていません。

Q2 都は、この国の見解について、どのような見解を明らかにしていましたか。

回答 国は、汚染状況重点調査地域の指定に当たっては、航空機モニタリング調査結果に加え、空間線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上となる地域の面積の大きさ、空間線量の減衰状況、区市町村の意見なども参考にし、指定するとしています。都内において、汚染状況重点調査地域に指定された区市町村はありません。
 なお、葛飾区は、平成24年第二回葛飾区議会定例会において「区内33箇所の空問放射線量定点測定の結果から、区全域が面的に汚染されているものではないと考えていることから、現時点では区から国に対して汚染状況重点調査地域の指定について要請する考えはない。」との見解も述べています。

Q3 都は、汚染状況重点調査地域の指定にあたって、ガイドラインにもとづく具体的な検討内容をしたのですか。その検討過程を具体的に示して下さい。

回答 汚染状況重点調査地域は、国が区市町村単位で指定するものです。都は、国からの事務連絡を区市町村に通知すること、区市町村の事務連絡を国に通知することなどの役割を担っています。  なお、葛飾区が平成23年12月から平成24年6月までにかけて測定した区内33地点の空間線量は、最新の調査結果で、1箇所を除いて毎時0.23マイクロシーベルトを下回っています。また、葛飾区が平成23年5月から継続して測定している区内7地点の空間線量について、平成24年6月までに全ての地点で減衰傾向にあることを確認しています。  したがって、都は、葛飾区が汚染状況重点調査地域に該当するとは考えていません。

 わが党の調査、市民団体の調査によっても、都内東部地域では、汚染状況重点調査地域のガイドラインが示す「字」単位では一定の広がりをもって汚染されています。こうした地域をガイドラインにそって除染するためには、該当区自身が、汚染状況重点調査地域指定を申請することが要件になります。
葛飾区は、指定していませんが地表1センチ高で毎時1マイクロシーベルト以上の場合、除染しています。

Q4 仮に、都内の該当区が「財政負担」「除去対策にかかわる基準」など、汚染状況以外の理由で指定をためらっているのであれば、住民の生命と健康を第一に考え、除染をすすめるために、国に問題点の改善を要請するとともに、該当区への支援にこそ力を入れるべきではありませんか。

回答 平成23年11月に提出された葛飾区からの汚染状況重点調査地域の指定に係る意見書には、「財政負担及び事故由来放射性物質の除去対策に係る基準等が示されていないため、指定を希望するか否かの判断をすることが困難」との内容がありました。その後、葛飾区は、平成24年第二回葛飾区議会定例会において「区内33箇所の空間放射線量定点測定の結果から、区全域が面的に汚染されているものではないと考えていることから、現時点では区から国に対して汚染状況重点調査地域の指定について要請する考えはない。」との見解を述べています。
 実際に、葛飾区が平成23年12月から平成24年6月までにかけて測定した区内33地点の空間線量は、最新の調査結果で、1箇所を除いて毎時0.23マイクロシーベルトを下回っています。また、葛飾区が平成23年5月から継続して測定している区内7地点の空間線量にっいて、平成24年6月までに全ての地点で減衰傾向にあることを確認しています。
 このような状況から、都は、葛飾区が汚染状況重点調査地域に該当するとは考えていません。

 東部地域には東京ブランドのコマツナも生産されるなど生産緑地が数多くあり、農業生産者がいます。

Q5 都内産の農産物について風評被害から守るために、都内産農産物の放射性物質検査の頻度を増やしてはどうですか。農業者も、消費者も安心すると思いませんか。

回答 都は、平成23年3月20日から独自に都内産農林水産物等の放射性物質の検査を行い、平成24年7月6日現在で、合計904検体の検査を実施しています。今後とも、都内農林水産物の安全安心の確保と風評被害防止の観点から、放射性物質検査を継続して実施し、結果を公表していきます。

Q6 昨年第3回定例会で、私が農地土壌の検査を求めたのに対し、実施すると答弁しています。都民からの情報によれば、ハウスの雨どい周辺など農地にもホットスポットがあり、きめ細かな調査が必要です。また、汚染対策、農産物の測定と一体ですすめないと、風評被害も広がりかねません。農地の測定・汚染対策にたいして、都として区市町村、JA、農業生産者への支援策を打ち出してはどうですか。

