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2012年第4回定例会 文書質問趣意書 12月4日

清水 ひで子(八王子市選出)

森林・林業の再生について

 森林・林業の再生について国は2011年4月に森林法を改正、2009年12月には「森林・林業再生プラン」を策定し、木材自給率50%を目標に、路網の整備、集約化、安定的な木材供給体制の確立、フォレスター制度の創設、管理放棄地のセーフティネット体制の確立を、当面の取り組み課題としています。さらに将来的には、国産材住宅の推進、公共施設等への木材利用の推進、バイオマス利用の促進、新規需要の開拓などにむけて動き始めています。
 一方、東京都は、2012年11月に農林・漁業振興対策審議会にたいして、「制度変更を踏まえた対応が必要である」として、より有効な施策を打ち出すため、東京における持続的な森林整備と林業振興について諮問しました。その中で、施策の方向性として打ち出したのは、森林循環を考えた森林整備、路網の整備と機械化の推進などで林業の低コスト化の実現、多摩産材の利用拡大などです。日本共産党都議団は、これまでもくり返し、東京の林業振興、森林再生に向けて提案してきましたが、こうした時点にたって改めて提案をおこないます。

Q1 都の「森づくり推進プラン」では、森林には、国土の保全、水源のかん養、地球温暖化防止、生物多様性保全、教育・保健、木材生産など多面的機能があるとしています。その機能をもつ森林の7割以上が、私有林です。私有林と公有林を合わせた民有林では、5ha未満の所有者が88%で、面積では16%です。20ha以上の所有者はわずか3%ですが、面積では65%をしめます。こうした特徴をもつ東京の森林を維持、資源循環させ、林業振興を図り、森林・林業の多面的機能を確保していくためには、都としてどのような施策が必要であると考えていますか。

回答 平成21年3月に改定した「森づくり推進プラン」に基づき、林道などの基盤整備はもとより、花粉発生源対策や多摩産材の利用拡大など、総合的な施策展開を図っています。

Q2 一方、森林業者の林業所得は、「林業経営統計調査」によれば、2008年度は全国1戸あたりの林業所得は10万円/年、関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、長野)では33万円/年にとどまっています。森林・林業の多面的な機能を確保しつづけていく上で重要な役割を担っている林家・森林業者ですが、その所得は林業で生活できるものになっていません。森林・林業の多面的な機能を確保しつづけていく上で、森林業者の所得補償をする制度をつくることも、有効だと思いますが、どうですか。

回答 森林所有者や林業事業体に対しては、これまでも間伐などの森林整備への補助や経営力強化に向けた支援などの様々な施策を実施しており、所得補償を行う考えはありません。

 都内の年間森林伐採量は、都の事業として約1000ヘクタールの間伐、森林再生事業が行われています。しかし、その中から搬出される木材量は約2千立方メートルで、伐採された木材の2%にすぎないと言われています。間伐された木材のほとんどが切り捨てられています。大変もったいない話ですが、搬出コストが高いために、林業者の自助努力に任せて搬出の増加を図ろうとするのは、大変酷な話です。

Q3 林業者が、森林・林業での多面的役割を果たしていることを尊重して、木材生産にたいする所得補償をおこなうよう国に求めるとともに、都としても踏み出してはどうですか。

回答 森林所有者や林業事業体に対しては、これまでも間伐などの森林整備への補助や経営力強化に向けた支援などの様々な施策を実施しており、都における所得補償及び国に対する要望を行う考えはありません。

 次に、木材生産を増加する上で欠かせない、木材搬出コストを下げることについてです。そのための一つとして、都は、作業路の整備などを進めています。2011年度のその整備実績は合わせて約3800mです。

Q4 「森づくり推進プラン」では、林道整備をH22年度までに5km/年に拡充するとしています。昨年度の実績約3800mとの乖離がありますが、この目標実現にむけて、どのように進めるのですか。また、今後の目標の引上げについては、どのような検討がされているのですか。

