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二〇一二年都議会第四回定例会 討論 一二月六日

かち佳代子(大田区選出)

 日本共産党都議団を代表して、第191号議案、第223号議案、および第225号議案に、反対の立場から討論を行います。
 これらはいずれも、若洲海浜公園の指定管理者の指定にかかわるものです。これまでの7年間と同じ事業者ですが、決算書も事業報告書も公開されておらず、今後の人員配置計画も公表されていないなど、運営内容をチェックできない不透明な現状といわざるをえません。またヨット訓練所の利用料については、中学生以下を半額におさえることが条例で規定されなくなります。よって、3議案に反対するものです。

 日本共産党都議団は、石原前知事が行き詰まったあげく都政を投げ出したことによって、今議会が知事不在という異常な事態の中で開かれたことを批判しました。石原前知事の無責任ぶりは、「都議会での議論にも大きな制約をもたらすことになった」、「都政に大きな混乱をもたらした」など、他党からも批判、苦言が出されたことからも明らかです。
 同時にわが党の質問を通じて、石原都政の13年余が、福祉や防災対策などについて、もっぱら都民に自助努力をおしつけ、東京都の役割を後景にしりぞけたこと、憲法を否定する立場を都政に持ち込んだことなどによって、都政を大きくゆがめたことが明らかになりました。いま何よりも、都政にとって地方自治体としての魂を取り戻す知事の誕生が求められています。
 福祉のなかでも、とりわけ全国最悪の切り下げが進められた高齢者福祉について、わが党は、きびしい生活実態にある人々に光を当]+て、必要なセーフティネットをつくることを求めました。これに対し都は、高齢者世帯の24%を占めるひとり世帯では、年収200万円未満の世帯が6割を超えていることを認めました。
 ところがその一方で、都は高齢者の生活実態は様々だとか、所得の低い高齢者には、様々な負担軽減措置がとられているなどと述べ、貧困に苦しむ多くの高齢者が、現行制度では救済されていない現実を直視していません。高齢者一人当たりの老人福祉費は、石原都政発足時から約3割も減らされました。鳥取県をのぞく45道府県はすべて増額で、全国平均では35%もふやしているのです。まさに東京では、最悪の切り下げがおこなわれたのです。その結果、東京の高齢者のくらしの困難は、いっそうきびしいものとなっており、いまこそ高齢者福祉を拡充し、都独自のセーフティネットをあらためて構築する都政が求められています。

 防災対策についても、わが党は、木造住宅の耐震化と不燃性の向上が、ほとんど都民まかせになっていること、都が直接責任を持つ堤防などの耐震化も立ち遅れていることを質しました。
 これに対し都は、住宅の耐震化は促進する、堤防などの耐震化は、着実かつ的確に対策を進めてきたと答弁しました。たしかに、担当部局はそれなりの努力はしていると思います。しかし、知事から必要な予算が配分されないのでは、求められる水準に到達することはできません。震災対策事業費は、石原知事就任前から半分に減らされました。新しい知事のもとで、抜本的増額と対策の拡充が求められていることを指摘しておきます。

 中央高速道笹子トンネルの天井崩落事故は、都市インフラの老朽化、耐震化対策の緊急性を浮き彫りにしました。わが党は、すでに都に申し入れましたが、都道の予防保全計画の促進はもとより、首都高、さらには鉄道施設などについても、トンネルや橋梁の緊急点検と老朽化対策や耐震化を、事業者と連携して促進すべきです。同時に都としての投資については新規の大型開発は思い切って抑制し、福祉や教育などの施設整備や既存の都市インフラの維持更新、安全化対策に力を注ぐかどうかが問われていることを、申し述べておきます。
 なお、都議会として総合的な震災対策を調査・検討する場である防災対策特別委員会を、わが党以外の会派の賛成で終了させようとしていることは、認められません。新知事や関係局長の出席を求め、議論をさらに深めるために、特別委員会の継続を求めるものです。

 教育庁予算も、石原都政のもとで668億円も減らされました。都立高校は統廃合され、定時制高校は半減しました。特別支援学校は深刻な教室不足がつづき、小中学校の少人数学級は、ようやくふみだしたとはいえ、全国でもっとも立ち遅れています。予算を大幅に増やし、教育条件整備にとりくむべきです。
 さらに、教育の問題では、石原前知事が、「ダメなやつは落第させて、小学校にも来られない人間はそれでも構わない」と発言したことに関連して、都は「我が国の教育制度では、『小学校に来られなくても構わない』という制度にはなっていない」と答弁せざるを得ませんでした。まさにいま都政にとって、憲法を守り、生かすのか、それとも石原都政のように、これを踏みにじるのか、この選択が問われています。
 この点でも、民主、自民、公明の3党などが、学校における「日の丸・君が代」の強制を、厳罰をもっていっそう強化することを求める陳情を採択したことは、憲法に反するものであり最高裁の判決にももとることを、きびしく指摘するものです。

 今回の政治戦で日本共産党都議団は、大型開発優先の都政から、福祉・くらしを守り、予防重視の防災対策を進める、新しい都政への転換をめざして全力を尽くすことを申し述べて、討論を終わります。