回答 農地土壌の放射性物質検査については、国が検査を行い、都内の農地のある43自治体の農地土壌の結果は、平成24年3月に公表されています。土壌の放射性物質については、水田以外に基準がないことから、都としては、実際に人が食べる農産物の検査を実施しています。都は、都内農林水産物の安全安心の確保と風評被害防止の観点から、今後とも、放射性物質検査を継続して実施し、結果を公表していきます。

2.葛飾区都立水元公園のホットスポットについて

 わが党の6月8日、10日の調査で、葛飾区都立水元公園において、地上1メートル高で空間放射線量が毎時1.10マイクロシーベルトの地点、1キログラムあたり25万1千ベクレル、11万2千ベクレルという放射性物質が測定された土壌がありました。
 水元公園については、私たちは、これまで具体的な測定値を示しながら、くり返し、きめ細な測定と除染・対策を求めてきました。今年2月の調査で2万ベクレルを超えた土壌があったことも示し、土壌、落葉などの処理については万全の対策をとることなどを求めてきました。
 しかし、公園サービスセンターの責任者は、公園内の放射性物質に関するそれらの状況については、都からは何も聞いていないと言っています。大変驚きました。
 第2回定例会で、地上1メートル高で空間放射線量が毎時1.10マイクロシーベルトの地点について、環境局長は、文科省から要請を受けたから、念のために現地調査を行ったと言いました。再質問で文科省の要請がなかったら、測定もしなかったということですかとの質問に、まともな答弁がありませんでした。

Q7 そもそも、私たちが6月9日、その測定結果を都に伝えたわけですから、都は「放射性物質による環境の汚染への対処に関する基本方針」に従って、文科省にその趣旨を連絡するべきでした。違いますか。

回答 平成23年10月21日付けで内閣府、文部科学省及び環境省から出された「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」及び文部科学省の「放射線測定に関するガイドライン」(以下、「文部科学省のガイドライン」という)では、地表から1メートルの高さの空間線量率が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い箇所を簡易な除染の目安としています。
 同対応方針及び文部科学省のガイドラインでは、周辺より放射線量の高い箇所の報告にっいては、地方公共団体または、民間団体等が発見した場合、文部科学省へその旨の連絡を行うとともに、可能な範囲で簡易な除染を行うよう要請するものとされています。
 平成24年6月9日の通報では、地表から1メートルの高さの空間線量率が毎時1.10マイクロシーベルトとのことであり、文部科学省のガイドラインの目安を超えていないと判断しました。

 同じく第二回定例会で、都は「ガイドラインに基づき、都の判断として適切に対応している」「ご指摘のデータは、あくまでも局所的なもので、そもそも滞在時間が短いこと、少しでも離れれば放射線量は大幅に減衰することを確認しており、除染など特段の対応は必要ない」との立場を表明しました。
 国が3月に発表した「放射性物質による局所的汚染箇所への対処ガイドライン」によれば、「地表から1メートル高さの空間放射線量率が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所」は、「一つの目安とし、実際には局所的汚染箇所の周辺における人の利用状況等を勘案して対処方法を検討する」としています。
 環境局長も、第一回定例会でわが党の質問に「(都の示す基準は)福島県以外において放射線量が周囲よりも有意に高いと判断するための相対的目安」「地域内の除染にあたって優先的に作業した方がよい箇所を示す当面の目安」と答弁しました。

Q8 そもそも地上1メートル高で毎時1マイクロシーベルト以上という目安については、日本共産党都議団が原子力災害対策本部で直接説明を受け、その考え方について確認しましたが、「この基準は機械的に決めたもの。健康への影響だとか、何か科学的根拠をもったものではない」ということです。違いますか。