回答 今後とも森林所有者の協力を求めるとともに、市町村と連携し林道整備を促進していきます。

 国では「森林・林業再生プラン」事業にもとづき、日本の森林の現状を、取り組みが進んでいるドイツの森林管理の専門家に見てもらいアドバイスを受けています。その専門家は、路網の整備は長期的視点で、幅員3.5メートル程度のトラックが通れる恒久的な路網で、その密度はヘクタールあたり50〜60メートル、急峻な地形ではその半分程度に抑えるとするもので、道の真ん中を高くして山型とし、排水をよくすること、恒久的な路網とするため、岩石を砕いて敷き詰めることなど具体的に指摘しています。また、ドイツでは、木材搬出作業をする場合の効率性、安全性、植生回復、将来の斜面崩壊のリスク回避が優先されています。
 国は、こうした結果を受け、従来の林道より単価が安い林業専用道、さらに森林作業道の検討を進めています。

Q5 東京都として、ドイツ等の路網の経験に学び、従来の林道より単価の安い林業専用道、および森林作業道の整備に取り組む必要が、あるのではありませんか。

回答 都が現在整備中の路線においては、国の林業専用道の基準を適用することが困難であるため、現時点では施工していません。また、森林作業道にっいては、平成23年度に森林所有者や林業事業体等炉設置した約8キロメートルに対し支援を行っています。

 さらに生産工具の開発も必要です。

Q6 多摩地域の森林は急峻なところが多いため、運搬コストを低減するためには新たな生産工具を開発することが求められています。日本共産党都議団は、そのために、都内の中小業者に、現場を見てもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることを提案してきました。
 都は、高性能林業機械の導入に取り組んでいるとしていますが、日本の林業機械の問題点について、専門家は、建設機械をべ一スにつくられており林業用に設計されているわけではないため、機械の価格に見合った生産性を上げる能力がなく、採算をあわせることができない、適切な施業がやりにくい、労働安全衛生上好ましくないなど、多くの問題を抱えているとしています。都には、そのような認識はないのですか。

回答 東京都森林組合など実際に森林施業を行っている林業事業体からは、国産の林業機械に対する問題点は出されていませんが、今後とも情報収集に努めていきます。

Q7 現在の高性能林業機械は、急峻なところで十分対応可能で、コスト削減できると考えているのですか。

回答 一般に、森林整備を行う際には土場や森林作業道などを併せて整備することから、急峻な斜面でも高性能林業機械の活用は可能であり、コスト削減にもつながると認識しています。

Q8 わが党が提案しているように、都内の中小業者に現場を見てもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることも有効な方法ではありませんか。

回答 既に様々な林業機械が開発、販売されており、林業事業体では必要性に応じて購入やレンタル等で利用しています。

 次に、木材の需要の開拓についてです。

Q9 都は、1998年に「都の林業・林産業の振興を図る」ことを目的に、都として木材利用推進連絡会をつくり、公共建築物などへの木材の活用を進めているとしています。東京都の木材利用推進連絡会には、どんな方が参加され、どんな資料が配付され、どのような議論がされているのですか。また、どんな頻度で行われていますか。

回答 庁内関連部署で構成する「木材利用推進連絡会」を平成10年度に設置しましたが、平成17年度からは、新たに設置した「東京都花粉症対策本部多摩産材の流通部会」において、年1回程度、多摩産材の利用事例等に関する情報交換などを行っています。

Q10 木材利用推進連絡会の取り組みについて、2006年度からは、多摩産材を中心に据えて、公共建築物等への積極的な利用を促進するために、「多摩産材利用推進方針」を決めました。多摩産材の認証制度、区市町村が多摩産材を活用する際への助成なども開始しています。都立学校や都営住宅の工事に用いるなど、全庁を挙げて取り組んでいます。また、区市町村に対しても積極的に働きかけています。
 そのもとで、2011年度の多摩産材使用実績は約1900立方メートルとなっていますが、この実績についてどのような認識ですか。

