2013年第3回定例会文書質問趣意書 10月9日

かち佳代子(大田区選出)

一、TPP問題について

 TPPは日本農業に壊滅的打撃となるのをはじめ、「国のかたちを変える」といわれるほど国民生活に影響を与えます。そのTPPを、安倍政権が自ら命運をかける成長戦略の突破口にしようとしていることは見過ごせません。参院選後に開かれた政府の規制改革会議は、営利目的で農地の荒廃につながる株式会社の農地取得や、国民皆保険制度の崩壊につながる混合診療の全面解禁などを進める姿勢を鮮明にしています。
 一方、知事は、7月26日の記者会見で、TPPが都内産業に及ぼす影響について認識を問われましたが、答えられませんでした。
 「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、独自に「関税撤廃による生産、所得への都道府県別影響」を試算し、発表しています。私たちは、この試算をおこなってきた先生方から話を聞ききましたが、関税撤廃による都内の農林水産生産額の影響は、政府の試算方式を連用するとマイナス31億円で、関連産業まで含めた都内の影響は55億円です。さらに、全国的には、農業以外への影響の波及で国内生産額は11.7兆円減少し、都内産業がうける影響額は約1.1兆円にまでなります。これは北海道に次ぐ大きな影響です。
 東京都の場合、特に影響を受けるのは第3次産業で、9700億円です。これは、先生方の説明では、関税撤廃で小麦が輸入されるとなると、そのほとんどは小麦粉として加工されて輸入されるために製粉工場の設備が過剰になるなど、肉、乳製品など、関税撤廃の品目は同様の影響を受け、畜舎、肥料、農薬、耕ウン機などの農林漁業関連の設備投資関連工場、農林漁業関係産業が影響を受けるからです。都内の企業には、本社機能をもっているところが多く、金融、輸送、食品、運輸などが影響を受け、都内全体の影響額の約9割は、第3次産業が大打撃を受けます。

Q1 知事、7月の記者会見から2ヶ月経過していますが、TPPによる関税撤廃による東京の産業が受ける影響について、こうした試算をすすめ、検証するよう求めますが、どうか。

 米国では遺伝子組み換えの稲の開発が進み、残留農薬基準もマラチオンという殺虫剤で比べた場合、米国基準は日本の80倍です。豆腐や味噌などへの遺伝子組み換え大豆使用の表示義務は、TPPの非関税障壁の対象とされると言われています。サケ・マス類も57%が外国産になると言われていますが、米国では2倍速く成長する遺伝子組み換えサケが市場に出回る可能性もあります。
 TPPへの参加は、遺伝子組みかえ表示、残留農薬基準などは、非関税障壁の撤廃の対象となります。そのため、食の安心・安全が大きく崩されるということで、消費者を中心に、大きな不安、反対運動が広がっています。
 知事は、この点について、7月26日の記者会見で、遺伝子組替え表示の撤廃に賛成か反対か問われて、「表示をきちんとやるようにすべきだ」「当たり前のこと」と述べました。

Q2 知事、国がTPP参加に向けて暴走している中、遺伝子組みかえ表示、現在の日本独自の残留農薬基準を守るために、具体的にどのような取り組みをするのですか。

 TPP交渉は、安倍首相のもとで「アジア太平洋地域の活力を取り込む」「この地域の貿易や投資のルールづくりに参加する」とすすめられたものです。
 しかし、アジアの主要国である中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、インドなどは参加していません。日本が参加しなかったからといって、アジアや世界から取り残されるというものではありません。
 日本がTPPに参加することで、交渉国全体のGDPで日米の80%を占めるようになり、実質的には日本がアメリカのルールに飲み込まれ、アメリカの多国籍企業の利益のために、国の主権が著しく侵害される事態になりかねません。
 例えば、安価なジェネリック薬品の普及に大きな影響を与え、医療保険財政の立て直しを目指している厚労省の医療財政政策に決定的な障害になる「知的財産権」分野で米国が特許期間の延長を主張しています。
 さらに漁港整備や経費の高騰にたいして補填するなどの漁業補助金まで禁止されかねず、東北の震災復興を含め我が国の漁業に壊滅的な影響を受ける内容があります。 自治体の公共事業で、地元の中小建設会社を優先するのは差別だとされます。地元中小企業が多大な影響を受けます。
 外国投資家、企業が、進出先及び投資先の政府にたいして損害賠償等を求めることができるISD条項が協議のテーブルに乗せられると言われています。
 このように、数々の問題があるにもかかわらず、政府は国会決議にもなっている「十分な情報を国民に提示」は実行されず、交渉経過も、日本政府の提案内容も明らかにせずに、秘密裏にすすめられることは許されません。

Q3 知事、農業、医療、食の安全、国民生活を土台から壊し、日本をまるごとアメリカに売り渡すTPPについて、「中身も知らせず、何も分からないまま賛成しろ」という安倍政権の暴走をとめるために、反対の立場を表明するよう求めるものですが、どうですか。

  以上 す。
 外国投資家、企業が、進出先及び投資先の政府にたいして損害賠償等を求めることができるISD条項が協議のテーブルに乗せられると言われています。
 このように、数々の問題があるにもかかわらず、政府は国会決議にもなっている「十分な情報を国民に提示」は実行されず、交渉経過も、日本政府の提案内容も明らかにせずに、秘密裏にすすめられることは許されません。

Q3 知事、農業、医療、食の安全、国民生活を土台から壊し、日本をまるごとアメリカに売り渡すTPPについて、「中身も知らせず、何も分からないまま賛成しろ」という安倍政権の暴走をとめるために、反対の立場を表明するよう求めるものですが、どうですか。

回答3 TPPのような国家間の通商交渉は、政府の専権事項です。本年3.月、TPPへの参加を表明した際に安倍首相は、「交渉を通じて国益を踏まえて、最善の道を実現します」と発言しました。政府においては、現在それに沿う形で、交渉を進めているものと認識しています。

以上