回答 国は、平成23年10月、「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」を示しました。この方針によると、「地表から1メートルの高さの空間線量率が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所」を簡易な除染を行う場合の目安としています。国からは、この目安は、福島県外において放射線量が周囲よりも有意に高いと判断するための相対的目安であり、地域内の除染に当たって優先的に作業した方がよい箇所を示す当面の目安と聞いています。
 都は、平成23年11月、同対応方針及び文部科学省のガイドラインに基づき、都内では比較的空間線量が高い区部東部の3区を対象とし、局所的な放射線量の調査を行いました。調査の結果、この目安を上回る地点はなく、また、測定地点の中で、高さ1センチメートルの位置における比較的空間線量の高い地点で、距離による減衰度合いを詳細に確認した結果、わずかに離れただけで大幅に減衰していることが確認できました。都は、この目安は、都内における局所的汚染箇所への対応を図るに当たって、妥当なものであると認識しています。

Q9 毎時1.10マイクロシーベルトの測定値は、同ガイドラインのように「有意に高い」「目安」として、対応すべきではないのですか。

回答 貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。また、都が平成23年11月に行った水元公園内の12地点における局所的な放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.21〜0.44マイクuシーベルトであることを、葛飾区が平成23年10月に行った水元公園内の6地点における空間放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.22〜0.37マイクロシーベルトであることも確認しています。

Q10 また、同ガイドラインでは、このような「目安」に相当する高い空間放射線量率の地点は「詳細な汚染原因・規模等の推定のための調査の実施」をするとしています。都は、この地点について、ガイドラインに沿って、いつ、どのように調査をしたのですか。

回答 貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0。18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。また、都が平成23年11月に行った水元公園内の12地点における局所的な放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.21〜0.44マイクロシーベルトであることを、葛飾区が平成23年10月に行った水元公園内の6地点における空間放射線量調査では、地表から1メートルの高さの空間線量が毎時0.22〜0.37マイクロシーベルトであることも確認しています。

Q11 私たちが見たところ、ここには側溝や池の泥を集め、積み重ねたような形跡がありましたが、どこからのものかということまで調べましたか。

回答 貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。その結果、地表から1メートルの高さの空間線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。

Q12 都は、同ガイドラインにそって、どのように対応したのか、具体的に答えて下さい。

回答 貴党の調査結果において、水元公園の駐車場付近で空間線量が毎時1.10マイクロシーベルトとされた1地点については、平成24年6月11日、貴党の通報を受けた文部科学省から、周辺の一般環境も含めた状況確認の要請があったことから、都は、現地調査を行いました。その結果、地表から1メートルの高さの空問線量は、毎時0.99マイクロシーベルトであり、周辺の一般環境の0.18マイクロシーベルトと比較して1マイクロシーベルト以上高くありませんでした。この結果を文部科学省に連絡し、文部科学省のガイドラインで除染等の目安となる値ではないことを確認しました。

Q13 福島原発事故の放射性物質に対し、国は「人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する」「(除染等にあたっては)とりわけ子どもへの対応に十分配慮することが必要であり、子どもの生活環境(学校、公園等)において優先的に実施する」との方針です。違いますか。

回答 文部科学省のガイドラインは、「人、特に子どもの集まる公的スペース等において放射線を測定するに際して参考となるもの」として作成されたものです

Q14 水元公園の25万ベクレルの「黒い土」は、そのわずか150グラムで、法律的には放射線管理区域内で管理されないといけない、大変危険なものです。どうですか。

回答 東京電力福島第一原子力発電所の事故による状況に対応するため、放射性物質汚染対処特措法や文部科学省のガイドラインが作られており、これらを踏まえて対応することが適切です。放射性物質汚染対処特措法や文部科学省のガイドラインでは、除染の判断は、地上1メートルの高さの空間線量で評価するものとされています。

Q15 たとえば乳児が、25万ベクレルのわずか1gを口にしただけで5.6マイクロシーベルトの内部被ばくに試算されます。そんな高濃度の土壌を、何の対策をとらずに放置しておいて子どもたちが遊んでも健康に影響がないという都の科学的根拠について、一般論ではなく具体的に示してください。

回答 文部科学省が平成23年5月に公表した「『暫定的考え方』の取りまとめに際し検討した内部被ばくに関する算定結果と根拠」によれば、福島県におけるデータを使用した算定でも、学校グラウンドの利用に伴う土の吸入や口からの摂取などによる被ばく量の全体に対する割合は非常に小さいと推計され、空間線量の影響が大半を占めるとされています。また、局所的に比較的高線量である地点の場合、そもそも滞在時間が短く、さらに、少し離れれば空間線量の大幅な距離減衰が見込まれることから、空間線量の影響も少なく、除染等の対応は必要ないと考えています。