回答 平成18年度の多摩産材利用量1,200立方メートルと比べ約1.6倍に増加していますが、引き続き努力を重ねたいと考えています。

Q11  これまでの取り組みの中では、都庁全体で最も木材利用が多い局は、都営住宅の建て替えをすすめている都市整備局です。過去13年間で、もっとも多く利用した年が1999年で13000立方メートルですが、2006年度には約5000立方メートルにまで下がってしまいました。全庁使用量に占める割合も、93%から68%に下がってしまいました。
 多摩産材で見ると、同局の使用量は2011年度が約1000立方メートルです。
 都営住宅の建て替え戸数は、2001年度〜2007年度までは3000戸前後で推移し、2008年度から2009年度が3200戸余、2010年度は3400戸余と、減少しているわけではありません。
 都営住宅の建て替えなどを通して、多摩産材の利用をもっと増やすことはできないのですか。利用を増やす上で障害になっている問題にっいて、木材利用推進連絡会ではどのような検討がされているのですか。

回答 「東京都花粉症対策本部多摩産材の流通部会」において、庁内利用の実例や多摩産材の生産状況等について情報交i換を行うなど、各局が協力して公共利用の拡大に取り組んでいます。

Q12 都が2009年3月に策定した「森づくり推進プラン」では、多摩産材の利用目標として、2015年度までに公共利用を5700立方メートルとしています。2011年度の庁内利用実績の3倍になります。この4年間で、目標を達成に向けて、全庁を上げた努力が求められますが、どのようにするのですか。

回答 「東京都花粉症対策本部」において、各局における多摩産材の利用事例等にっいて情報交i換を行うことに加え、平成23年11月に改定した「東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針」により、庁内はもとより、区市町村への働きかけも強化し、多摩産材の利用促進に取り組んでいます。

Q13 区市町村利用については、どのように把握して、利用推進を図る計画ですか。

回答 平成23年度より、区市町村から多摩産材の前年度利用実績及び翌年度利用予定量について報告を受けています。また、「東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針」に基づき、区市町村に対し、説明会を開催するなど様々な機会を捉えて、多摩産材利用への働きかけを強化しています。

Q14 多摩産材の民間利用についても、多くの課題がある中で、2015年度までに24,300立方メートルという目標を掲げています。都は、現状の民間利用実績をどのように把握しているのですか。そこから、2015年度目標を達成するために、どのような施策をとっていくのですか。

回答 民間利用実績については、多摩産材を扱う都内唯一の原木市場の取引量をもとに推計しています。また、今後とも、魅力ある多摩産材製品の開発や効果的な普及策にっいて、広く民間からアイデアを募集するなど、民間利用の推進を図っていきます。

Q15 港区では、木材利用量の目標を数値化して床面積あたり0.005立方メートルとしています。5000u以上の建築物事業主にたいしては、協定木材の利用を促しています。都としても、こうしたことを検討してはどうですか。

回答 企業や都民等による森づくりへの参加と多摩産材の利用促進を図るため、平成23年度に「とうきょう森づくり貢献認証制度」を開始しました。具体的には、森づくり活動や多摩産材を利用した住宅・什器による二酸化炭素の固定量等を数値化し、評価認証しています。

Q16 切り捨て間伐されているものを燃料チップに加工し、暖房の燃料などバイオマスエネルギーとして活用することも需要の開拓につながると思います。都内の中小企業に、加工設備の製作を委託研究として発注したらいかがですか。

回答 木材チップの加工設備については、移動式を含め、既に様々な製品が開発・利用されており、都内でも東京都農林水産振興財団や多摩地域の製材所などで利用されています。

Q17 国有林の場合は、森林の専門家として森林官が森林の巡視業務をはじめ、森林を造り育てるための事業実行を監督する業務、森林の今後の施業計画を策定するための地況・林況調査、路網の整備・管理、木材の育成・伐採・生産・販売するまでの一連の事業の監督など、森林・林業が多面的な機能を果たす上で、重要な業務を担っています。
 国は、「森林・林業再生プラン」の実現に必要な人材として、「フォレスター」、「森林施業プランナー」、「森林作業道作設オペレーター」、「フォレストマネージャー(統括現場管理責任者)」等を挙げています。准フォレスター等育成研修事業も始めました。
 都としても、国の制度を積極的に活用して、「フォレスター」をはじめとした人材育成を具体的に進めることは有効だと思いますが、いかがですか。

回答 都では、すでに「准フォレスター」や「森林施業プランナー」など、国の制度も活用しながら人材育成を図っています。なお、フォレスター制度は平成25年度から開始される予定と聞いており、今後、国から示される制度の内容を踏まえて対応していきます。

以上