Q16 同公園では、側溝や池の泥、落葉などの処理をどのようにしていますか。

回答 落葉については、歩行者、自転車、自動車のスリップ事故の予防や美観の保持を目的としで、園路や駐車場において清掃を行っています。また、園路や広場の側溝等に堆積する泥についても清掃を行っています。これらの清掃で発生する落葉や泥は、原則として公園外に出さずに、自然に還すこととしています。

Q17 それらの放射能汚染について、リスク管理は、どのようにしているのですか。

回答 放射性物質汚染対処特措法に基づき、国は、環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な「汚染状況重点調査地域」を都内では指定していません。このため都立公園においては、文部科学省のガイドラインに基づき対応することとしています。

Q18 都は、水元公園の管理責任者として、公園内の高濃度の土壌、落葉などに接触する清掃など作業者にたいして、放射能の影響を極力おさえるべく、配慮すべきではありませんか。都として、どのように認識していますか。

回答 放射性物質汚染対処特措法に基づき、国は、環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な「汚染状況重点調査地域」を都内では指定していません。なお、文部科学省のガイドラインに基づき除染を行う場合には、平成23年12月22日付けで厚生労働省から出された「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」に準じて行うこととしています。

3.都内のホットスポットについて

 日本共産党都議団は、今年2月〜6月、主に東京の臨海部から東部地域にかけての空間放射線量及び土壌の放射性核種濃度測定等を行いました。
 全体として、空間放射線量は昨年と比べて減っているものの、雨水が流れ込み溜まり易く水はけの悪い地点では、上昇ないしひき続き比較的高い測定値が出ています。土壌については、街路樹の植込みや雨水が流れ込み水はけの悪い箇所などで、1キログラムあたり8千ベクレル以上の高濃度放射性物質になっています。特定箇所に放射性物質が蓄積・集中していることが明らかになりました。都内の臨海部から東部地域には、こうしたホットスポットが数多く散在しています。
Q19 都は、都内の東部地域を中心に分布しているホットスポットについて、どのように認識していますか。その根拠も示して下さい。

回答 そもそも、都内の空間線量は、関東地方の中でも高い水準になく、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域はありません。局所的汚染については、文部科学省航空機モニタリング調査及び福祉保健局100箇所調査から、都内では比較的空間線量が高いことが示された区部東部の3区を対象とし、都は、平成23年11月、文部科学省のガイドラインに従って、都有施設における局所的な放射線量の調査を行いました。調査の結果、同ガイドラインの目安である、「地上高さ1メートルの位置で周辺より放射線量が毎時1マイクロシーベルト以上高い地点」はありませんでした。測定地点の中で、地上高さ1センチメートルの位置では、比較的線量の高い地点が数箇所あったため、それらの地点では、距離による減衰度合いを詳細に調査した結果、わずかに離れるだけで大幅に減衰していることが確認できました。
 都は、この調査において、地上高さ1センチメートルの位置で比較的空間線量が高かった地点について、継続調査を行っており、平成24年5月までに、大半の地点で時間的に減衰していることを確認しています。

 都は、東部のわずか3つの公園のサンプリング調査だけで、地上1mで毎時1マイクロシーベルトを超えるところはない、ホットスポットからわずかに離れるだけで大幅に線量が減衰するなどと言って、きめ細かな測定と除染を拒否しています。
 こうした都の姿勢では、都内のホットスポットの正確な状況を把握することはできません。たとえば、私たちの調査で、江戸川区平井3丁目の都営アパート団地内の空地では、地上1メートル高で空間放射線量0.32マイクロシーベルト、1キログラムあたり放射性セシウム濃度が55,500ベクレル検出されました。
 遊具がたくさん置かれた公園が隣接し、保育園も近くにあります。だれもが自由に出入りできるところです。

Q20 都民から、この地点の放射線量等について都の担当部署などに情報が寄せられたことはありますか。都は、どのように対応してきましたか。それぞれ、寄せられた情報の日時、情報内容、都の対応内容を明らかにしてください。

回答 都営住宅を管理している都市整備局には、5月下旬に、平井三丁目の都営住宅団地の自治会から、団地内の放射線量等の情報が寄せられました。その内容は、団地内広場で測定したところ、地表から1メートルの空間放射線量が毎時0.33から0.38マイクロシーベルト、同地点の放射能が1キログラム当たり26,900ベクレルであった、というものです。また、5月下旬に、都民の方から連絡があり、同団地の放射線量等について、上記と同様の情報が寄せられたほか、空間放射線量等の高い地点に
立入りできないような対策を取るとともに、都により清掃を行うよう要望がありました。
 寄せられた情報における測定結果では、地表から1メートルの高さの空問放射線量が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い数値に達していないことから、文部科学省のガイドラインに基づき、都として対応は行わないことを自治会、都民の方に説明しました。

Q21 都は、住民から寄せられた都内のホットスポットの情報提供等について、何件よせられているのですか。その情報はどのように管理、対応されているのか。月別に、件数、内容、対応内容をそれぞれ示してください。

回答 都は、都内の局所的な箇所における放射線量に関する都民からの情報提供に適切に対応しています。
 平成23年10月7日から平成24年6月22日までに、都内の局所的な箇所における放射線量に関する都民からの情報提供で、環境局に寄せられた総件数は、40件ありました。
 月別にみると、平成23年の10月は7件、11月は4件、12月は1件でした。平成24年の1月は5件で、うち1件は事故由来放射性物質ではないため、地元区と文部科学省が連携して対応しました。2月は6件、3月は3件でした。4月は8件で、うち3件は毎時1マイクロシーベルトを超えるとの連絡がありましたが、いずれも、地元区や都が測定した結果、文部科学省のガイドラインの目安を下回っていることを確認しました。5月は2件でした。6月は4件で、うち貴党の調査結果で毎時1マイクロシーベルトを上回ったことから、貴党の通報を受けて都が対応したケースが3件ありました。

Q22 都内の各所を測定していると、街路樹の植込み内、側溝内、駐車場・空き地・街路脇などの放射性物質がたまりやすい土壌でさえも、花壇、街路樹の植込内へ処分している様子が見受けられます。
 こうした行為は放射性物質を凝集・濃縮する可能性があり危険です。放射能から子どもたちを守る上で、このような行為を中止するよう、都民、業者への広報を徹底することが大事だと思いますが、どうですか。

回答 平成23年10月に公表された文部科学省のガイドラインによると、高い線量率が予測されるポイントとして、雨どい、側溝、側溝の泥土などが挙げられています。都は、適切な対応を促すため、既に、このガイドラインについて、環境局ホームページを通じて周知しています。

Q23 街路樹の植込み内、側溝内、駐車場・空き地・街路脇などで放射線量が高い土壌が発見された場合は、都として責任もって処分できるようにするよう求めます。

回答 都は、対応が必要なケースが生じた場合は、文部科学省のガイドラインに従って適切に対応しています。

4.保育園における給食の放射能測定の実施について

1年前の福島原発事故以来、放出された放射能汚染の広がりは目に見えず、食物の中に、基準値を超える放射性物質が、あるのかないのか、特に乳幼児をかかえる父母にとっては、不安がぬぐえません。また、日常生活のなかで、呼吸や経口的に吸収しているかもしれない低線量内部被爆の問題が、将来、子どもたちの健康にどのような影響をあたえることになるのかなど、未知数であり心配はつきません。

Q24 唯一言えることは、人工的に作られた放射性物質は限りなくゼロにすることが望ましいということであり、そのために、東電も国も地方自治体も最大限の努力をすることだと思いますがいかがですか。
本年4月から、食品に含まれる放射性物質の残留基準が改定されました。一般食品は100ベクレル、牛乳・乳児用食品は50ベクレル、水は10ベクレル以下になりました。しかし、幾ら基準が厳しくなっても、全食品が測定されていなければ、意味がありません。
現在、出荷時や、中央卸市場にて抜き取り検査はしているものの、全数チェックはできていません。その意味においても、小中学校での給食調査を実現したことは、子どもたちの健康保持と都民の不安に応える上で、重要なことです。しかしながら、子どもたちのなかでもより影響を受けやすい保育園児などの給食については、都としてなんら対策がとられておらず、区市町村任せとなっています。

回答 内部被ばくは、放射性物質を含む空気、水、食品などを体内に取り込むことで起こります。都では、大気中の浮遊塵や水道水について、毎日測定を行い、結果を公表しています。また、食品については、国が定めた基準値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国が構築しています。さらに、国の研究機関では、生産地における検査の効果を検証するため、流通毅階での検査を行っています。
 都では、これに加え、都内小売店で流通している食品について、都民が日常的に摂取する野菜類や、子供が継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を独自に実施しています。国の発表によれば、国や地方自治体等において、6月末までに約19万件の食品が検査され、基準値を超えたものについては速やかに出荷や流通が停止されています。

Q25 放射能の影響をより受けやすい乳幼児を対象とする、保育施設における給食食材の放射性物質検査の必要性について、都はどのように認識していますか。

回答 食品については、国が定めた基準値を超える農産物等が流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国が構築しています。都においては、これに加え、都内小売店で流通している食品について、都民、特に子供が日常的・継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を実施しています。その検査結果は、都のホームページで速やかに公表しており、これまで基準値を超えたものはありません。国の発表によれば、国や地方自治体等において、6,月末までに約19万件の食品が検査され、基準値を超えたものについては速やかに出荷や流通が停止されています。
 このように、生産段階、流通段階それぞれで検査が行われており、保育施設における給食用食材を含め、食品の安全が確保されていると認識しています。

 わが党は、都内53自治体(島しょ地域を除く)を対象に「保育施設における給食の放射性物質検査に関するアンケート調査」を行い、その実態と傾向が、あきらかになりました。
 全区市町村のなかで、保育園の給食食材の放射能検査をしている自治体は、「実施している」が、27件、「実施の予定」が6件、「昨年実施した」が4件で、あわせて66%。「実施しない」が、18件で34%でした。回数は、ともかく、これまでに1回以上、給食食材の検査をしたことがある自治体が、3分の2をこえているのです。
 実施しているもののうち、直営が7件・委託が20件でした。その経費については、2200万円余からゼロ円(大学や企業の好意で)まで、かなりの幅があります。
 委託会社もそれぞれであり、その信ぴょう性に不安を感じている自治体もありました。経費に至っては、量と頻度にもよりますが、これも、大きく格差があります。
 直接区民・市民の子どもたちにかかわる自治体として、やむにやまれず、その不安に応えようとしている姿勢が伺えます。しかし、なんら、食材測定における基準が示されたわけではありません。悩みながら、現実的なやり方で対応しているのです。そのため、検査方法も、頻度もバラバラです。
 都への要望欄には、「費用負担の補助をしてほしい」あるいは「機器を無償配布してほしい」「学校給食と同様に、希望する自治体に食材検査ができるようにしてほしい」など、まずなによりも、費用負担に対する支援を求めています。

Q26 都として、学校給食の測定方法に準じた、区市町村への測定機器の貸し出しか、補助金制度の創設をもとめるものですが、どうですか。

回答 都は、これまで、住民に身近な区市町村が、食品等の放射性物質の測定を行うに当たり、東京都消費者行政活性化基金を活用し、検査機器の購入や検査の委託費用等を支援してきました。また、平成24年5月からは、区市町村等からの依頼に基づき、学校給食用食材を検査するための体制を整備し、検査を実施しています。都内の区市町村においては、保育施設の給食用食材についても検査の実施が進んでおり、都は、こうした取組を支援するため、現在、検査体制の整備を図っています。

 また、直営で、検査を実施あるいは、今後予定の自治体が、増加していくにあたり、専門的な職員が必要となるため、運用面や技術的なサポートの支援を求めています。

Q27 広域行政の都の役割として、技術面でのサポート支援が必要であるとおもいますが、どうですか。

回答 都では、区市町村による検査の結果、必要な場合には、ゲルマニウム半導体核種分析装置による確定検査や、食材の流通調査等を行うなど、その取組を支援しています。また、検査方法等について、区市町村から相談があれば、適宜、助言等を行っています。

以上